20 / 70
第一章 ヴァルム試験国家編
第十三話 雪の日の作戦会議(2)
しおりを挟む
紙束を机の上に置き直すと、部屋の空気が少しだけ重く感じられた。
窓の外では、灰色の雲がさらに低く垂れ込めている。
雪になるか雨になるか、まだ迷っている空だ。
カイは胡坐のまま、マグカップを口元に運び、冷めかけた湯をひと口飲んで顔をしかめた。
「さっきの話だが」
彼がマグカップを机に置く。
木の板を叩く鈍い音が、小さな部屋に広がった。
「粉と鉄と水を回すってのは分かった。
だが、お前の天秤の絵、もう一つ皿があったろ」
シュアラは一瞬だけ目を伏せ、天秤の紙を引き寄せた。
片方の皿には「ヴァルム砦と三村」。
もう片方には、小さく「帝都」 とだけ書かれている。
その下に、細い線で別の天秤が描き足してあった。
カイの視線がそこに落ちる。
「これは何だ」
「ヴァルムだけで持つ、もう一枚の皿です」
シュアラは、丁寧に言葉を選んだ。
「帝都の皿と同じ高さに置くとは言いません。
ただ、まったく別物としても扱いたくない」
「分かるようで、分からん言い方だな」
カイが眉をひそめる。
「もっと単純に言え」
「はい」
シュアラは深呼吸を一つした。
「帝都の役人たちが見ている地図と、私たちの足が踏んでいる雪の地図は違います」
羊皮紙の上に指で線を引きながら続ける。
「帝都から見れば、この砦と三つの村は、『冬に七割死んでも仕方ない辺境』です」
「……その数字を最初に言ったの、お前だろ」
「父と帝都の役人たちが計算した数字です」
声が少しだけ硬くなる。
「私は、その数字をもとに『帝国破産の帳簿』を書きました。
けれど、その帳簿の中では、この砦にいる誰の顔も、名前も、載っていません」
父が最後に笑って見せた顔が、一瞬、脳裏をかすめる。
あのとき、彼は数字しか持てなかった。
だからこそ、シュアラは今、数字以外のものを机の上に並べている。
「ここでは、違う帳簿を使いたいんです」
「違う帳簿?」
「はい。帝都の帳簿とは別に、ヴァルムだけの帳簿を」
シュアラは、天秤の台座に小さく「ヴァルム」と書き込んだ。
「帝国の中に、小さく折りたたんだ一枚を差し込むだけです。
帝都の命令を全部無視するわけではありません。
ただ、ここで死ぬかどうかを決める数字だけは、自分たちで持っていたい」
「……帝国を見捨てる気か」
カイの声が、さっきより低く落ちる。
いつもの投げやりな調子ではない。
戦場で敵影を見つけたときの、固く締めた声だ。
シュアラは、彼の視線を正面から受け止めた。
(この人は、自分の足で裏切るつもりがない)
帝都に失望しても、己の手で背を向けることはしない。
そういう種類の真面目さだ。
だからこそ、ここで嘘を混ぜるわけにはいかない。
「今のところ、そのつもりはありません」
シュアラは、はっきりと言った。
「ただ――帝都に見捨てられたとき、こちらからも背を向けられる選択肢くらいは、持っていたいと思います」
カイの眉がぴくりと動く。
「選択肢、ねえ」
「はい」
シュアラは、膝の上で指を組み直した。
「『帝国を守る』と決めた騎士と、『帝国を壊す』と決めた反乱者のあいだに、
『帝国を使うか切るかを、自分たちで選ぶ』側を一つ置きたいんです」
「普通はそこに、自分の名前を並べねえんだよ、文官」
「そうでしょうか」
「そうだ」
カイは頭をかいた。
「帝国に仕える騎士は、『帝国を守る』って言う。
帝国を憎んでる連中は、『ぶっ壊してやる』って言う。
『どっちでもいいから、選ぶ権利を寄こせ』なんて言い出すのは――」
「珍しいですか」
「お前が初めてだな」
その言葉には、わずかな愉快さが混ざっていた。
シュアラは、自分の胸の内で、天秤の針が少しだけ振れるのを感じる。
(「危険人物」としてではなく、「変な女」として認識されましたね)
帝都では、前者になることしか許されなかった。
ここでは、どうやら後者で済む余地がある。
「帝都の帳簿では、私は『もう死んだ人間』として処理されています」
