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Round.14 温室の記憶と、幼い日の罪
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人は誰しも、言えない過去を抱えている。深い傷ほど、言葉にするのが怖い。——愛する人の前では、なおさらだ。
翌日の夜、雨が降り始めた。
窓を叩く雨音が、静かな王宮に響く。
カミラは自室の窓辺に立って、外を見つめていた。稲妻が空を裂き、低い雷鳴が胸の奥を震わせた。
昨日、執務室でアシュランに会った。侍女に変装して、お茶を届けた。彼は驚いて、そして——少しだけ、笑った。あの笑顔が、まだ胸に残っている。温かくて、でもどこか寂しそうな笑顔。
でも、それだけだった。
「もっと、話したかった……」
カミラは呟いた。声が、雨音に溶けていく。
彼は「愛しすぎて怖い」と言った。「君を壊してしまうのが」と。
でも、なぜ?
何が、彼をそこまで怖がらせているの?
窓ガラスが曇って、外の景色がぼやけていく。指先で、ガラスに触れる。冷たい。
カミラは決心した。
このまま待っているだけでは、何も変わらない。彼は、また自分の殻に閉じこもってしまう。
マントを羽織り、部屋を出る。廊下は薄暗くて、ランプの光だけが揺れている。影が、壁に長く伸びていた。足音が、静かに響く。自分の心臓の音が、やけに大きく聞こえる。
*
執務室のドアの前に立つ。
深呼吸をする。胸が、ドキドキと鳴っている。
中から、かすかに明かりが漏れている。ドアの隙間から、オレンジ色の光。まだ、起きているのだ。
カミラはもう一度深呼吸をして、ノックした。
コンコンと、二回。音が、静かな廊下に響く。
「……どうぞ」
彼の声は、少し疲れているような、そんな響きだった。
ドアを開けると、アシュランが窓の外を見つめて立っていた。
プラチナブロンドの髪が、ランプの光に揺れている。黒いシャツの袖をまくって、腕が露わになっていた。
「カミラ……」
アシュランが振り返った。サファイアブルーの瞳が、驚きに見開かれる。そして——一瞬、嬉しそうな光が宿った。でも、すぐに不安げな色に変わる。
「こんな夜に、どうして」
「だって……」
カミラは一歩、部屋に入った。マントから、雨の匂いがする。
「昨日、あれきり話してくれないから」
アシュランは目を逸らした。
雨音が、二人の間を埋めている。稲妻が光って、部屋を一瞬、青白く照らした。アシュランの横顔が、浮かび上がる。
「アシュラン様」
カミラが静かに言った。
「もう、逃げないで」
その言葉に、彼の肩が震えた。
窓に額を押し当てる。ガラスが、冷たいだろう。その姿が、まるで何かに耐えているように見えた。
長い沈黙。
雨音だけが、部屋を満たしている。
「……分かった」
ようやく、彼は言った。声が、震えている。
「話そう。全部」
*
アシュランはソファに座るよう促して、自分も向かいに腰を下ろした。
二人の間に、小さなテーブルがある。ランプの光が、二人の顔を照らしていた。影が、揺れている。
アシュランは手を組んで、じっと見つめている。何かを探すように。言葉を、探しているのだ。
「僕は……君を、閉じ込めたことがある」
アシュランは、ゆっくりと話し始めた。一言一言、噛みしめるように。
「幼い頃の話だ」
カミラは黙って、彼を見つめた。息を潜めて、待っている。
「僕が12歳で、君が10歳の時」
アシュランの声が、遠くなっていく。まるで、記憶の底に沈んでいくように。視線が、どこか遠くを見ている。
*
──7年前の春──
王宮の庭園は薔薇の香りに満ち、春の光が花々を照らしていた。
アシュランは、温室の中にいた。
ガラス張りの温室は、外より少しだけ暖かい。太陽の光が、ガラスを通して柔らかく差し込んでいる。植物の匂いと湿った空気が、鳥の声と混ざる。
アシュランは、一人で本を読んでいた。植物図鑑。綺麗な挿絵が、ページいっぱいに広がっている。
『アシュラン様!』
明るい声が響いた。
その声に、アシュランの心臓が跳ねる。
振り返ると、カミラが走ってきた。赤い髪を揺らして、笑顔で。まだ小さな身体。短い足で、一生懸命走っている。
その姿が、可愛くて——アシュランは優しく微笑んだ。
