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「おまえを愛したことは、一度もない」
星の見えない夜、殿下はそう仰って、わたくしとの婚約を破棄なさいました。
よろしくてよ。ではわたくしも、ひとつだけ始末をいたします。
街外れの魔術師の店。売れるのは、記憶。売ったのは「殿下を愛した記憶」――それだけ。家の名も、礼儀も、帳簿の読み方も、わたくしはひとつも失っておりません。
翌朝から、不思議なことが起こります。
婚約を破棄したはずの殿下が、毎日わたくしの前に現れるのです。「あれは、おまえを守るための嘘だった」と。
けれど、わたくしにはその言葉を信じるための記憶がございません。信じたい気持ちも、疑う理由も、どちらも売ってしまいましたので。
そして王妃さまは、わたくしが「あの夜に見たもの」を覚えていないと、なぜかご存じでした。
嘘は、覚えていない者には効きませんの。
これは、記憶を置いてきた令嬢が、もう一度、自分の手で覚え直す話です。
文字数 14,891
最終更新日 2026.09.21
登録日 2026.09.14
伯爵令嬢ロザリンドさまが、王太子殿下から婚約破棄を言い渡された朝。
わたくしども屋敷の使用人は、その一部始終を見ておりました。
料理長は厨房の窓から。馬丁は馬車の陰から。門番は門の内側から。洗濯女は物干しの向こうから。庭師は薔薇の垣根の隙間から。執事は扉の脇から。そして侍女頭のわたくしは、お嬢さまの三歩後ろから。
お嬢さまは、何もなさっていません。
ただ毎朝わたくしどもの名前を呼び、仕事を見ていてくださっただけです。
殿下のお隣に立った男爵令嬢さまは、この屋敷に三十回はいらしたのに、わたくしどもの名前を一度もお呼びになりませんでした。
「そこの女」「おい」――それだけです。
だから、証言の日にお答えするのは、わたくしどもです。
これは、お嬢さまが一言も語らない、お嬢さまのお話です。
文字数 15,005
最終更新日 2026.09.17
登録日 2026.09.14
「余命ひと月」と噂される公爵ジョフロワの「縁起直し」として、伯爵家の三女ロザリーは、実家から厄介払いのように嫁がされる。姉たちは「三女は薬草園育ちの田舎者。ちょうどいいわ」と笑う。
ロザリーは言い返さない。ただ、公爵の屋敷に入って三日で、気づく。公爵の病は、毒ではなく、屋敷じゅうに焚かれている「香」だと。
「余命ひと月? では、ひと月、お世話させていただきますわ」
香を止め、窓を開け、薬草園育ちの手で、朝の粥を煮る。公爵は、ひと月で、目を覚ます。「あなたが来て、初めて朝の匂いがした」。
実家は「病弱な三女を、縁起直しに嫁がせた」と嘘の届けを出していた。回復した公爵の妻となった娘を、慌てて取り戻そうとするが、公爵がその届けを王の使者に見せるだけで、実家は自分の嘘で面目を失う。
香を焚いていた執事は「公爵を早く逝かせて、跡目を」と白状し、公爵は追放ではなく、辺境の薬草園で働かせる。
疎まれた長所が、正しく愛される場所で花開く。縁起直しの嫁入り×薬草×自己肯定の令嬢ファンタジー、全8話。
文字数 19,582
最終更新日 2026.09.16
登録日 2026.09.09
「病弱で醜い」と噂される辺境の大公に、姉アデライードが嫁ぐのを嫌がり、妹のフロランティーヌが身代わりに嫁がされる。姉は「妹は顔だけ。心なんて誰も見ないわ」と嗤う。
嫁いでみれば、大公ヴィクトールは病弱でも醜くもなかった。ただ人嫌いで、噂を正すのが面倒で、放っておいただけ。そして初夜の前に、彼は言う。「身代わりだと知っている。姉君の顔は覚えていない。あなたの顔は、三年前の夜会から覚えている」。
フロランティーヌは言い返さない。ただ、辺境の屋敷で、使用人の名を覚え、夫の好みを覚え、身代わりなりに心を込めて暮らすだけ。
一方、王都では、姉が「妹を醜い大公に差し出した」ことを実家の手柄にして、大公の悪口を触れ回っていた。その言葉は、全部、王の耳に入る。大公は王に「妻の実家との縁を切る」と申し出る。実家は後ろ盾を失い、姉は自分の言葉で縁談を全て失う。
最後に姉が謝罪に来て、フロランティーヌは妹として、一度だけ、茶を出す。
