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WHO ARE YOU?※(現代)
WHO ARE YOU?※
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中野周平、うだつの上がらない三三歳、会社員、男性。社内のネットワークシステム部に所属している。社内のパソコン屋といったところだ。
これまでゲイだがアナニー以外は一切行動に移さず生きてきた。アナニーなんてヘテロでもするけど。
ゲイバーもなんだか怖くて入り口まで行って引き返してきたこと数度。
本日は一念発起して、ゲイ向けのマッチングアプリなるもので、マッチングした男性と駅前で待ち合わせしている。本日は快晴。なんだがうまく行きそうな気がしないでもない。
いつもより少しおしゃれをして、都心の大きな駅に向かう。駅前の謎の立方体と円が組み合わさった石像の前が待ち合わせ場所だ。うわあ、心臓飛び出しそう。
土曜日の昼時とあって、人が大勢行き交って人混みを形成している。石像前には、ひときわ怪しい男が立っていた。身長は一八〇センチぐらいか。帽子を目深に被り、サングラスをして、マスクをしていてまったく顔がうかがい知れない。
もしかして、あの人かな。いや、怪しすぎるだろ。アプリで会話してるときは優しい感じだったし、あれはさすがに違うだろうと思ってきょろきょろあたりを見回す。
怪しい男のほかは、石像近くで人をまっているとおぼしき男性は七十代ぐらいの男性と男子中学生ぐらいしかいない。まだ来ていないのだろうか。
まだかな、烏龍茶の烏龍茶割さん。そわそわしながらきょろきょろしていると、先程の怪しい男が近づいてきた。
いや、まかさ、こっちに向かってる? 俺のほうに来てる? まじで? 男は、俺の前で足を止めた。
「ネギボーズさんですか」
ひっ、まじか。怪しい男は、俺のアプリ内での名前をはっきりと口にした。結構いい声だな、ははは……。
しかし、どえらい恥ずかしいなこれ、人に呼ばれることをまったく想定してなかった。まあ、相手も大概な名前だけど。
「はい……そうです」
返事をしながら、怪しい男改め烏龍茶さんを見た。一七〇センチの俺は少し見上げる形になる。
ちょっと怖いよ。どうなるのこれ。とりあえず、飯行きましょうって流れかな。表情が読めないけど、こいつはイケないって思われているかもしれない。そうすると、このまま解散だったりして。
しかし、烏龍茶さんは予想を超えてこう言った。
「ホテル、行きましょう」
めちゃくちゃヤリ目じゃん、烏龍茶さん。と思いながら、烏龍茶さんのあとを着いていった。身長が違う以上にコンパスが違うぞ。相手はすたすた、俺は小走りだ。後ろ姿を見ながら気づきがあった、この人、スタイルがいいわ。
街の中心部を少し離れたところに、ラブホテルが数件並んでいる。俺はラブホテル自体はじめてだけど、烏龍茶さんは慣れているのだろう、さっさとホテルに入りすぐに部屋を決めた。エレベーターの中も無言だった。
今更ながら緊張が高まってきた。これからセックスするらしい。セックスするんだってよ。心臓バクバク、喉からから。
部屋に入るなりだった。
烏龍茶さんは、後ろから俺をぎゅっと抱きしめた。そして、大きな手に胸を揉まれた。
「はっ、うっ……」
「洗浄してきました?」
耳元で囁かれる。ちょっと、ちょっと怖いよ、怖すぎ、烏龍茶さん、アプリでは紳士だったじゃん。
「え、あ、一応……」
「よかった」
胸揉まれて、チンコも揉まれて、尻には硬いものがあたってて、荒い息がはあはあ耳ともでしている。
あまりにがっつかれて、びびってしまう。怖い。こう言っちゃなんだけど、痴漢に遭うってこういう感じなかもしれないってちょっと思ってしまった。
「ちょ、ちょっと、展開早くないですか!?」
ヤリ目でも構わないって思ってたけど、もっとこう会話とかあるものだと思ってた。
「いや、俺は随分遠回りしたと思います」
「遠回り!? 意味分かんないですよ!」
出会ってすぐこんなことしているののどこが遠回りなんだ。
「大丈夫ですよ、ちゃんと慣らしますし、ゴムもしますから」
「それは! 大事ですけど!」
胸、揉まれて、すごく変な感じ。刺激されて勃った乳首を服の上からきゅっきゅとつままれる。
「ひっ、あっ、ああっ!!」
やば、すげえ変な声出る。自分でも触ったことあるけど、特に気持ちよくもなかった乳首が、烏龍茶さんに触られると途方もなく気持がよかった。
掻き抱かれて、胸を揉み込まれ、乳首をつままれ、亀頭をくりくりと刺激される。
「う、うーろんちゃさ、うーろんちゃさんってば……!!」
やばい、パンツがカウパーで絶対に濡れちゃってる。
「なんです?」
「下着、下着が、汚れる、し……それに! 俺、あなたの顔も知らないのに……!」
俺がそう叫ぶと、「ああ、なるほど、それは思い至りませんでしたごめんなさい」と、俺の体をまさぐり揉みしだいていた腕がふっと緩んだ。俺が振り返ると、烏龍茶さんは帽子とサングラスとマスクを取った。
するとどうでしょう。
目の前にスーパーイケメンが現れたのです。うわっ、目が眩む。
烏龍茶の烏龍茶割なんて名前でイケメンなんて詐欺だろ。ゲイの受けがよさそうな感じじゃなくて、女性が好きそうなきれいな顔をしている。
二重のはっきりした目、形の良い眉、すっと通った鼻梁、上品な唇。体型も、すらっとしているが、華奢という感じではない。
性欲がすんと落ち着くのを感じた。あまりにいい男だと、性欲が冷める。
俺が残念な気持ちでぼけっとしていると、烏龍茶さんは首をかしげた。俺ごときが、イケメンを見て、残念な気持ちになるなんてイケメンに失礼な話なのだが。
しかし、これだけイケメンならよりどりみどり選べるだろうに、なんで俺なんかに興奮してるんだろう。
烏龍茶さんは、ブス専? それとも、処女好き? 両方? それとも穴があればなんでもいい?