『カミラ、ゆっくりでいいよ。転ばないように』
『はーい!』
カミラがアシュランの前で立ち止まる。
息を切らして、でも笑顔で。
その笑顔は——太陽みたいに眩しかった。
『見てください! お花を摘んできたのです!』
カミラが小さな手に、野花を握りしめている。白い小さな花。少ししおれかけているけれど、一生懸命摘んできたのだろう。
『綺麗でしょう? アシュラン様どうぞ!』
『……ありがとう、カミラ』
アシュランは優しく花を受け取った。
そっと、大切そうに。
『大切にするね』
『アシュラン様、大好き!』
カミラがニッコリ笑った。無邪気な笑顔。何の疑いもない、純粋な笑顔。
その笑顔を見て、アシュランの胸が、温かくなった。
「僕も、カミラのことが大好きだよ」
優しく、カミラの頭を撫でる。
小さな頭。柔らかい赤い髪。
「ねえ、カミラ」
『何ですの?』
「ずっと、僕のそばにいてくれる?」
『はい! ずっと一緒ですわ!』
カミラは迷わず答えた。
その笑顔が、無邪気で——。
アシュランは優しく、穏やかに微笑んだ。
「ありがとう」
でも——。
その瞳の奥に、何かが蠢いていた。
二人は、しばらく一緒に遊んだ。
花を見て回ったり、蝶を追いかけたり。
カミラの笑い声が、温室に響く。
アシュランも、優しく微笑んでいた。
でも——。
『あ、もう帰りませんと!』
カミラが突然言った。
『お母様と約束があるのです。また明日も遊んでくださいね!』
そう言って、カミラは走って行こうとした。
その瞬間——。
アシュランの中で、何かが弾けた。
帰る。
どこかへ行ってしまう。
僕から、離れていく。
「待って」
思わず、カミラの手を掴んだ。
『え?』
カミラがキョトンと振り返る。
不安も恐怖もない。ただ、不思議そうに。
「帰らないで」
『でも、お母様が——』
「帰らないで」
アシュランの声が——変わっていた。
低く、震えて。
その瞳が——何かに取り憑かれたように、カミラを見つめている。
でも、カミラは気づかない。
『えっと…』
カミラは無邪気に首を傾げる。
そんなカミラを前にアシュランの胸の奥では、何かが燃え上がっている。
黒くて熱い、抑えきれない衝動。
この子を、誰にも渡したくない。
ずっと、ここにいてほしい。
僕だけのものでいてほしい。
どこにも行かないで。
お願いだから——。
「僕と、ずっと一緒にいて」
『うん! ずっと一緒ですわ! だから、明日も——』
「今日も、一緒にいて」
アシュランの手が、カミラの手首を強く掴んでいる。
それでもいつもと違う、アシュランの様子にカミラは全く気付けないでいた。
ただ、ニコニコと笑っている。
『それならもう少し遊びましょう! 少しくらいならきっとお母様も許してくれますわ!』
カミラは嬉しそうに言った。
アシュラン様と、もっと一緒にいられる。
それが、ただ嬉しい。
「ありがとう、カミラ」
アシュランが微笑んだ。
でも、その笑顔は——どこか歪んでいた。
「じゃあ、こっちへおいで」
『はーい!』
カミラは無邪気に、アシュランの後をついていく。
何も疑わずに、スキップをしながら。
温室の奥の小さな部屋の前で2人は立っていた。
『ここは?』
カミラが不思議そうに見上げる。
「道具を置く部屋だよ」
アシュランが優しく答える。
「ここで、ちょっと待っててほしいんだ」
『え? どうして?』
カミラが首を傾げるものの、怖がってはいなかった。ただ、不思議そうにアシュランを見つめた。
「すぐに戻るから」
『分かりましたわ!』
カミラはニコニコと部屋に入った。
「良い子だね」
アシュランがカミラの頭を優しく撫でる。
でも——その手が、震えていた。
そして——。
ドアを、閉めた。
カチャリと、鍵をかける音。金属が擦れる、冷たい音。
『アシュラン様?』
ドアの向こうから、カミラの声。
『すぐに戻るよ』
『はーい!』
カミラは、まだ何も分かっていなかった。
閉じ込められたことも。これが、どういうことなのかも。
ただ、部屋の中を見回している。
『お道具がいっぱいですわ』
一人で呟いて、窓から差し込む光の暖かさに微笑んでいた。
アシュランは、温室の外に出た。
庭園を歩く。薔薇の香りが、鼻をくすぐる。でも、その香りが、今は苦しい。
カミラは、あの部屋にいる。