「身代わりでしたら、身代わりなりに、心を込めますわ」
疎まれた長所が、正しく愛される場所で花開く。身代わり花嫁×結婚から始まる恋×自己肯定の令嬢ファンタジー、全8話。
文字数 17,345
最終更新日 2026.09.15
登録日 2026.09.12
十八で嫁いで十八年。伯爵家の台所と、季節ごとの仕込みを回してきたベアトリーチェは、三十六の春に「もう若くない」と離縁された。夫フロリアンの後妻は、二十歳の令嬢セリア。
ベアトリーチェは実家に戻らない。王都の下町に、季節の保存食の小さな店を開く。
伯爵家の台所は、彼女が十八年かけて作った「季節ごとの仕込みの順番」で回っていた。春に梅を漬け、夏に果実を煮て、秋に根菜を塩に沈め、冬に備える。後妻はそれを知らず、冬に備えた仕込みを、全部、飛ばした。春、伯爵家の食卓は貧しくなり、客が来なくなる。誰も呪っていない。仕込みは、時間が正直なだけ。
一方、下町の店には、樽職人の男爵ユーグが、樽を届けに来る。「三十六? 樽なら、いちばんいい味の出る年だ」。
疎まれた長所が、正しく愛される場所で花開く。三十六歳のヒロインが自分の人生を始める、生活感×スカッと×自己肯定の令嬢ファンタジー、全8話。
文字数 17,113
最終更新日 2026.09.13
登録日 2026.09.09
五年前、王太子レオポルドは「子など要らぬ」と婚約を破棄した。破棄状には、殿下自身の署名で「子は認めぬ」の一文。クレマンスは反論せず、辺境の町で息子を産み、石鹸屋として一人で育てた。息子サシャは五歳で、辺境の花の香りを全部言い当てる。
五年後、世継ぎのいない殿下は焦り、「子がいるなら返せ」と使者を寄越した。
クレマンスは言い返さない。ただ、五年前の破棄状の写しを、使者の前に置く。「五年前、要らぬと仰いましたわ」。殿下自身が署名した一文が、殿下の口を塞ぐ。誰も呪っていない。署名は、正直なだけ。
一方、辺境で五年、石鹸屋の隣で息子に字を教えてきた元・王立学者の子爵オーバンが、初めて、母の前に立つ。「父親には、なれない。だが、あの子の先生は、五年、私だ」。
疎まれた長所が、正しく愛される場所で花開く。
文字数 15,850
最終更新日 2026.09.12
登録日 2026.09.08
王太子ヴィクトルに婚約を破棄されたオデリーヌは、その後七年、王宮の片隅で「元婚約者」として儀典の手伝いに使われ、誰にも看取られずに息を引き取った。最後に殿下が言った言葉は「お前しかいなかった」。
目が覚めると――婚約破棄の朝だった。
殿下が、前世と一言一句同じ台詞を言う。オデリーヌは、もう承知しない。「先に、わたくしから申し上げますわ。七年後に殿下が仰る台詞は、今のうちにお断りしておきますの」。
殿下の台本は、先に読まれて、使えない。前世で殿下が失敗した儀典は、今度もそのまま失敗する。オデリーヌは何もしていない。ただ、戻らないだけ。
一方、前世で七年、名も知らぬまま薬を届け続けてくれた王立薬草園の伯爵バスチアンに、今世のオデリーヌは、第二話で会いに行く。「あなたの薬を、飲んだことがありますの。まだ、飲んでおりませんけれど」。
疎まれた長所が、正しく愛される場所で花開く。やり直し×もう遅い×自己肯定の令嬢ファンタジー、全8話。
文字数 17,865
最終更新日 2026.09.12
登録日 2026.09.09
わたくし、フロランス・メルシエ。元・男爵令嬢で、いまは王都の下町、錫通りの小さな質屋の店主ですわ。
三年前、父が急逝した晩に現れた高利貸しのガスパールが、見たこともない借金証文を振りかざして、屋敷も家財も爵位も、ぜんぶ持っていきましたの。残ったのは、祖母の遺したこの店ひとつ。
けれど、うちには番頭がおりますのよ。いつの間にか帳場に居着いた、太った黒猫のグリム。この子、贋物にだけ「ふしゃー」と唸りますの。質草の宝石も、書き付けの署名も、そして――人間の嘘も。
「あの猫が唸らなければ本物」。それが下町の合言葉になった頃、店を潰しに来た高利貸しと、伯爵家の形見のすり替え事件と、三年前のあの証文が、一本の糸でつながりまして。
