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その日の夕刻、シンシアは自宅に戻ると、家族を居間に集めた。
「皆さん、ご報告があります」
父も母も、兄も、一斉にシンシアを見た。
緊張した面持ちだ。特に父の顔は青ざめている。
シンシアは胸を張った。
「殿下が、引き続き私を雇ってくださるそうです。今後も変わらず仕えられますので、結婚の心配は無用です」
シンシアは得意満面で言い切った。
しかし、室内は束の間、静寂になる。
「……え?」と母が呟いた。
「それって……」と兄が何か言いかけて、父に肘で小突かれた。
「そ、そうか。それは良かったな」
父が引きつった笑みを浮かべた。
何か言いたげだったが、何も言わなかった。言えなかった。
父は、この「雇用継続」が何を意味するのか、察しがついていた。
しかしそれをシンシアに説明する勇気はなかった。
真相を知ってゴネて、殿下の機嫌を損ねでもしたら、一族郎党どうなるか分かったものではない。
「シンシアはそれで良いの?」
母は震える声で聞いた。いくら寵愛されているとはいえ、王太子妃など務まるとは思えない。少しでも迷う素振りがあれば、一緒に亡命するつもりだった。だがシンシアは、悩むのが馬鹿らしくなるほど晴れやかな顔で「はい」と頷いた。
「安定した職で大変ありがたいです」
全く状況を理解できていない。母は頭が痛くなった。しかし、思い返してみれば、生活は安定している。王太子妃も、職といえば職である。
家族は顔を見合わせた。
結局、誰も何も言えなかった。
***
それから数日が経った。
シンシアは相変わらず殿下に仕え、変わらぬ日々を過ごしていた。
いや、少しだけ変わったことがある。
周囲の態度だ。
「シンシア様、おめでとうございます!」
「お幸せに!」
「ついにですね!」
すれ違う侍女や文官たちが、やたらと祝福の言葉をかけてくる。
シンシアは首を傾げた。
何がおめでたいのだろう。
昇進したわけでもないし、何か手柄を立てたわけでもない。
「あの、何がおめでたいのでしょうか?」
ある侍女に尋ねてみた。
「え……」と侍女が困惑した顔をして固まった。
「皆さん、祝福してくれるのですが、さっぱり思い当たるフシがないのです」
素直に告げると、目の前の侍女の顔からみるみる血の気が引いてゆく。
「え、あ、いえ、その……」
侍女は口ごもる。
「おしえてください、みなさん、何をお祝いしてくださっているのですか?」
祝われる本人が祝われる理由が分からない。そんな馬鹿な話はない。
だから教えて欲しいと願ったのに、侍女はサッと目をそらすと「仕事がありますので」とそそくさと去っていった。
「誰かと間違えているのかなあ」
シンシアは呟いて小首を傾げた。
庭を挟んで向かい側の外廊下では、同じように殿下が「おめでとうございます」と騎士たちに囲まれて祝われているのが見えた。
「殿下もお祝い事なんて、不思議なこともあるものね」
シンシアは誰に言うでもなく呟いた。
それを聞いた侍女が「あなたとの婚約のことですよ」と心の中で突っ込んだが、そんなことをシンシアは知るはずもなかった。
***
そんなある日、城の外廊下を歩いていると、見覚えのある人物が近づいてきた。
元婚約者だった。
季節外れの分厚い皮のコートを着て、舞台俳優の様に両腕を広げて歩いてきた。
「シンシア、会いたかった」
まるで悲恋の恋人同士のような言い方に、シンシアは眉を寄せた。
こちらは会いたいと思ったことなどなかった。むしろ、今の今まで忘れていたくらいだ。もう名前もよく思い出せない。
「あーはいはい。お久しぶりです」
名前なんだったかなと考えながら答えたため、シンシアは適当な返事をした。元婚約者は舐めるような視線で彼女を見ていたが、名前を思い出すことに必死になっていたシンシアはその視線に気が付かなかった。
出そうで出ない記憶を捻り出そうとシンシアは一生懸命だった。
ブ、ブラ、ブリ、ブル……。
シンシアが記憶を探っていると、突如、元婚約者が声を上げた。
「君は……やはり素晴らしい」
元婚約者は感慨深げに言った。