誰にも見つからない。
誰にも連れて行かれない。
僕だけの——。
そう思うと、胸が熱くなった。
嬉しかった。
安心した。
でも、同時に——。
心の奥で、小さな声が囁いていた。
これは、間違っている。
これは、してはいけないこと。
でも、その声は——黒い感情に飲み込まれていった。
太陽が、傾き始める。
温室に残されたカミラは、だんだん不安になっていた。
『アシュラン様……?』
ドアを叩くも、返事はない。
部屋の中が、だんだん暗くなっていく。
窓は高くて小さく、光もわずかにしか入ってこない。
『アシュラン様……どこですの……?』
誰も来ないことに気付いたカミラの声が震え始める。
誰も、助けてくれない。暗い。怖い。無邪気なカミラは恐怖の感情に支配された。
『アシュラン様……』
カミラの声が、泣き声に変わっていく。
数時間が過ぎた。
アシュランは、庭園を歩き続けた。でも、足が——温室へと向かっている。
気づけば、温室の前に立っていた。
ドアを開けると——。
泣き声が聞こえた。
『うう……アシュラン様……』
小さな、震える声。か細くて、途切れそうな声。
ハッとして、部屋のドアを開けた。鍵を回す手が、震える。
そこには、カミラがうずくまって泣いていた。
小さな身体が、震えている。両手で顔を覆って。涙で顔がぐしゃぐしゃだった。頬が、真っ赤になっている。
「カミラ……」
『アシュラン様……怖かった……』
カミラが泣きながら、アシュランを見上げた。
その瞳に——恐怖があった。
僕を、怖がっている。
その事実が、アシュランの胸を突き刺した。氷の刃が、心臓を貫いたような痛み。
『暗くて……誰も来なくて……帰れなくて……』
「ごめん、ごめん……」
アシュランはカミラを抱きしめた。
小さな身体が、震えている。まるで、怯えた小動物のように。泣き声が、耳に痛い。その声が、胸に突き刺さる。
「もう、しないから……ごめん」
何度も、何度も謝った。
その瞬間——。
温室のガラスが、ビリビリと震えた。
植物が、一斉にしおれていく。枯れていく。
幼いアシュランの魔力が、感情とともに暴走した。
『やめて……怖い……』
カミラの泣き声が、震えている。
ハッとして、アシュランは手を離した。
触れてはいけない。
触れたら、壊してしまう。
でも、カミラはしばらく泣き止まなかった。
その時、アシュランは理解した。
自分の愛は——時に、相手を傷つける。
自分の独占欲は——相手を怖がらせる。
自分の魔力は——相手を傷つける。
カミラを守りたいのに。
カミラを幸せにしたいのに。
自分が、カミラを泣かせてしまった。
自分が、カミラを怖がらせてしまった。
その日から、アシュランは誓った。
もう二度と、カミラを泣かせない。
もう二度と、自分の独占欲に負けない。
だから——触れてはいけない。
深く、愛してはいけない。
近づきすぎてはいけない。
壊してしまうから。
*
「……それが、僕の罪だ」
アシュランは顔を上げた。
その表情は——いつもの穏やかさを保っている。でも、その瞳の奥に、何かが揺れていた。
「あの日から、ずっと……君を泣かせたくないと思った。けれど、君を見るたびに、壊してしまいそうで怖い。君が笑うたび、僕の中の何かが叫ぶんだ」
声は静かだけれど——その言葉には、抑えきれない何かが滲んでいる。
「独り占めにしたい、誰にも渡したくない、ずっとそばに置いておきたい——って」
拳を、そっと握りしめる。その手だけが、震えていた。
「でも、それをしたら……また、君を泣かせてしまう」
アシュランは立ち上がって、窓の外を見た。
雨が、まだ降っている。
「そして——」
彼は静かに続けた。
「僕の家系には……呪いがあるんだ」
カミラは息を呑んだ。
「王家に伝わる古い書に、こう記されている」
アシュランの声が、淡々と響く。
『愛する者と身体を重ねる前に深く触れれば、魔力は暴走し、相手を傷つける。しかし正式な婚姻の儀を経て、夫婦となり初めて結ばれれば、呪いは解ける』
カミラは黙って聞いている。
「つまり——」
アシュランが静かに説明した。
「結婚式を挙げて、正式に夫婦になるまでは……」
少しだけ、間を置く。
「君を、抱くことはできない」
その言葉が、カミラの胸に沈んでいく。
「キスや、抱擁は——何とか、大丈夫だった」
