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第3章 孤独の先に
第85話 ワイルドなメディア
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俺とベスタフは、アモーン商会との傭兵契約を結んだ後、マサンが造った亜空間へと向かった。
社長のアモーンから、VIPトラベルカードにより連絡が行くまでは、自由に行動して良いと言われている。
但し、何処にいようが、兵役の時が来たら、俺の身柄を戦場に転送する必用があり、この約束を履行させるための魔道具を渡された。
それは、人抱えもある大きな特大水晶だった。
ベスタフに仕込まれた呪い虫を制御する物で、万が一、俺の行方が分からなくなったり水晶を破壊したりすると、ベスタフの身体の中の呪い虫が暴れ出すと言われている。
それを聞いた彼は恐怖に脅え、俺に対し必要以上に気を使うようになってしまった。
特大水晶は、俺のポーチの中に入れた。
アモーンに空間移動ポイントまで飛ばされると、そこには、相変わらずの一本道が存在した。
マサンから聞かされた呪文を唱えて進むと、道が増えて3本になった。
そこで、立ち止まると、いきなり大平原が目の前に現れた。
マサンが造った亜空間だった。
俺とベスタフは、そこを、ひたすらに歩いた。
「なあ、イース。 マサン殿が造った亜空間は、物凄く広大だよな。 どこまで行くんだ?」
「まだ、歩かなくちゃならない。 マサンの魔力量が半端ないから、広すぎるんだよ。 それにしても …。 メディアは、辿り着けたのだろうか?」
俺は、ベスタフに返事しつつも、メディアの事が心配になっていた。
ポーチから、小さな水晶を取り出して、メディアに連絡を試みた。
しかし、一向に返事はない。
「オバサンは、出ないのか?」
「ああ、どうしたんだろう?」
「冒険者だったんだろ…。 ならば心配ないさ」
ベスタフに励まされて、先を急いだ。
その後、かなり歩いた所で、小さな赤い家が見えてきた。
「やっと着いた。 あの赤い家にメディアがいる …」
俺は、指を指してベスタフに説明した。
そして、玄関の前に来るとドアをノックした。中からは返事がない。
俺は、鍵となる呪文を唱え、ドアを開けた。
しかし、シーンと静まり返っており人の気配がない。
「メディア! イースだけど、居ないのか?」
声を掛けたが返事はない。
俺とベスタフは、心配になり部屋に入った。
「イース。 生活の痕跡があるから、心配はいらないようだぞ。 出掛けてるんじゃないのか?」
リビングから調理場の方を見ると、料理の材料となる、干肉や木の実等が、多数置かれていた。
ベスタフが、メディアは外に出掛けていると言ったが、それでも心配でならなかった。
窓から眺めると、広い平原の奥に深い森が見える。恐らくは、あの中に入ったのだろう。
ベスタフからは、探しに行っても、見つからないと言われた。
冷静に考えて見て、探せないのは確かだ。
俺達2人は、この家でメディアが帰るのを待つ事にした。
◇◇◇
かなり時間が経ち、日が暮れようとした頃、ドアを開ける音がした。
玄関に走って行くと、そこには驚いた顔のメディアがいた。
「イース、どうしたの?」
「メディア、その格好 …」
俺は、メディアの姿を見て、思わず息を呑んだ。
彼女は、服を着てなかったのだ。
いや、正確に言うと、獣の皮を身体に巻き付けているだけの状態だった。
白い肌は、褐色に日焼けしており、太ももや胸の上部が見えている。
50歳とはいえ、元々は美しい女性である。
貴族の頃の、華やかな印象とあまりにも賭け離れており、想像できないほどのワイルドな姿に、俺は、目のやり場に困ってしまった。
「あら、イース。 目の毒だったかしら?」
メディアは、可笑しそうに俺の顔を覗き込んだ。
彼女を連れてリビングに上がると、ベスタフが待ち構えていた。
2人は初対面であったが、やはり、メディアのワイルドな姿を見て、ベスタフもかなり驚いていた。
「あっ、始めまして。 メディアと申します」
「はっ、始めまして。 ベスタフです」
メディアが、恥ずかしそうにベスタフに挨拶をすると、彼も目のやり場に困ったのか恥ずかしそうに返答した。
「こんな格好でごめんなさいね。 獣を狩りに行った時に、服がボロボロになったのよ。 予備が無かったから、毛皮で代用してるの。 ちょっと、大胆な衣装だったかしら …。 これから、着替えるわね」
俺とベスタフは、メディアが浴場に向かうのを、呆気にとられて見ていた。
しばらくすると、メディアが服を着て来たが、寝間着のような軽装だったため、これはこれで、目のやり場に困ってしまった。
その後、メディアと正式に挨拶を交わしたベスタフが、バツが悪そうに下を向いて元気がない。
メディアが夕食の支度をしに調理場に席を立ったタイミングで、俺はベスタフに尋ねた。
「メディアと挨拶を交わしてから、元気がないようだけど、何か気に障る事でもあるのか?」
「実物が若々しく美しいのに、驚いたんだ。 オバサンなんて言ってしまって …」
どうやら、年齢の割に美しく見えるメディアを見て、オバサンと言っていた事を恥じたようだ。
その後、夕食を3人で食べている時に、ベスタフはメディアの事をチラチラ見ていたが、彼女の方は全く気にも掛けていなかった。