懐から、折り畳んだ封筒の縁を指でなぞる。
まだ署名されていない、自分の死亡届。
「だからこそ、ここでは“死なせない側”に回りたいんです」
カイはしばらく黙ったまま、天井の煤の跡をじっと見ていた。
やがて、短く息を吐く。
「……理解はできる」
ぼそりと呟くように言う。
「納得できるかどうかは、正直まだ怪しいがな」
「納得していただく必要はありません」
シュアラは首を振る。
「ただ、“冬までに何人死なせずに済むか”という数字だけは、共有していただきたい」
「お前、本当に変な女だな」
カイは頭を掻きながら笑った。
「ラルスの件もそうだが……。
殴るかどうかを『赤字かどうか』で決める文官なんざ、聞いたことがねえ」
「正確な基準だと思っています」
自分で言いながら、胸の奥が少しざわついた。
人間を箱や袋と同じように数えることに、嫌悪を覚える自分と、
それをしなければ守れない人数がいると知っている自分が、同じ場所にいる。
シュアラは机の端に、新しい紙を一枚引き寄せた。
上部に、ペン先で文字を刻む。
『ヴァルム帳簿(仮)』
その下に、小さく書き足す。
『優先順位:冬に死なせないこと』
カイがそれを覗き込み、鼻で笑った。
「物騒な帳簿だな」
「帝都のよりは、少しだけ優しいつもりです」
「どこがだよ」
「一応、『誰を切り捨てるか』の欄は、まだ作っていませんから」
真顔で言うと、カイは頭を抱えた。
「……お前の『優しい』の基準、分かんなくなるな」
「分からなくなったら、そのつど殴って止めてください」
「殴るのが前提かよ」
カイは呆れたように笑い、それきり少しだけ表情を引き締めた。
「ラルスの話だが」
彼はマグカップを指で叩きながら言う。
「盗んだ分を働かせて返させるって案、乗る」
「ありがとうございます」
「ただし、ひとつ条件だ」
「条件?」
「同じことをもう一度やったら、そのときは俺が殴る」
椅子の背にもたれ、目を細める。
「どれだけお前が計算しても、二度目は止めるな」
シュアラは少しだけ考え、それから頷いた。
「再利用の余地がなくなったら、そのときは処罰に切り替えます」
「最初からそう言え」
ぶっきらぼうな言葉。
だが、さっきまでよりも、カイの目の濁りは薄くなっているように見えた。
彼女はその変化を、観察として胸の中に留める。
紙束をまとめ、手帳を開く。
新しいページの上部に、ペン先で文字を刻んだ。
『ヴァルム盤:砦と三村』
少し間を空けて、その下にもう一行。
『方針:処罰より使い道』
「……物騒な見出しだな」
向かいから、カイの声が落ちてくる。
彼は椅子の背にもたれ、片肘を机に乗せたまま、眠気と疲労の混ざった目でこちらを眺めている。
その奥に、薄く笑いが浮かんでいた。
「仕事の名前は、分かりやすくあるべきです」
シュアラは顔を上げずに答えた。
「中身はもっと物騒ですよ。人を殴るより酷いことをします」
「おい」
カイが眉をひそめる。
「殴るより酷ぇって、本人の前で平然と言うな」
「事実ですから」
淡々と返すと、カイは短く息を吐いた。
「……まあいい。お前の『酷ぇやり方』で、この冬の死人が減るなら、文句はあとでまとめて言う」
「まとめて、ですか」
「ああ。三ヶ月後にな」
そう言って、カイは椅子から立ち上がった。
外套を掴み、肩にひっかける。
「ゲルトにも伝えとけ。『殴りかけた兵を止めた分、仕事が増える』ってな」
「それは団長が自分で伝えるべき内容では?」
「やだね」
ぶっきらぼうに言い捨てて、カイは扉へ向かう。
取っ手に手をかけたところで、ふと振り返った。
「……明日の村回りのときだが」
「はい」
「あの『冬の倉』の話、村の連中にもしてやれ」
カイの声は低いが、その中にわずかな期待の色が混ざっていた。
「分かりやすくな。難しい言葉ばっかり並べてみろ、
俺が一行に要約してやる」
「それは助かります」
シュアラも、わずかに笑った。
「団長の要約は、だいたい正確ですから」