顔を見てない問題が解消されたため、烏龍茶さんは行為を続行するため、今度は服が汚れるという問題を解消すべく俺の服を脱がしにかかった。
あっという間に靴下まで全部脱がされると、烏龍茶さんにベッドに押し倒された。う、うわ。心の準備も整ってないのに、もう全裸だよ。
しかし、俺だけ全裸じゃん。俺の体液だか分泌液だかで烏龍茶さんの服、汚してしまわないだろうか。
「あの……烏龍茶さんの、服も、汚れちゃいませんか?」
「ああ、ごめんなさい、俺も脱ぎますね」
勢いよく烏龍茶さんが脱いでいく。待てよ、俺、早く脱いでって催促したみたいじゃない?
はあ、それにしても。なんだよ、脱いでもイケメンじゃん。身体は引き締まってるし思ったりより男らしい。
それに、エレクトしたすごいイチモツに目が釘付けになる。
何センチあるんだ。長いし太いし雁高だし反ってるし。色はきれいだけど。
それが、腹に付きそうなばかりにすごく自己主張している。きれいな顔とのギャップがエグいよ、変に生々しいよ。同じ男ながら羨ましい限りの立派なイチモツ……いや、怖い。めっちゃ勃起してるし、俺の持ってるバイブよりふた回りでかいよ。入らないよこんなの。
完全に及び腰の俺の上に、裸になって烏龍茶さんがのしかかる。
烏龍茶さんはギラギラした視線を俺の全身にすばやく走らせた。怖いしめちゃくちゃ恥ずかしくて身震いした。
ギラッギラのイケメンの烏龍茶さんに見下ろされ、思わず目をそらしてしまった。
首筋に顔を埋められ、温かなものが這う。それと同時に、乳首を指と指の間に挟んで胸を揉まれる。
「ひっ、んあっ! う、烏龍茶さん、こわいっていうか、はっ、うっ……!」
「最初は誰でもそんなものですよ」
「そ、そうですか!? あっ、やっ!」
やっぱり荒い吐息は怖いし、イケメン過ぎて残念な気持ちになったけど、だんだん感じが出てくる。
やば、胸、なんでこんなに感じるんだ?
首を舐められたり吸われたり歯を立てられるのも気持ちいい。俺、首弱かったんだな。知らなかったよ。
この状況を楽しむべきかもしれない。次いつ機会があるかわからないし、一生ないかもしれないし。
たしかに俺だって一念発起してセックスしに来たわけだし、烏龍茶さんは俺なんかに欲情してくれている世にもありがたい奇特なお方なのだ。
ちゃんと烏龍茶さんはその気になってくれてるんだよな。俺、セックスする気まんまんで来たのに、すげえダサいな。相手がその気になってくれたら引くってどうなの。いや、セックスは双方の合意の元じゃないとだめだけどね、もちろん。
アプリではこの人なら安心だなって思ったくせにさ。なんとなく文面から好意持ったし、相性いいかも、なんて思ったりしてさ。
相手を慎重に見極めようとするあまり奥手で面倒なメッセージのやり取りに三ヶ月も付き合ってくれて、ようやく今日会う踏ん切りがついたのだ。
ヤリ目でも、イケメン過ぎても、悪い人ではなさそうだし、萎えられるよりがっつかれる方がいいよ、うん。引いてばかりいないで、積極的に楽しもう、俺も。
とりあえず、おずおずと烏龍茶さんの背中に手を回してみることにした。うわ、肌が若いな。スベスベだ。気持ちいい。
前戯されながら、肩甲骨とか、背骨とか肋骨、それにのっている筋肉の弾力を確かめる。すごい、肌くっついてるの、気持ちいいかも。若い子の肌をなで回す変態ジジイか、俺は。
烏龍茶さんの唇が、俺の鎖骨を食んだ。乳首をきゅっとつままれて、高い声を上げてしまった。
「んっ、うっ……はっ……あっ……! あうっ、あっ、ひうっ!」」
「あなたがこんなにやらしい体なんて知らなかったな」
いやらしいんじゃなくて、乳首触られると気が抜けるっていうか、声が我慢できないだけです。チンコ触られるよりも声が我慢できない。
烏龍茶さんはがばりと身を起こすと、そのままベッドを降りた。
俺の声が相当気持ち悪かったのか。不安になって、俺も半身を起こして烏龍茶さんを見ると、勃起したまま、鞄をがさごそしている。イケメンが全裸で勃起したまま、鞄をがさごそしてるのはなかなかにシュールな光景だった。
軟膏やらコンドームやらを持って、烏龍茶さんが戻ってきた。
「段取り悪くてすみません……」
「いえ、全然!」
本気で不覚をとったと恥じ入ってる様子の烏龍茶さんを見たら、俺はいい意味で少し落ち着いた。ちょっとかわいいと思えた。
烏龍茶さんは俺の足を割り開いた。俺の見えちゃいけないところが見えてしまっている。う、うわあ。
まあ、セックスするのに肛門ぐらい見えるか、普通に。しかし、こんなイケメンに俺の肛門なんて見る価値のないものを見せてしまってすみません。お目汚しもいいところ。
怖いよ、恥ずかしいよ、ありえないよ、なんでこんなことやってみようと思い立った?
セックスはしてみたいよ、興味はあるよ、でもできれば恋愛したかったよ。恋愛して、気持ちを高めてから、セックスしたかったよ。
ぎゃーぎゃー叫び出したいよほんとは。やっぱうっそー!とか言ってしまいたい。
でも、やっちゃえやっちゃえ、こんな機会二度とないぞ、しない後悔よりした後悔! ともう一人の自分がおどけて叫んでいる。
つまるところ、この土壇場で俺は混乱している。これまでに何度もした葛藤がぶり返した。
それで、結局は興味が勝った。
不安と期待が入り交じるなか、烏龍茶さんが俺に体を寄せ密着させながら、肛門に軟膏を塗りつけた。
「……っ」
冷たい。恥ずかしい。穴があったら入りたい。これから入れるんだけども。
洗浄済みとはいえ、汚いところであるのは間違いないわけで。ニトリルの手袋とか俺が用意すべきだったかも。直腸に自分以外の生身の人間の手が触れるって、どう考えても異常だよ、医療行為は除いて。
「俺の入るように、ちゃんと解しますからね」
「は、はい!」
あれが入るようにか、いや、入らなくない?
