父に連れられて遥々海を渡った私は、異母姉に不幸をもたらした元凶だったようです

奏千歌

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ステラⅣ

騎士団長のため息

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 執務室の窓辺に立ち、窓の向こう側の景色を見下ろす。

 騎士団の訓練場では、ギデオンとディランの模擬戦が行われている様子がよく見えた。

 どちらも子供の頃から知っているが、頼もしく育ったものだ。

 だが、巨大な火柱が何度も見えるのは、もはや模擬戦の域を超えている気がする。

「元気だねぇ。知ってる?あれって、女の子とのデート権を得るための決闘なんだよ」

 同じように窓の外を見て、呑気に呟いているのは魔法士団長。

 その口調に苛立ちが募る。
  
「貴様は呑気だな。今にも戦争が起きようとしているのに」

「そうは言ってもね。私達がイライラしたところで、現状は変わらないよ」

「部下の事が心配ではないのか」

「ふふっ。騎士団長の君からそんな言葉が出るのも、何だかおかしな話だね」

「甘い考えの持ち主で悪かったな。いつも、家族のもとへちゃんと帰してあげたいと願い、送り出しているんだ。団長として正しいとは……思っていない」

「帰る家、帰りたい家があるなら、帰してあげたいとも思うだろうね。待っている人もいるだろうし、否定はしないよ。でも、うちの子たちは、みんな行く当てがない子たちばかりだったから。特別な魔法が使えても、幸せとは限らないものだね。家族の為じゃないなら、あの子達は何のために命をかけてくれるのかな。ましてや、自分の生まれでもない国で」

「………………」

「みんな、自分の誕生日に頓着しないんだ。生まれた日に何の感慨もないって、何がそうさせたんだろうね。彼らに、守りたいものが存在している事を願うよ」

「俺は、昔から貴様のことが嫌いだ」

「気があうね。私も、君のことがあまり好きじゃないよ」

 それを聞いて、ため息が出るのを隠す事もしなかった。

 ジェレミー・オーラムという男があまり好きじゃないと言う事は、気に入っていると言っているのと同義なのだ。

 それは昔から変わらない。

「話の続きだ……」

 この男の言葉遊びに付き合ってやる必要はない。

 執務机の前に座り、自分の役割を思い出し、しなければならない事に取り掛かる。









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