紙の嘘を見抜くのがお仕事の、まっすぐな公証人オーレリアン様いわく、「紙は嘘を書けます。けれど、書いた手の癖までは隠せません」。
あら、それならうちの子のほうが早うございますわ。だって贋物は、匂いますのよ。――物も、人もね。
もふもふ大増量、令嬢口調の下町スカッと譚、全八話。
文字数 20,337
最終更新日 2026.09.12
登録日 2026.09.05
聖獣の言葉がわかる。それだけが取り柄の子爵令嬢マドレーヌは、婚約者の宮廷魔術師イザークに「翻訳の魔道具があれば君は不要」と婚約破棄され、聖獣対話係の職まで奪われてしまう。
けれど聖獣の言葉は、鳴き声ではなく「心」。音だけを訳す水晶に、それが聴けるはずもなく――。
国を出たマドレーヌは吹雪の夜、罠にかかった伝説の神狼ルーンと出会い、「千年待った心聴きの巫女」と告げられる。隣国の若き外務卿アンセルムに迎えられた彼女は、こじれにこじれた聖獣との対話を次々と解きほぐし、あっという間に「生きた国宝」に。
一方、祖国では水晶が最悪の誤訳事故を起こし、怒った聖獣たちが全員ストライキ。国が傾き、元婚約者が迎えに来るけれど……お断りいたします。ただし、大好きな聖獣さまたちのためなら、話は別ですわ。
もふもふ大渋滞の、心を聴く通訳無双ファンタジー。全8話完結。
文字数 20,371
最終更新日 2026.09.12
登録日 2026.09.05
「アデリーヌ。これを、いつもの調子で頼む」
差し出された紙にはこう書いてございました。――側妃に迎えたい令嬢へ贈る、愛の手紙の下書き。
わたくし、七年間、殿下のお手紙をすべて代筆してまいりましたの。詫び状も、外交の親書も、お礼状も。筆跡も言い回しも、殿下ご本人よりずっと殿下らしく書けますのよ。
ですが、これは。
「――かしこまりました。これで、最後にいたしますわ」
その晩、婚約は破棄されましたわ。おめでとうございます。
翌朝から、殿下はご自分でお書きになりましたの。誤字も、敬称の間違いも、そのままに。隣国の陛下のお名前を、一文字違えて。
そして側妃候補のあの方は、やがて気づいてしまわれますのよ。ご自分が恋をしていたのは、手紙の中の、いない人だったということに。
わたくしは、何もしておりませんわ。だって、あれは――わたくしの言葉では、ございませんもの。
文字数 23,047
最終更新日 2026.09.09
登録日 2026.09.05
三年前の雪の夜、わたくしは婚約者に捨てられ、そのうえ「死んだこと」にされましたの。
葬儀まで出していただきましたわ。参列者は八人。うち六人は、わたくしを笑いに来た方々でしたけれど。
――さて。
三年が経ちました。王都でいちばん人の集まる劇場に、新しい後援者が現れましたの。鴉羽色の髪に黒い扇の、どこの国の生まれとも知れない未亡人。名は、マダム・コルヴィナ。
「はじめまして。以後、お見知りおきを」
誰も気づきませんわ。気づかせませんもの。
彼らの過去は、これから舞台の上で、少しずつ演じられてまいりますのよ。客席で笑っていられるのは、何幕目までかしら。
「あの……どこかでお会いしませんでしたか」
「さあ。どちらさまでしたかしら」
文字数 23,133
最終更新日 2026.09.08
登録日 2026.09.05
わたくしはブリギッテ。春ごとに山へ登り、守り神の大熊「ぬしさま」をお起こしする巫女ですわ。ぬしさまが春に目覚めませんと、雪解け水が暴れて川が氾濫いたしますの。――ですのに、都から来た代官クレメンス様は「そんな迷信に予算は出せない。金はすべて新しい堤防へ」と、千年続いた祭祀を廃止なさいましたのよ。
「迷信ですって? ……ええ、そうかもしれませんわね。では今年の春、お手並み拝見ですわ」
これは呪いでも脅しでもなく、ただの天気予報ですの。誰にも起こされなかったぬしさまは眠ったまま。記録的な大雪の春、氷の堰は切れ、自慢の堤防は――ぬしさまの寝返りひとつで、あっけなく崩れましたわ。
それでも、わたくしは町の皆さまを見捨てませんの。誰よりも先に避難を触れて回りますわ。だって巫女ですもの。そして水に洗われた町へ、のそのそと山を下りてきた寝坊助の守り神が、千年前の「祭りの意味」を前足ひとつで答え合わせして――?
