婚前交渉バトル、開幕! 〜結婚まで待てない令嬢 vs 待ちたい王子〜

胃袋まんげつ

文字の大きさ
13 / 19

Round.13 会えない理由、言えない本音

しおりを挟む
 愛する人が近くにいるのに、触れられない。それは、甘美な拷問だった。
 舞踏会から三日が過ぎた。

 カミラは自室の窓辺に立って、庭園を見下ろしていた。薔薇が風に揺れている。青い空に白い雲が流れていく。美しい午後だった。でも、胸の奥に小さな寂しさがある。

 窓ガラスに額を押し当てると、冷たい感触が伝わってくる。外の世界は明るいのに、心の中だけが曇っているような気がした。

 アシュランに、会えない。
 言葉を交わせない日々が、こんなにも長く感じるなんて。

 あの夜以来、彼は忙しいのだと手紙が届いた。政務に追われている、会議が続いている、もう少し待っていてほしい——。

 丁寧な言葉が並んでいたけれど、カミラには分かる。何かが、違う。インクの染み方が、いつもより乱れている。ペンを持つ手が、震えていたのかもしれない。

 手紙は机の引き出しに、大切にしまってある。何度も読み返した。でも、読み返すたびに、彼の声が遠くなっていく気がした。

「カミラ様」
 背後から声がかかった。

 振り返ると、侍女のマーガレットが立っていた。紺色の髪を綺麗にまとめて、凛とした表情をしている。

 カミラより三つ年上の彼女は、いつも的確で、優しい。部屋に入ってくる足音も、物腰も、全てが落ち着いている。

「はい、マーガレット」
「お茶の時間ですよ。それとも、このままずっと窓を見続けますか?」
 マーガレットの言葉には、少しだけ茶目っ気がある。叱るのではなく、そっと促すような口調だ。

「そんなに長い間見ていたかしら」
「ええ」
 淡々と答えるマーガレットに、カミラは慌てて椅子に座った。

 マーガレットが紅茶を淹れてくれる。ポットからカップへ、琥珀色の液体が注がれていく。湯気が立ち上って、優しい香りが広がった。部屋の空気が、少しだけ温かくなる。

「アシュラン様のことで、悩んでいらっしゃるのでしょう?」
「……どうして分かるの?」
「だって、ずっとため息ばかりですもの」

 マーガレットは微笑んだ。その微笑みには、叱責も哀れみもない。ただ、理解がある。
「あの舞踏会の夜から、様子がおかしいですわ。何かあったのでしょう?」
「その……」 

 カミラは頬を染めた。
 あの夜のことを思い出すと、心臓が跳ねる。何度も重ねた口づけ。熱い吐息。背中を撫でる指先——。身体の奥に、まだあの時の感触が残っているような気がする。 

「まあ、その顔!」
 マーガレットが笑った。声を立てずに、でも楽しそうに。
「何があったか、だいたい想像がつきますわ」
「マーガレット!」
「でも、それなのにアシュラン様は会ってくださらない。それが寂しいのですね」
「……うん」

 カミラは正直に頷いた。
 紅茶カップを両手で包む。陶器の温もりが、手のひらに伝わってくる。

「手紙は毎日届くの。でも、会えない。どうしてなのか、私には分からなくて」
 紅茶を一口飲む。温かいけれど、胸の寂しさは消えない。甘い香りが鼻腔をくすぐるけれど、味がよく分からなかった。
「きっと、アシュラン様なりの理由があるのですわ」
 マーガレットが優しく言った。

「男性は不器用ですもの。特に、本当に大切な人の前では」
 その言葉が、カミラの胸にそっと沈んでいく。
 窓の外では、風が木々を揺らしている。葉が擦れ合う音が、遠くから聞こえてきた。




 その夜、カミラは指南書を開いた。
 ランプの光が、ページを照らしている。窓の外は暗くて、星が瞬いていた。部屋の中は静かで、自分の息づかいだけが響いていた。

 古びた紙の感触が、指先に馴染んでいる。何度も開いたページは、少しだけ柔らかくなっていた。
『第十四の秘訣:彼が距離を置く時——それは、愛が深すぎる証』
『男性が急に会わなくなる時、それは二つの理由があります。一つは、愛が冷めた時。もう一つは——愛が深すぎて、自分を制御できなくなった時』
「愛が、深すぎて……」 