くちくちと烏龍茶さんの美しい指先が肛門をいじる。そんなところを……ああ……どうして。
アナニーはしてるから慣れてるけど、人にされるのは全然違う。恥ずかしすぎる。死にそう。
「んっ、ふっ……んっ、んんっ……」
くちくちくちくち音がする。つぷと指先が侵入した。浅いところをぬぷぬぷと抜き差しする。
「上手ですよ、二本目も入った」
上手も下手もあるのか。熱っぽい響きに羞恥をあおられる。
ぬぷぬぷと指が奥に進んで、一番気持ちのいいところをくにくにと刺激した。
「ふっ……はうっ……あっ……あっ……」
声が我慢できない。声、キモすぎる。声がキモすぎる事案。しかし、尻のところに当たってる烏龍茶さんのイチモツは萎えた気配はなかった。この人強いな。
刺激にすでに血の集まってきた前立腺を押し込まれ、つつかれる。
「んっ、あっ、う、うっ……!」
あ、もう、軽くイッてしまった。俺、相当興奮してるっぽい。いつもこんなに早くイケないのに。
「あっ、あうっ……! はっ、あっ……」
「すごい、ぷりぷりですね、ここ」
「んっ、あっ、あっ……」
「自分でここまで開発したんですか?」
そうだよ、アプリのメッセージでそう言ったでしょうが。開発の結果、後ろの刺激だけでドライもできるともお伝えしたでしょう。
「そ、そうで、すっ、んっ、んんっ」
指が奥に進んで、押される。あ、そこ、ちょっとなんか漏れそうな感じがして、ちょっと苦手なのに。
「あっ、そこ! や、だめっ、だめ!!」
「そうですか? すごいですよ、中、きゅんきゅんしてる」
「はううっ、そこ、苦手、あうっ、ふあっ……!!」
「こっちのがいいですか?」
前立腺をくりくりと弄られる。
「あっ、やっ……!! んんっ、あっ!」
「やっぱりこっち?」
「あ、ちが、おさないで、そこ! だ、だめだってっ!」
軟膏が足されて、指が三本になって、三本の指が中をかきまわす。ぐちゅぐちゅと腸液と軟膏が溶けて、穴はすっかり解れきっている。
「ひっ、あっ、あっ……! あううっ!」
もう、切なくて仕方がなかった。全身が火照って、欲しくてたまらなくて、物欲しげに烏龍茶さんの指をくいしめてしまう。
「烏龍茶さん、あっ、あふっ、あ、ああっ……んっんんっ」
信じられないくらい甘ったるい声が出ている。自分の声に萎えそう。
もう入れてほしいと視線で懇願する。
目があった烏龍茶さんは、すげえ切羽詰まって、ギラギラしてて。俺はなんだかどぎまぎしてしまった。
やばい、なんか、心臓が苦しいぞ。
烏龍茶さんは、くぱあ、と三本の指を中で広げてみせた。恥ずかしい。過去一広がってるのがわかるように広げられてる。
コンドームをつけて、烏龍茶さんのものが、穴にあてがわれる。
ああ、本当にするんだ。
肛門をこじ開けて、ぐちゅぐちゅのそこに、烏龍茶さんのものが入ってくる。
慣らしたのに、めりめり音がするような気さえする、圧倒的な質量。苦しい、きつい、切れちゃうんじゃないか。やっぱり、無理なんじゃ?
「くふっ……!! はっ、うぐっ……!!」
圧をかけられ、亀頭がぐぽっとようやく通り抜ける。
やっぱり、バイブやディルドとは全然違う。
意味わからないけど、そこが烏龍茶さんのものに満たされて限界まで押し広げられてぎっちぎちにされると、体はきついけど、心は満たされていく、みたいな。
「はっ、あっ、ひっ、いいっ!」
圧倒的な質量に、前立腺、潰されてる。あ、なにこれ、すご、全部ひだが伸びて、こすれてしまう。内臓を押し上げられて呼吸が浅くなる。
あ、押されて何か、チンコから漏れた? え、なにこれ。
「う、あっ……ひ、い゛……お゛……はひ、ひっ……!!」
痛くはないけど、ゆっくり壊されてる感じ。こんなの無理、だけど妙に幸せで、身体が変で、気持ちいいのに、怖い。めちゃくちゃだ。
精液、漏れてる気がする。え、なんで?
「あ゛うっ、うー、ろんちゃさ、こわ、こわい、ひうっ!」
わけも分からず、首に手を回して抱き寄せた。烏龍茶さんの肌の感触に少し怖さが和らいだような気がした。肌が触れ合うのって安心するんだ。
こんなの知らない、全然アナニーと違うじゃん。
「大丈夫ですから、ね」
烏龍茶さんが優しく頭をなでてくれた。ああ、これが、頭ぽんぽんか、イケメンに限るという。それから、ぎゅっと抱きしめられた。やばい、俺、もしかして、ときめいてる? 単純過ぎない?
中がありえないくらい押し広げられながら、烏龍茶さんは奥へ奥へとめりめりと進んで行く。
「はひっ! ひっ、あ゛っ、お゛っ、はっ、ふぎっ!」
一ミリ進むごとに、軽くイッてる。びくんびくん、体が勝手に跳ねている。
「全部はいりましたよ」
「はっ、あっ……んっ!」
全部入ったんだ、本当に。ちょっと信じられない。じわっと涙が出た。
しかし、全部入ると、常に亀頭で奥を圧迫されている状態で、すごく変だ、これ。奥がジンジンして、熱くなって、うずいてる。
え、なにこれ、なにこれ、これが、S状結腸?
そこは、さすがに手を出してない、というか、ちょっと怖いじゃん、さすがに。アナニー上級者の変態御用達でしょ?
「あっ、だめ、これ、うーろんちゃ、さん、これ、変、変だから!」
もう、烏龍茶さんは動いてないのに。え、これ、動いたらどうなる……?