アシュランは窓の外を見た。
「あの夜も……君に触れることができた」
「でも、それ以上は——」
彼の声が、わずかに低くなる。
「もし、君を求めてしまったら……、肌を重ねてしまったら、魔力が、制御できなくなる」
アシュランがゆっくりと振り返った。
その表情は、穏やかなままだった。
「君を、傷つけてしまう」
雨音が、静かに響いている。
「でも、結婚の儀を経た後は、傷つけることはなくなると書いていた」
アシュランがカミラを見た。
微笑んでいる。でも、その瞳は——笑っていなかった。
「だから、僕は——」
「結婚式まで、待ちたいんだ」
その瞳の奥に、深い願いがある。
いや——執着が。
「君を、絶対に傷つけたくない」
*
カミラは、静かにアシュランの手を取った。
その手が、冷たい。
「だから……」
「あの夜、何度も離れようとしていたのですね」
「私はもっと、と思っていたけれど」
「あなたは——必死に、堪えていた」
アシュランは小さく笑った。
「ああ……限界だったよ。だが、君に触れたい。君の全てを、知りたい」
その声が、わずかに震えた。
「でも、触れたら壊してしまうかもしれないことが……どれだけ辛いか」
一瞬だけ、仮面が剥がれた。
でも、すぐに——また、穏やかな笑みが戻る。
カミラの手は温かい。
「でも、私には——」
カミラが微笑んだ。
「『恋愛指南書』がありますわ! そこには、こうも書いておりますの! 『愛する人を待つことも、愛のひとつ』と!」
その言葉に、アシュランは目を見開いた。
そして、クスリと笑った。
「君の指南書ね。僕には『王家の古書』があって、君には『恋愛指南書』がある」
アシュランが優しく微笑む。
「面白い組み合わせだね」
「だから、待ちますわ」
カミラが言った。
「あなたが安心できるまで。呪いが解けるまで」
カミラの瞳が、優しく微笑んでいた。
「でも——」
いたずらっぽく光る。
「それまでは、キスはたくさんしてくださいね」
その言葉に、アシュランは、少しだけ、困ったように笑った。
「……ああ、それは約束する」
でも、その瞳の奥に、何か、暗いものが蠢いている。
カミラには、見えなかったけれど。
*
しばらくして、二人は離れた。
アシュランの表情は——少しだけ、軽くなっていた。長年背負ってきた重荷が、少しだけ軽くなったような。
「でも……」
彼は言った。
「まだ、怖いんだ」
「怖い?」
「君を、壊したくない」
アシュランは窓の外を見た。雨が、まだ降っている。でも、少しだけ弱くなっている。
「だから、結婚式まで……やっぱり、待ちたい」
カミラは微笑んだ。
「では、壊れないことを証明して差し上げますわ」
「え?」
「私は、あなたが思っているより、ずっと強いの」
カミラの瞳が、いたずらっぽく光った。
「だから、もう心配しないで。私を、信じて」
その言葉に、アシュランは小さく笑った。
「……君には、敵わないな」
その時、雨が上がった。
雲間から差し込む月光が、部屋を銀色に染めた。
「月が……」
カミラが窓を見た。
「綺麗ですわね」
「ああ」
アシュランも窓を見た。
月が、二人を照らしている。
まるで、祝福するように。まるで、二人の未来を照らすように。
二人は並んで、月を見上げた。
距離は、まだある。
触れることは、まだできない。
でも——。
心は、確かに近づいていた。
魂が、繋がっていた。
婚前交渉バトル——。
過去の傷がいま、明かされた。
でも、それは——終わりではなく、始まりだった。
二人の愛が、より深くなる。
そのための、大切な一歩。
痛みを分かち合うこと。
過去を受け入れること。
それが、本当の愛の始まり。
全てが、変わる。
翌日の夜、雨が降り始めた。
窓を叩く雨音が、静かな王宮に響く。
カミラは自室の窓辺に立って、外を見つめていた。稲妻が空を裂き、低い雷鳴が胸の奥を震わせた。
昨日、執務室でアシュランに会った。侍女に変装して、お茶を届けた。彼は驚いて、そして——少しだけ、笑った。あの笑顔が、まだ胸に残っている。温かくて、でもどこか寂しそうな笑顔。
でも、それだけだった。
「もっと、話したかった……」
カミラは呟いた。声が、雨音に溶けていく。
彼は「愛しすぎて怖い」と言った。「君を壊してしまうのが」と。
でも、なぜ?
