異世界でボッチになりたいが、なれない俺

白水 翔太

文字の大きさ
27 / 42

第二十六話 ランチミーティング

しおりを挟む
「で? ギルマスとの話はうまくついたのか」

 ただいまランチミーティングなり。今後の方針等を話し合うためにメンバーで集まったのだ。

「問題ないですわ。邪竜が出現して早々にブレスを吐きまくり天井が崩落。身動きのとれなくなったところをメンバー全員で一斉攻撃して何とか倒すことができた。そう報告しましたの」

「そうか。あちこちに出来てしまった穴については?」

 主に俺の魔武具の所為で。

「それもあって邪竜がブレスを吐きまくったと説明しましたの」

「なるほど。まあ、少なくとも暫くはそれでバレないだろうな」

 あの穴がどこまで続いているのかはわからない。しかし、そのうちの一つの終端には俺のチャクラムが刺さっているはずだ。

「例の現象についてギルドの見解は?」

「それの確認もあって今朝もいって参りましたのよ。詳細な調査はこれからとのことでしたが、あの亡くなった方を覚えていまして?」

「ああ、ギルド職員だろ」

「ええ、そもそも三人組だったらしいのですわ」

「全員死んだのか」

「おそらくは。あの邪竜に殺られたと考えられますわ」

「でも、なんであんな浅い階にB級レベルの職員がいたんだ」

 B級職員のパーティなら二十六階以深にも潜れるほどの実力なのだ。

「魔結晶の回収員のようですわ」

「なんだそれ?」

「私たちが宿泊したコテージ。あれは他の階層にも何箇所か設置されているらしいのですわ。その魔結晶を定期的に回収してまわるのが彼らの業務でしたの」

「なるほど。強くないと魔物に襲われても対処できないもんな」

「それに大量の魔結晶を持っているのです。それを狙った悪い輩に襲われるかもしれませんわ」

 現金輸送車の警備員みたいだな。どこの世界でも悪党は同じような事を考えるのね。

「それで?」

「彼らは下層から上層へと回収して回っていた途中のようですわ」

「確かに体力のあるときに強敵と戦った方がいいからな」

「ですが、あの場に魔結晶は残されておりませんでしたわ」

「確かに。最後も邪竜の馬鹿でかいのしか残ってなかったな」

「なので我々が疑われたのですわ」

「魔結晶を狙って襲ったと?」

「なによもう!」

 ドンとテーブルを叩くアンヘレス。

「まあ、落ち着け。話は最後まで聞こうぜ」

 俺だってイラっとしたんだからな。

「だって、このパスタ食べにくいんだもん!」

「は?」

 フォークを皿の上でクルクルとまわすアンヘレス。パスタを丸めて掬おうとしているようだ。でも、そこは皿の縁だからパスタないけどね。

「アンヘレス。いい加減それ外したらどうだ」

 パスタを口に入れるには仮面を上にずらさなければならない。しかし、そうすると視界が確保できないのだ。なので次のパスタが取れない。上げたり下げたり忙しいやつだ。

「駄目よ。私の秘密がばれちゃうじゃない」

 多分、みんな気づいているぞ。レストランに入った瞬間に皆の視線がこっちを向いたからな。こっちというか狐の仮面ピンポイントだ。人目を引くから逆効果にしかならない。隠すならその自己主張激しい金髪まで隠せよ。

「話が脱線したな。レオーラそれで?」

「ええ、殺人の疑いはすぐに晴れましたわ」

「そうか、それで魔結晶はどこに?」

「理由をお聞きなさらないの?」

「ああ、サクサク話を進めようぜ」

 どうせ、ギルマスと面識があるほどの立ち場なんだろ。それにアンヘレスもいるし。無闇に藪へと足を突っ込んではならないのだ。大蛇が眠っているのわかってるし。

「それは残念ですわ……。魔結晶の行方に関しては明確な証拠はありません。ただ状況的に考えて一つの事象が想定されました」

「ほう」

「理由はわかりませんが、ボス部屋の魔物に取り込まれたのではないかと」

「そんなことがありえるのか?」

「私も存じ上げませんでしたが、過去に同様の報告例があったそうです。ギルド職員が夜を徹して調べた成果ですわ」

「そうすると何らかの事故に遭遇し、職員の回収した魔結晶の全てが大蜥蜴のゾンビに……」

「ええ、莫大なエネルギーにより血肉を得、身体が巨大化、竜へと変貌したと推定されます」

「それはしゃれにならんな」

「あくまでも推定にすぎませんわ。過去の事例はこんな災厄的な規模ではありませんでしたの。死んだ冒険者が持っていた魔結晶を食べた魔物が少し強くなった。その程度の報告でしたわ。詳細な調査でまた変わるかもしれません」

