死んだことにした悪役令嬢、 辺境で騎士団長に溺愛されつつ帝国を建て直します

桃我タロー

文字の大きさ
61 / 70
第二章 マリーハイツ公約編

第三十八話 公約草案と帝都の影(1)

しおりを挟む
 役所の二階の一番奥にある部屋は、海から離れているはずなのに、かすかに潮の匂いがした。

 石壁に囲まれた長方形の部屋。窓は町の方と港の方に一つずつ。広すぎない木の机が中央に二つ並べられ、その片方の端に、シュアラは青い帳面と数枚の紙をきちんと積み上げていた。

 壁際には、粗末な黒板が一枚、斜めに立てかけられている。
 もとは子どもたちの読み書きに使っているらしく、角は欠け、表面には消しきれない白い粉の跡が残っていた。

「……では、始めてもよろしいでしょうか」

 椅子に腰を下ろした男たちが、一斉にこちらを見る。
 マリーハイツ町長代理のクラウス。その隣に、魚商人と思しき男が二人。もう一人は網元か船主だろう。肩幅が広く、日焼けした首元に太い縄の跡が刻まれている。端には、若い書記官が紙束を抱えて座っていた。

 カイは壁際に背を預け、腕を組んで立っている。
 フィンは扉のそばに陣取り、外との出入りを目で追っていた。その向こう、廊下の突き当たりには、零札の男たちが、場違いな礼服を着せられたみたいな顔で固まっている。会議室に押し込むにはいかつすぎるので、廊下で待機することになったのだ。

「遠路はるばる、雪の砦からようこそ」

 クラウスが咳払いを一つした。

「本来ならこちらから条件をお示しすべきところですが……まずは、あなたが考えている『公約』とやらを聞かせていただけますか」

「はい」

 シュアラは椅子を離れ、黒板の前に歩み出た。
 布で隠した頬の内側で、一度だけ浅く息を吸う。

(数字の話は、できるだけ単純に)

 チョークを手に取り、黒板の左端に小さな山の絵を描いた。尖った三角形をいくつか連ね、そのふもとに四角い砦の印を付ける。

「こちらが、ヴァルム砦と、その周辺の村々です」

 次に、黒板の右端に、半円形の湾と、白い家を模した四角をいくつか描く。

「こちらが、マリーハイツ」

 最後に、二つの間をまたぐ位置、上の方に、大きく「帝都」と書いた丸を一つ。

「現在、帝都の帳簿の上では、このようになっています」

 山と帝都の丸の間に一本の線を引き、その途中に小さな丸をいくつか挟んでいく。

「ヴァルムからの穀物や鉱石は、一度、内陸の交易都市を経由して帝都に集められます」

 続けて、帝都からマリーハイツへ向けて線を伸ばし、その途中にもいくつか丸を描いた。

「そして帝都から、海路の管理者を通して、マリーハイツに送られる。あるいは、別の港町に送られる」

 途中の丸の一つを、チョークの先で軽く叩く。

「この丸一つが、帝都の言うところの『管理のための費用』です」

 魚商人の一人が鼻を鳴らした。

「ええ、まあ……そういうことになっております」

 クラウスが苦笑する。

「魚や魔導素材の方も、似たようなものですか?」

「はい。マリーハイツから帝都へ向かうときも同じです」

 今度は、湾から帝都へ向かう線を描き、その途中に同じような丸をいくつか足していく。

「あなた方の町から帝都に向かう際にも、管理費と称した中継が複数挟まっています。パン屋のツケのようなものだとお考えください」

「パン屋のツケ?」

 縄跡の男が首をかしげた。

「はい。村の誰かが、毎朝パン屋からパンを借りていくとします」

 シュアラは、黒板の下の空いたところに、小さな家とパン屋の絵を描いた。

「その人が、毎日きちんと支払えばいいのですが、たまに払い忘れる。するとパン屋は、帳簿の隅に『ツケ』を書き溜めていきます」

「あるな」

 魚商人が、隣の男と目を見合わせる。

「あるどころか、うちの客の顔が浮かんだ」

「ある日、その村人がまとめて支払えなくなったとき、パン屋は困ります。そこで――」

 家とパン屋の間に、「仲介人」と書いた棒人間を一人描く。

「帝都が『仲介人』として間に入り、『ツケ』をまとめて肩代わりする。代わりに、村人には利息を上乗せして請求する。その利息が、『手数料』です」

「……身に覚えのある話だな」

 縄跡の男が、苦い顔で呟いた。

「マリーハイツと帝都の関係も、これに似ています」

 シュアラは、帝都とマリーハイツの間に描いた丸を一つ指先で叩いた。

「帝都は、北方海路の安全と、魔導水庭の維持の名目で『ツケの肩代わり』をしています。その代わりに、手数料を上乗せする。ここまでは、帝都の理屈としては筋が通っています」

「筋が通っているなら、文句の付けようがないな」

 クラウスが、半分本気、半分皮肉で言う。

「問題は、あなた方がその理屈で納得しているかどうかです」

 シュアラは、静かに続けた。

「今の帝都案では、こうです」

 黒板の山と湾の間を、帝都を経由してつなぐ長い線を、二度ほど強くなぞる。

「ヴァルム→帝都→マリーハイツ」

 次に、その帝都を迂回するように、山と湾をまっすぐ結ぶ線を一本引いた。

「私の案は、こちらです」

 一本の短い線。

「ヴァルム→マリーハイツ」

 部屋の空気が、わずかに動いた。
 窓際の地図が、潮風に揺れる。

「帝都を通さないと、怒られないか」

 クラウスが、慎重な声で口を開いた。

「帝都は、そう簡単に『怒る』という手段を使いません」

 シュアラは、チョークの粉を指先で払い落とす。

「怒る前に、計算します。『この港町を切り捨てた場合と、そのまま生かしておいた場合、どちらが得か』」

 魚商人たちが、顔を見合わせた。

「帝都にとって、マリーハイツは『深海魔導の研究拠点』であり、『北方海路の玄関口』です」

 黒板の湾の部分を、軽く丸で囲む。

「そう簡単に、捨てられる場所ではありません」

「だからって、安心できる話じゃないがな」

 クラウスが、頬の髭をなでた。

「帝都の計算が狂ったとき、沈められるのは、たいてい数字の外側にいる方ですよ」

「ええ。その通りです」

 シュアラは、あっさりと肯定した。

「だからこそ、こちら側で先に数字を用意しておきたいのです」

 彼女は黒板の隣に、あらかじめ用意していた紙を一枚貼り付ける。左に「帝都経由案」、右に「ヴァルム直行案」と書かれた簡単な表だ。

「帝都経由案では、魚と魔導素材を帝都に売った際、手数料として一割から二割が天引きされます」

 右側の欄には「手数料なし」と記してある。

「直行案では、その分を丸ごとこちら側とヴァルムで山分けできます」

「山分け、ね」

 魚商人が喉の奥で笑った。

「分かりやすい話だ」

「ただし」

 シュアラは、左の欄を指で押さえた。

「帝都経由案には、『深海魔導の技術支援』という項目がついてきます」

 部屋の空気が、目に見えないところで硬くなる。

「港の防波堤の修復。魔導水庭の維持。大嵐の際の緊急防御」

 ロッタ魔導水庭の青い光が、窓の外で一瞬だけ頭をよぎる。

「直行案では、その支援をどう扱うか、別途決める必要があります」

「……ようやく本音が見えてきたな」

 縄跡の男が低く言った。

「帝都は、『深海の魔女』とやらの力を握っている。あれをちらつかせながら、『お前らの港を守ってやるから、ちゃんと税を払え』と言ってくるわけだ」

「私の立場からは、それを否定も肯定もできません」

 シュアラは目を伏せる。

「ただ、少なくとも、十年前の嵐の夜にこの港を守ったのは――帝都ではなく、この町の娘だったと、私は聞きました」

 机の上に置かれたクラウスの手が、わずかに強く握られた。
 視線が一瞬だけ揺れ、すぐに元の落ち着いた色を取り戻す。

「本題に戻ります」

 シュアラは、黒板の前に姿勢を正した。

「私の案では、ヴァルムとマリーハイツの間に一本の航路を引きます。ただし――」

 帝都とマリーハイツの間の線は消さずに残したまま、小さく指で叩く。

「この航路の収支は、帝都の帳簿には載りません。その代わり、こちら側で別の帳簿を一冊用意します」

「別の、帳簿?」

 若い書記官が顔を上げる。

「一冊は、帝都に提出する帳簿。もう一冊は、マリーハイツとヴァルムのための帳簿です」

 シュアラは、青い帳面を軽く持ち上げて見せた。

「帝都の帳簿には、今まで通り『北方海路全体の収支』だけを書いておきます。その裏で、この町と砦の間の細かいやり取りは、こちら側の帳簿にだけ記録する」

 短い沈黙が落ちた。

 魚商人の一人が、椅子をきしませる。

「……それはつまり、帝都から見たら、裏帳簿ってやつじゃねえのか」

 クラウスが、遠慮のない言い方で口火を切った。

 若い書記官が、小さく咳き込む。ペン先が紙の端をかすめて黒い筋を引いた。

「帝都から見れば、そう呼ばれるかもしれません」

 シュアラは、否定しなかった。

「ただ、その裏帳簿が『誰も沈めないために必要な記録』だとしたら――それをどう扱うかは、あなた方自身に決めていただくしかありません」

「誰も沈めない、ね」

 縄跡の男が肩をすくめる。

「沈む順番を決めて紙に書いてきたのは、あんたら帝都の仕事だろうに」

「ええ。だからこそ、そこを書き換えたいのです」

 シュアラは、声の温度を少しだけ下げた。

「帝都の帳簿には、すでに『沈む順番』が書かれています。どの村を先に切り捨てるか。どの港を後回しにするか。どの船を『損耗許容』に分類するか」

「……あんた、それを実際に見てきた口か」

 クラウスが、探るように問う。

「ええ」

 淡々と頷く。

「だからこそ、ここで一本だけ、別の線を引きたいのです」

 黒板に描いた「ヴァルム→マリーハイツ」の線を、もう一度なぞる。

 窓の外で、かもめの鳴き声が遠く響いた。

「話としては、よく分かりました」

 やがて、クラウスが口を開く。

「帝都案より、こっちの方が儲かる、というのも、頭では理解できます」

 魚商人たちも、渋い顔ながら頷いた。

「でも?」

 壁際のカイが、短く水を向ける。

「でも、だ」

 クラウスは両手を組み、机の上で指を組み替えた。

「帝都は、好んで怒りはしないかもしれないが――機嫌を損ねた相手に、どんな『計算結果』を返してくるか分からない」

 彼は、港の方角の窓を一瞥した。

「『深海の魔女』の力は、今や帝都の手の中にある、と皆が言う」

 魚商人の一人が、低く続ける。

「その力を使って港を守ってもらってる間はいい。だが、別の計算をされたときに、『あの娘』をどう使うかなんて、俺たちには読めねえ」

 部屋の空気が、また少し重くなった。

「あなた方の不安は理解できます」

 シュアラは素直に頷いた。

「私自身も、その計算結果を完全には読めません。最悪の場合、この抜け道ごと切り捨てられる可能性も、ゼロではありません」

「読めないのに、抜け道を作ろうとしているのか?」

 縄跡の男が、目を細める。

「はい」

 迷いなく答える。

「だからこそ、二つの帳簿を用意する必要があります。一つは、帝都のための帳簿。もう一つは、この町とヴァルムのための帳簿」

 シュアラは青い帳面を指で叩いた。

「ここに書くのは、『沈んでもいい人間』のリストではなく、『沈ませたくない名前』です。帳簿の名前は、帝都に決めさせません」

 短い沈黙。

 クラウスが、小さく息を吐いた。

「今、ここで『乗った』と言えれば、話は早いんだがな」

 苦笑まじりの声。

「帝都の目が、すでにこっちに向いているから、ですね」

 フィンがぽつりと言った。

「そういうことだ」

 クラウスは頷き、机の端に置いていた封筒を指先で押し出した。

「帝国海務院からの公文書だ。『北方海路安全性評価および深海契約運用状況確認のため、マリーハイツ港に視察団を派遣する』――そう書いてある」

「だからこそ、だ」

 彼は封筒を机の上に戻し、手を組み直した。

「今ここで、帝都に黙って新しい公約を結ぶわけにはいかない」

「……海務院の視察団が来るまで、ということですか」

「そうだな。少なくとも、帝都の顔を一度は見てからだ」

 クラウスは、隣の書記官に目配せした。
 若い役人が、慌てて紙とペンを手に取る。

「だから、今出せる答えは一つだけだ」

 クラウスは、ゆっくりと言った。

「『検討』」

 ペン先が、紙の上にその二文字を書き込む。

「マリーハイツ町としては、ヴァルム砦からの公約案を『検討する』。海務院の視察団の意見も聞いた上で、改めて返答する」

 魚商人たちが、小さく溜息をついた。
 期待と警戒とが入り混じった、居心地の悪い空気。

「……悪い話じゃないんだがな」

 縄跡の男が、ぼそりと漏らす。

「帝都を通さない方が儲かるってのは、どう考えても分かりやすいんだが」

「だからこそ、余計に怖いんでしょう」

 フィンが、小さな声で付け加えた。

「分かりやすく得な話には、大体、見えない穴があく」

「穴を埋めるために、こちらはここに来ています」

 シュアラは青い帳面を閉じた。

「『検討』で構いません。その二文字を帝都にも送ってください。マリーハイツが、自分で考えようとしていると伝わるように」

「……あんた、本当に死人か?」

 クラウスが、半ば呆れたように笑う。

「死人のくせに、やけにしぶとく息をしている」

「私はもう、帝都の帳簿では死んでおりますので」

 シュアラは、微笑ともつかない表情で一礼した。

「せめてこちら側の帳簿では、もう少しだけ足掻かせてください」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

感情の無い聖女様は、公爵への生贄にされてしまいました

九条 雛
恋愛
「――私など、ただの〝祈り人形〟でございます。人形に感情はありませぬ……」 悪逆非道の公爵の元へと生贄として捧げられてしまった聖女は、格子の付いた窓を見上げてそう呟く。 公爵は嗜虐に満ちた笑みを浮かべ言い放つ。 「これからは、三食きちんと食べてもらおう。こうして俺のモノとなったからには、今までのような生活を送れるとは思わぬことだな」 ――これは、不幸な境遇で心を閉ざしてしまった少女と、その笑顔を取り戻そうとする男の物語。

一途に愛した1周目は殺されて終わったので、2周目は王子様を嫌いたいのに、なぜか婚約者がヤンデレ化して離してくれません!

夢咲 アメ
恋愛
「君の愛が煩わしいんだ」 婚約者である王太子の冷たい言葉に、私の心は砕け散った。 それから間もなく、私は謎の襲撃者に命を奪われ死んだ――はずだった。 死の間際に見えたのは、絶望に顔を歪ませ、私の名を叫びながら駆け寄る彼の姿。 ​……けれど、次に目を覚ました時、私は18歳の自分に戻っていた。 ​「今世こそ、彼を愛するのを辞めよう」 そう決意して距離を置く私。しかし、1周目であれほど冷酷だった彼は、なぜか焦ったように私を追いかけ、甘い言葉で縛り付けようとしてきて……? ​「どこへ行くつもり? 君が愛してくれるまで、僕は君を離さないよ」 ​不器用すぎて愛を間違えたヤンデレ王子×今世こそ静かに暮らしたい令嬢。 死から始まる、執着愛の二周目が幕を開ける!

『処刑されるたびに12歳に戻る悪役令嬢、7回目の人生は「何もせず寝て過ごす」ことに決めたら、なぜか周囲が勝手に勘違いして聖女扱いされています

六角
恋愛
公爵令嬢リリアーナは、18歳の誕生日に必ず断罪・処刑されては12歳に戻るという地獄のループを6回も繰り返していた。 真面目に努力しても、剣を極めても、裏社会を支配しても、結局は殺される運命。 心折れた彼女は、7回目の人生でついに決意する。 「もう頑張らない。どうせ死ぬなら、今回はひたすら寝て過ごそう」と。 しかし、安眠を求めて「うるさい」と敵を黙らせれば『王者の覇気』と恐れられ、寝ぼけて放った魔法は『神の奇跡』と崇められ、枕への異常なこだわりは『深遠なる儀式』と誤解されてしまう。 気がつけば、ストーカー気味のヤンデレ王子、パン屋の元ヒロイン、狂犬の如きライバル令嬢、元部下の暗殺者、そして不眠症の魔王までもが彼女の信者となり、リリアーナは意図せずして国を、そして世界を救う「最強の聖女」へと祭り上げられていく。 「お願いだから、私を寝かせて!」 睡眠欲だけで運命(システム)さえもねじ伏せる、無気力悪役令嬢の痛快勘違いサクセス(?)ストーリー!

酔っぱらい令嬢の英雄譚 ~チョコレートを食べていたら、いつの間にか第三王子を救っていたようです!~

ゆずこしょう
恋愛
婚約者と共に参加するはずだった、 夜会当日── 婚約者は「馬車の予約ができなかった」という理由で、 迎えに来ることはなかった。 そして王宮で彼女が目にしたのは、 婚約者と、見知らぬ女性が寄り添う姿。 領地存続のために婿が必要だったエヴァンジェリンは、 感情に流されることもなく、 淡々と婚約破棄の算段を立て始める。 目の前にあった美味しいチョコレートをつまみながら、 頭の中で、今後の算段を考えていると 別の修羅場が始まって──!? その夜、ほんの少しお酒を口にしたことで、 エヴァンジェリンの評価と人生は、 思いもよらぬ方向へ転がり始める── 2月11日 第一章完結 2月15日 第二章スタート予定

拾った年上侯爵が甘え上手すぎて、よしよししてたら婚約することになりました

星乃和花
恋愛
⭐︎火木土21:00更新ー本編8話・後日談8話⭐︎ 王都の市場で花屋をしているリナは、ある朝―― 路地裏で倒れている“美形の年上男性”を拾ってしまう。 熱で弱っているだけ……のはずが、彼はなぜか距離が近い。 「行かないで」「撫でて」「君がいると回復する」 甘えが上手すぎるうえに、褒め方までずるい。 よしよし看病してあげていたら、いつの間にか毎日市場に現れるようになり、 気づけば花屋は貴族の面会所(?)になっていて―― しかも彼の正体は、王都を支える侯爵家の当主だった!? 「君は国のために必要だ(※僕が倒れるから)」 年上当主の“甘え策略”に、花屋の心臓は今日ももたない。 ほのぼの王都日常コメディ×甘やかし捕獲ラブ、開幕です。

悪役令嬢を断罪したくせに、今さら溺愛とか都合が良すぎますわ!

nacat
恋愛
侯爵令嬢リディアは、無実の罪で婚約者の王太子に断罪された。 冷笑を浮かべ、すべてを捨てて国外へ去った彼女が、数年後、驚くべき姿で帰ってくる。 誰もが羨む天才魔導師として──。 今さら後悔する王太子、ざまぁを噛みしめる貴族令嬢たち。 そして、リディアをひそかに守ってきた公爵の青年が、ようやく想いを告げる時が来た。 これは、不当な断罪を受けた少女が、自分の誇りと愛を取り戻す溺愛系ロマンス。 すべての「裏切られた少女」たちに捧ぐ、痛快で甘く切ない逆転劇。

お前のような地味な女は不要だと婚約破棄されたので、持て余していた聖女の力で隣国のクールな皇子様を救ったら、ベタ惚れされました

夏見ナイ
恋愛
伯爵令嬢リリアーナは、強大すぎる聖女の力を隠し「地味で無能」と虐げられてきた。婚約者の第二王子からも疎まれ、ついに夜会で「お前のような地味な女は不要だ!」と衆人の前で婚約破棄を突きつけられる。 全てを失い、あてもなく国を出た彼女が森で出会ったのは、邪悪な呪いに蝕まれ死にかけていた一人の美しい男性。彼こそが隣国エルミート帝国が誇る「氷の皇子」アシュレイだった。 持て余していた聖女の力で彼を救ったリリアーナは、「お前の力がいる」と帝国へ迎えられる。クールで無愛想なはずの皇子様が、なぜか私にだけは不器用な優しさを見せてきて、次第にその愛は甘く重い執着へと変わっていき……? これは、不要とされた令嬢が、最高の愛を見つけて世界で一番幸せになる物語。

【短編】婚約破棄?「喜んで!」食い気味に答えたら陛下に泣きつかれたけど、知らんがな

みねバイヤーン
恋愛
「タリーシャ・オーデリンド、そなたとの婚約を破棄す」「喜んで!」 タリーシャが食い気味で答えると、あと一歩で間に合わなかった陛下が、会場の入口で「ああー」と言いながら膝から崩れ落ちた。田舎領地で育ったタリーシャ子爵令嬢が、ヴィシャール第一王子殿下の婚約者に決まったとき、王国は揺れた。王子は荒ぶった。あんな少年のように色気のない体の女はいやだと。タリーシャは密かに陛下と約束を交わした。卒業式までに王子が婚約破棄を望めば、婚約は白紙に戻すと。田舎でのびのび暮らしたいタリーシャと、タリーシャをどうしても王妃にしたい陛下との熾烈を極めた攻防が始まる。

処理中です...