何が、彼をそこまで怖がらせているの?
窓ガラスが曇って、外の景色がぼやけていく。指先で、ガラスに触れる。冷たい。
カミラは決心した。
このまま待っているだけでは、何も変わらない。彼は、また自分の殻に閉じこもってしまう。
マントを羽織り、部屋を出る。廊下は薄暗くて、ランプの光だけが揺れている。影が、壁に長く伸びていた。足音が、静かに響く。自分の心臓の音が、やけに大きく聞こえる。
*
執務室のドアの前に立つ。
深呼吸をする。胸が、ドキドキと鳴っている。
中から、かすかに明かりが漏れている。ドアの隙間から、オレンジ色の光。まだ、起きているのだ。
カミラはもう一度深呼吸をして、ノックした。
コンコンと、二回。音が、静かな廊下に響く。
「……どうぞ」
彼の声は、少し疲れているような、そんな響きだった。
ドアを開けると、アシュランが窓の外を見つめて立っていた。
プラチナブロンドの髪が、ランプの光に揺れている。黒いシャツの袖をまくって、腕が露わになっていた。
「カミラ……」
アシュランが振り返った。サファイアブルーの瞳が、驚きに見開かれる。そして——一瞬、嬉しそうな光が宿った。でも、すぐに不安げな色に変わる。
「こんな夜に、どうして」
「だって……」
カミラは一歩、部屋に入った。マントから、雨の匂いがする。
「昨日、あれきり話してくれないから」
アシュランは目を逸らした。
雨音が、二人の間を埋めている。稲妻が光って、部屋を一瞬、青白く照らした。アシュランの横顔が、浮かび上がる。
「アシュラン様」
カミラが静かに言った。
「もう、逃げないで」
その言葉に、彼の肩が震えた。
窓に額を押し当てる。ガラスが、冷たいだろう。その姿が、まるで何かに耐えているように見えた。
長い沈黙。
雨音だけが、部屋を満たしている。
「……分かった」
ようやく、彼は言った。声が、震えている。
「話そう。全部」
*
アシュランはソファに座るよう促して、自分も向かいに腰を下ろした。
二人の間に、小さなテーブルがある。ランプの光が、二人の顔を照らしていた。影が、揺れている。
アシュランは手を組んで、じっと見つめている。何かを探すように。言葉を、探しているのだ。
「僕は……君を、閉じ込めたことがある」
アシュランは、ゆっくりと話し始めた。一言一言、噛みしめるように。
「幼い頃の話だ」
カミラは黙って、彼を見つめた。息を潜めて、待っている。
「僕が12歳で、君が10歳の時」
アシュランの声が、遠くなっていく。まるで、記憶の底に沈んでいくように。視線が、どこか遠くを見ている。
*
──7年前の春──
王宮の庭園は薔薇の香りに満ち、春の光が花々を照らしていた。
アシュランは、温室の中にいた。
ガラス張りの温室は、外より少しだけ暖かい。太陽の光が、ガラスを通して柔らかく差し込んでいる。植物の匂いと湿った空気が、鳥の声と混ざる。
アシュランは、一人で本を読んでいた。植物図鑑。綺麗な挿絵が、ページいっぱいに広がっている。
『アシュラン様!』
明るい声が響いた。
その声に、アシュランの心臓が跳ねる。
振り返ると、カミラが走ってきた。赤い髪を揺らして、笑顔で。まだ小さな身体。短い足で、一生懸命走っている。
その姿が、可愛くて——アシュランは優しく微笑んだ。
『カミラ、ゆっくりでいいよ。転ばないように』
『はーい!』
カミラがアシュランの前で立ち止まる。
息を切らして、でも笑顔で。
その笑顔は——太陽みたいに眩しかった。
『見てください! お花を摘んできたのです!』
カミラが小さな手に、野花を握りしめている。白い小さな花。少ししおれかけているけれど、一生懸命摘んできたのだろう。
『綺麗でしょう? アシュラン様どうぞ!』
『……ありがとう、カミラ』
アシュランは優しく花を受け取った。
そっと、大切そうに。
『大切にするね』
『アシュラン様、大好き!』