「……褒めてんのか、それ」
「はい。多分」
カイは呆れたように笑い、それきり何も言わずに部屋を出ていった。
扉が閉まる音が、静かに響く。
シュアラは一度だけ深く息を吐き、机の上の帳簿に手を伸ばした。
まだ乾ききらないインクの匂いと、窓の隙間から入り込む冷たい空気。
その境目に、自分たちだけの天秤がぶら下がっていると、彼女は理解していた。
窓の外では、灰色の雲がさらに低く垂れ込めている。
雪になるか雨になるか、まだ迷っている空だ。
カイは胡坐のまま、マグカップを口元に運び、冷めかけた湯をひと口飲んで顔をしかめた。
「さっきの話だが」
彼がマグカップを机に置く。
木の板を叩く鈍い音が、小さな部屋に広がった。
「粉と鉄と水を回すってのは分かった。
だが、お前の天秤の絵、もう一つ皿があったろ」
シュアラは一瞬だけ目を伏せ、天秤の紙を引き寄せた。
片方の皿には「ヴァルム砦と三村」。
もう片方には、小さく「帝都」 とだけ書かれている。
その下に、細い線で別の天秤が描き足してあった。
カイの視線がそこに落ちる。
「これは何だ」
「ヴァルムだけで持つ、もう一枚の皿です」
シュアラは、丁寧に言葉を選んだ。
「帝都の皿と同じ高さに置くとは言いません。
ただ、まったく別物としても扱いたくない」
「分かるようで、分からん言い方だな」
カイが眉をひそめる。
「もっと単純に言え」
「はい」
シュアラは深呼吸を一つした。
「帝都の役人たちが見ている地図と、私たちの足が踏んでいる雪の地図は違います」
羊皮紙の上に指で線を引きながら続ける。
「帝都から見れば、この砦と三つの村は、『冬に七割死んでも仕方ない辺境』です」
「……その数字を最初に言ったの、お前だろ」
「父と帝都の役人たちが計算した数字です」
声が少しだけ硬くなる。
「私は、その数字をもとに『帝国破産の帳簿』を書きました。
けれど、その帳簿の中では、この砦にいる誰の顔も、名前も、載っていません」
父が最後に笑って見せた顔が、一瞬、脳裏をかすめる。
あのとき、彼は数字しか持てなかった。
だからこそ、シュアラは今、数字以外のものを机の上に並べている。
「ここでは、違う帳簿を使いたいんです」
「違う帳簿?」
「はい。帝都の帳簿とは別に、ヴァルムだけの帳簿を」
シュアラは、天秤の台座に小さく「ヴァルム」と書き込んだ。
「帝国の中に、小さく折りたたんだ一枚を差し込むだけです。
帝都の命令を全部無視するわけではありません。
ただ、ここで死ぬかどうかを決める数字だけは、自分たちで持っていたい」
「……帝国を見捨てる気か」
カイの声が、さっきより低く落ちる。
いつもの投げやりな調子ではない。
戦場で敵影を見つけたときの、固く締めた声だ。
シュアラは、彼の視線を正面から受け止めた。
(この人は、自分の足で裏切るつもりがない)
帝都に失望しても、己の手で背を向けることはしない。
そういう種類の真面目さだ。
だからこそ、ここで嘘を混ぜるわけにはいかない。
「今のところ、そのつもりはありません」
シュアラは、はっきりと言った。
「ただ――帝都に見捨てられたとき、こちらからも背を向けられる選択肢くらいは、持っていたいと思います」
カイの眉がぴくりと動く。
「選択肢、ねえ」
「はい」
シュアラは、膝の上で指を組み直した。
「『帝国を守る』と決めた騎士と、『帝国を壊す』と決めた反乱者のあいだに、
『帝国を使うか切るかを、自分たちで選ぶ』側を一つ置きたいんです」
「普通はそこに、自分の名前を並べねえんだよ、文官」
「そうでしょうか」
「そうだ」
カイは頭をかいた。
「帝国に仕える騎士は、『帝国を守る』って言う。
帝国を憎んでる連中は、『ぶっ壊してやる』って言う。
『どっちでもいいから、選ぶ権利を寄こせ』なんて言い出すのは――」
「珍しいですか」
「お前が初めてだな」
その言葉には、わずかな愉快さが混ざっていた。
シュアラは、自分の胸の内で、天秤の針が少しだけ振れるのを感じる。