「ここも、開発してたんですか?」
ずん、と烏龍茶さんが、腹の奥を突き上げた。
「~~~っ!!!」
やばい、これ、勝手に、うずいて、奥が、全部が、駄目に。
「はひっ、ひっ、あっ! はっ、ひ、あっ!!」
「……たまんない、もう、無理」
烏龍茶さんが、思いっきり眉をしかめた。気持ち悪いよね、でも、これ止まらないよ、どうしよう。
駄目になってる俺を、烏龍茶さんが再び突き上げた。
「ふぎっ! へっ、あ!?」
何で? ずんずんと奥を突き上げるスピードと力が徐々に増していく。
「んおっ! はぐっ、ふっ、ぐううう!! ひぐ、はっ、あっ!」
なにこれ、どうなってる?
気持ち良すぎて、気持ちいいのかもよくわからない。とにかく怖くて、必死に烏龍茶さんにしがみつく。がくがく揺さぶられて、肛門も、前立腺も、結腸も、全部やばくて。
脳みそが溶けそうで。馬鹿に、馬鹿になってる。
「だめ、これ、あ゛っ、あ゛、うあ、ひっ、い゛っ!! ~~っっ!!」
耳元で烏龍茶さんの色っぽい荒い息が聞こえて。気がついたら、キスされてて。繋がるところが増えたら、脳内にじゅわあとなにか溢れてきて、もっと駄目になる。
イキッぱなしで、中が自分ではどうしようもなくうねってて、腰が跳ねて、頭のてっぺんから足のつま先まで、やばいくらいびくんびくん突っ張って。
烏龍茶さんが動く度に、内臓が引き出されて、押し込まれて、奥がぎゅんぎゅんうねって、烏龍茶さんにしがみつくみたいに絡みついて。
締めつけると、もっと烏龍茶さんを感じてしまって、どんどんどうしようもなくなっていった。
「ふぎっ! んあっ、ひっ、い゛い……!! うーろ、ん、あうっ!」
イッてる、ずっとイッてる。
「はっ、ひゅっ……あ゛、ん゛っ……む゛、り゛」
「うっ……あとちょっとですからね」
視界が真っ白になって、すごい光の中にいて、多分、一瞬トんでた。それを、ずるりと抜かれる感触で引き戻され、突き上げられて、またトんだ。
ぎゅうと強く抱きしめられて、抱きしめ返して、それで、奥をぐんと一際強く突かれて。
「あ゛っ、お゛! ~~っ!」
「っ……ぐっ……」
呻きながら、烏龍茶さんは射精にいたった。
烏龍茶さんはしばらく中に入れたまま、絶頂が終わらない俺を、抱きしめて、頭を撫でて、キスしてくれた。
ずるりと引き抜かれて、その刺激にもびくんともイッてしまった。俺、壊れた? 大分だめな感じがする。元通りに閉じるのかな、俺の肛門。
「大丈夫ですか?」
烏龍茶さんに聞かれたので、
「なんとか……?」
と答えてはみたものの、なんだ、このよれよれの声は。
「すみません、ネギボーズさんは初めてなのに……俺……」
「えっ、いや……」
ぶっ壊されたかと思った。汚い声で喘ぎまくって絶対に引かれたよね。まだ余韻で全身がびくびくしているし、物欲しそうに中がひくついててしまっている。指を一本動かすのも億劫だ。なんだか、すごいセックスをしてしまったぞ。
それにしても、ネギボーズと呼ばれるとこんな状態でも笑える。
そんな俺を烏龍茶さんは撫でてくれているけど、その手さえ気持ちよくて困ってしまう。
「……ネギボーズさん、ほんとは、俺が誰だかわかってるんですよね?」
烏龍茶さんが、じっと俺を見た。
俺も烏龍茶さんの綺麗な顔を見た。見覚え、あるような、ないような。あるような気もするけど、思い出せない。強すぎる性感にどろどろに浸されて頭にもやがかかっているみたいだ。
あまり俺が思い出せないようだから、烏龍茶さんは美しい唇を少し尖らせて拗ねてしまった。
「俺がいかに自意識過剰かわかりましたよ」
教えてください、って言っても全然教えてくれない。
「イケメンって似かたよってて見分けつかなくて……イケメンって一種の記号ですよね、あはは」
ボケっとした頭で妙な弁明をしてしまい、どうせ無個性ですよと烏龍茶さんはますますしょげてしまった。
どこかであったことある人? 全然わからないけど、俺の知っている人らしい。
まったく自慢じゃないけど、俺は、なんとなく顔と場所と服装で人を見分けているので、ご近所さんでも別の場所であったらわからないし、会社の同僚もスーツ着て会社の中で会わないのだったらまったくわからない。
ふーんだ、と可愛く拗ねながら、烏龍茶さんは俺の世話を甲斐甲斐しくしてくれた。
よろよろの俺をシャワーにも連れて行ってくれたし。
帰りは、再び帽子を被ってサングラスを掛けマスクをしてすっかり元の怪しい男に戻ると、車で家まで送ってくれた。
「ネギボーズさん、また会いましょうね」
結局、名前、教えてもらえなかった。
一週間経って、あれはド淫夢の白昼夢だったのかと思い始めた。
仕事が終わって、家に帰って、見るともなしにテレビをつけて、スーパーの半額になっていた弁当をぼけっと食べている。弁当のおともには烏龍茶だ。
仕事しているときはまだよくて、電車に乗っているときや、アパートで一人になると思い出してしまう。すごくすごくエッチな体験だった。思い出すたび突っ伏してばんばん床をたたいてしまう。大丈夫、一階だから、下の階の住人はいない。
また会おうって、連絡も結局来ないし。すっかり社交辞令を真に受けてしまったぜ。
嗚呼、烏龍茶。
俺は、烏龍茶をぐっと呷った。やけ酒ならぬ、やけ烏龍茶だ。あいつなんか、あいつなんかあいつなんか、飲み干してやるわ。
『焼肉! ピザ! そして……クゥ~!』
ん?