カミラがニッコリ笑った。無邪気な笑顔。何の疑いもない、純粋な笑顔。
その笑顔を見て、アシュランの胸が、温かくなった。
「僕も、カミラのことが大好きだよ」
優しく、カミラの頭を撫でる。
小さな頭。柔らかい赤い髪。
「ねえ、カミラ」
『何ですの?』
「ずっと、僕のそばにいてくれる?」
『はい! ずっと一緒ですわ!』
カミラは迷わず答えた。
その笑顔が、無邪気で——。
アシュランは優しく、穏やかに微笑んだ。
「ありがとう」
でも——。
その瞳の奥に、何かが蠢いていた。
二人は、しばらく一緒に遊んだ。
花を見て回ったり、蝶を追いかけたり。
カミラの笑い声が、温室に響く。
アシュランも、優しく微笑んでいた。
でも——。
『あ、もう帰りませんと!』
カミラが突然言った。
『お母様と約束があるのです。また明日も遊んでくださいね!』
そう言って、カミラは走って行こうとした。
その瞬間——。
アシュランの中で、何かが弾けた。
帰る。
どこかへ行ってしまう。
僕から、離れていく。
「待って」
思わず、カミラの手を掴んだ。
『え?』
カミラがキョトンと振り返る。
不安も恐怖もない。ただ、不思議そうに。
「帰らないで」
『でも、お母様が——』
「帰らないで」
アシュランの声が——変わっていた。
低く、震えて。
その瞳が——何かに取り憑かれたように、カミラを見つめている。
でも、カミラは気づかない。
『えっと…』
カミラは無邪気に首を傾げる。
そんなカミラを前にアシュランの胸の奥では、何かが燃え上がっている。
黒くて熱い、抑えきれない衝動。
この子を、誰にも渡したくない。
ずっと、ここにいてほしい。
僕だけのものでいてほしい。
どこにも行かないで。
お願いだから——。
「僕と、ずっと一緒にいて」
『うん! ずっと一緒ですわ! だから、明日も——』
「今日も、一緒にいて」
アシュランの手が、カミラの手首を強く掴んでいる。
それでもいつもと違う、アシュランの様子にカミラは全く気付けないでいた。
ただ、ニコニコと笑っている。
『それならもう少し遊びましょう! 少しくらいならきっとお母様も許してくれますわ!』
カミラは嬉しそうに言った。
アシュラン様と、もっと一緒にいられる。
それが、ただ嬉しい。
「ありがとう、カミラ」
アシュランが微笑んだ。
でも、その笑顔は——どこか歪んでいた。
「じゃあ、こっちへおいで」
『はーい!』
カミラは無邪気に、アシュランの後をついていく。
何も疑わずに、スキップをしながら。
温室の奥の小さな部屋の前で2人は立っていた。
『ここは?』
カミラが不思議そうに見上げる。
「道具を置く部屋だよ」
アシュランが優しく答える。
「ここで、ちょっと待っててほしいんだ」
『え? どうして?』
カミラが首を傾げるものの、怖がってはいなかった。ただ、不思議そうにアシュランを見つめた。
「すぐに戻るから」
『分かりましたわ!』
カミラはニコニコと部屋に入った。
「良い子だね」
アシュランがカミラの頭を優しく撫でる。
でも——その手が、震えていた。
そして——。
ドアを、閉めた。
カチャリと、鍵をかける音。金属が擦れる、冷たい音。
『アシュラン様?』
ドアの向こうから、カミラの声。
『すぐに戻るよ』
『はーい!』
カミラは、まだ何も分かっていなかった。
閉じ込められたことも。これが、どういうことなのかも。
ただ、部屋の中を見回している。
『お道具がいっぱいですわ』
一人で呟いて、窓から差し込む光の暖かさに微笑んでいた。
アシュランは、温室の外に出た。
庭園を歩く。薔薇の香りが、鼻をくすぐる。でも、その香りが、今は苦しい。
カミラは、あの部屋にいる。
誰にも見つからない。
誰にも連れて行かれない。
僕だけの——。
そう思うと、胸が熱くなった。
嬉しかった。
安心した。
でも、同時に——。
心の奥で、小さな声が囁いていた。
