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番外編
姉妹⑤新婚初夜
「か、なん?」
華南に押し倒される形になった隆蒼は、ぱちくりと目を瞬いて華南を見上げた。
戸惑いつつ未だよく状況を把握できていない彼を見下ろして華南はニコリと微笑んだ。そうして隆蒼の首にかけていた手をするりと頬に這わせて、親指で彼の厚い唇を撫でると、そこに口付ける。
「っ、」
隆蒼が息をのむのを感じながら、何度か角度を変えて口付けて、ほんのわずかに開いた唇の隙から舌を差し入れる。
「っ、かっ、なん……まっ!」
息継ぎの間に、制止するように隆蒼が声を漏らすものの、華南はそれを無視してねっとりと官能的な口づけを続けていく。
「んっ」とたまらず隆蒼から甘くて熱い声が漏れたのをきっかけに、ゆっくりと名残惜しむように唇を離して、体を起こす。
「っ……お前っ……初夜に夫に襲い掛かる妻がどこにいる!」
見下ろした隆蒼は、彼にしては珍しく狼狽えているようで、はぁはぁと息を整えているその唇は二人の唾液で艶めかしく光っていて、顔も赤い。
ゆっくりと観察するように彼の顔を見下ろして、そこでようやく溜飲が下がった。
「だって、あんた忘れてるって言うから、思い出させてやろうと思って」
「忘れてるわけじゃねえって! 夢だったのか現実だったのか分からんかっただけだ! 内容は覚えてる! それにこんな口づけはしてねぇ」
そう言って隆蒼は、華南の背に手を当てて胸に引き寄せると、持ち前の腹筋力で華南ごと起き上がる。
再び座った隆蒼の膝の上に座らされる形になって見上げれば、彼は一度ちらりと華南を見下ろして、はぁ~っと大きなため息を漏らした。
「なんだってお前はそんな短気なんだよ」
そう言って華南の髪をゆったりと撫でてぎゅうっと抱きしめてくる。
「っ……」
隆蒼の厚い胸板に抱き込まれて、それがなんだかとても暖かくて優しいぬくもりで、華南は反論しようとした言葉を飲み込んで、代わりにぎゅうっと隆蒼の寝巻を握った。
なぜだろうか、先ほど隆蒼に口づけをした時よりもこちらの方がドキドキした。
しばらく互いに無言でくっつきあっていると、華南の膝のあたりに障りを感じて、おや? っと足をモゾつかせると、隆蒼が今日一番の大きなため息を吐いた。
「お前があんな口づけするから悪いんだぞ……今日はするつもりなかったのに」
見上げれば、ばつの悪そうな顔で隆蒼が視線を逸らす。
「は? なんで?」
意味が分からず見上げる。だって初夜だ。新婚初夜……当然華南はするものだと思っていたのだが。
視線を逸らせたままの隆蒼は少し怒っている……というか拗ねているような顔でちらりと一度華南を見てまた視線を戻した。
「俺たち結婚したとはいえ、恋人らしい過程を踏んでいないだろう……だから少しずつそれらしく進めていこうと思ったのに」
お前が……と言われ、「あぁ……」と華南は納得するとともに呆れた。
この男我慢強いにもほどがあるのではないだろうか……そしてなんだその乙女みたいな理由は。
到底30を前にした男の言葉とは思えないのだが……。
そう思ったら、なんだかジワジワと笑いがこみあげてきて。くすくすと隆蒼の胸に顔をうずめて笑い出す。
「っ……どうせ俺は経験浅いさ」
拗ねたような隆蒼の声に、華南は笑いをかみ殺しながら顔を上げる。
「違う違う……あんたが私を大事に丁寧に扱おうとしてくれているのは分かってるわよ。でもね、私ってどちらかというと強欲な方なのよねぇ~。知っているでしょう? 昔から好きな人の全てが欲しくなるの!」
ふふふっと笑って伸びあがって、チュッと触れるだけの口付けをする。
「だから、早く私をあんただけのモノにしてよ。私もあんたを私だけのモノにしたいわ」
