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2 シエン回想
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落下する中、シエンは思う。
ここまでの18年を思い返すと、苦しいことばりだった。
気が付けば身寄りがなく、森の奥の廃屋を住処にした。
言葉は一通り話せるから、きっと親と呼べる誰かがそばにいてくれたのだろう。
しかし今は、その姿を何も覚えていない。
ある晩、突然現れた夜盗に殺されそうになり、無我夢中で相手の腰元からナイフと銅貨を盗んだのが最初の盗み。
真っ暗闇を逃げ出し、小さな洞窟に飛び込んだ。
そこで何者かが仕掛けたトラップを解除したのが最初のスキル発動。
洞窟奥にねぐらを作り、町まで通って生きる術を探すうちに、未知を探求し魔物を排除して生きる冒険者という存在を知った。
その姿に憧れギルドに登録して2年半。
判定されたスキルは、罠を回避または解除するトラップスルー。そして魔力で閉められた鍵を解除するアンロックだった。
シエンは絶望した。これでは、こんな能力では冒険者にはなれないだろう。まるで泥棒だ。かつて自分を襲った夜盗にこそお似合いの能力。
武器を持ち、あるいは杖をかざして魔術を放ち、魔物を成敗しながら未知に挑む。
そしていずれはかつての英雄譚のように魔族の長を止め、平穏な凪の時代を作る一助となる…。
そんな憧れが、夢物語で消え去っていった。
それでも諦めきれず、ギルドからの素材調達や簡単な探索といった依頼をこなしながら、なんとか続けてきた冒険者生活。
そこで、ようやくパーティーに参加できたというのに。
「俺は…こんなところで終わるのか…」
そのつぶやきも、暗闇に一瞬で溶けていった。
ここまでの18年を思い返すと、苦しいことばりだった。
気が付けば身寄りがなく、森の奥の廃屋を住処にした。
言葉は一通り話せるから、きっと親と呼べる誰かがそばにいてくれたのだろう。
しかし今は、その姿を何も覚えていない。
ある晩、突然現れた夜盗に殺されそうになり、無我夢中で相手の腰元からナイフと銅貨を盗んだのが最初の盗み。
真っ暗闇を逃げ出し、小さな洞窟に飛び込んだ。
そこで何者かが仕掛けたトラップを解除したのが最初のスキル発動。
洞窟奥にねぐらを作り、町まで通って生きる術を探すうちに、未知を探求し魔物を排除して生きる冒険者という存在を知った。
その姿に憧れギルドに登録して2年半。
判定されたスキルは、罠を回避または解除するトラップスルー。そして魔力で閉められた鍵を解除するアンロックだった。
シエンは絶望した。これでは、こんな能力では冒険者にはなれないだろう。まるで泥棒だ。かつて自分を襲った夜盗にこそお似合いの能力。
武器を持ち、あるいは杖をかざして魔術を放ち、魔物を成敗しながら未知に挑む。
そしていずれはかつての英雄譚のように魔族の長を止め、平穏な凪の時代を作る一助となる…。
そんな憧れが、夢物語で消え去っていった。
それでも諦めきれず、ギルドからの素材調達や簡単な探索といった依頼をこなしながら、なんとか続けてきた冒険者生活。
そこで、ようやくパーティーに参加できたというのに。
「俺は…こんなところで終わるのか…」
そのつぶやきも、暗闇に一瞬で溶けていった。
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