祭りの意味を最初から侮らなかった石橋職人ヨナタン様と、白状して生まれ変わる代官様と、縁側で昼寝する巨大もふもふ。祈りと石積み、「両方やる」町の再出発と、遅すぎた春の物語ですわ。
文字数 20,254
最終更新日 2026.09.06
登録日 2026.08.30
公爵令嬢フランチェスカは、建国祭の夜、婚約者のボードワン王子から「偽物の巫女」と断罪され、国外追放を言い渡される。証拠は、侯爵令嬢グリゼルダが掲げた一枚の「鳳凰の羽根」。三年間かわいがってきた灰色の雛・ソレイユは「汚い鳥」と罵られ、処分まで命じられた。
――けれど、その灰色の雛こそ、二百年ぶりに人の世へ降りた本物の鳳凰。鳳凰は、みすぼらしい姿で「羽根の色ではなく、心で愛せる者」を試していたのだ。
国境を越えた瞬間、雛は黄金の鳳凰へと羽化し、祝福はフランチェスカとともに隣国フィオレンツァへ。彼女を客人として迎えたのは、豊穣祭を司る若き王太子コジモ。一方、祝福を失った故国では作物が枯れはじめ、偽の羽根の正体も白日の下に――。
わたくしは、何もしておりませんのよ? 羽根の色より、心の色。答え合わせをしたのは、あの子ですわ。
文字数 20,639
最終更新日 2026.09.05
登録日 2026.09.01
雨の夜、捨てられていた真っ黒な子犬を三匹拾っただけですのに――気づけばわたくし、「闇に魂を売った悪女」ですって?
侯爵令嬢リコリスは、身に覚えのない噂で婚約破棄され、家からも追放。それでも子犬たちを手放さず、森の小屋でもふもふまみれの毎日を送っていた。やがて森に現れたのは、黒衣の美しい青年オベロン。実は子犬たちは冥界の番犬ケルベロスの子で、彼は捜し続けていた冥界の王子だった。
「地上があなたを悪女と呼ぶのなら、冥界はあなたを、妃と呼びましょう」
リコリスが冥界に嫁いだころ、地上では、悪意の噂の出どころが明るみに。けれど、どれほど悔いて捜しても、もう誰も彼女には手が届かない。だって彼女は、地上の地図のどこにもない場所で、世界一幸せになっているのだから。
もふもふ増し増し、悪役は自滅、王子は溺愛。読み口すっきりの悪役令嬢ファンタジー
文字数 20,273
最終更新日 2026.09.03
登録日 2026.08.30
夫の浮気を知ったのは、火曜日の昼でした。
その日の夕方、私は旅装で玄関に立ち、帰宅した夫に離縁状を差し出して、心からの笑顔で言いました。
「今までありがとうございました。おかげで、決心がつきました」
私はカサンドラ。結婚前は王宮の会計監査室におりました。帳簿は正直で、嘘をつくのは人間のほう。人間の嘘は必ず数字に皺を作る——その皺を見つけるのが、私の仕事でした。
三年前、王宮監察官への推薦が来たとき、私は断りました。規定で「監察対象の配偶者は監察官になれない」から。騎士団は監察対象。騎士団長の妻は、なれない。
つまり、あの人の浮気は——足枷が外れた音だったのです。
監察官となった私の最初の担当は、公開の籤で決まりました。引いた札は「騎士団・経理部門」。
規定通りですので。
五年分の帳簿の皺、ぜんぶ伸ばして差し上げますわ。私情は挟みません。ええ、一切。——それがあの人には、一番怖いでしょうけど。
文字数 16,845
最終更新日 2026.08.31