不意にテレビから聞き覚えのある声がして、烏龍茶を含んだまま目をテレビに向けた。
美味そうにビールを飲み干す男。
俺は、烏龍茶を毒霧のように吹き出した。
その男こそ、烏龍茶さんだったのだから。
おわり
初出:2023/01/08
これまでゲイだがアナニー以外は一切行動に移さず生きてきた。アナニーなんてヘテロでもするけど。
ゲイバーもなんだか怖くて入り口まで行って引き返してきたこと数度。
本日は一念発起して、ゲイ向けのマッチングアプリなるもので、マッチングした男性と駅前で待ち合わせしている。本日は快晴。なんだがうまく行きそうな気がしないでもない。
いつもより少しおしゃれをして、都心の大きな駅に向かう。駅前の謎の立方体と円が組み合わさった石像の前が待ち合わせ場所だ。うわあ、心臓飛び出しそう。
土曜日の昼時とあって、人が大勢行き交って人混みを形成している。石像前には、ひときわ怪しい男が立っていた。身長は一八〇センチぐらいか。帽子を目深に被り、サングラスをして、マスクをしていてまったく顔がうかがい知れない。
もしかして、あの人かな。いや、怪しすぎるだろ。アプリで会話してるときは優しい感じだったし、あれはさすがに違うだろうと思ってきょろきょろあたりを見回す。
怪しい男のほかは、石像近くで人をまっているとおぼしき男性は七十代ぐらいの男性と男子中学生ぐらいしかいない。まだ来ていないのだろうか。
まだかな、烏龍茶の烏龍茶割さん。そわそわしながらきょろきょろしていると、先程の怪しい男が近づいてきた。
いや、まかさ、こっちに向かってる? 俺のほうに来てる? まじで? 男は、俺の前で足を止めた。
「ネギボーズさんですか」
ひっ、まじか。怪しい男は、俺のアプリ内での名前をはっきりと口にした。結構いい声だな、ははは……。
しかし、どえらい恥ずかしいなこれ、人に呼ばれることをまったく想定してなかった。まあ、相手も大概な名前だけど。
「はい……そうです」
返事をしながら、怪しい男改め烏龍茶さんを見た。一七〇センチの俺は少し見上げる形になる。
ちょっと怖いよ。どうなるのこれ。とりあえず、飯行きましょうって流れかな。表情が読めないけど、こいつはイケないって思われているかもしれない。そうすると、このまま解散だったりして。
しかし、烏龍茶さんは予想を超えてこう言った。
「ホテル、行きましょう」
めちゃくちゃヤリ目じゃん、烏龍茶さん。と思いながら、烏龍茶さんのあとを着いていった。身長が違う以上にコンパスが違うぞ。相手はすたすた、俺は小走りだ。後ろ姿を見ながら気づきがあった、この人、スタイルがいいわ。
街の中心部を少し離れたところに、ラブホテルが数件並んでいる。俺はラブホテル自体はじめてだけど、烏龍茶さんは慣れているのだろう、さっさとホテルに入りすぐに部屋を決めた。エレベーターの中も無言だった。
今更ながら緊張が高まってきた。これからセックスするらしい。セックスするんだってよ。心臓バクバク、喉からから。
部屋に入るなりだった。
烏龍茶さんは、後ろから俺をぎゅっと抱きしめた。そして、大きな手に胸を揉まれた。
「はっ、うっ……」
「洗浄してきました?」
耳元で囁かれる。ちょっと、ちょっと怖いよ、怖すぎ、烏龍茶さん、アプリでは紳士だったじゃん。
「え、あ、一応……」
「よかった」
胸揉まれて、チンコも揉まれて、尻には硬いものがあたってて、荒い息がはあはあ耳ともでしている。
あまりにがっつかれて、びびってしまう。怖い。こう言っちゃなんだけど、痴漢に遭うってこういう感じなかもしれないってちょっと思ってしまった。
「ちょ、ちょっと、展開早くないですか!?」
ヤリ目でも構わないって思ってたけど、もっとこう会話とかあるものだと思ってた。
「いや、俺は随分遠回りしたと思います」
「遠回り!? 意味分かんないですよ!」
出会ってすぐこんなことしているののどこが遠回りなんだ。
「大丈夫ですよ、ちゃんと慣らしますし、ゴムもしますから」
「それは! 大事ですけど!」
胸、揉まれて、すごく変な感じ。刺激されて勃った乳首を服の上からきゅっきゅとつままれる。
「ひっ、あっ、ああっ!!」
やば、すげえ変な声出る。自分でも触ったことあるけど、特に気持ちよくもなかった乳首が、烏龍茶さんに触られると途方もなく気持がよかった。
掻き抱かれて、胸を揉み込まれ、乳首をつままれ、亀頭をくりくりと刺激される。
「う、うーろんちゃさ、うーろんちゃさんってば……!!」
やばい、パンツがカウパーで絶対に濡れちゃってる。
「なんです?」
「下着、下着が、汚れる、し……それに! 俺、あなたの顔も知らないのに……!」
俺がそう叫ぶと、「ああ、なるほど、それは思い至りませんでしたごめんなさい」と、俺の体をまさぐり揉みしだいていた腕がふっと緩んだ。俺が振り返ると、烏龍茶さんは帽子とサングラスとマスクを取った。
するとどうでしょう。
目の前にスーパーイケメンが現れたのです。うわっ、目が眩む。
烏龍茶の烏龍茶割なんて名前でイケメンなんて詐欺だろ。ゲイの受けがよさそうな感じじゃなくて、女性が好きそうなきれいな顔をしている。
二重のはっきりした目、形の良い眉、すっと通った鼻梁、上品な唇。体型も、すらっとしているが、華奢という感じではない。
性欲がすんと落ち着くのを感じた。あまりにいい男だと、性欲が冷める。
俺が残念な気持ちでぼけっとしていると、烏龍茶さんは首をかしげた。俺ごときが、イケメンを見て、残念な気持ちになるなんてイケメンに失礼な話なのだが。
しかし、これだけイケメンならよりどりみどり選べるだろうに、なんで俺なんかに興奮してるんだろう。
烏龍茶さんは、ブス専? それとも、処女好き? 両方? それとも穴があればなんでもいい?