これは、間違っている。
これは、してはいけないこと。
でも、その声は——黒い感情に飲み込まれていった。
太陽が、傾き始める。
温室に残されたカミラは、だんだん不安になっていた。
『アシュラン様……?』
ドアを叩くも、返事はない。
部屋の中が、だんだん暗くなっていく。
窓は高くて小さく、光もわずかにしか入ってこない。
『アシュラン様……どこですの……?』
誰も来ないことに気付いたカミラの声が震え始める。
誰も、助けてくれない。暗い。怖い。無邪気なカミラは恐怖の感情に支配された。
『アシュラン様……』
カミラの声が、泣き声に変わっていく。
数時間が過ぎた。
アシュランは、庭園を歩き続けた。でも、足が——温室へと向かっている。
気づけば、温室の前に立っていた。
ドアを開けると——。
泣き声が聞こえた。
『うう……アシュラン様……』
小さな、震える声。か細くて、途切れそうな声。
ハッとして、部屋のドアを開けた。鍵を回す手が、震える。
そこには、カミラがうずくまって泣いていた。
小さな身体が、震えている。両手で顔を覆って。涙で顔がぐしゃぐしゃだった。頬が、真っ赤になっている。
「カミラ……」
『アシュラン様……怖かった……』
カミラが泣きながら、アシュランを見上げた。
その瞳に——恐怖があった。
僕を、怖がっている。
その事実が、アシュランの胸を突き刺した。氷の刃が、心臓を貫いたような痛み。
『暗くて……誰も来なくて……帰れなくて……』
「ごめん、ごめん……」
アシュランはカミラを抱きしめた。
小さな身体が、震えている。まるで、怯えた小動物のように。泣き声が、耳に痛い。その声が、胸に突き刺さる。
「もう、しないから……ごめん」
何度も、何度も謝った。
その瞬間——。
温室のガラスが、ビリビリと震えた。
植物が、一斉にしおれていく。枯れていく。
幼いアシュランの魔力が、感情とともに暴走した。
『やめて……怖い……』
カミラの泣き声が、震えている。
ハッとして、アシュランは手を離した。
触れてはいけない。
触れたら、壊してしまう。
でも、カミラはしばらく泣き止まなかった。
その時、アシュランは理解した。
自分の愛は——時に、相手を傷つける。
自分の独占欲は——相手を怖がらせる。
自分の魔力は——相手を傷つける。
カミラを守りたいのに。
カミラを幸せにしたいのに。
自分が、カミラを泣かせてしまった。
自分が、カミラを怖がらせてしまった。
その日から、アシュランは誓った。
もう二度と、カミラを泣かせない。
もう二度と、自分の独占欲に負けない。
だから——触れてはいけない。
深く、愛してはいけない。
近づきすぎてはいけない。
壊してしまうから。
*
「……それが、僕の罪だ」
アシュランは顔を上げた。
その表情は——いつもの穏やかさを保っている。でも、その瞳の奥に、何かが揺れていた。
「あの日から、ずっと……君を泣かせたくないと思った。けれど、君を見るたびに、壊してしまいそうで怖い。君が笑うたび、僕の中の何かが叫ぶんだ」
声は静かだけれど——その言葉には、抑えきれない何かが滲んでいる。
「独り占めにしたい、誰にも渡したくない、ずっとそばに置いておきたい——って」
拳を、そっと握りしめる。その手だけが、震えていた。
「でも、それをしたら……また、君を泣かせてしまう」
アシュランは立ち上がって、窓の外を見た。
雨が、まだ降っている。
「そして——」
彼は静かに続けた。
「僕の家系には……呪いがあるんだ」
カミラは息を呑んだ。
「王家に伝わる古い書に、こう記されている」
アシュランの声が、淡々と響く。
『愛する者と身体を重ねる前に深く触れれば、魔力は暴走し、相手を傷つける。しかし正式な婚姻の儀を経て、夫婦となり初めて結ばれれば、呪いは解ける』
カミラは黙って聞いている。
「つまり——」
アシュランが静かに説明した。
