あの日、北京の街角で4 大連デイズ

ゆまは なお

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 ほっとした顔をするからさらに訊いてみた。

「抱きたいって言われたと思った?」
「思った。そうかなって」

「でも孝弘、いいけどって言ったよね?」
「あー、まあ…。祐樹も男だし、今日はそんな気分なのかなって」

「へえ…。いいの?」
「いや、わからないけど。さっきはちょっと勢いでああ言ったけど」

 焦ってしどろもどろな孝弘がめずらしくて、祐樹は声を上げて笑い出した。
 孝弘が困ったような拗ねたような顔で言い募る。

「いやだから、祐樹が本気で抱きたいなら考えなくちゃって思ったんだって。今まで気がつかなかったけどもしかして我慢してたのかなって、ほんの一瞬の間にめちゃくちゃ考えたんだって」
 

「え、なんか嬉しい。ほんの一瞬でそんなに考えてくれて」
「やー、でも冷静に考えたら、どうなんだろ? ていうか、ホントのとこ祐樹は俺を抱きたいと思ったことあんの?」

 孝弘は毒気を抜かれたようにすっかり手を止めてしまい、ごろりと横抱きにされた。全館暖房のおかげで寒くはないが、布団をかぶった方がいいんだろうか。

 どうにも予想外の展開になってしまった。ただ潤いを足そうと思っただけなのに。

 まあ話をして一緒に寝るだけでもいいか。夕食の時からなんだかおかしな話題になってたし、こんな日もあるだろう。裸でぴったりくっついているだけでも気持ちがいいし。

「うーん、特にないけど」
 
 恋愛に関して受け身な祐樹は、いつも相手から告白されてきた。恋愛関係じゃなくても、相手から誘われて関係を持つことが多く、どの相手も祐樹を抱きたがったから抱くほうの経験はない。

「最初から抱かれたいほう?」

「うん。どっちもいけるとか相手によって変わるって人もいるけど、おれは抱きたいって思ったことないな」

「そうなんだ」
「でも孝弘が抱かれたいっていうならそっちもできると思うし、そうしたいなら試してみる?」

 からかうように言ってみたら、孝弘は苦笑して首を横に振った。

「ごめんな、遠慮しとく。俺やっぱ色々したい方だから」
「うん、おれもその方がいいな」

 話しながら背中を撫でていた孝弘の手がするりと降りてきて、腰を抱き寄せられた。

「あ、するつもりあったんだ」
「あるよ。せっかく休み前の夜なのにしないわけないだろ」

 ちゅっとおでこにキスをして訊ねる。

「祐樹は? その気なくなった?」
「そんなことない」

「よかった。なくなったって言われても、その気にさせるつもりだったけど」

 平然と言った孝弘がチューブを取って自分と祐樹の右手の平にジェルを出した。とろりとした感触がまとわりつく。温感タイプのジェルは不思議なぬるさで手のひらに留まった。

「祐樹も触って」
「うん」

 お互いの熱を育てあいながら目の前の孝弘の首筋を甘噛みしたら、孝弘はくしゃくしゃと祐樹の髪をかき回した。

「時間あるからゆっくりしよう」

 会社員の平日は何かと忙しくて、なかなか時間が取れない。だから週末くらいはこうしてのんびり抱き合いたい。孝弘もそう思ってくれていて嬉しかった。

 二人で高め合いながらゆっくり快楽を分け合った。

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