(「危険人物」としてではなく、「変な女」として認識されましたね)
帝都では、前者になることしか許されなかった。
ここでは、どうやら後者で済む余地がある。
「帝都の帳簿では、私は『もう死んだ人間』として処理されています」
懐から、折り畳んだ封筒の縁を指でなぞる。
まだ署名されていない、自分の死亡届。
「だからこそ、ここでは“死なせない側”に回りたいんです」
カイはしばらく黙ったまま、天井の煤の跡をじっと見ていた。
やがて、短く息を吐く。
「……理解はできる」
ぼそりと呟くように言う。
「納得できるかどうかは、正直まだ怪しいがな」
「納得していただく必要はありません」
シュアラは首を振る。
「ただ、“冬までに何人死なせずに済むか”という数字だけは、共有していただきたい」
「お前、本当に変な女だな」
カイは頭を掻きながら笑った。
「ラルスの件もそうだが……。
殴るかどうかを『赤字かどうか』で決める文官なんざ、聞いたことがねえ」
「正確な基準だと思っています」
自分で言いながら、胸の奥が少しざわついた。
人間を箱や袋と同じように数えることに、嫌悪を覚える自分と、
それをしなければ守れない人数がいると知っている自分が、同じ場所にいる。
シュアラは机の端に、新しい紙を一枚引き寄せた。
上部に、ペン先で文字を刻む。
『ヴァルム帳簿(仮)』
その下に、小さく書き足す。
『優先順位:冬に死なせないこと』
カイがそれを覗き込み、鼻で笑った。
「物騒な帳簿だな」
「帝都のよりは、少しだけ優しいつもりです」
「どこがだよ」
「一応、『誰を切り捨てるか』の欄は、まだ作っていませんから」
真顔で言うと、カイは頭を抱えた。
「……お前の『優しい』の基準、分かんなくなるな」
「分からなくなったら、そのつど殴って止めてください」
「殴るのが前提かよ」
カイは呆れたように笑い、それきり少しだけ表情を引き締めた。
「ラルスの話だが」
彼はマグカップを指で叩きながら言う。
「盗んだ分を働かせて返させるって案、乗る」
「ありがとうございます」
「ただし、ひとつ条件だ」
「条件?」
「同じことをもう一度やったら、そのときは俺が殴る」
椅子の背にもたれ、目を細める。
「どれだけお前が計算しても、二度目は止めるな」
シュアラは少しだけ考え、それから頷いた。
「再利用の余地がなくなったら、そのときは処罰に切り替えます」
「最初からそう言え」
ぶっきらぼうな言葉。
だが、さっきまでよりも、カイの目の濁りは薄くなっているように見えた。
彼女はその変化を、観察として胸の中に留める。
紙束をまとめ、手帳を開く。
新しいページの上部に、ペン先で文字を刻んだ。
『ヴァルム盤:砦と三村』
少し間を空けて、その下にもう一行。
『方針:処罰より使い道』
「……物騒な見出しだな」
向かいから、カイの声が落ちてくる。
彼は椅子の背にもたれ、片肘を机に乗せたまま、眠気と疲労の混ざった目でこちらを眺めている。
その奥に、薄く笑いが浮かんでいた。
「仕事の名前は、分かりやすくあるべきです」
シュアラは顔を上げずに答えた。
「中身はもっと物騒ですよ。人を殴るより酷いことをします」
「おい」
カイが眉をひそめる。
「殴るより酷ぇって、本人の前で平然と言うな」
「事実ですから」
淡々と返すと、カイは短く息を吐いた。
「……まあいい。お前の『酷ぇやり方』で、この冬の死人が減るなら、文句はあとでまとめて言う」
「まとめて、ですか」
「ああ。三ヶ月後にな」
そう言って、カイは椅子から立ち上がった。
外套を掴み、肩にひっかける。
「ゲルトにも伝えとけ。『殴りかけた兵を止めた分、仕事が増える』ってな」
「それは団長が自分で伝えるべき内容では?」
「やだね」
ぶっきらぼうに言い捨てて、カイは扉へ向かう。
取っ手に手をかけたところで、ふと振り返った。
「……明日の村回りのときだが」
「はい」
「あの『冬の倉』の話、村の連中にもしてやれ」
カイの声は低いが、その中にわずかな期待の色が混ざっていた。