「結婚式を挙げて、正式に夫婦になるまでは……」
少しだけ、間を置く。
「君を、抱くことはできない」
その言葉が、カミラの胸に沈んでいく。
「キスや、抱擁は——何とか、大丈夫だった」
アシュランは窓の外を見た。
「あの夜も……君に触れることができた」
「でも、それ以上は——」
彼の声が、わずかに低くなる。
「もし、君を求めてしまったら……、肌を重ねてしまったら、魔力が、制御できなくなる」
アシュランがゆっくりと振り返った。
その表情は、穏やかなままだった。
「君を、傷つけてしまう」
雨音が、静かに響いている。
「でも、結婚の儀を経た後は、傷つけることはなくなると書いていた」
アシュランがカミラを見た。
微笑んでいる。でも、その瞳は——笑っていなかった。
「だから、僕は——」
「結婚式まで、待ちたいんだ」
その瞳の奥に、深い願いがある。
いや——執着が。
「君を、絶対に傷つけたくない」
*
カミラは、静かにアシュランの手を取った。
その手が、冷たい。
「だから……」
「あの夜、何度も離れようとしていたのですね」
「私はもっと、と思っていたけれど」
「あなたは——必死に、堪えていた」
アシュランは小さく笑った。
「ああ……限界だったよ。だが、君に触れたい。君の全てを、知りたい」
その声が、わずかに震えた。
「でも、触れたら壊してしまうかもしれないことが……どれだけ辛いか」
一瞬だけ、仮面が剥がれた。
でも、すぐに——また、穏やかな笑みが戻る。
カミラの手は温かい。
「でも、私には——」
カミラが微笑んだ。
「『恋愛指南書』がありますわ! そこには、こうも書いておりますの! 『愛する人を待つことも、愛のひとつ』と!」
その言葉に、アシュランは目を見開いた。
そして、クスリと笑った。
「君の指南書ね。僕には『王家の古書』があって、君には『恋愛指南書』がある」
アシュランが優しく微笑む。
「面白い組み合わせだね」
「だから、待ちますわ」
カミラが言った。
「あなたが安心できるまで。呪いが解けるまで」
カミラの瞳が、優しく微笑んでいた。
「でも——」
いたずらっぽく光る。
「それまでは、キスはたくさんしてくださいね」
その言葉に、アシュランは、少しだけ、困ったように笑った。
「……ああ、それは約束する」
でも、その瞳の奥に、何か、暗いものが蠢いている。
カミラには、見えなかったけれど。
*
しばらくして、二人は離れた。
アシュランの表情は——少しだけ、軽くなっていた。長年背負ってきた重荷が、少しだけ軽くなったような。
「でも……」
彼は言った。
「まだ、怖いんだ」
「怖い?」
「君を、壊したくない」
アシュランは窓の外を見た。雨が、まだ降っている。でも、少しだけ弱くなっている。
「だから、結婚式まで……やっぱり、待ちたい」
カミラは微笑んだ。
「では、壊れないことを証明して差し上げますわ」
「え?」
「私は、あなたが思っているより、ずっと強いの」
カミラの瞳が、いたずらっぽく光った。
「だから、もう心配しないで。私を、信じて」
その言葉に、アシュランは小さく笑った。
「……君には、敵わないな」
その時、雨が上がった。
雲間から差し込む月光が、部屋を銀色に染めた。
「月が……」
カミラが窓を見た。
「綺麗ですわね」
「ああ」
アシュランも窓を見た。
月が、二人を照らしている。
まるで、祝福するように。まるで、二人の未来を照らすように。
二人は並んで、月を見上げた。
距離は、まだある。
触れることは、まだできない。
でも——。
心は、確かに近づいていた。
魂が、繋がっていた。
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それが、本当の愛の始まり。
全てが、変わる。
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