現代文ドラッグ

書房すけ

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心を育む物

私は犬を殺さない

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 動物の虐殺は倫理的に不適切らしい。


 植物は無駄に刈っても、燃やしても「可愛そう」「倫理的に不適切」などとは言われない。

 それは恐らく、人間が動物に見出した「心」なるものの為であろう。

 「心」の正体は種を適切に維持する為の、種が生み出した機能の一つであると思われる。人間にも勿論「心」の機能があり、「犬や猫などの動物にも心があるだろう」と人間が思うのは、恐らく人間という種の「心」という機能が、哺乳類という共通点を持った犬や猫たちの「心」という機能によって生じた行動に、類似する「心」の機能を感じとった為だと思われる。

 植物から「心」を感じ取れないのは、人間に備わった「心」という機能が、植物にとっての「心」の機能と類似していなかった為に、「心」と感じ取ることができなかったのではないかと思われる。

 この主張は一見「植物にも心があるのだ」という空想にも聞こえるが、単に「動物や植物には、種を維持する為の、性質の似た或る機能が存在するだろう」と言っているだけである。

 進化の過程で維持されてきた以上、「種に備わった種を維持する機能」は植物にも動物にも備わっている、と考えるのが妥当である。

 よって、問題は、その機能を人間が「共感」できるかどうか、ということに帰着する。つまり、倫理的か否か、は「人間が共感できるかどうか」と同義であるといえる。

 人間は、それがあたかも万種の正義であるかのように語るが、実は、人間が自ら勝手に定義した「善」に従う自分自身に、人間にとってプラスになるように、「心」という機能が反応するだけである。それが「倫理」の本質である。

 多くの人が「倫理」に共感するのは当たり前である。共感できるモノが「倫理」として定義されているからである。

 実際、倫理とはこうだ、といっても無意味である。倫理は、共感できるモノが「倫理」である以上、再定義できないからであり、又、もし「倫理」は矛盾している、と主張して、人々の「倫理」に対する「心」の反応が多少変わったとしても、「倫理」の性質上、大義が逸れることは無いからである。


 これは、人間の発展に有益か無益か、という意味での「効率」を求める人たちへの、「効率」という観点での「倫理」の無意味さを説いた文章である。

 有益なら、クローン人間を作れば良いし、動物を虐殺すれば良い。


 ただ、貴方が、「精神的に豊かかどうか」という観点での発展を目指す為の、人間の発展を目指しているなら、その有益無益が殆ど意味をなさないことに注意せねばならない。


 

 

 

 

 

 
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