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「冷静に考えたら、男二人でベビーオイル塗りあうって変だよね」
「まあな。でもいいじゃん。こっちじゃ乾燥対策は必要だし」
大連では冬の間、雨も雪もほとんど降らない。寝室では加湿器をつけっぱなしにして、更にバスタオルを干しても翌朝にはパリッと乾いている。洗濯物も凍ってしまうから室内干しだが、それでも室内がじめつくことはなく驚くくらいよく乾く。
「リップクリームをスーツのポケットに入れて持ち歩くようになるとは思わなかったよ」
日本では真冬に少しだけしか塗らなかったのに、大連に来てこまめに塗り直す癖がついた。
「唇って割れると意外と痛いよな」
「うん。ドライヤーいらないのは楽だけど」
「もうほとんど乾いてるな」
振り向いた孝弘が祐樹の髪に指を入れてくしゃっと確かめ、そのまま引き寄せてキスをする。
「祐樹」
耳元でねだる声で名前を呼ばれた。この声が好きだ。
「うん」
その返事だけでそっと首筋に口づけられて、まだ何をされたわけでもないのに体がぴくんと反応する。
口づけたところを甘噛みして、背中を抱かれてバスタオル越しに腰が密着する。お互いに少しだけ反応している。孝弘がにやりと笑って腰を卑猥に揺らした。
「ん、気持ちいい」
立ったままで上半身のあちこちに口づけられて、祐樹は小さくため息をつく。
「ベッド行こうよ」
祐樹が誘うと孝弘はうれしげに笑った。
バスタオルは外して、ベッドに押し倒された。待ちきれないように孝弘がキスをしてきて、祐樹はその温かさと重さが気持ちいいと思う。
互いの舌を絡ませ合って口腔をなぞられる。濡れた音がくぐもって聞こえて唇が離れて、少しだけ角度を変えてまた重なる。
キスはこめかみから耳元に移動して「我的愛一天比一天更熱烈《ウォディアイイティエンビイティエンビルーリエ》」と小さく囁かれて、思わず笑ってしまった
直訳すると「僕の愛は一日ごとに更に激しくなっていく」。もう少し自然な日本語に訳すと、どんどん君が好きになっていくよ、くらいだろうか。「真夏の果実」北京語版のサビだ。
でも両肘をベッドについて、祐樹を見下ろした顔が本気で言ったと伝えてきたので「我也一様《ウォイェイーヤン》」おれもだよ、と返したら孝弘は欲情をにじませた顔で笑った。
やわらかく乳首を吸われるとぴくっと肩が揺れた。じわじわと快感が広がって、昂ぶっていくのがわかる。
「これ、好きだよな?」
「うん、気持ちいいよ」
素直に答えたら、下肢に手が伸びてきた。舌先で捏ねるように乳首を愛撫されながら同時に性器を扱かれると、一気に体温が上がった。
祐樹も同じように孝弘に手を伸ばして、二人で一緒に高めあう。
体温は上がっているけれど、ベッドにいても乾燥した大連ではほとんど汗はかかない。肌はさらりとしたままだ。下肢もあまり濡れてこない。
「ねえ、ジェル使っていい?」
「え? ……いいけど」
祐樹の問いかけに戸惑いがちな返事が返った。あ、ひょっとして誤解した?
「抱きたいってことじゃなくて、ジェル使ったほうが滑りがいいかなって」
「ああ、なんだ。びっくりした」
「まあな。でもいいじゃん。こっちじゃ乾燥対策は必要だし」
大連では冬の間、雨も雪もほとんど降らない。寝室では加湿器をつけっぱなしにして、更にバスタオルを干しても翌朝にはパリッと乾いている。洗濯物も凍ってしまうから室内干しだが、それでも室内がじめつくことはなく驚くくらいよく乾く。
「リップクリームをスーツのポケットに入れて持ち歩くようになるとは思わなかったよ」
日本では真冬に少しだけしか塗らなかったのに、大連に来てこまめに塗り直す癖がついた。
「唇って割れると意外と痛いよな」
「うん。ドライヤーいらないのは楽だけど」
「もうほとんど乾いてるな」
振り向いた孝弘が祐樹の髪に指を入れてくしゃっと確かめ、そのまま引き寄せてキスをする。
「祐樹」
耳元でねだる声で名前を呼ばれた。この声が好きだ。
「うん」
その返事だけでそっと首筋に口づけられて、まだ何をされたわけでもないのに体がぴくんと反応する。
口づけたところを甘噛みして、背中を抱かれてバスタオル越しに腰が密着する。お互いに少しだけ反応している。孝弘がにやりと笑って腰を卑猥に揺らした。
「ん、気持ちいい」
立ったままで上半身のあちこちに口づけられて、祐樹は小さくため息をつく。
「ベッド行こうよ」
祐樹が誘うと孝弘はうれしげに笑った。
バスタオルは外して、ベッドに押し倒された。待ちきれないように孝弘がキスをしてきて、祐樹はその温かさと重さが気持ちいいと思う。
互いの舌を絡ませ合って口腔をなぞられる。濡れた音がくぐもって聞こえて唇が離れて、少しだけ角度を変えてまた重なる。
キスはこめかみから耳元に移動して「我的愛一天比一天更熱烈《ウォディアイイティエンビイティエンビルーリエ》」と小さく囁かれて、思わず笑ってしまった
直訳すると「僕の愛は一日ごとに更に激しくなっていく」。もう少し自然な日本語に訳すと、どんどん君が好きになっていくよ、くらいだろうか。「真夏の果実」北京語版のサビだ。
でも両肘をベッドについて、祐樹を見下ろした顔が本気で言ったと伝えてきたので「我也一様《ウォイェイーヤン》」おれもだよ、と返したら孝弘は欲情をにじませた顔で笑った。
やわらかく乳首を吸われるとぴくっと肩が揺れた。じわじわと快感が広がって、昂ぶっていくのがわかる。
「これ、好きだよな?」
「うん、気持ちいいよ」
素直に答えたら、下肢に手が伸びてきた。舌先で捏ねるように乳首を愛撫されながら同時に性器を扱かれると、一気に体温が上がった。
祐樹も同じように孝弘に手を伸ばして、二人で一緒に高めあう。
体温は上がっているけれど、ベッドにいても乾燥した大連ではほとんど汗はかかない。肌はさらりとしたままだ。下肢もあまり濡れてこない。
「ねえ、ジェル使っていい?」
「え? ……いいけど」
祐樹の問いかけに戸惑いがちな返事が返った。あ、ひょっとして誤解した?
「抱きたいってことじゃなくて、ジェル使ったほうが滑りがいいかなって」
「ああ、なんだ。びっくりした」
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