なんだこのギルドネカマしかいない！ Ψギルドごと異世界に行ったら実は全員ネカマだったΨ

機械都市編

069話 全裸のMODが標準搭載されていた件

停電は依然継続中、まぁ今素っ裸なので急に復旧しても困るんだけどね。

暗闇の中で私達3人は手探りながらロッカールームへ到着したが、暗闇の中で自分のロッカーの位置が分からない。

確かこの辺りのはずなんだけど・・・
カードキーを刺すが反応が無い。
良く見るとロッカー自体も連立して電子制御になっている様で開かない。

これだからオール電化は！と考えてしまう。
あのスーパー銭湯とか焼肉屋とかの木で出来た古風で単純な差し込み式のカードキーなら良かったのに。

自分の持つ開錠の特殊技能スキルが通用しない事が悔しい。

「ダメだ、開かない。」

「電源を制御している場所を探さないと駄目でござるな。」

「まずはフロントに行きましょう、誰かしら居るかも知れないし。服を着たいですしね。」

確かに。
いくら暗闇とは言え、素っ裸でウロウロするのは嫌すぎる。

何だかバイオ●ザード系の謎解き脱出系のゲームになってきている様な気がする。

武器無しの丸腰でゾンビに気付かれない様にヒューズを取って電源を確保する的な感覚だ。
それでヒューズを抜いたからエレベーターが機動しない的なのを考えてしまう。

ゲーム脳的な事を考えているとロッカールームにも聞こえる程の爆発音がフロントの方角から鳴り響き皆で驚く。

「何でござるか？」

「・・・行ってみましょう。」

「え、ちょっと待って！」

暗くて良く見えない道を進み、自動ドアとなっている大型のガラスはサクラが拳で粉砕し前進する。

サウナの様な強化ガラスじゃ無ければ素手で壊せる様だ。

暗闇に多少目が慣れて来たのか薄っすらとシルエットが分かる程度に目が慣れて来る。

ガラスを破るサクラの姿は勇ましく見える。
ただ、全ての行動に「（全裸で）」と着くわけだけど・・・・

全裸で行動するプレイヤーキャラクターを操作できるゲームは中々無いだろう。
大抵下着までが限界だと思う。
下着でもR指定とか付けないといけないんじゃないか？

「●界村」シリーズはダメージを喰らうと主人公のオジさんがトランクス1枚になるけれども、男性ならR指定は付かないのだろうか？

「シノブ！大丈夫ですか！無事ですか！」

フロントの方角から聞き慣れないが聞いた事有る声が聞こえる。

そう、あれはDOSどっちゃんの声だ。
さっきの爆発音は入口の扉を銃で破壊した音なのだろうか？

私達はフロントの方角へ急いだ。

「DOSどっちゃん！」

「お～い！ここですここ！」

入口の瓦礫の所でマント姿のシルエットが頻りに周囲を見回している。
私達の声に気付き此方に歩いてくる。

彼は強力な銃撃で施設の扉や強化ガラスを破壊していた。
DOSどっちゃんって基本開かない扉は破壊して入るんだなぁと思った。

「うおっ！皆どうして裸なんだ！？裸で一体何してるんですか！？」

彼は普段見せない様な驚き方をする。

「え？見えるでござるか？」

DOSどっちゃんは機械種アンドロイドの為、センサー的な物が有るのか暗闇でも割と鮮明に見えるらしい。

後ろの方に居たけれど私の裸は見られたんだろうか？

私達は全裸で居た事の詳しい事情を説明して何とか理解して貰えた。
DOSどっちゃんが言うには、停電はこの施設だけでは無く都市全体が停電しているとの事だった。

DOSどっちゃんの助けを借り銃弾で電子ロッカーを解放（物理）し普段の装備を着ける。
ああ、服を着るって落ち着くわぁ。

「もしかして、マザーブレインに何か有ったの？」

「分からない、ハーデスと公営競売場オークションにいたら急に原因不明の停電が有り。住民は衛兵により北区画の大型公園に避難誘導されていた。私はシノブが心配で急いできたんだ、ハーデスは外で待機している。」

・・・・と、言う事はリオとリナは急遽避難させられたのだろうか。

敵が来た訳ではないから無事だとは思うが、衛兵達もサウナに閉じ込められた我々も救助して欲しかった。

これは完全に問題案件だと思うよ。

「これからどうするでござるか？」

「クリスタルタワーを目指しましょう。我々が揃って休暇の時を狙ったとしか思えない！」

「ああ、キナ臭い感じはするな。」

・・・確かに。

今まで毎日交代でマザーブレインの演算を警護してきたが、リオとリナが来る事で我々5人が揃って休みを取った時を狙ってマザーブレインを停止させたのでは無いだろうか。

都市全体の機能が停止するのは、マザーブレイン破壊後のゲームストーリーモード通りの展開だ。

嫌な予感がする。
私達は装備を確認しSPA施設を出る。

「遅かったではないかDOSドス！皆は無事か？」

「ああ。」

「もしかしてミカエル殿がマザーブレインを破壊したとか無いでござるか？」

「ギルマスが？有り得ない話では無いですが・・・まだ出会って無いですし。」

「ミカさんなら・・・やり兼ねないけども・・・まさか。ねぇ？」

「深紅の薔薇」ギルドマスターのミカエル=アルファは穏やかな物腰で常に凛とした雰囲気が有る女子大生のお姉さん。

正直同性の私からしてもカッコイイと思う。

ただ正義と言う大義名分が有る場合には多少強引な所も有る。
そこが魅力的な所でも有るのだけど。

街もほぼ全て光源を失い、暗闇に包まれている。

人通りの無くなった街並みはストーリーモードのマザーブレイン討伐後の様な雰囲気を漂わせていた。

宝玉の件も有るしミカさんと合流出来たら心強いけど。

事態を完全に把握しきれないまま私達は急いでクリスタルタワーを目指す事にした。