 カミラは指南書を見つめた。
 文字が、ランプの光の中で揺れている。まるで生きているみたいに。
 アシュランは、あの夜、何度も言った。「結婚式まで待ってほしい」と。「王家の戒律がある」と。 

 でも、その声は苦しそうだった。まるで、自分自身と戦っているような——。喉の奥から絞り出すような、そんな声だった。
(アシュラン様……)
 カミラは胸に手を当てた。
 会いたい。話したい。せめて、その顔を見たい。
 でも、彼は会ってくれない。
 なぜ?
 窓の外で、夜風が吹いている。カーテンが、わずかに揺れた。




 翌日の昼下がり。
 カミラは庭園を散歩していた。マーガレットが付き添ってくれている。
 陽射しが暖かくて、肌に心地よい。鳥のさえずりが聞こえる。でも、どこか上の空だった。
 薔薇の小道を歩きながら、カミラはあの夜のことを思い出していた。月明かりの下で交わした口づけ。アシュランの熱い手。背中を撫でる指先の、あの丁寧さ。 

 足元の小石を蹴ると、コロコロと転がっていく。その音が、やけに大きく聞こえた。
「カミラ様、あちらを」
 マーガレットが指差した。

 顔を上げると、遠くの回廊に——アシュランの姿があった。
 陽光を受けて白金色に光る髪。黒いジャケットを着て、書類を抱えている。誰かと話しながら、急ぎ足で歩いていく。 

 距離があるのに、彼の姿が、鮮明に見えた。
「アシュラン様!」
 カミラは思わず声を上げた。

 でも——。
 アシュランは、一瞬だけこちらを見た。
 その瞳が、カミラを捉える。サファイアブルーの瞳が、切ないほど優しく——そして、苦しそうに揺れた。

 時間が、止まったような気がした。
 でも、彼は立ち止まらなかった。
 小さく頭を下げて、そのまま行ってしまう。
 背中が、遠ざかっていく。黒い影が、だんだん小さくなる。 

「あ……」
 カミラの手が、虚しく宙を掴んだ。
 胸が、痛い。息が、詰まる。
 喉の奥に、何かが詰まったような感覚がある。言葉にならない叫びが、胸の中で渦巻いていた。

「カミラ様……」
 マーガレットが心配そうに肩に手を置いた。その手が、温かい。

「大丈夫ですわ」
 カミラは無理に笑った。でも、声が震えている。目が、熱い。

「大丈夫じゃないですわよ」
 マーガレットが優しく言った。
「お部屋に戻りましょう。今日は、ゆっくりお休みになって」 

「でも……」
「アシュラン様も、お辛いのですわ。あの表情を見れば分かります」
 マーガレットの声が、静かに響いた。
「あの方は、あなたを避けているのではなく——自分自身から、逃げていらっしゃるのです」
 その言葉が、カミラの心に深く沈んでいく。
 風が吹いて、髪が揺れた。薔薇の香りが、鼻先をかすめる。
  



 その夜、カミラは眠れなかった。
 ベッドに横になっても、目が冴えている。天井を見つめても、何も見えない。月明かりが、カーテンの隙間から差し込んでいた。

 寝返りを打つ。シーツが擦れる音が、やけに大きく聞こえる。
 アシュランの顔が、まぶたの裏に浮かぶ。
 あの苦しそうな瞳。
 会いたいのに、会えない。触れたいのに、触れられない。 

 どうして?
 カミラは起き上がった。
 窓の外を見る。星が、たくさん瞬いている。夜空は深くて、吸い込まれそうだった。

(アシュラン様……今、何を考えているのでしょうか)
 同じ空の下にいるのに、こんなにも遠い。




 同じ夜、アシュランは執務室にいた。
 机には書類が山積みになっている。でも、一つも手がつけられていない。インクの染みが、紙の上で広がっている。ペンを落としてしまったのだ。
 彼は窓の外を見つめていた。
 カミラの顔が、脳裏から離れない。
 あの舞踏会の夜。真紅のドレス。甘い香り。柔らかい唇——。

 身体が、あの感触を覚えている。指先が、彼女の背中の曲線を覚えている。
 彼女の笑顔を見るたびに、心の奥の何かが軋む。理性が、恋にひび割れていく音がする。

「……駄目だ」
 アシュランは拳を握りしめた。
 あの夜、彼は限界だった。もう少しで、全てを忘れるところだった。
 カミラを抱きしめて、ドレスの紐を解いて、その肌に触れて——。
 想像するだけで、身体が熱くなる。