登録日 2026.08.28
下町で珈琲店『止まり木』を営むコレットは、五年間、働かない恋人ジェレミーを養ってきた。
ある日、彼のもとに伯爵家の迎えが来る。「実は俺、貴族の息子だったんだ。世話になった礼に、望みを何でも叶えてやる。ただ――貴族だから、庶民の珈琲屋を恋人にはできない」
コレットは笑顔で答えた。「では、五年分の生活費をきっちり清算していただきますわ」
金貨を受け取り、きれいさっぱりお別れ。――実は彼、半年前から貴族復帰を知っていて、「金目当てに縋られる前に」と近所のちょっと美人な女に乗り換え済みだったのだ。
そんな彼女に、五年間毎朝通ってきた常連の紳士が告げる。「ずっと、あなたが好きだった」――彼の正体は、王国鋳貨局を統べるルヴェリエ公爵。金の匂いに群がる人間しか周りにいなかった彼にとって、見返りひとつ求めず、たったひとりで店を切り盛りする彼女は、はじめて出会う種類の人だった。
晩餐会で元恋人に嘲られても、公爵は揺らがない。公爵母は彼女を溺愛する(「昔飼っていた犬のマローにそっくり」らしい)。そしてその夜、王弟大公が彼女の顔を見て杯を落とす。「……二十三年前に消えた、わたしの娘ではないのか」と。
お代も、幸せも、きっちり受け取る。下町の珈琲屋の、後味すっきり逆転ロマンス。
文字数 23,447
最終更新日 2026.08.30
登録日 2026.08.28
伯爵令嬢ベルティーユは春の夜会で、婚約者の騎士団長子息ボリスから婚約破棄を言い渡される。罪状は「グリフォンと契約したこと」。この国では、聖獣グリフォンの背に乗れるのは儀式を経た男の騎士だけ。獣に媚びる女と嘲笑され、父からは勘当。雨の中、鞄ひとつで屋敷を追われた。
けれど彼女には、誰にも言えない八年があった。幼い日に助けた片翼の雛・ラファーガ。行き倒れた彼女を迎えに来たのは、立派に育ったその子と――百を超えるグリフォンの大群。ラファーガは群れの次期王であり、彼女は五百年ぶりの「まことのグリフォン騎士」だった。
雲の上の国で「翼の女王」となったベルティーユは、風読みの青年セレスタンとともに空を駆ける。一方、恩人を追い出した王国は聖獣の盟約を失い、魔物の影に呑まれてゆき……。
獣に懐かれると疎まれた長所が、正しく愛される場所で花開く。もふもふ全開の痛快・空の逆転譚
文字数 20,992
最終更新日 2026.08.28
登録日 2026.08.25
竜の血を引く者だけが貴族になれるこの世界で、白竜は最も格の低い竜の証。
白竜の男爵令嬢リーゼロッテは、特待生として国内最高峰の王立竜騎学園に入学する。待っていたのは上位貴族からの蔑みと、学園を支配する四人の御曹司「四竜」。
その筆頭、銀竜公爵家の嫡男ルシアンに初日から啖呵を切ったリーゼは、いじめと嫉妬の嵐に巻き込まれていく。
それでも彼女は媚びない、逃げない、折れない。
やがてルシアンはリーゼから目が離せなくなり――
白竜の少女が、学園と王国の運命を変える。
身分差×竜×学園ラブファンタジー、開幕。
文字数 59,820
最終更新日 2026.08.15
登録日 2026.02.23
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