「分かりやすくな。難しい言葉ばっかり並べてみろ、
俺が一行に要約してやる」
「それは助かります」
シュアラも、わずかに笑った。
「団長の要約は、だいたい正確ですから」
「……褒めてんのか、それ」
「はい。多分」
カイは呆れたように笑い、それきり何も言わずに部屋を出ていった。
扉が閉まる音が、静かに響く。
シュアラは一度だけ深く息を吐き、机の上の帳簿に手を伸ばした。
まだ乾ききらないインクの匂いと、窓の隙間から入り込む冷たい空気。
その境目に、自分たちだけの天秤がぶら下がっていると、彼女は理解していた。
11
あなたにおすすめの小説
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。
すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。
だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。
イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。
変わり果てた現実を前に、
夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。
深い後悔と悲しみに苛まれながら、
失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。
しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。
贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。
そして、母の心を知っていく子供たち。
イネスが求める愛とは、
そして、幸せとは――。
婚約破棄で悪役令嬢を辞めたので、今日から素で生きます。
黒猫かの
恋愛
「エリー・オルブライト! 貴様との婚約を破棄する!」
豪華絢爛な夜会で、ウィルフレッド王子から突きつけられた非情な宣告。
しかし、公爵令嬢エリーの心境は……「よっしゃあ! やっと喋れるわ!!」だった。
身代わりで呪いの公爵に嫁ぎましたが、聖女の力で浄化したら離縁どころか国一番の溺愛妻になりました〜実家が泣きついてももう遅い〜
しょくぱん
恋愛
「お前のような無能は、死神の生贄にでもなっていろ」
魔力なしの無能と蔑まれ、家族に虐げられてきた伯爵令嬢レティシア。 彼女に命じられたのは、近づく者すべてを病ませるという『呪いの公爵』アレクシスへの身代わり結婚だった。
鉄格子の馬車で運ばれ、たどり着いたのは瘴気に満ちた死の城。 恐ろしい怪物のような男に殺される――。 そう覚悟していたレティシアだったが、目の前の光景に絶望よりも先に別の感情が湧き上がる。
(な、何これ……汚すぎるわ! 雑巾とブラシはどこ!?)
実は、彼女が「無能」と言われていたのは、その力が『洗浄』と『浄化』に特化した特殊な聖女の魔力だったから。
レティシアが掃除をすれば、呪いの瘴気は消え去り、枯れた大地には花が咲き、不気味だった公爵城はまたたく間にピカピカの聖域に塗り替えられていく。 さらには、呪いで苦しんでいたアレクシスの素顔は、見惚れるほどの美青年で――。
「レティシア、君は一体何者なんだ……? 体が、こんなに軽いのは初めてだ」
冷酷だったはずの公爵様から、まさかの執着と溺愛。 さらには、呪いが解けたことで領地は国一番の豊かさを取り戻していく。
一方で、レティシアを捨てた実家は、彼女の『浄化』を失ったことで災厄に見舞われ、今さら「戻ってきてくれ」と泣きついてくるが……。
「私は今、お城の掃除と旦那様のお世話で忙しいんです。お引き取りくださいませ」
これは、掃除を愛する薄幸令嬢が、その愛と魔力で死神公爵を救い、最高に幸せな居場所を手に入れるまでのお話。
なぜ、私に関係あるのかしら?