「駄目だ」
 もう一度、自分に言い聞かせる。
 彼には、守らなければならないものがある。
 王家の戒律。結婚前に、花嫁に深く触れてはならない。
 それは、代々受け継がれてきた掟だ。 
 でも——。
「それだけじゃない」
 アシュランは目を閉じた。 
 本当の理由は、もっと深いところにある。暗くて、冷たいところに。

 幼い頃、彼はカミラを——閉じ込めた。
 大好きだから。誰にも渡したくなかったから。ずっと一緒にいたかったから。

 でも、カミラは泣いた。
 怖がって、震えて、泣いた。
 その時、アシュランは理解した。
 自分の愛は、時に——相手を傷つける。
「だから、僕は……」
 アシュランは窓に額を押し当てた。ガラスが、冷たい。
「君を、壊してしまうのが怖い」

 机の上には、カミラへの手紙が置かれている。
 何度も書き直した手紙。でも、本当のことは書けなかった。破り捨てた紙が、足元に散らばっている。

『愛しているから、会えない』
『触れたいから、触れられない』
『君を守りたいから、距離を置く』
 そんな矛盾した想い。
 カミラには、伝えられない。
 月が、窓の外で冷たく光っている。




 翌朝、カミラは再び手紙を受け取った。
 アシュランからの手紙。丁寧な文字で、こう書かれていた。でも、よく見ると、文字が少しだけ震えている。

『カミラへ。
 会えなくて、ごめん。
 でも、これは君のためなんだ。
 僕には、守らなければならない戒律がある。
 王家に代々伝わる大切な掟。
 結婚前に、花嫁に深く触れてはならない——。
 それを破れば、不幸が訪れると言われている。
 だから、結婚式まで、もう少しだけ待っていてほしい。
 君を愛している。誰よりも。
 アシュラン』

 カミラは手紙を読んで、涙がこぼれそうになった。
 紙が、わずかに震える。握る手に、力が入らない。
「戒律……」
 マーガレットが隣で、静かに言った。

「でも、カミラ様。これは、本当の理由ではないかもしれませんわ」
「え?」
「男性が『戒律』や『ルール』を理由にする時——本当は、もっと深い何かを隠していることが多いのです」
 マーガレットの紺色の髪が、朝日に揺れた。窓から差し込む光が、彼女の横顔を照らしている。
「アシュラン様は、何かを恐れていらっしゃる。あなたを失うことを。あるいは——」
「あるいは?」
「あなたを、傷つけてしまうことを」
 その言葉が、カミラの胸に沈んだ。
 そうだ。あの夜、アシュランは言った。
「君を、驚かせてしまった」と。
 まるで、自分が何か悪いことをしたかのように。罪を犯したかのように。

 でも、カミラは全然驚いていなかった。むしろ、もっと——。
「私……アシュラン様に、会いたい」
 カミラは立ち上がった。椅子が、ギシリと音を立てた。
「このまま待っているだけじゃ、何も変わらない」
「その意気ですわ!」
 マーガレットが笑った。瞳が、策を思いついたように輝いた。

「では、作戦を立てましょう。どうやって、あの頑固な王子様に会うか」
「作戦?」
「ええ。正面から行っても、きっと逃げられますわ。ならば——」
 マーガレットの目が、いたずらっぽく光った。
「少しばかり、策を弄しましょう」
 二人の視線が、合う。そして、同時に笑った。




 その日の夕方。
 アシュランは執務室で書類と格闘していた。
 会議が続いて、頭が痛い。こめかみを押さえても、痛みは引かない。でも、仕事に集中すれば、カミラのことを考えずに済む——はずだった。

 でも、無理だった。
 どれだけ書類を読んでも、彼女の顔が浮かぶ。文字が、彼女の赤い髪の色に見える。
 あの赤い髪。グリーンアイ。柔らかい唇——。
「……集中しろ」
 自分に言い聞かせる。
 その時、ドアがノックされた。コンコンと、優しい音。
「アシュラン様、お茶をお持ちしました」
 侍女の声。聞き慣れない声だった。
「ああ、入って」
 アシュランは書類から目を離さなかった。
 ドアが開いて、足音が近づいてくる。床を踏む音が、規則正しく響く。

 ティーカップが、机の上に置かれた。陶器が、木にぶつかる小さな音。
 良い香りが漂う。紅茶の香りと——何か、甘い香り。
「ありがとう」
 アシュランは顔も上げずに言った。
 でも——。
 その香りに、何か覚えがある。
 甘くて、優しくて、どこか懐かしい——。
 ハッとして顔を上げると——。