「あの時は僕が間違っていた。君のその凛々しい姿、僕は前から素晴らしいと思っていたんだ」
唐突に何を言い出すのか。
ひとり酔ったように語りだした元婚約者をシンシアは残念な人をみる目で見ていた。いくら素直なシンシアでも、さすがに嘘だと分かる。調子のいいこと言ってるなとシンシアは思った。
「やり直さないか、シンシア。今度こそ君を大切にする」
元婚約者が一歩近づいてくる。
シンシアは一歩下がった。
好き勝手言っている元婚約者をシンシアは心底気持ち悪いと思った。不快感から顔を顰めた。
今のシンシアに元婚約者とやり直す選択肢などない。
「お断りします」
シンシアはきっぱりと言った。
「なぜだ、君だっていつかは結婚しなければならないだろう」
「そうだとしても、それはあなたとではありません」
「だがー」
毅然とした態度で断っていたのだが、元婚約者は必死だった。まだ何かを言おうとしているのをシンシアは遮るように言い放つ。
「私は殿下のお側に一生いると誓いましたので」
永久就職先は決定している。本当に必要がないのだ。
シンシアは当然のように答えた。
しかしーー
「……え?」
と元婚約者が固まった。
「君は殿下と婚約したのか?」
突然素っ頓狂な事を言いだした。シンシアも固まった。
「……いいえ?婚約はしていませんけど」
首を横に振る。聞かれたまま答えたが、元婚約者は困惑した顔をするばかりだ。
「なら、なぜ一生側になんて話になるんだ」
元婚約者が詰め寄る。
「未婚の令嬢が結婚もせずに、ずっと殿下の側に仕ることなど不可能だ。君は愛妾にでもなるつもりか!」
とんでもない解釈をして、元婚約者が怒り出した。
この面倒くさい感じにシンシアは、ほんのり懐かしさを感じた。
元婚約者は、あり得ないとプリプリ怒っているけれど、殿下が一生側にいて欲しいと言ったのだから、間違ってはいない。
可能か、不可能かを判断するのは、王族だろう。元婚約者ではない。王族である殿下が可能だと言ったのだから可能なのだ。
それをおかしいと、シンシアに言われても困る。
「そんなこと殿下に言ってください。手続きすると仰ってましたし、私に聞かれても困ります」
シンシアは元婚約者とのやり取りに面倒くさくなって投げ出した。
殿下が言っていた手続きがすんでいるならば、シンシアにできることはない。
「シンシア、君は何を言って……」
元婚約者は情けない声をだした。
終わった話を蒸し返してごちゃごちゃ言ってくる元婚約者。うるさいったらない。
あの日あの時、縁は切れたのだ。
シンシアはそっぽを向いた。
元婚約者はまだ何か言っていたが、シンシアは自分の世界に入りこみ、風に揺れる植木を見ながら頭の中で午後の予定を確認していた。
さあっと風が吹いた。
風に乗ってほのかに殿下の香水の香りがした。
「シンシア、どうしたの?」
優雅な声が響いた。
振り向くと、殿下が立っていた。
いつもの穏やかな笑みを浮かべて。
「殿下」
ちょうどいいところに、と殿下の袖をシンシアは引っ張った。
袖を引かれたのが嬉しくて殿下の頬が緩んだ。
「殿下!あの人が、未婚の令嬢が殿下の側にいるのはおかしいというのです!殿下は私に永久雇用の確約をしてくださいましたよね!あの人に説明してやってください」
必殺、告げ口である。
シンシアは、ビシッと元婚約者を指さした。
元婚約者と殿下の目が合った。元婚約者は、あからさまに引きつった顔を浮かべた。
「ご無沙汰しております。殿下……」
弱々しい声で言う元婚約者を、殿下は「ふーん」と言って見つめる。
シンシアを不快にさせる者、シンシアを口説く者は、例外なく粛清対象である。
殿下の瞳がギラリと光る。
「ブレオネス・アリソス。誰の許しを得てここに来たんだ?なんだ、もう調査は終わったのか?」
ブレオネスは「ひっ」と悲鳴を上げる。
殿下が冷たい眼差しでブレオネスを見据える。
「貴様は、北の地に調査に行っていて後10年は帰ってくる予定はないはずだが?なぜだ?」
殿下は静かに問い詰める。
元婚約者、ブレオネスは、殿下の嫉妬により、権力を使って極北へ飛ばされていた。雪ばかりの大地で、ありもしない資源を後10年探さなければならない。ちなみに、シンシアはそのことを知らない。
