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ユーリア *胸糞注意
15 新たな生活の裏で
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帝都に着いてすぐに、私は熱を出してしまい寝込んでしまうことになった。
健康になったつもりでいても、体は疲労に対して正直に反応するから恨めしいものだ。
帝都で滞在する御屋敷に、キャルム様は毎日のように訪れてくださった。
体調が悪い私のお見舞いのためと思っていたけど、元気になって大学に通い出してからも、毎日の訪問を欠かさなかった。
「王子殿下はどのようにお過ごしでしたか?」
碌なお礼も伝えられないままだったけど、レナート王子は魔法使いさんと一緒に、帝国に滞在されている。
皇帝陛下に少しの間引き留められているそうだ。
「竜について、大変興味深いので、連日、皇帝陛下と謁見されています」
レナート王子達にはお会いしたいとは思っていたけど、体調が良くなると、私の希望ですぐに大学に通い始めたため、なかなかお会いする機会がなかった。
帝国に来てから五日目のことだ。
大学にコネで入れてもらったことになるのだけど、案の定学力が足りなくて、正直、ついていけない。
必死にノートをとって、とにかく書いて読んで、習ったところを復習して。
できるだけ教授にも質問をして。
ついていくのに必死だ。
頭を使いすぎて焼け焦げてしまわないかと思ったほどだ。
でも、楽しい。
苦しいけど、楽しい。
こんなに真剣に勉学に向き合ったことなんかなかった。
実家に引きこもっていては経験できなかったことだ。
この機会をくださったキャルム様と家族には感謝しかない。
キャルム様は、ずっと私のことを見守ってくださっていた。
勉強の合間に息抜きだと街を案内してくれたり、勉強を教えてくださったりもした。
不安など何も抱かずに帝国での生活をおくれていたのは、間違いなく、すぐ近くにキャルム様がいてくれたおかげだ。
でも、未婚の男女がこんな近くで過ごしていいのか、キャルム様の迷惑とならないのか。
貴方の婚姻の妨げになりませんか?と思わず正面から尋ねてしまったのは、聞かずにはいられなかったからだ。
それを尋ねられたキャルム様は、困ったように私を見ており、
「貴女の真っ直ぐに言葉をぶつけてこられるところは好ましく思っています」
そう前置きをされた。
「僕には未だに新たな婚約者はいません。それは、亡くなった婚約者との別れの状況を誰もが知っているからです。父ですら、僕に結婚を無理強いしようとはしませんでした。だから、新たな出会いがあったのならと、今は静観されているようですね」
そう言って微笑んだキャルム様の顔を見て、どうしてピンクのバラが五本だったのか、近いうちにちゃんと聞かなければならないと思っていた。
心を動かされそうになる時はあったけど、私の帝国での当面の目的は大学で勉強を学ぶことだ。
充実した毎日を送って行くことに何の疑いもなくなった頃、そんな生活を送っている私だけに、知らされていなかったことがあった。
それを私が知ったのは、私自身に異変が訪れた時だった。
ミハイル王太子殿下が、聖女ヴェロニカを処刑したと聞くまで、ここに来た経緯を忘れかけていた私は帝国での生活に楽しさしか感じていなかったのだ。
健康になったつもりでいても、体は疲労に対して正直に反応するから恨めしいものだ。
帝都で滞在する御屋敷に、キャルム様は毎日のように訪れてくださった。
体調が悪い私のお見舞いのためと思っていたけど、元気になって大学に通い出してからも、毎日の訪問を欠かさなかった。
「王子殿下はどのようにお過ごしでしたか?」
碌なお礼も伝えられないままだったけど、レナート王子は魔法使いさんと一緒に、帝国に滞在されている。
皇帝陛下に少しの間引き留められているそうだ。
「竜について、大変興味深いので、連日、皇帝陛下と謁見されています」
レナート王子達にはお会いしたいとは思っていたけど、体調が良くなると、私の希望ですぐに大学に通い始めたため、なかなかお会いする機会がなかった。
帝国に来てから五日目のことだ。
大学にコネで入れてもらったことになるのだけど、案の定学力が足りなくて、正直、ついていけない。
必死にノートをとって、とにかく書いて読んで、習ったところを復習して。
できるだけ教授にも質問をして。
ついていくのに必死だ。
頭を使いすぎて焼け焦げてしまわないかと思ったほどだ。
でも、楽しい。
苦しいけど、楽しい。
こんなに真剣に勉学に向き合ったことなんかなかった。
実家に引きこもっていては経験できなかったことだ。
この機会をくださったキャルム様と家族には感謝しかない。
キャルム様は、ずっと私のことを見守ってくださっていた。
勉強の合間に息抜きだと街を案内してくれたり、勉強を教えてくださったりもした。
不安など何も抱かずに帝国での生活をおくれていたのは、間違いなく、すぐ近くにキャルム様がいてくれたおかげだ。
でも、未婚の男女がこんな近くで過ごしていいのか、キャルム様の迷惑とならないのか。
貴方の婚姻の妨げになりませんか?と思わず正面から尋ねてしまったのは、聞かずにはいられなかったからだ。
それを尋ねられたキャルム様は、困ったように私を見ており、
「貴女の真っ直ぐに言葉をぶつけてこられるところは好ましく思っています」
そう前置きをされた。
「僕には未だに新たな婚約者はいません。それは、亡くなった婚約者との別れの状況を誰もが知っているからです。父ですら、僕に結婚を無理強いしようとはしませんでした。だから、新たな出会いがあったのならと、今は静観されているようですね」
そう言って微笑んだキャルム様の顔を見て、どうしてピンクのバラが五本だったのか、近いうちにちゃんと聞かなければならないと思っていた。
心を動かされそうになる時はあったけど、私の帝国での当面の目的は大学で勉強を学ぶことだ。
充実した毎日を送って行くことに何の疑いもなくなった頃、そんな生活を送っている私だけに、知らされていなかったことがあった。
それを私が知ったのは、私自身に異変が訪れた時だった。
ミハイル王太子殿下が、聖女ヴェロニカを処刑したと聞くまで、ここに来た経緯を忘れかけていた私は帝国での生活に楽しさしか感じていなかったのだ。
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