 そこには、侍女の服を着たカミラが立っていた。
 赤い髪を後ろでまとめて、エプロンをつけている。グリーンアイが、いたずらっぽく輝いていた。まるで、悪戯に成功した子供のように。
「……カミラ!?」
「こんばんは、アシュラン様」
 カミラがニッコリ笑った。その笑顔が、夕日に照らされて輝いている。
「お茶、お持ちしました」
「どうして、君が……」
「マーガレットに頼んで、服を借りたの」

 カミラはクスクスと笑った。声が、鈴のように響く。
「だって、会ってくれないんですもの」

 アシュランは言葉を失った。
 可愛い。可愛すぎる。そして——。
 会いたかった。こんなにも。
 胸が、締め付けられる。
「カミラ……」
「アシュラン様」
 カミラが一歩近づいた。床がきしむ音。
「どうして、避けるの?」
「避けてなんか——」
「嘘」
 カミラの瞳が、まっすぐアシュランを見つめた。
 その瞳に、全てを見透かされているような気がした。

「あなたは、私から逃げている」
 その言葉が、アシュランの胸を突き刺した。
「……ごめん」
「謝らないで」
 カミラがもう一歩近づく。彼女の体温が、空気を伝わって感じられる。
「ただ、理由を教えて欲しいのです。本当の理由を」
 アシュランは目を逸らした。

 言えない。あの夜のことも、閉じ込め事件のことも。全部、言えない。
「僕には……戒律があるんだ」
「それだけ?」
 カミラの声が、優しく響いた。
「本当に、それだけなの?」

 沈黙が落ちた。
 夕暮れの光が、二人を照らしている。窓の外で、鳥が鳴いた。
「……カミラ」
 アシュランがゆっくりと顔を上げた。
「僕は——」
 でも、その先の言葉が出てこない。
 どう説明すればいいのか。
 この想いを。この恐怖を。全部。
「君を、愛しすぎているんだ」
 ようやく、そう言った。声が、震えている。
「触れたい。抱きしめたい。君の全てを、知りたい」
「でも?」
「でも……怖い」
 彼女の笑顔を見るたびに、心の奥の何かが軋む。理性が、恋にひび割れていく音がする。
 アシュランの声が、震えた。

「君を、壊してしまうのが」
 カミラは、静かにアシュランの手を取った。
 その手が、温かい。生きている。

「私は、壊れたりしませんわ」
 その手が、アシュランの手を包む。
「アシュラン様が思っているより、ずっと強いの」
「カミラ……」
「だから」
 カミラが微笑んだ。夕日が、彼女の顔を照らしている。
「もっと、私を信じて」
 夕日が、二人を優しく包んでいた。
 アシュランの心に、小さな光が灯る。
 でも、まだ——全ては話せない。
 あの夜のことを。
 全てを。
 閉じ込めた記憶を。
 婚前交渉バトル——。
 二人の距離は、少しだけ縮まった。

 でも、まだ明かされていない秘密がある。

 王子の過去。
 そして、まだ癒えぬ傷。
 そのすべてが明らかになる日は——もうすぐ、訪れる。
 その夜の月が、まるで二人の過去を照らすように輝いていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

婚約破棄歴八年、すっかり飲んだくれになった私をシスコン義弟が宰相に成り上がって迎えにきた

鳥羽ミワ
恋愛
ロゼ=ローラン、二十四歳。十六歳の頃に最初の婚約が破棄されて以来、数えるのも馬鹿馬鹿しいくらいの婚約破棄を経験している。 幸い両親であるローラン伯爵夫妻はありあまる愛情でロゼを受け入れてくれているし、お酒はおいしいけれど、このままではかわいい義弟のエドガーの婚姻に支障が出てしまうかもしれない。彼はもう二十を過ぎているのに、いまだ縁談のひとつも来ていないのだ。 焦ったロゼはどこでもいいから嫁ごうとするものの、行く先々にエドガーが現れる。 このままでは義弟が姉離れできないと強い危機感を覚えるロゼに、男として迫るエドガー。気づかないロゼ。構わず迫るエドガー。 エドガーはありとあらゆるギリギリ世間の許容範囲(の外)の方法で外堀を埋めていく。 「パーティーのパートナーは俺だけだよ。俺以外の男の手を取るなんて許さない」 「お茶会に行くんだったら、ロゼはこのドレスを着てね。古いのは全部処分しておいたから」 「アクセサリー選びは任せて。俺の瞳の色だけで綺麗に飾ってあげるし、もちろん俺のネクタイもロゼの瞳の色だよ」 ちょっと抜けてる真面目酒カス令嬢が、シスコン義弟に溺愛される話。 ※この話はカクヨム様、アルファポリス様、エブリスタ様にも掲載されています。 ※レーティングをつけるほどではないと判断しましたが、作中性的ないやがらせ、暴行の描写、ないしはそれらを想起させる描写があります。