華南に押し倒される形になった隆蒼は、ぱちくりと目を瞬いて華南を見上げた。
戸惑いつつ未だよく状況を把握できていない彼を見下ろして華南はニコリと微笑んだ。そうして隆蒼の首にかけていた手をするりと頬に這わせて、親指で彼の厚い唇を撫でると、そこに口付ける。
「っ、」
隆蒼が息をのむのを感じながら、何度か角度を変えて口付けて、ほんのわずかに開いた唇の隙から舌を差し入れる。
「っ、かっ、なん……まっ!」
息継ぎの間に、制止するように隆蒼が声を漏らすものの、華南はそれを無視してねっとりと官能的な口づけを続けていく。
「んっ」とたまらず隆蒼から甘くて熱い声が漏れたのをきっかけに、ゆっくりと名残惜しむように唇を離して、体を起こす。
「っ……お前っ……初夜に夫に襲い掛かる妻がどこにいる!」
見下ろした隆蒼は、彼にしては珍しく狼狽えているようで、はぁはぁと息を整えているその唇は二人の唾液で艶めかしく光っていて、顔も赤い。
ゆっくりと観察するように彼の顔を見下ろして、そこでようやく溜飲が下がった。
「だって、あんた忘れてるって言うから、思い出させてやろうと思って」
「忘れてるわけじゃねえって! 夢だったのか現実だったのか分からんかっただけだ! 内容は覚えてる! それにこんな口づけはしてねぇ」
そう言って隆蒼は、華南の背に手を当てて胸に引き寄せると、持ち前の腹筋力で華南ごと起き上がる。
再び座った隆蒼の膝の上に座らされる形になって見上げれば、彼は一度ちらりと華南を見下ろして、はぁ~っと大きなため息を漏らした。
「なんだってお前はそんな短気なんだよ」
そう言って華南の髪をゆったりと撫でてぎゅうっと抱きしめてくる。
「っ……」
隆蒼の厚い胸板に抱き込まれて、それがなんだかとても暖かくて優しいぬくもりで、華南は反論しようとした言葉を飲み込んで、代わりにぎゅうっと隆蒼の寝巻を握った。
なぜだろうか、先ほど隆蒼に口づけをした時よりもこちらの方がドキドキした。
しばらく互いに無言でくっつきあっていると、華南の膝のあたりに障りを感じて、おや? っと足をモゾつかせると、隆蒼が今日一番の大きなため息を吐いた。
「お前があんな口づけするから悪いんだぞ……今日はするつもりなかったのに」
見上げれば、ばつの悪そうな顔で隆蒼が視線を逸らす。
「は? なんで?」
意味が分からず見上げる。だって初夜だ。新婚初夜……当然華南はするものだと思っていたのだが。
視線を逸らせたままの隆蒼は少し怒っている……というか拗ねているような顔でちらりと一度華南を見てまた視線を戻した。
「俺たち結婚したとはいえ、恋人らしい過程を踏んでいないだろう……だから少しずつそれらしく進めていこうと思ったのに」
お前が……と言われ、「あぁ……」と華南は納得するとともに呆れた。
この男我慢強いにもほどがあるのではないだろうか……そしてなんだその乙女みたいな理由は。
到底30を前にした男の言葉とは思えないのだが……。
そう思ったら、なんだかジワジワと笑いがこみあげてきて。くすくすと隆蒼の胸に顔をうずめて笑い出す。
「っ……どうせ俺は経験浅いさ」
拗ねたような隆蒼の声に、華南は笑いをかみ殺しながら顔を上げる。
「違う違う……あんたが私を大事に丁寧に扱おうとしてくれているのは分かってるわよ。でもね、私ってどちらかというと強欲な方なのよねぇ~。知っているでしょう? 昔から好きな人の全てが欲しくなるの!」
ふふふっと笑って伸びあがって、チュッと触れるだけの口付けをする。
「だから、早く私をあんただけのモノにしてよ。私もあんたを私だけのモノにしたいわ」
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