追い詰める殿下の横で、シンシアは呑気に「そうか、ブレオネスだったな」と忘れていた元婚約者の名前が思い出せてスッキリしていた。
「も、もももうしわけありません」
瞳孔が開ききった殿下に恐れおののいて、ブレオネスは全面降伏した。
地にひれ伏し謝る。
「命だけはお助けください!」
叫ぶブレオネスに大げさだなぁと、シンシアは呆れた。しかし、殿下の目は本気だった。消すときは消すそれが殿下の怖いところだ。
「次はないぞ、行け」
殿下が吐き捨てるように言った。本当ならそのまま地下牢にぶち込んでやりたい気分だったが、シンシアが怖がるといけないのでやめた。シンシアの前では理解力のある優しい男でありたかった。実際は、狭量な嫉妬深い男である。
ブレオネスは、脱兎のごとく逃げていった。
途中、植木やら柵やらに何度も足を取られて、実に間抜けな去り際だった。
シンシアは、その後ろ姿を見て婚約解消してよかったなと心底思った。
殿下は、二度とシンシアの前に現れないように、更に追い込むことを決めた。
さて、と殿下がシンシアを後ろから抱きしめた。
「君が『いつまででもお仕えします』と言ってくれたから、嬉しくてすぐに手続きを終わらせたよ」
殿下は爽やかに答えた。
背後から抱きしめられるという恋人同士でしかあり得ない体勢だが、殿下は「主と部下は一心同体。背中を預けられる関係こそ理想だろう?」などと尤もらしい理屈を並べてシンシアを言いくるめていた。
シンシアは「確かにそうですね」と納得顔で、安心しきった様子で殿下に身を委ねている。
本来なら、問題視される距離だが、認識が微妙にずれていようとも本人達が納得しているのでセーフだ。
「ブレオネス殿が言っていたことはやはり嘘だったのですね」
シンシアは安堵の息をつきながら言った。しかし、殿下は「いいや」と首を横に振る。
「未婚の令嬢をずっと側に置くことはできないよ」
「え」とシンシアが驚きの声を上げる。
シンシアの後頭部が殿下の頬を押した。殿下はシンシアの頭のてっぺんに頬を載せ頬擦りしはじめる。
「君と交わした手続きは雇用ではなく、婚約者としてだよ」
殿下のシンシアを抱きしめる力が少し強まる。
その腕は逃さないよ、と言ってるようだった。
「え、ちょ、ちょっと待ってください。それは……」
シンシアは、混乱した。殿下の腕の中から出ようと身動ぎするが、ガッシリと組まれた腕は外れない。
大丈夫、大丈夫、怖くない、怖くない。
野生のシマリスを宥めるように、殿下は優しい声でシンシアを安心させるように丁寧に言い含めるように告げた。
「『ずっと俺の隣にいてくれるか』と聞いたら、君は『もちろんです』と答えたじゃないか?」
殿下が悲しそうな声を出した。
殿下の声にシンシアは、「悲しませてしまった」と、罪悪感でおろおろした。
「それは仕事の話では……」
シンシアの反論する声は力ない。シンシアはチョロい。
「僕はずっと婚約の話をしていたよ。君が承諾してくれたから、(ずっと前から)君の両親にも話を通したし、王宮にも届け出た。もう正式に君は婚約者だよ、シンシア」
言外にもう逃げられないと告げられた。
「え……え……?」
シンシアの思考が停止した。
「なにか、問題はあるかな?ん?」
問題しかない。しかし、有無を言わせぬ空気があった。殿下の声は甘いのに、反論を与える余地がない。
「それでは、シンシア。執務室に戻ろう」
殿下はシンシアから離れ、その手を握って歩き出す。
「あ、あの、殿下……」
「君は『承知しました。家の者にも伝えます』と言ってくれたよね?俺は本当に嬉しかったんだよ」
殿下の言葉はシンシアの心を罪悪感で抉る。
「それは雇用継続の話だと……」
「何度も言うけど、婚約の話だったよ」
殿下は振り返ることなく、爽やかに言った。
もはや、詐欺の手口である。
言った言わない。証拠がないからこそ厄介なことこの上ない。
こうして、素直な人々は小賢しい人間に食い物にされてゆくのだ。
シンシアは殿下に手を引かれながら考えていた。
家のこと、仕事のこと、自分のこと。
色々考えて結論に至った。
特に問題はない気がする。
シンシアは深く考えることを放棄した。
なんとかなるだろう。
シンシアは安易に受け入れた。
殿下の作戦勝ちである。
しかし、婚約のことは何とかなるとして、ひとつ確認しなければならないことがあった。
翌日、執務室で殿下と顔を合わせるとシンシアは「確認したい事がある」と殿下に告げた。
殿下はいつものように優しい顔で頷いたが、内心は何を言われるかドキドキしていた。
ここへ着て、罠だ、詐欺だ、と言われたら計画が破綻しかねない。
「あの、ドレスは着なければなりませんか?」
シンシアの問いに、殿下は目を丸くした。
「ドレスが嫌いなのかい?」
殿下が問う。シンシアは緩く首を横に振った。
「嫌いではないですが、似合わないデザインが多いので苦手意識が強いです。殿下の婚約者になるということは、ドレスを着て女性らしい格好でいなければならないのかと思いまして……」
シンシアが何を言い出すのかと身構えていた殿下は肩の力を抜いた。
「スラックスのままでいればいいよ。気になるのなら何かに明記するように手配しよう。君は君のままでいてくれればいい」
シンシアは殿下を見つめた。
元婚約者は、似合わないドレスを押し付けた。
殿下は、シンシアのスラックス姿を認めてくれた。
「……殿下は、私の格好を認めてくださるのですか?」
「良いどころか、最高じゃないか」
殿下は満面の笑みで即答した。
「具体的にどう最高であるか知りたければ、今すぐ寝所でじっくりおしえたっていい」
殿下が熱っぽく語り出した。
シンシアは温度差について行けず「はあ」と曖昧に頷いた。
「俺は君のその姿が好ましいと思ったんだ。だから側に置いたんだよ」
殿下の発言にシンシアは目を見開いた。
能力で望まれたわけではないと知ってはいたが、男装が好まれるとは、夢にも思わなかった。
しかし、似合わないドレスを着ろと言われるよりは、ずっと良い。
スラックスを認めてくれる相手なら、尚、良い。
「分かりました」
シンシアは頷いた。
「本当かい?」
殿下が喜色を浮かべた。
「ですが、一つお願いがありまして……プロポーズというものに興味がありまして、ちゃんと求婚されてみたかったのです」
シンシアはもじもじしながら言った。
殿下は勢いよく椅子から立ち上がる。
「そんなもの!いくらでもするとも!」
「……回数は必要ないのですが…」
殿下がガシリとシンシアの両手を握った。
「俺が求婚したら承諾してくれる?」
「はい、承諾します」
シンシアは少し頬を赤らめた。
殿下の顔がぱあっと輝く。素早い動きで、シンシアの前へとやってきた殿下はシンシアを抱きしめた。
「ありがとう、シンシアたん!」
シンシアたん?抱かれる腕の中でシンシアは首を傾げた。
殿下は、影でシンシアのことをシンシアたんと呼んでいた。ベッドの上をゴロゴロ転がりながら、シンシアたん!可愛いがすぎる!とよく悶えているのは殿下だけが知るところである。
「……殿下、執務中ですよ」
「問題ないよ。君は婚約者なんだから」
殿下は子供のような無邪気な顔で笑った。
シンシアは小さくため息をついた。
でも、殿下が嬉しそうなので良しとする。
ぎゅうぎゅうと殿下に抱きしめられながら、シンシアは、人生とは分からないものだなと思う。
ぼうっとしていたら、婚約していた。
でも、悪くない結果だった。
スラックスを履いて、剣を差して、殿下の隣を歩く。
それも、悪くない未来だと思った。
***
その後、シンシアと殿下の婚約は正式に発表され、王宮中が祝福と安堵のため息に包まれた。
シンシアの家族は安心して泣き崩れ、騎士団長は遠い辺境の地で胸をなで下ろした。
そして元婚約者は、「壊滅的にドレスが似合わない」と言った自分の過去を後悔することになった。
シンシアは相変わらずスラックスを履き、殿下の隣を歩いている。
今では堂々と、婚約者として。
*** *** *** *** *** *** *** *** *** ***
最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。