「25歳OL、異世界で年上公爵の甘々保護対象に!? 〜女神ルミエール様の悪戯〜」

透子(とおるこ)
恋愛
25歳OL・佐神ミレイは、仕事も恋も完璧にこなす美人女子。しかし本当は、年上の男性に甘やかされたい願望を密かに抱いていた。 そんな彼女の前に現れたのは、気まぐれな女神ルミエール。理由も告げず、ミレイを異世界アルデリア王国の公爵家へ転移させる。そこには恐ろしく気難しいと評判の45歳独身公爵・アレクセイが待っていた。 最初は恐怖を覚えるミレイだったが、公爵の手厚い保護に触れ、次第に心を許す。やがて彼女は甘く溺愛される日々に――。 仕事も恋も頑張るOLが、異世界で年上公爵にゴロニャン♡ 甘くて胸キュンなラブストーリー、開幕! ---

『完璧すぎる令嬢は婚約破棄を歓迎します ~白い結婚のはずが、冷徹公爵に溺愛されるなんて聞いてません~』

鷹 綾
恋愛
「君は完璧すぎる」 その一言で、王太子アルトゥーラから婚約を破棄された令嬢エミーラ。 有能であるがゆえに疎まれ、努力も忠誠も正当に評価されなかった彼女は、 王都を離れ、辺境アンクレイブ公爵領へと向かう。 冷静沈着で冷徹と噂される公爵ゼファーとの関係は、 利害一致による“白い契約結婚”から始まったはずだった。 しかし―― 役割を果たし、淡々と成果を積み重ねるエミーラは、 いつしか領政の中枢を支え、領民からも絶大な信頼を得ていく。 一方、 「可愛げ」を求めて彼女を切り捨てた元婚約者と、 癒しだけを与えられた王太子妃候補は、 王宮という現実の中で静かに行き詰まっていき……。 ざまぁは声高に叫ばれない。 復讐も、断罪もない。 あるのは、選ばなかった者が取り残され、 選び続けた者が自然と選ばれていく現実。 これは、 誰かに選ばれることで価値を証明する物語ではない。 自分の居場所を自分で選び、 その先で静かに幸福を掴んだ令嬢の物語。 「完璧すぎる」と捨てられた彼女は、 やがて―― “選ばれ続ける存在”になる。

一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました

しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、 「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。 ――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。 試験会場を間違え、隣の建物で行われていた 特級厨師試験に合格してしまったのだ。 気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの “超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。 一方、学院首席で一級魔法使いとなった ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに―― 「なんで料理で一番になってるのよ!?  あの女、魔法より料理の方が強くない!?」 すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、 天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。 そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、 少しずつ距離を縮めていく。 魔法で国を守る最強魔術師。 料理で国を救う特級厨師。 ――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、 ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。 すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚! 笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。

ご褒美人生~転生した私の溺愛な?日常~

紅子
恋愛
魂の修行を終えた私は、ご褒美に神様から丈夫な身体をもらい最後の転生しました。公爵令嬢に生まれ落ち、素敵な仮婚約者もできました。家族や仮婚約者から溺愛されて、幸せです。ですけど、神様。私、お願いしましたよね?寿命をベッドの上で迎えるような普通の目立たない人生を送りたいと。やりすぎですよ💢神様。 毎週火・金曜日00:00に更新します。→完結済みです。毎日更新に変更します。 R15は、念のため。 自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)