シエル
ファンタジー
「初めまして、アシュフォード公爵家一女、セシリア・アシュフォードと申します」
彼女は、つい先日までこの国の王太子殿下の婚約者だった。
そして今日、このトレヴァント辺境伯家へと嫁いできた。
「…レオンハルト・トレヴァントだ」
非道にも自らの実妹を長年にわたり虐げ、婚約者以外の男との不適切な関係を理由に、王太子妃に不適格とされ、貴族学院の卒業式で婚約破棄を宣告された。
そして、新たな婚約者として、その妹が王太子本人から指名されたのだった。
「私は君と夫婦になるつもりはないし、辺境伯夫人として扱うこともない」
この判断によって、どうなるかなども考えずに…
※ 中世ヨーロッパ風の世界観です。
※ ご都合主義ですので、ご了承下さい、
※ 画像はAIにて作成しております
『外見しか見なかったあなたへ。私はもう、選ぶ側です』
鷹 綾
恋愛
「お前のようなガキは嫌いだ」
幼く見える容姿を理由に、婚約者ライオネルから一方的に婚約を破棄された
公爵令嬢シルフィーネ・エルフィンベルク。
その夜、嫉妬に狂った伯爵令嬢に突き落とされ、
彼女は一年もの間、意識不明の重体に陥る――。
目を覚ました彼女は、大人びた美貌を手に入れていた。
だが、中身は何ひとつ変わっていない。
にもかかわらず、
かつて彼女を「幼すぎる」と切り捨てた元婚約者は態度を一変させ、
「やり直したい」とすり寄ってくる。
「見かけが変わっても、中身は同じです。
それでもあなたは、私の外見しか見ていなかったのですね?」
静かにそう告げ、シルフィーネは過去を見限る。
やがて彼女に興味を示したのは、
隣国ノルディアの王太子エドワルド。
彼が見ていたのは、美貌ではなく――
対話し、考え、異論を述べる彼女の“在り方”だった。
これは、
外見で価値を決められた令嬢が、
「選ばれる人生」をやめ、
自分の意思で未来を選び直す物語。
静かなざまぁと、
対等な関係から始まる大人の恋。
そして――
自分の人生を、自分の言葉で生きるための物語。
---
王子、おひとり様で残りの人生をお楽しみください!
ちゃっぴー
恋愛
「ラーニャ、貴様との婚約を破棄する!」
卒業パーティーの真っ最中、ナルシストな第一王子ウィルフレッドに身に覚えのない罪で断罪された公爵令嬢ラーニャ。しかし、彼女はショックを受けるどころか、優雅に微笑んで拍手を送った。
なぜなら、ラーニャはとっくに王子の無能さに愛想を尽かし、この日のために完璧な「撤退準備」を進めていたからだ。
お前のような地味な女は不要だと婚約破棄されたので、持て余していた聖女の力で隣国のクールな皇子様を救ったら、ベタ惚れされました
夏見ナイ
恋愛
伯爵令嬢リリアーナは、強大すぎる聖女の力を隠し「地味で無能」と虐げられてきた。婚約者の第二王子からも疎まれ、ついに夜会で「お前のような地味な女は不要だ!」と衆人の前で婚約破棄を突きつけられる。
全てを失い、あてもなく国を出た彼女が森で出会ったのは、邪悪な呪いに蝕まれ死にかけていた一人の美しい男性。彼こそが隣国エルミート帝国が誇る「氷の皇子」アシュレイだった。
持て余していた聖女の力で彼を救ったリリアーナは、「お前の力がいる」と帝国へ迎えられる。クールで無愛想なはずの皇子様が、なぜか私にだけは不器用な優しさを見せてきて、次第にその愛は甘く重い執着へと変わっていき……?
これは、不要とされた令嬢が、最高の愛を見つけて世界で一番幸せになる物語。
勘当された悪役令嬢は平民になって幸せに暮らしていたのになぜか人生をやり直しさせられる
千環
恋愛
第三王子の婚約者であった侯爵令嬢アドリアーナだが、第三王子が想いを寄せる男爵令嬢を害した罪で婚約破棄を言い渡されたことによりスタングロム侯爵家から勘当され、平民アニーとして生きることとなった。
なんとか日々を過ごす内に12年の歳月が流れ、ある時出会った10歳年上の平民アレクと結ばれて、可愛い娘チェルシーを授かり、とても幸せに暮らしていたのだが……道に飛び出して馬車に轢かれそうになった娘を助けようとしたアニーは気付けば6歳のアドリアーナに戻っていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる