三頭身オンライン~デフォルメキャラで行くVR世界~

太郎

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当面の方針

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「お帰りなさいませマサトシ様。戦果は上々のようですね。ゴブリンの耳が十一、頭骨が三。おめでとうございます。マサトシ様のレベルが2に上がりました。全能の神アデラール様の加護によりステータスが上昇しております。成長は後ほどご確認ください」
 
 予想外だった。レベルの変動は管理局に戻らないと反映されないのか。一般的なゲームなら敵を倒してレベルが上がる都度その場でステータスが上がっていくんだけど、THFでのステータス上昇は神様からの贈り物らしい。

 エマから報酬を受け取り、管理局の入り口に設えてある休憩スペースに向かう。ここでは無料でコーヒーが提供されるので、俺の他にも数人のプレイヤーが小さなコーヒーカップを口に運んでいた。

name :マサトシ
Lv       :2
job     :投擲師 
a-skill:投擲、歌唱
p-skill:スタミナタンク、コンダクター
ステータス
HP:9
MP:6
AT:7
DF:9
DX:14
SP:5

 うん、微々たる成長。まあこんなもんだろう。まずやるべきことはレベル上げと金を貯めて装備を整えることだな。どれだけゲームシステムが進化してもRPGでやるべきことはこれで間違いない。とりあえず武器と防具の相場を調べるか。

 街に出ると、三頭身のキャラクターが行き交うなんとも可愛い世界が広がっている。ほのぼのしてていいな。まあこの中の何割かが魔物討伐を生業にする血なまぐさいプレイヤーなわけだけど。

 街にはNPCが営む武具屋が一軒とプレイヤーが営む武具屋が複数ある。プレイヤーのほうは二週間で店舗を持つのは無理なので露店のような形をとっていた。ほとんどの店がシートの上に剣や槍、杖、弓などのメジャーな武器を並べていて、長籠手を陳列している店はなんとゼロ。今更ながらに自分の職業のマイナーさ加減に落ち込んでしまう。

「長籠手?  いや、作ってないな。俺たち第一陣もまだ金策が必要な段階だからね。まずは売れる物をってことで生産してるんだよ。正直、長籠手や鞭なんかは生産する余裕がないんだ」

 露店商のなかでも年上に見えるプレイヤーに聞いてみるとそう回答があった。そうか、第一陣第二陣とは言ってもその差は二週間。攻略組なら差が出ても、生産職ではそこまで大きな差がつかないか。

「君がよければ受注生産って形で作ってあげるけど」

 その申し出にはまだ始めたばかりで金がないことを理由に断りを入れ、金が溜まったらお願いするかもしれないとだけ伝えてその場を離れた。受注生産なんかいくらになるかわからんからな。先にNPCの店で既製品の値段を確認しよう。

「いらっしゃい!  お、見ねえ顔だな。兄ちゃんも使徒様かい?」

 街の武具屋『熊五郎』に入ると、禿頭髭面のいかにも熊五郎な店主が笑顔で出迎えてくれた。太鼓腹が雪だるまみたいだな。

「長籠手なんて持ってるってこたあ投擲師かよ珍しい。その格好だと駆け出しだな」

 やっぱり珍しいのか。店主にプレイヤーの露店じゃ長籠手を作ってないことを告げるとそりゃそうだと呆れ顔で頷いた。先程のプレイヤーが言ったとおり彼らに売れないものを作る余裕はなく、それはNPCのこの店でも同じらしい。ただ、NPCには全能の神アデラールからの神託として全ての職業に対応できる品揃えが求められているらしい。そのため、一応長籠手などのマイナー武具も取り扱っているそうだ。便利な存在だなアデラール様。

「うちで取り扱ってる長籠手はこの二種類だ。剣や槍なら最低でも五種類はあるんだがなあ」
 
 提示されたのはゴブリンの革を鞣して作られたゴブリンの長籠手。もう一つは鎖を編んで作られた鎖帷子の長籠手。

「ゴブリンの方は特に特徴はねえ。今つけてる布製より多少マシ程度だと思ってくれ。鎖帷子は防御力も上がるぞ。一粒で二度美味しいってやつだ」

 であればゴブリンを選ぶ必要はないな。当面の目標は鎖帷子の長籠手を購入することで決まりだ。防具については後回しでいいだろう。分類上後衛になるはずだし、ソロでもできるだけ届くか届かないかのギリギリで投げてるからまだダメージを受けたことがない。ヤバければ逃げればいいだけの話だ。

 とにかく依頼を受け続けて装備の充実を図り、その後に野良パーティーにでも参加してみよう。


 
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