ビッチ令嬢と副団長

香月みまり

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ミリアーナside

春本を教科書にしてはいけません*

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「あぁ!っーーうぅン、んンっ!」

部屋に響くのは、なんとも淫らなわたしの声。

恥ずかしい、でも、我慢なんて無理。


「もうこんなに濡れて、俺の指を絞めているな」


余裕のない私とは対照的な、静かな彼の声に

くちゅくちゅと耳障りな水音。

「あぁー!!」


ビクンと身体を弛緩させて、私はもう一度背をしならせて達する。


「またイッたのか?たしかに、これだけイきやすければ男は嬉しいだろうな」

ガクガクと痙攣する私の耳元で、彼は意地悪く囁いて、耳介を軽く甘噛みする。

「っ、、」


慣れない絶頂の熱に浮かされながらのそれは、私には刺激が強くて

「また締まったな」

下腹部に咥えさせられている彼の指を一層締めつけたらしい。


「もっとほしいんだろう?」

そう聞かれて、何をだろうか?と考えているうちに

「あぁ!ぅっあぁぁあン!」

下腹部に埋められた彼の指が、増えた。

先程より圧迫感が強くなって、僅かに痛みが走る。

それでもやはり彼が擦り上げる刺激の方が強くて。
すぐにまた私は達してしまう。


まさかこんな風になるなんて、、、

こうした行為がどういう物かは知っていた。
男世帯で、生活しているのだ。それこそそこら辺の令嬢よりは知識はあるはずだ。
時には彼等が話す下衆な冗談にも付き合うくらいには耐性もあった。


でもこんなわけ分からないくらい、気持ち良くて、自分が自分でないように感じるほど、狂ってしまうものだとは思わなかった。

怖いとか、嫌だとかそんな事を思う暇もなく。ただただ、彼が与える快感に溺れている。


それでも頭の片隅では、もうここまで来たら、後戻りできない事を理解していて、だったら、なんとか初めてである事が彼に知られてしまわないように取り繕わなければ!と焦る自分がいた。



でもどうしたらいいのか、ぜんぜん分かんない!!

だって何もかも初めてなんだもの!こんな事に慣れるなんて事あるの!?あ、やばい!またきちゃう~っ!!



「ぁぁあっ!っ、、ぁやっ!」

腰の奥の方で、何かが一気に登ってきて膨らんで、、そして弾けた。爪先をピンと突っ張って。ビクンと身体が跳ね上がる。


じゅぷじゅぷと、水音はさらに卑猥な音に代わり。私がどうしようもなく感じてしまっている事を否が応でも伝えてくる。


「随分と満足してくれてるみたいだな。」

はぁはぁと乱れた呼吸を整えながら、呆然としている私の顔を琥珀色の瞳が覗き込んで、満足そうに笑う。

あぁ、よかった。どうやらもう怒ってはいないみたいだ。

フィルの事は好きだけど、でもやはり怒らせてしまった彼は怖かった。

彼の大きな手、、先ほどまでわたしの胸を弄んでいた、その大きな手が、汗で張り付いたわたしの髪を梳いた。

それが思いの外、優しくて慈しむような触れ方で。
つい、私は彼に愛されて抱かれているような、そんな感覚に陥ってしまいそうになる。


こんな時、手練れの女性はどう返すのだろうか。あまりきちんと回らない頭で考える。


わたしの頭の中にふと、思い出したのは、、、同僚達が持っていた春本、、。

基本、彼等は男ばかりの中にいるから、そんなものをホイホイ差し入れたり、ふざけてプレゼントしたりしている。
そしてそれがウッカリわたしの目に止まる所に置かれていた事も多々あって、、なんならそんな状況に私自身もなれていて。

少しだけ読んでしまったりもしていて。



なんとなく、印象的だったシーンというか、言葉だったりは記憶している。


例えば、、、

シーツを握り締めていた手を外して、髪に差し込まれた、彼の手に重ねる。

そして彼の琥珀色の瞳を見上げて、、、

えっと、、たしか


「お願い。もっと、あなたを感じたいの」


ピタリと、髪を梳く彼の手が止まって、目の前の琥珀色の瞳が、見開かれる。


あれ?間違えた?


じゃあ、、、

「焦らさないで」

これはどうだ!!

あともう一つくらい、、、だめだ思い出せない。

まともじゃない思考の中を、何とか探し出してみるけど、、ムリだ。どっか飛んでいっちゃったみたいだ。


そんな事を考えていると、不意にズルリと私の中から彼の指が抜かれた。

突如訪れた喪失感。あれ、この物足りない感はなんだろう。


ふぅっと、、ため息と共に彼が覆いかぶさってきた。

その目は、あれ?なんでかまた怒っていた。

「そうやって、、、誘うのか、、、」

低い声、でも冷たさはない。そのかわりに押し殺したような、悲しみ?痛み?ともとれるような、、、何か。


カチャカチャと、金属音が響いて、、そして熱くて、質量のあるものが、先ほど喪失感を感じた場所に押し当てられる。



あ、これはまさか、、噂の

そう思った時には、すでに遅くて、

「好きなだけ感じさせてやるよ」

乱暴な言葉と共に、その熱いものが私を貫いた。


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