少しでも楽しんで頂けたら嬉しいです。
「皆さん、ご報告があります」
父も母も、兄も、一斉にシンシアを見た。
緊張した面持ちだ。特に父の顔は青ざめている。
シンシアは胸を張った。
「殿下が、引き続き私を雇ってくださるそうです。今後も変わらず仕えられますので、結婚の心配は無用です」
シンシアは得意満面で言い切った。
しかし、室内は束の間、静寂になる。
「……え?」と母が呟いた。
「それって……」と兄が何か言いかけて、父に肘で小突かれた。
「そ、そうか。それは良かったな」
父が引きつった笑みを浮かべた。
何か言いたげだったが、何も言わなかった。言えなかった。
父は、この「雇用継続」が何を意味するのか、察しがついていた。
しかしそれをシンシアに説明する勇気はなかった。
真相を知ってゴネて、殿下の機嫌を損ねでもしたら、一族郎党どうなるか分かったものではない。
「シンシアはそれで良いの?」
母は震える声で聞いた。いくら寵愛されているとはいえ、王太子妃など務まるとは思えない。少しでも迷う素振りがあれば、一緒に亡命するつもりだった。だがシンシアは、悩むのが馬鹿らしくなるほど晴れやかな顔で「はい」と頷いた。
「安定した職で大変ありがたいです」
全く状況を理解できていない。母は頭が痛くなった。しかし、思い返してみれば、生活は安定している。王太子妃も、職といえば職である。
家族は顔を見合わせた。
結局、誰も何も言えなかった。
***
それから数日が経った。
シンシアは相変わらず殿下に仕え、変わらぬ日々を過ごしていた。
いや、少しだけ変わったことがある。
周囲の態度だ。
「シンシア様、おめでとうございます!」
「お幸せに!」
「ついにですね!」
すれ違う侍女や文官たちが、やたらと祝福の言葉をかけてくる。
シンシアは首を傾げた。
何がおめでたいのだろう。
昇進したわけでもないし、何か手柄を立てたわけでもない。
「あの、何がおめでたいのでしょうか?」
ある侍女に尋ねてみた。
「え……」と侍女が困惑した顔をして固まった。
「皆さん、祝福してくれるのですが、さっぱり思い当たるフシがないのです」
素直に告げると、目の前の侍女の顔からみるみる血の気が引いてゆく。
「え、あ、いえ、その……」
侍女は口ごもる。
「おしえてください、みなさん、何をお祝いしてくださっているのですか?」
祝われる本人が祝われる理由が分からない。そんな馬鹿な話はない。
だから教えて欲しいと願ったのに、侍女はサッと目をそらすと「仕事がありますので」とそそくさと去っていった。
「誰かと間違えているのかなあ」
シンシアは呟いて小首を傾げた。
庭を挟んで向かい側の外廊下では、同じように殿下が「おめでとうございます」と騎士たちに囲まれて祝われているのが見えた。
「殿下もお祝い事なんて、不思議なこともあるものね」
シンシアは誰に言うでもなく呟いた。
それを聞いた侍女が「あなたとの婚約のことですよ」と心の中で突っ込んだが、そんなことをシンシアは知るはずもなかった。
***
そんなある日、城の外廊下を歩いていると、見覚えのある人物が近づいてきた。
元婚約者だった。
季節外れの分厚い皮のコートを着て、舞台俳優の様に両腕を広げて歩いてきた。
「シンシア、会いたかった」
まるで悲恋の恋人同士のような言い方に、シンシアは眉を寄せた。
こちらは会いたいと思ったことなどなかった。むしろ、今の今まで忘れていたくらいだ。もう名前もよく思い出せない。
「あーはいはい。お久しぶりです」
名前なんだったかなと考えながら答えたため、シンシアは適当な返事をした。元婚約者は舐めるような視線で彼女を見ていたが、名前を思い出すことに必死になっていたシンシアはその視線に気が付かなかった。
出そうで出ない記憶を捻り出そうとシンシアは一生懸命だった。
ブ、ブラ、ブリ、ブル……。
シンシアが記憶を探っていると、突如、元婚約者が声を上げた。
「君は……やはり素晴らしい」
元婚約者は感慨深げに言った。
「あの時は僕が間違っていた。君のその凛々しい姿、僕は前から素晴らしいと思っていたんだ」
唐突に何を言い出すのか。
ひとり酔ったように語りだした元婚約者をシンシアは残念な人をみる目で見ていた。いくら素直なシンシアでも、さすがに嘘だと分かる。調子のいいこと言ってるなとシンシアは思った。
「やり直さないか、シンシア。今度こそ君を大切にする」
元婚約者が一歩近づいてくる。
シンシアは一歩下がった。
好き勝手言っている元婚約者をシンシアは心底気持ち悪いと思った。不快感から顔を顰めた。
今のシンシアに元婚約者とやり直す選択肢などない。
「お断りします」
シンシアはきっぱりと言った。
「なぜだ、君だっていつかは結婚しなければならないだろう」
「そうだとしても、それはあなたとではありません」
「だがー」
毅然とした態度で断っていたのだが、元婚約者は必死だった。まだ何かを言おうとしているのをシンシアは遮るように言い放つ。
「私は殿下のお側に一生いると誓いましたので」
永久就職先は決定している。本当に必要がないのだ。
シンシアは当然のように答えた。
しかしーー
「……え?」
と元婚約者が固まった。
「君は殿下と婚約したのか?」
突然素っ頓狂な事を言いだした。シンシアも固まった。
「……いいえ?婚約はしていませんけど」
首を横に振る。聞かれたまま答えたが、元婚約者は困惑した顔をするばかりだ。
「なら、なぜ一生側になんて話になるんだ」
元婚約者が詰め寄る。
「未婚の令嬢が結婚もせずに、ずっと殿下の側に仕ることなど不可能だ。君は愛妾にでもなるつもりか!」
とんでもない解釈をして、元婚約者が怒り出した。
この面倒くさい感じにシンシアは、ほんのり懐かしさを感じた。
元婚約者は、あり得ないとプリプリ怒っているけれど、殿下が一生側にいて欲しいと言ったのだから、間違ってはいない。
可能か、不可能かを判断するのは、王族だろう。元婚約者ではない。王族である殿下が可能だと言ったのだから可能なのだ。
それをおかしいと、シンシアに言われても困る。
「そんなこと殿下に言ってください。手続きすると仰ってましたし、私に聞かれても困ります」
シンシアは元婚約者とのやり取りに面倒くさくなって投げ出した。
殿下が言っていた手続きがすんでいるならば、シンシアにできることはない。
「シンシア、君は何を言って……」
元婚約者は情けない声をだした。
終わった話を蒸し返してごちゃごちゃ言ってくる元婚約者。うるさいったらない。
あの日あの時、縁は切れたのだ。
シンシアはそっぽを向いた。
元婚約者はまだ何か言っていたが、シンシアは自分の世界に入りこみ、風に揺れる植木を見ながら頭の中で午後の予定を確認していた。
さあっと風が吹いた。
風に乗ってほのかに殿下の香水の香りがした。
「シンシア、どうしたの?」
優雅な声が響いた。
振り向くと、殿下が立っていた。
いつもの穏やかな笑みを浮かべて。
「殿下」
ちょうどいいところに、と殿下の袖をシンシアは引っ張った。
袖を引かれたのが嬉しくて殿下の頬が緩んだ。
「殿下!あの人が、未婚の令嬢が殿下の側にいるのはおかしいというのです!殿下は私に永久雇用の確約をしてくださいましたよね!あの人に説明してやってください」
必殺、告げ口である。
シンシアは、ビシッと元婚約者を指さした。
元婚約者と殿下の目が合った。元婚約者は、あからさまに引きつった顔を浮かべた。
「ご無沙汰しております。殿下……」
弱々しい声で言う元婚約者を、殿下は「ふーん」と言って見つめる。
シンシアを不快にさせる者、シンシアを口説く者は、例外なく粛清対象である。
殿下の瞳がギラリと光る。
「ブレオネス・アリソス。誰の許しを得てここに来たんだ?なんだ、もう調査は終わったのか?」
ブレオネスは「ひっ」と悲鳴を上げる。
殿下が冷たい眼差しでブレオネスを見据える。
「貴様は、北の地に調査に行っていて後10年は帰ってくる予定はないはずだが?なぜだ?」
殿下は静かに問い詰める。
元婚約者、ブレオネスは、殿下の嫉妬により、権力を使って極北へ飛ばされていた。雪ばかりの大地で、ありもしない資源を後10年探さなければならない。ちなみに、シンシアはそのことを知らない。
