後宮の棘

香月みまり

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番外編

姉妹⑥ 初夜の朝


華南がパチリと目を覚ますと、部屋の中は未だ薄明かりが差し込み始めたばかりだった。

そういえば昨日の朝も同じような時間に目を覚ましたのだったなぁと思い出しながら、辺りを見渡して、それが昨日と違う景色で、おまけに隣に隆蒼が眠っていることに目を瞬いて、昨日起こった事を思い出す。

結局昨夜はあのまま華南の挑発のような誘い文句で隆蒼に決心がついたらしく、ひょいっと抱き上げられて、本当に新婚初夜らしい形で寝台に入ったのだった。

そうして始まった行為に、結局のところ互いに夢中になって、何度も何度も求めあって、そして力尽きて眠りに落ちたのだった。

華南の腰にはまだ甘いだるさが残っていて、思わず昨夜の一幕を思い出して赤面した。


隆蒼は、もともと口数は多くないし、何を考えているか分からないことの方が多いし、本当に華南の事が好きなのだろうかと思うほど淡泊な態度を取られることもあるし、とにかく読めない奴ではあったのだが……十数年付き合っていて、昨日の彼はまた見たことのない隆蒼だった。


あの隆蒼が、本当に甘く甘く華南の名前を呼んで、愛の言葉をささやくのだ。何度も何度も狂おしそうに、切なそうに。

そこに、今までの長年の彼の思いが詰まっているようで、そんな言葉を囁かれて、甘い刺激を与えられてしまえば、心も身体も満たされ過ぎて、何度彼を求めたか分からない。


あんなに、すべてが満たされるように感じられた行為は初めてだったのではないだろうか。


一昨晩の李梨の言葉が不意によみがえってきて、華南は苦笑する。

ずっとずっと欲していたものを、どうやら華南はようやく手に入れらしい。



しかし……

ただ一つ、華南には腑に落ちないことがあった。

すうすうと、寝息を立てて爆睡している夫を見上げて、華南は眉を寄せて首を傾ける。

この人、素人童貞って言ってたわよね?

なのに何であんなに上手いの? だって触れ方も触る場所も的確で、しかも女の身体の良いところを熟知しているように狙いすましたかのようにいいタイミングで攻め立ててくるのだ。
正直今迄の男たちの中でもダントツに上手かった。

絶対に素人童貞なんかじゃない! なんだかんだ一途だと言いながら、遊んでたんじゃ……

そこについては華南が責められるようなことではないのだが、ずっと一途でいてくれたと思っていたので、少しばかりはショックだ。
だからと言って責める気も怒る気もないのだが……

ちょっと聞いてやろっ!


穏やかな寝顔を眺めつつ、ほくそ笑むのだった。
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