顔を見てない問題が解消されたため、烏龍茶さんは行為を続行するため、今度は服が汚れるという問題を解消すべく俺の服を脱がしにかかった。
あっという間に靴下まで全部脱がされると、烏龍茶さんにベッドに押し倒された。う、うわ。心の準備も整ってないのに、もう全裸だよ。
しかし、俺だけ全裸じゃん。俺の体液だか分泌液だかで烏龍茶さんの服、汚してしまわないだろうか。
「あの……烏龍茶さんの、服も、汚れちゃいませんか?」
「ああ、ごめんなさい、俺も脱ぎますね」
勢いよく烏龍茶さんが脱いでいく。待てよ、俺、早く脱いでって催促したみたいじゃない?
はあ、それにしても。なんだよ、脱いでもイケメンじゃん。身体は引き締まってるし思ったりより男らしい。
それに、エレクトしたすごいイチモツに目が釘付けになる。
何センチあるんだ。長いし太いし雁高だし反ってるし。色はきれいだけど。
それが、腹に付きそうなばかりにすごく自己主張している。きれいな顔とのギャップがエグいよ、変に生々しいよ。同じ男ながら羨ましい限りの立派なイチモツ……いや、怖い。めっちゃ勃起してるし、俺の持ってるバイブよりふた回りでかいよ。入らないよこんなの。
完全に及び腰の俺の上に、裸になって烏龍茶さんがのしかかる。
烏龍茶さんはギラギラした視線を俺の全身にすばやく走らせた。怖いしめちゃくちゃ恥ずかしくて身震いした。
ギラッギラのイケメンの烏龍茶さんに見下ろされ、思わず目をそらしてしまった。
首筋に顔を埋められ、温かなものが這う。それと同時に、乳首を指と指の間に挟んで胸を揉まれる。
「ひっ、んあっ! う、烏龍茶さん、こわいっていうか、はっ、うっ……!」
「最初は誰でもそんなものですよ」
「そ、そうですか!? あっ、やっ!」
やっぱり荒い吐息は怖いし、イケメン過ぎて残念な気持ちになったけど、だんだん感じが出てくる。
やば、胸、なんでこんなに感じるんだ?
首を舐められたり吸われたり歯を立てられるのも気持ちいい。俺、首弱かったんだな。知らなかったよ。
この状況を楽しむべきかもしれない。次いつ機会があるかわからないし、一生ないかもしれないし。
たしかに俺だって一念発起してセックスしに来たわけだし、烏龍茶さんは俺なんかに欲情してくれている世にもありがたい奇特なお方なのだ。
ちゃんと烏龍茶さんはその気になってくれてるんだよな。俺、セックスする気まんまんで来たのに、すげえダサいな。相手がその気になってくれたら引くってどうなの。いや、セックスは双方の合意の元じゃないとだめだけどね、もちろん。
アプリではこの人なら安心だなって思ったくせにさ。なんとなく文面から好意持ったし、相性いいかも、なんて思ったりしてさ。
相手を慎重に見極めようとするあまり奥手で面倒なメッセージのやり取りに三ヶ月も付き合ってくれて、ようやく今日会う踏ん切りがついたのだ。
ヤリ目でも、イケメン過ぎても、悪い人ではなさそうだし、萎えられるよりがっつかれる方がいいよ、うん。引いてばかりいないで、積極的に楽しもう、俺も。
とりあえず、おずおずと烏龍茶さんの背中に手を回してみることにした。うわ、肌が若いな。スベスベだ。気持ちいい。
前戯されながら、肩甲骨とか、背骨とか肋骨、それにのっている筋肉の弾力を確かめる。すごい、肌くっついてるの、気持ちいいかも。若い子の肌をなで回す変態ジジイか、俺は。
烏龍茶さんの唇が、俺の鎖骨を食んだ。乳首をきゅっとつままれて、高い声を上げてしまった。
「んっ、うっ……はっ……あっ……! あうっ、あっ、ひうっ!」」
「あなたがこんなにやらしい体なんて知らなかったな」
いやらしいんじゃなくて、乳首触られると気が抜けるっていうか、声が我慢できないだけです。チンコ触られるよりも声が我慢できない。
烏龍茶さんはがばりと身を起こすと、そのままベッドを降りた。
俺の声が相当気持ち悪かったのか。不安になって、俺も半身を起こして烏龍茶さんを見ると、勃起したまま、鞄をがさごそしている。イケメンが全裸で勃起したまま、鞄をがさごそしてるのはなかなかにシュールな光景だった。
軟膏やらコンドームやらを持って、烏龍茶さんが戻ってきた。
「段取り悪くてすみません……」
「いえ、全然!」
本気で不覚をとったと恥じ入ってる様子の烏龍茶さんを見たら、俺はいい意味で少し落ち着いた。ちょっとかわいいと思えた。
烏龍茶さんは俺の足を割り開いた。俺の見えちゃいけないところが見えてしまっている。う、うわあ。
まあ、セックスするのに肛門ぐらい見えるか、普通に。しかし、こんなイケメンに俺の肛門なんて見る価値のないものを見せてしまってすみません。お目汚しもいいところ。
怖いよ、恥ずかしいよ、ありえないよ、なんでこんなことやってみようと思い立った?
セックスはしてみたいよ、興味はあるよ、でもできれば恋愛したかったよ。恋愛して、気持ちを高めてから、セックスしたかったよ。
ぎゃーぎゃー叫び出したいよほんとは。やっぱうっそー!とか言ってしまいたい。
でも、やっちゃえやっちゃえ、こんな機会二度とないぞ、しない後悔よりした後悔! ともう一人の自分がおどけて叫んでいる。
つまるところ、この土壇場で俺は混乱している。これまでに何度もした葛藤がぶり返した。
それで、結局は興味が勝った。
不安と期待が入り交じるなか、烏龍茶さんが俺に体を寄せ密着させながら、肛門に軟膏を塗りつけた。
「……っ」
冷たい。恥ずかしい。穴があったら入りたい。これから入れるんだけども。
洗浄済みとはいえ、汚いところであるのは間違いないわけで。ニトリルの手袋とか俺が用意すべきだったかも。直腸に自分以外の生身の人間の手が触れるって、どう考えても異常だよ、医療行為は除いて。
「俺の入るように、ちゃんと解しますからね」
「は、はい!」
あれが入るようにか、いや、入らなくない?