王宮地味女官、只者じゃねぇ

宵森みなと
恋愛
地味で目立たず、ただ真面目に働く王宮の女官・エミリア。 しかし彼女の正体は――剣術・魔法・語学すべてに長けた首席卒業の才女にして、実はとんでもない美貌と魔性を秘めた、“自覚なしギャップ系”最強女官だった!? 王女付き女官に任命されたその日から、運命が少しずつ動き出す。 訛りだらけのマーレン語で王女に爆笑を起こし、夜会では仮面を外した瞬間、貴族たちを騒然とさせ―― さらには北方マーレン国から訪れた黒髪の第二王子をも、一瞬で虜にしてしまう。 「おら、案内させてもらいますけんの」 その一言が、国を揺らすとは、誰が想像しただろうか。 王女リリアは言う。「エミリアがいなければ、私は生きていけぬ」 副長カイルは焦る。「このまま、他国に連れて行かれてたまるか」 ジークは葛藤する。「自分だけを見てほしいのに、届かない」 そしてレオンハルト王子は心を決める。「妻に望むなら、彼女以外はいない」 けれど――当の本人は今日も地味眼鏡で事務作業中。 王族たちの心を翻弄するのは、無自覚最強の“訛り女官”。 訛って笑いを取り、仮面で魅了し、剣で守る―― これは、彼女の“本当の顔”が王宮を変えていく、壮麗な恋と成長の物語。 ★この物語は、「枯れ専モブ令嬢」の5年前のお話です。クラリスが活躍する前で、少し若いイザークとライナルトがちょっと出ます。

噂の聖女と国王陛下 ―婚約破棄を願った令嬢は、溺愛される

柴田はつみ
恋愛
幼い頃から共に育った国王アランは、私にとって憧れであり、唯一の婚約者だった。 だが、最近になって「陛下は聖女殿と親しいらしい」という噂が宮廷中に広まる。 聖女は誰もが認める美しい女性で、陛下の隣に立つ姿は絵のようにお似合い――私など必要ないのではないか。 胸を締め付ける不安に耐えかねた私は、ついにアランへ婚約破棄を申し出る。 「……私では、陛下の隣に立つ資格がありません」 けれど、返ってきたのは予想外の言葉だった。 「お前は俺の妻になる。誰が何と言おうと、それは変わらない」 噂の裏に隠された真実、幼馴染が密かに抱き続けていた深い愛情―― 一度手放そうとした運命の絆は、より強く絡み合い、私を逃がさなくなる。

美しい公爵様の、凄まじい独占欲と溺れるほどの愛

らがまふぃん
恋愛
 こちらは以前投稿いたしました、 美しく残酷な公爵令息様の、一途で不器用な愛 の続編となっております。前作よりマイルドな作品に仕上がっておりますが、内面のダークさが前作よりはあるのではなかろうかと。こちらのみでも楽しめるとは思いますが、わかりづらいかもしれません。よろしかったら前作をお読みいただいた方が、より楽しんでいただけるかと思いますので、お時間の都合のつく方は、是非。時々予告なく残酷な表現が入りますので、苦手な方はお控えください。10~15話前後の短編五編+番外編のお話です。 *早速のお気に入り登録、しおり、エールをありがとうございます。とても励みになります。前作もお読みくださっている方々にも、多大なる感謝を! ※R5.7/23本編完結いたしました。たくさんの方々に支えられ、ここまで続けることが出来ました。本当にありがとうございます。ばんがいへんを数話投稿いたしますので、引き続きお付き合いくださるとありがたいです。 ※R5.8/6ばんがいへん終了いたしました。長い間お付き合いくださり、また、たくさんのお気に入り登録、しおり、エールを、本当にありがとうございました。 ※R5.9/3お気に入り登録200になっていました。本当にありがとうございます(泣)。嬉しかったので、一話書いてみました。 ※R5.10/30らがまふぃん活動一周年記念として、一話お届けいたします。 ※R6.1/27美しく残酷な公爵令息様の、一途で不器用な愛(前作) と、こちらの作品の間のお話し 美しく冷酷な公爵令息様の、狂おしい熱情に彩られた愛 始めました。お時間の都合のつく方は、是非ご一読くださると嬉しいです。※R6.5/18お気に入り登録300超に感謝!一話書いてみましたので是非是非! *らがまふぃん活動二周年記念として、R6.11/4に一話お届けいたします。少しでも楽しんでいただけますように。 ※R7.2/22お気に入り登録500を超えておりましたことに感謝を込めて、一話お届けいたします。本当にありがとうございます。  ※R7.10/13お気に入り登録700を超えておりました(泣)多大なる感謝を込めて一話お届けいたします。 *らがまふぃん活動三周年周年記念として、R7.10/30に一話お届けいたします。楽しく活動させていただき、ありがとうございます。 ※R7.12/8お気に入り登録800超えです!ありがとうございます(泣)一話書いてみましたので、ぜひ!

処理中です...