『「私の目から離れるな」エリート家庭教師は、出来の悪い生徒を分からせる』

kirisu

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【第1話】30点の代償

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カチャリ、と小気味良い金属音が静かな部屋に響いた。 それは、私にとっての『平穏が終わる合図』。

「……先生。今日、お母さんたちは夜まで帰ってこないから、鍵、かけなくてもいいんじゃ……」

私が震える声でそう言うと、久我山(くがやま)先生は眼鏡のブリッジを指先で押し上げ、冷ややかな笑みを浮かべた。

「だめだよ、詩織さん。外の音が聞こえると、君はすぐに集中を切らす。これくらい『密室』の方が、君にはふさわしい」

久我山湊(みなと)——。 私の兄の親友であり、名門・T大に通う超エリート。 普段の彼は、誰に対しても礼儀正しく、爽やかな笑顔を絶やさない「理想のお兄ちゃん」だ。 けれど、この部屋の鍵をかけた瞬間、彼は一変する。 ネクタイを少し緩め、椅子の背もたれに深く体重を預けるその姿は、まるで獲物を追い詰めた肉食獣のような威圧感に満ちていた。

「さて。まずは昨日の確認テストの結果、見せてもらおうか」 「あ……えっと……」

私は鞄の奥に隠していたプリントを、恐る恐る差し出した。 久我山先生はそれをひったくるように受け取ると、無造作に広げる。 真っ白な紙面に躍る、絶望的な数字。

「……30点。一ヶ月教えて、これ?」

先生の声から温度が消えた。 「あ、あの……昨日はちょっと、体調が……」 「体調? 違うね。君が僕の顔ばかり見て、授業の内容をこれっぽっちも頭に入れていないせいだろう」

図星だった。先生の整った横顔、低い声、時折香るシトラスの香水。そのすべてに毒されて、私の頭の中はいつも真っ白だったのだ。 久我山先生は呆れたように溜息をつくと、デスクに置いてあった赤いペンを取り、メモ帳にさらさらと数式を書き込んだ。

『100 - 30 = 70』

「詩織さん。今日から新しい『指導方針』を導入することにしたよ。マイナスした点数の分だけ、君にはお仕置きを受けてもらう」

「……お仕置き?」

聞き慣れない不穏な単語に、私は首を傾げた。 もっと居残りさせられるとか、宿題を増やされるとか、そういうことだろうか。そんな私の甘い予想を嘲笑うように、先生は椅子に座ったまま、冷たく命じた。

「そこに立ちなさい。……スカートをめくって、ショーツを膝まで下ろすんだ」 「えっ……? えっ……先生、何を……」 「聞こえなかったかな。お仕置きだよ。……分かりやすく言えば、『お尻ペンペン』だ。子供の頃、お母さんにされただろう?」

あまりに唐突で、そして羞恥心を煽る言葉に、私の顔は一瞬で火が噴いたように赤くなった。 先生は二十歳を過ぎた大人で、私はもう十七歳の女子高生だ。そんな、子供みたいな真似をされるなんて。しかも、立ったまま自分から晒せだなんて。

「いや、です……! そんなの、恥ずかしいし……冗談、ですよね?」 「冗談に見えるかな? 嫌なら辞めてもいいんだよ。お母さんに『詩織さんが不真面目すぎて、僕の手に負えません』って報告するだけだから」

弱みを握られている私に、拒否権なんて最初からなかった。 私は涙目になりながら、震える手でチェック柄のスカートをたくし上げた。そして、白いショーツの端に指をかけ、ゆっくりとずり下げていく。 カサリ、と布が擦れる音が、静まり返った部屋にやけに大きく響く。 膝までショーツが落ち、ひんやりとした空気が剥き出しの肌を撫でた。

「……よくできました。そのまま、こっちへおいで」

晒されたお尻の心もとなさに、私は内股になりながら一歩ずつ彼に近づいた。 先生は満足げに目を細めると、私をぐいと引き寄せ、自分の膝の上へとうつ伏せの状態に横たわらせた。 視界が上下逆転し、彼の高価なスラックスの硬い感触が頬に伝わる。

「……きれいな肌だ。これがどう変わるか、楽しみだね」

直後——パァン!!

「ひっ……あぁっ!?」

乾いた破裂音が響き、私の身体が彼の膝の上で大きく跳ねた。 遅れてやってくる、焼けるような熱い痛み。 久我山先生の大きな手のひらが、右側の柔らかなお尻の頬にまともに食い込んでいた。

「いち。……自分で数えなさい。じゃないと、一回からやり直しだよ」 「あ、ぅ……い、いち……」 「よい返事だ。……次、いくよ」

パァァァァン!! パァァァァン!!

「あぁっ! に……さん……っ!」

容赦のない衝撃が交互に襲いかかる。 先生の手は驚くほど硬く、それでいて的確に一番痛い場所を狙ってくる。 十回、二十回と重なるごとに、白かった私の肌は鮮やかな桃色に、そして濃い赤色へと染まっていった。 お尻全体がジンジンと痺れ、脈打つたびに鋭い痛みが走った。

「……四、……ご……っ、せんせい、もう、いたい、ですぅ……っ!」

私は彼の膝をつかみ、必死に許しを請うた。 涙があふれ、久我山先生のスラックスを濡らしていく。 けれど、彼は私の腰を片手でがっちりと押さえ込み、微塵も容赦してくれない。

「まだ半分も終わっていないよ。……そんなに痛いなら、次は満点を取ることだね」

パァァァァン!!

「ご、ごじゅう……っ! ああっ!」

あまりの痛みに、私は足をバタつかせ、声を上げて泣いた。 けれど、先生は淡々と、機械的なリズムで私の柔肌を叩き続ける。 真っ赤に腫れ上がり、熱を持った私のお尻。 その姿を、彼はじっと冷たい瞳で見つめている。 その視線を感じるだけで、痛みとは別の、ドロドロとした熱い何かが下腹部に溜まっていくような気がした。

ようやく七十回目が終わったとき、私は声も出せずに、彼の膝の上でぐったりと横たわっていた。 お尻は熱を帯びてパンパンに張り詰め、少し動くだけでもヒリヒリと激痛が走る。

「……よく頑張ったね、詩織さん」

不意に、これまでの鬼畜な振る舞いが嘘のように、彼の手が優しくなった。 叩き続けたばかりの赤い肌を、大きな手のひらでゆっくりと撫でる。 痛みで過敏になった肌には、その優しい愛撫でさえ、強烈な刺激となって脳に響いた。

「ひ……あ、っ……」 「熱いね。こんなに真っ赤にして……。でも、これで少しは身に染みたかな?」

彼の手のひらが、熱を持ったお尻の谷間から、そっと太ももの内側へと滑り込んでくる。 ヒリつく痛みと、冷たい指先の感触。 そのギャップに、私の思考はとろとろに溶かされていく。

「……先生、あの……」 「お仕置きはこれで終わりじゃないよ、詩織さん。君の身体は、まだ『30点分』しか学んでいないんだから」

久我山先生はそう囁くと、私の耳たぶを優しく甘噛みした。 これから始まる「指導」の本当の恐ろしさを、私はまだ知らなかった——。
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