くちくちと烏龍茶さんの美しい指先が肛門をいじる。そんなところを……ああ……どうして。
アナニーはしてるから慣れてるけど、人にされるのは全然違う。恥ずかしすぎる。死にそう。
「んっ、ふっ……んっ、んんっ……」
くちくちくちくち音がする。つぷと指先が侵入した。浅いところをぬぷぬぷと抜き差しする。
「上手ですよ、二本目も入った」
上手も下手もあるのか。熱っぽい響きに羞恥をあおられる。
ぬぷぬぷと指が奥に進んで、一番気持ちのいいところをくにくにと刺激した。
「ふっ……はうっ……あっ……あっ……」
声が我慢できない。声、キモすぎる。声がキモすぎる事案。しかし、尻のところに当たってる烏龍茶さんのイチモツは萎えた気配はなかった。この人強いな。
刺激にすでに血の集まってきた前立腺を押し込まれ、つつかれる。
「んっ、あっ、う、うっ……!」
あ、もう、軽くイッてしまった。俺、相当興奮してるっぽい。いつもこんなに早くイケないのに。
「あっ、あうっ……! はっ、あっ……」
「すごい、ぷりぷりですね、ここ」
「んっ、あっ、あっ……」
「自分でここまで開発したんですか?」
そうだよ、アプリのメッセージでそう言ったでしょうが。開発の結果、後ろの刺激だけでドライもできるともお伝えしたでしょう。
「そ、そうで、すっ、んっ、んんっ」
指が奥に進んで、押される。あ、そこ、ちょっとなんか漏れそうな感じがして、ちょっと苦手なのに。
「あっ、そこ! や、だめっ、だめ!!」
「そうですか? すごいですよ、中、きゅんきゅんしてる」
「はううっ、そこ、苦手、あうっ、ふあっ……!!」
「こっちのがいいですか?」
前立腺をくりくりと弄られる。
「あっ、やっ……!! んんっ、あっ!」
「やっぱりこっち?」
「あ、ちが、おさないで、そこ! だ、だめだってっ!」
軟膏が足されて、指が三本になって、三本の指が中をかきまわす。ぐちゅぐちゅと腸液と軟膏が溶けて、穴はすっかり解れきっている。
「ひっ、あっ、あっ……! あううっ!」
もう、切なくて仕方がなかった。全身が火照って、欲しくてたまらなくて、物欲しげに烏龍茶さんの指をくいしめてしまう。
「烏龍茶さん、あっ、あふっ、あ、ああっ……んっんんっ」
信じられないくらい甘ったるい声が出ている。自分の声に萎えそう。
もう入れてほしいと視線で懇願する。
目があった烏龍茶さんは、すげえ切羽詰まって、ギラギラしてて。俺はなんだかどぎまぎしてしまった。
やばい、なんか、心臓が苦しいぞ。
烏龍茶さんは、くぱあ、と三本の指を中で広げてみせた。恥ずかしい。過去一広がってるのがわかるように広げられてる。
コンドームをつけて、烏龍茶さんのものが、穴にあてがわれる。
ああ、本当にするんだ。
肛門をこじ開けて、ぐちゅぐちゅのそこに、烏龍茶さんのものが入ってくる。
慣らしたのに、めりめり音がするような気さえする、圧倒的な質量。苦しい、きつい、切れちゃうんじゃないか。やっぱり、無理なんじゃ?
「くふっ……!! はっ、うぐっ……!!」
圧をかけられ、亀頭がぐぽっとようやく通り抜ける。
やっぱり、バイブやディルドとは全然違う。
意味わからないけど、そこが烏龍茶さんのものに満たされて限界まで押し広げられてぎっちぎちにされると、体はきついけど、心は満たされていく、みたいな。
「はっ、あっ、ひっ、いいっ!」
圧倒的な質量に、前立腺、潰されてる。あ、なにこれ、すご、全部ひだが伸びて、こすれてしまう。内臓を押し上げられて呼吸が浅くなる。
あ、押されて何か、チンコから漏れた? え、なにこれ。
「う、あっ……ひ、い゛……お゛……はひ、ひっ……!!」
痛くはないけど、ゆっくり壊されてる感じ。こんなの無理、だけど妙に幸せで、身体が変で、気持ちいいのに、怖い。めちゃくちゃだ。
精液、漏れてる気がする。え、なんで?
「あ゛うっ、うー、ろんちゃさ、こわ、こわい、ひうっ!」
わけも分からず、首に手を回して抱き寄せた。烏龍茶さんの肌の感触に少し怖さが和らいだような気がした。肌が触れ合うのって安心するんだ。
こんなの知らない、全然アナニーと違うじゃん。
「大丈夫ですから、ね」
烏龍茶さんが優しく頭をなでてくれた。ああ、これが、頭ぽんぽんか、イケメンに限るという。それから、ぎゅっと抱きしめられた。やばい、俺、もしかして、ときめいてる? 単純過ぎない?
中がありえないくらい押し広げられながら、烏龍茶さんは奥へ奥へとめりめりと進んで行く。
「はひっ! ひっ、あ゛っ、お゛っ、はっ、ふぎっ!」
一ミリ進むごとに、軽くイッてる。びくんびくん、体が勝手に跳ねている。
「全部はいりましたよ」
「はっ、あっ……んっ!」
全部入ったんだ、本当に。ちょっと信じられない。じわっと涙が出た。
しかし、全部入ると、常に亀頭で奥を圧迫されている状態で、すごく変だ、これ。奥がジンジンして、熱くなって、うずいてる。
え、なにこれ、なにこれ、これが、S状結腸?
そこは、さすがに手を出してない、というか、ちょっと怖いじゃん、さすがに。アナニー上級者の変態御用達でしょ?
「あっ、だめ、これ、うーろんちゃ、さん、これ、変、変だから!」
もう、烏龍茶さんは動いてないのに。え、これ、動いたらどうなる……?