追い詰める殿下の横で、シンシアは呑気に「そうか、ブレオネスだったな」と忘れていた元婚約者の名前が思い出せてスッキリしていた。
「も、もももうしわけありません」
瞳孔が開ききった殿下に恐れおののいて、ブレオネスは全面降伏した。
地にひれ伏し謝る。
「命だけはお助けください!」
叫ぶブレオネスに大げさだなぁと、シンシアは呆れた。しかし、殿下の目は本気だった。消すときは消すそれが殿下の怖いところだ。
「次はないぞ、行け」
殿下が吐き捨てるように言った。本当ならそのまま地下牢にぶち込んでやりたい気分だったが、シンシアが怖がるといけないのでやめた。シンシアの前では理解力のある優しい男でありたかった。実際は、狭量な嫉妬深い男である。
ブレオネスは、脱兎のごとく逃げていった。
途中、植木やら柵やらに何度も足を取られて、実に間抜けな去り際だった。
シンシアは、その後ろ姿を見て婚約解消してよかったなと心底思った。
殿下は、二度とシンシアの前に現れないように、更に追い込むことを決めた。
さて、と殿下がシンシアを後ろから抱きしめた。
「君が『いつまででもお仕えします』と言ってくれたから、嬉しくてすぐに手続きを終わらせたよ」
殿下は爽やかに答えた。
背後から抱きしめられるという恋人同士でしかあり得ない体勢だが、殿下は「主と部下は一心同体。背中を預けられる関係こそ理想だろう?」などと尤もらしい理屈を並べてシンシアを言いくるめていた。
シンシアは「確かにそうですね」と納得顔で、安心しきった様子で殿下に身を委ねている。
本来なら、問題視される距離だが、認識が微妙にずれていようとも本人達が納得しているのでセーフだ。
「ブレオネス殿が言っていたことはやはり嘘だったのですね」
シンシアは安堵の息をつきながら言った。しかし、殿下は「いいや」と首を横に振る。
「未婚の令嬢をずっと側に置くことはできないよ」
「え」とシンシアが驚きの声を上げる。
シンシアの後頭部が殿下の頬を押した。殿下はシンシアの頭のてっぺんに頬を載せ頬擦りしはじめる。
「君と交わした手続きは雇用ではなく、婚約者としてだよ」
殿下のシンシアを抱きしめる力が少し強まる。
その腕は逃さないよ、と言ってるようだった。
「え、ちょ、ちょっと待ってください。それは……」
シンシアは、混乱した。殿下の腕の中から出ようと身動ぎするが、ガッシリと組まれた腕は外れない。
大丈夫、大丈夫、怖くない、怖くない。
野生のシマリスを宥めるように、殿下は優しい声でシンシアを安心させるように丁寧に言い含めるように告げた。
「『ずっと俺の隣にいてくれるか』と聞いたら、君は『もちろんです』と答えたじゃないか?」
殿下が悲しそうな声を出した。
殿下の声にシンシアは、「悲しませてしまった」と、罪悪感でおろおろした。
「それは仕事の話では……」
シンシアの反論する声は力ない。シンシアはチョロい。
「僕はずっと婚約の話をしていたよ。君が承諾してくれたから、(ずっと前から)君の両親にも話を通したし、王宮にも届け出た。もう正式に君は婚約者だよ、シンシア」
言外にもう逃げられないと告げられた。
「え……え……?」
シンシアの思考が停止した。
「なにか、問題はあるかな?ん?」
問題しかない。しかし、有無を言わせぬ空気があった。殿下の声は甘いのに、反論を与える余地がない。
「それでは、シンシア。執務室に戻ろう」
殿下はシンシアから離れ、その手を握って歩き出す。
「あ、あの、殿下……」
「君は『承知しました。家の者にも伝えます』と言ってくれたよね?俺は本当に嬉しかったんだよ」
殿下の言葉はシンシアの心を罪悪感で抉る。
「それは雇用継続の話だと……」
「何度も言うけど、婚約の話だったよ」
殿下は振り返ることなく、爽やかに言った。
もはや、詐欺の手口である。
言った言わない。証拠がないからこそ厄介なことこの上ない。
こうして、素直な人々は小賢しい人間に食い物にされてゆくのだ。
シンシアは殿下に手を引かれながら考えていた。
家のこと、仕事のこと、自分のこと。
色々考えて結論に至った。
特に問題はない気がする。
シンシアは深く考えることを放棄した。
なんとかなるだろう。
シンシアは安易に受け入れた。