「そうか、状況がよくわかったよ。ありがとな」

「ただ別の問題が発生しましたわ」

「ん?」

「コテージの使用が暫く凍結されますの」

「ああそうか。魔石を一か所に貯め込むのは危険だもんな」

「代わりに何か対策を考えませんと。あんな暗くて硬いダンジョンでなんて寝泊まりできませんわ」

「漢ならの黙って野宿だろ!」

「お前は黙ってメシを食ってろ。それともやはり躾が足りてないのか……」

「な!? わかった! 黙るから! あれだけは勘弁して!」

「あらあら、わたくしそれがなにか気になりますわ」

「パパに頼めばいいの! きっと結界付きの大きな天幕を貸してくれるわ!」

「よし、午後からは宿泊用のアイテムでも見て回るか」

「ちよっとルイス聞いているの!」

 聞いてません。聞こえません。聞きません。

「あ、それなら水着も買ったほうがいいですね」

 ステーキでなければ食事中であってもアクアは平常運転のようだ。

「なぜに?」

「明日からは十階層以深の攻略ですよね」

「ああそうだな」

 ランクもソロでCランク。パーティであればBランクの階層までいけるのだ。

「ダンジョンが熱帯へと変わるんです。ジャングルとか海とかもあるそうです。金属製の防具だと錆びてしまいますし。革製でもいいんですがとにかく蒸し暑いようです」

 熱中症にでもなるんか。でも、ダンジョンで水着って危険すぎじゃね?

「わあ、楽しそう! ビーチボール持っていかないと!」

 だから遊びじゃねーし! そもそもこの世界にもビーチボールがあったんだな。

「はあ、今日は買い物で潰れそうだな。とりあえずビバティースの所に寄ってからいくぞ」

 例の鉱石が問題なく売れているといいな。
 昨日と今日の午前中は一人でブラブラできたし、買い物くらいみんなでしてもいいか。
しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

魔力ゼロの俺だけが、呪いの装備を『代償なし』で使い放題 ~命を削る魔剣も、俺が持てば『ただのよく切れる剣』~

仙道
ファンタジー
現代日本で天才研究者だった相模登(さがみ のぼる)は、ある日突然、異世界へ転移した。  そこは『スキル』と『魔力』が全てを決める世界。   しかし登には、ステータス画面もなければ、魔力も、スキルも一切存在しなかった。   ただの一般人として迷宮に放り出された彼は、瀕死の女騎士と出会う。彼女の前には、使う者の命を瞬時に吸い尽くす『呪いの魔剣』が落ちていた。   武器はそれしかない。女騎士は絶望していたが、登は平然と魔剣を握りしめる。 「なぜ……生きていられるの?」  登には、剣が対価として要求する魔力は存在しない。故に、魔剣はデメリットなしの『ただのよく切れる剣』として機能した。   これは、世界で唯一「対価」を支払う必要がない登が、呪われた武具を次々と使いこなし、その副作用に苦しむ女騎士やエルフ、聖女を救い出し、無自覚に溺愛されていく物語。

万分の一の確率でパートナーが見つかるって、そんな事あるのか?

Gai
ファンタジー
鉄柱が頭にぶつかって死んでしまった少年は神様からもう異世界へ転生させて貰う。 貴族の四男として生まれ変わった少年、ライルは属性魔法の適性が全くなかった。 貴族として生まれた子にとっては珍しいケースであり、ラガスは周りから憐みの目で見られる事が多かった。 ただ、ライルには属性魔法なんて比べものにならない魔法を持っていた。 「はぁーー・・・・・・属性魔法を持っている、それってそんなに凄い事なのか?」 基本気だるげなライルは基本目立ちたくはないが、売られた値段は良い値で買う男。 さてさて、プライドをへし折られる犠牲者はどれだけ出るのか・・・・・・ タイトルに書いてあるパートナーは序盤にはあまり出てきません。

企業再生のプロ、倒産寸前の貧乏伯爵に転生する 

namisan
ファンタジー
数々の倒産寸前の企業を立て直してきた敏腕コンサルタントの男は、過労の末に命を落とし、異世界で目を覚ます。  転生先は、帝国北部の辺境にあるアインハルト伯爵家の若き当主、アレク。  しかし、そこは「帝国の重荷」と蔑まれる、借金まみれで領民が飢える極貧領地だった。  凍える屋敷、迫りくる借金取り、絶望する家臣たち。  詰みかけた状況の中で、アレクは独自のユニーク魔法【構造解析(アナライズ)】に目覚める。  それは、物体の構造のみならず、組織の欠陥や魔法術式の不備さえも見抜き、再構築(クラフト)するチート能力だった。  「問題ない。この程度の赤字、前世の案件に比べれば可愛いものだ」  前世の経営知識と規格外の魔法で、アレクは領地の大改革に乗り出す。  痩せた土地を改良し、特産品を生み出し、隣国の経済さえも掌握していくアレク。  そんな彼の手腕に惹かれ、集まってくるのは一癖も二癖もある高貴な美女たち。 これは、底辺から這い上がった若き伯爵が、最強の布陣で自領を帝国一の都市へと発展させ、栄華を極める物語。

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

処理中です...