近い内に、2人を残して行かなくてはならないが、少し心配になった。
社長のアモーンから、VIPトラベルカードにより連絡が行くまでは、自由に行動して良いと言われている。
但し、何処にいようが、兵役の時が来たら、俺の身柄を戦場に転送する必用があり、この約束を履行させるための魔道具を渡された。
それは、人抱えもある大きな特大水晶だった。
ベスタフに仕込まれた呪い虫を制御する物で、万が一、俺の行方が分からなくなったり水晶を破壊したりすると、ベスタフの身体の中の呪い虫が暴れ出すと言われている。
それを聞いた彼は恐怖に脅え、俺に対し必要以上に気を使うようになってしまった。
特大水晶は、俺のポーチの中に入れた。
アモーンに空間移動ポイントまで飛ばされると、そこには、相変わらずの一本道が存在した。
マサンから聞かされた呪文を唱えて進むと、道が増えて3本になった。
そこで、立ち止まると、いきなり大平原が目の前に現れた。
マサンが造った亜空間だった。
俺とベスタフは、そこを、ひたすらに歩いた。
「なあ、イース。 マサン殿が造った亜空間は、物凄く広大だよな。 どこまで行くんだ?」
「まだ、歩かなくちゃならない。 マサンの魔力量が半端ないから、広すぎるんだよ。 それにしても …。 メディアは、辿り着けたのだろうか?」
俺は、ベスタフに返事しつつも、メディアの事が心配になっていた。
ポーチから、小さな水晶を取り出して、メディアに連絡を試みた。
しかし、一向に返事はない。
「オバサンは、出ないのか?」
「ああ、どうしたんだろう?」
「冒険者だったんだろ…。 ならば心配ないさ」
ベスタフに励まされて、先を急いだ。
その後、かなり歩いた所で、小さな赤い家が見えてきた。
「やっと着いた。 あの赤い家にメディアがいる …」
俺は、指を指してベスタフに説明した。
そして、玄関の前に来るとドアをノックした。中からは返事がない。
俺は、鍵となる呪文を唱え、ドアを開けた。
しかし、シーンと静まり返っており人の気配がない。
「メディア! イースだけど、居ないのか?」
声を掛けたが返事はない。
俺とベスタフは、心配になり部屋に入った。
「イース。 生活の痕跡があるから、心配はいらないようだぞ。 出掛けてるんじゃないのか?」
リビングから調理場の方を見ると、料理の材料となる、干肉や木の実等が、多数置かれていた。
ベスタフが、メディアは外に出掛けていると言ったが、それでも心配でならなかった。
窓から眺めると、広い平原の奥に深い森が見える。恐らくは、あの中に入ったのだろう。
ベスタフからは、探しに行っても、見つからないと言われた。
冷静に考えて見て、探せないのは確かだ。
俺達2人は、この家でメディアが帰るのを待つ事にした。
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かなり時間が経ち、日が暮れようとした頃、ドアを開ける音がした。
玄関に走って行くと、そこには驚いた顔のメディアがいた。
「イース、どうしたの?」
「メディア、その格好 …」
俺は、メディアの姿を見て、思わず息を呑んだ。
彼女は、服を着てなかったのだ。
いや、正確に言うと、獣の皮を身体に巻き付けているだけの状態だった。
白い肌は、褐色に日焼けしており、太ももや胸の上部が見えている。
50歳とはいえ、元々は美しい女性である。
貴族の頃の、華やかな印象とあまりにも賭け離れており、想像できないほどのワイルドな姿に、俺は、目のやり場に困ってしまった。
「あら、イース。 目の毒だったかしら?」
メディアは、可笑しそうに俺の顔を覗き込んだ。
彼女を連れてリビングに上がると、ベスタフが待ち構えていた。
2人は初対面であったが、やはり、メディアのワイルドな姿を見て、ベスタフもかなり驚いていた。
「あっ、始めまして。 メディアと申します」
「はっ、始めまして。 ベスタフです」
メディアが、恥ずかしそうにベスタフに挨拶をすると、彼も目のやり場に困ったのか恥ずかしそうに返答した。
「こんな格好でごめんなさいね。 獣を狩りに行った時に、服がボロボロになったのよ。 予備が無かったから、毛皮で代用してるの。 ちょっと、大胆な衣装だったかしら …。 これから、着替えるわね」
俺とベスタフは、メディアが浴場に向かうのを、呆気にとられて見ていた。
しばらくすると、メディアが服を着て来たが、寝間着のような軽装だったため、これはこれで、目のやり場に困ってしまった。
その後、メディアと正式に挨拶を交わしたベスタフが、バツが悪そうに下を向いて元気がない。
メディアが夕食の支度をしに調理場に席を立ったタイミングで、俺はベスタフに尋ねた。
「メディアと挨拶を交わしてから、元気がないようだけど、何か気に障る事でもあるのか?」
「実物が若々しく美しいのに、驚いたんだ。 オバサンなんて言ってしまって …」
どうやら、年齢の割に美しく見えるメディアを見て、オバサンと言っていた事を恥じたようだ。
その後、夕食を3人で食べている時に、ベスタフはメディアの事をチラチラ見ていたが、彼女の方は全く気にも掛けていなかった。
近い内に、2人を残して行かなくてはならないが、少し心配になった。
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