殿下の作戦勝ちである。
しかし、婚約のことは何とかなるとして、ひとつ確認しなければならないことがあった。
翌日、執務室で殿下と顔を合わせるとシンシアは「確認したい事がある」と殿下に告げた。
殿下はいつものように優しい顔で頷いたが、内心は何を言われるかドキドキしていた。
ここへ着て、罠だ、詐欺だ、と言われたら計画が破綻しかねない。
「あの、ドレスは着なければなりませんか?」
シンシアの問いに、殿下は目を丸くした。
「ドレスが嫌いなのかい?」
殿下が問う。シンシアは緩く首を横に振った。
「嫌いではないですが、似合わないデザインが多いので苦手意識が強いです。殿下の婚約者になるということは、ドレスを着て女性らしい格好でいなければならないのかと思いまして……」
シンシアが何を言い出すのかと身構えていた殿下は肩の力を抜いた。
「スラックスのままでいればいいよ。気になるのなら何かに明記するように手配しよう。君は君のままでいてくれればいい」
シンシアは殿下を見つめた。
元婚約者は、似合わないドレスを押し付けた。
殿下は、シンシアのスラックス姿を認めてくれた。
「……殿下は、私の格好を認めてくださるのですか?」
「良いどころか、最高じゃないか」
殿下は満面の笑みで即答した。
「具体的にどう最高であるか知りたければ、今すぐ寝所でじっくりおしえたっていい」
殿下が熱っぽく語り出した。
シンシアは温度差について行けず「はあ」と曖昧に頷いた。
「俺は君のその姿が好ましいと思ったんだ。だから側に置いたんだよ」
殿下の発言にシンシアは目を見開いた。
能力で望まれたわけではないと知ってはいたが、男装が好まれるとは、夢にも思わなかった。
しかし、似合わないドレスを着ろと言われるよりは、ずっと良い。
スラックスを認めてくれる相手なら、尚、良い。
「分かりました」
シンシアは頷いた。
「本当かい?」
殿下が喜色を浮かべた。
「ですが、一つお願いがありまして……プロポーズというものに興味がありまして、ちゃんと求婚されてみたかったのです」
シンシアはもじもじしながら言った。
殿下は勢いよく椅子から立ち上がる。
「そんなもの!いくらでもするとも!」
「……回数は必要ないのですが…」
殿下がガシリとシンシアの両手を握った。
「俺が求婚したら承諾してくれる?」
「はい、承諾します」
シンシアは少し頬を赤らめた。
殿下の顔がぱあっと輝く。素早い動きで、シンシアの前へとやってきた殿下はシンシアを抱きしめた。
「ありがとう、シンシアたん!」
シンシアたん?抱かれる腕の中でシンシアは首を傾げた。
殿下は、影でシンシアのことをシンシアたんと呼んでいた。ベッドの上をゴロゴロ転がりながら、シンシアたん!可愛いがすぎる!とよく悶えているのは殿下だけが知るところである。
「……殿下、執務中ですよ」
「問題ないよ。君は婚約者なんだから」
殿下は子供のような無邪気な顔で笑った。
シンシアは小さくため息をついた。
でも、殿下が嬉しそうなので良しとする。
ぎゅうぎゅうと殿下に抱きしめられながら、シンシアは、人生とは分からないものだなと思う。
ぼうっとしていたら、婚約していた。
でも、悪くない結果だった。
スラックスを履いて、剣を差して、殿下の隣を歩く。
それも、悪くない未来だと思った。
***
その後、シンシアと殿下の婚約は正式に発表され、王宮中が祝福と安堵のため息に包まれた。
シンシアの家族は安心して泣き崩れ、騎士団長は遠い辺境の地で胸をなで下ろした。
そして元婚約者は、「壊滅的にドレスが似合わない」と言った自分の過去を後悔することになった。
シンシアは相変わらずスラックスを履き、殿下の隣を歩いている。
今では堂々と、婚約者として。
*** *** *** *** *** *** *** *** *** ***
最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。
少しでも楽しんで頂けたら嬉しいです。
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