「ここも、開発してたんですか?」
ずん、と烏龍茶さんが、腹の奥を突き上げた。
「~~~っ!!!」
やばい、これ、勝手に、うずいて、奥が、全部が、駄目に。
「はひっ、ひっ、あっ! はっ、ひ、あっ!!」
「……たまんない、もう、無理」
烏龍茶さんが、思いっきり眉をしかめた。気持ち悪いよね、でも、これ止まらないよ、どうしよう。
駄目になってる俺を、烏龍茶さんが再び突き上げた。
「ふぎっ! へっ、あ!?」
何で? ずんずんと奥を突き上げるスピードと力が徐々に増していく。
「んおっ! はぐっ、ふっ、ぐううう!! ひぐ、はっ、あっ!」
なにこれ、どうなってる?
気持ち良すぎて、気持ちいいのかもよくわからない。とにかく怖くて、必死に烏龍茶さんにしがみつく。がくがく揺さぶられて、肛門も、前立腺も、結腸も、全部やばくて。
脳みそが溶けそうで。馬鹿に、馬鹿になってる。
「だめ、これ、あ゛っ、あ゛、うあ、ひっ、い゛っ!! ~~っっ!!」
耳元で烏龍茶さんの色っぽい荒い息が聞こえて。気がついたら、キスされてて。繋がるところが増えたら、脳内にじゅわあとなにか溢れてきて、もっと駄目になる。
イキッぱなしで、中が自分ではどうしようもなくうねってて、腰が跳ねて、頭のてっぺんから足のつま先まで、やばいくらいびくんびくん突っ張って。
烏龍茶さんが動く度に、内臓が引き出されて、押し込まれて、奥がぎゅんぎゅんうねって、烏龍茶さんにしがみつくみたいに絡みついて。
締めつけると、もっと烏龍茶さんを感じてしまって、どんどんどうしようもなくなっていった。
「ふぎっ! んあっ、ひっ、い゛い……!! うーろ、ん、あうっ!」
イッてる、ずっとイッてる。
「はっ、ひゅっ……あ゛、ん゛っ……む゛、り゛」
「うっ……あとちょっとですからね」
視界が真っ白になって、すごい光の中にいて、多分、一瞬トんでた。それを、ずるりと抜かれる感触で引き戻され、突き上げられて、またトんだ。
ぎゅうと強く抱きしめられて、抱きしめ返して、それで、奥をぐんと一際強く突かれて。
「あ゛っ、お゛! ~~っ!」
「っ……ぐっ……」
呻きながら、烏龍茶さんは射精にいたった。
烏龍茶さんはしばらく中に入れたまま、絶頂が終わらない俺を、抱きしめて、頭を撫でて、キスしてくれた。
ずるりと引き抜かれて、その刺激にもびくんともイッてしまった。俺、壊れた? 大分だめな感じがする。元通りに閉じるのかな、俺の肛門。
「大丈夫ですか?」
烏龍茶さんに聞かれたので、
「なんとか……?」
と答えてはみたものの、なんだ、このよれよれの声は。
「すみません、ネギボーズさんは初めてなのに……俺……」
「えっ、いや……」
ぶっ壊されたかと思った。汚い声で喘ぎまくって絶対に引かれたよね。まだ余韻で全身がびくびくしているし、物欲しそうに中がひくついててしまっている。指を一本動かすのも億劫だ。なんだか、すごいセックスをしてしまったぞ。
それにしても、ネギボーズと呼ばれるとこんな状態でも笑える。
そんな俺を烏龍茶さんは撫でてくれているけど、その手さえ気持ちよくて困ってしまう。
「……ネギボーズさん、ほんとは、俺が誰だかわかってるんですよね?」
烏龍茶さんが、じっと俺を見た。
俺も烏龍茶さんの綺麗な顔を見た。見覚え、あるような、ないような。あるような気もするけど、思い出せない。強すぎる性感にどろどろに浸されて頭にもやがかかっているみたいだ。
あまり俺が思い出せないようだから、烏龍茶さんは美しい唇を少し尖らせて拗ねてしまった。
「俺がいかに自意識過剰かわかりましたよ」
教えてください、って言っても全然教えてくれない。
「イケメンって似かたよってて見分けつかなくて……イケメンって一種の記号ですよね、あはは」
ボケっとした頭で妙な弁明をしてしまい、どうせ無個性ですよと烏龍茶さんはますますしょげてしまった。
どこかであったことある人? 全然わからないけど、俺の知っている人らしい。
まったく自慢じゃないけど、俺は、なんとなく顔と場所と服装で人を見分けているので、ご近所さんでも別の場所であったらわからないし、会社の同僚もスーツ着て会社の中で会わないのだったらまったくわからない。
ふーんだ、と可愛く拗ねながら、烏龍茶さんは俺の世話を甲斐甲斐しくしてくれた。
よろよろの俺をシャワーにも連れて行ってくれたし。
帰りは、再び帽子を被ってサングラスを掛けマスクをしてすっかり元の怪しい男に戻ると、車で家まで送ってくれた。
「ネギボーズさん、また会いましょうね」
結局、名前、教えてもらえなかった。
一週間経って、あれはド淫夢の白昼夢だったのかと思い始めた。
仕事が終わって、家に帰って、見るともなしにテレビをつけて、スーパーの半額になっていた弁当をぼけっと食べている。弁当のおともには烏龍茶だ。
仕事しているときはまだよくて、電車に乗っているときや、アパートで一人になると思い出してしまう。すごくすごくエッチな体験だった。思い出すたび突っ伏してばんばん床をたたいてしまう。大丈夫、一階だから、下の階の住人はいない。
また会おうって、連絡も結局来ないし。すっかり社交辞令を真に受けてしまったぜ。
嗚呼、烏龍茶。
俺は、烏龍茶をぐっと呷った。やけ酒ならぬ、やけ烏龍茶だ。あいつなんか、あいつなんかあいつなんか、飲み干してやるわ。
『焼肉! ピザ! そして……クゥ~!』
ん?
不意にテレビから聞き覚えのある声がして、烏龍茶を含んだまま目をテレビに向けた。
美味そうにビールを飲み干す男。
俺は、烏龍茶を毒霧のように吹き出した。
その男こそ、烏龍茶さんだったのだから。
おわり
初出:2023/01/08
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