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暗黒神ザナファ討伐編
077話 作戦会議
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-アビスダンジョン 15階層-
地下11階層からは茶色の岩盤からやや黒い岩石の通路に変わり、出現モンスターも変化する。
アビスダンジョンには15階層と35階層にプレイヤー救済所の様にモンスター侵入不可のエリアが存在する。
高値でアイテムを販売している行商冒険者のバザーや簡易宿屋等も存在している。
ゲームではこのエリアでのみ難易度変化の時間制限から外れるが、特殊技能の再充填時間も止まる。
この世界でも同じだと良いのだけど・・・
DOSが言うには再充填時間は感覚的に停止している様だ。
機械種は数値化で分かると言っていた。
現在は私達は15階層の結界エリアにて休憩を行っていた。
しかし、このエリアには冒険者は一人も存在せず、本来居るはずの行商人も簡易宿屋すら存在しなかった。
幸い結界の効果は持続中で良かった。
「20階層のフロアボスはどんなのだったっけ?」
「幾億の姿を持つアルラトだ。場合によっては最強の魔人だな。」
「第一形態がプレイヤーのヤツでござるな。」
20階層フロアボス「魔人アルラト」の第1形態はプレイヤーと同等の能力をコピーした偽者パーティーとの戦闘となる。
パーティー人数が何人でも同じ数の偽者が出て来る。
全ての偽者を撃破すると死骸が融合し黒のパンツスーツを着た短髪の美少年の形態となる。
別名「黒の女神」、腰の部分に6本の巨大な鎌を所持し最大六連撃攻撃をしてくる。
実態は有るので打撃・斬撃・刺突等効くが自由自在に形状が変化する為、弱点にクリーンヒットさせるのが難しく回避能力に長けている。
「あーあれですか。サービス最終日ギルドで挑んだ時に【あみだくじ】で対戦相手を決めたら、私はギルマスの偽物と対戦する事になって最悪だった。」
「貴様は大天使にスタイリッシュに殺されていたからな。ワハハハハ!」
「ああ、思い出した!小さい男の子のね。」
「シノブ殿、あれ女の子でござるよ。」
「ええっ!?知らんかった!」
見た目は執事風の衣装を着た短いストレートヘアの男の子だ。
サクラにツッコミを受けるまで、真面目に男の子だと思っていた。
一人称が「僕」だし、アップの姿はイベントムービーにしか出てこないからずっと男の子だと思ってた。
ああそうかそれで黒の女神なのか・・・
男だったら女神は無いよね。
「オープンベータテストの時100人単位でアルラトに挑むのが流行っていたな。脆弱サーバーのせいでラグが酷くて四方から遠隔攻撃や広範囲魔法が飛び交い数秒停止する。そして動けないと思ったら次の瞬間、時間が動き出して死体になっていたりと混沌だったぞ。結局正式サービス開始時に総戦闘参戦人数が40名までに修正されたがな。」
アルファテストからプレイしている暗黒神ハーデスが嬉しそうに語る。
アルファテストは募集に当選した人々がプレイ出来る一番最初の公開テストプレイだ。
選ばれたプレイヤーで行われる小規模なテストなだけあってバグや不具合が満載だったらしい。
総参加人数は1000人位だと言っていた。
「どうせ、広範囲魔法はあなたが笑いながら放ってSNSで晒されたりしてたんでしょう。」
「おお、貴様もそこに居たのか?」
「いや、居なかったですけど・・・・図星の様ですね。」
咲耶が呆れた表情で腰に手を当て溜息を付く。
暗黒神ハーデスらしいと言えばらしいけど、最初期から厨二病迷惑系キャラを演出していたと。
でも、そういうのって少し楽しそう。
私はサービス2年目から始めたから、このフィールドは過疎っていたなぁ。
本来有るはずの宿屋が存在しないので今日はこの階層で野宿をする為に簡易テントを各々で立てる。
この世界に来てから野宿にも慣れ、現実世界に戻った時ソロキャンプも余裕で出来そうだ。
キャンプと言えば飯盒炊爨にカレーと相場が決まっていると自分では勝手に思っているのだが、この世界にカレーが存在しない為、鍋の様な煮込み料理が主流となる。
「カレー食べたいな。」
「このゲームクリアしたらレトルトでも良いから食べたいですね。カレー。」
「ココ壱のカツカレーダブル2辛の600グラムだな。」
「・・・それは食い過ぎでござる。まぁ今なら、分からんでもないでござるが。あの味が恋しいでござるな。」
「出来ましたよ、シノブどうぞ。」
豚汁の様な煮込み料理作り終えDOSが手渡してくれる。
DOSは機械種なので自分では食べないが料理が上手でリアルでも家事は奥さんと分担でしていたと言っていた。
結婚するなら家庭的な男性って魅力的だ。
奥さんもきっと幸せだったろうな。
「うん?どうしたシノブ。」
「DOSは家庭的で優しくて良いなと思って。」
「そ、そうか?ありがとう。ほら、皆も出来てるぞ。」
無表情なメタルボディのDOSが照れている様に見える、なんか少し可愛い。
そしてサクラと咲耶が詰め寄って何かを話しているが何なんだろうか。
肉をもっと入れろとか、そんな感じの小学生の様な駄々を捏ねてるに違いない。
まったく困ったヤツらだ。
「フロアボスの作戦とか考えているでござるか?」
「個別対処と各個撃破・・・か。ふむ」
「我は、偽咲耶→偽DOS→偽ハーデス→偽サクラ→偽シノブを推奨する。」
「ハーデス、その順番の根拠は何ですか?」
暗黒神ハーデスの説明では、まず回復魔法・補助魔法が使える偽咲耶を倒さなければ持久戦になってしまうので真っ先に倒す。
偽DOSは高火力だが本人よりもプレイヤースキルがシステム上落ちるはず。
援護射撃をさせない為に2番目に撃破する。
3番目と4番目は逆でも問題無い広範囲魔法が面倒なので先に選んだと。
最後の私の偽者は回避能力に長けトリッキーな攻撃をする為に2~3チームに分けて陽動作戦を使い倒す。
話を聞いた皆もその作戦に異議は無いらしく、戦闘順序は決定し個別の対処を模索した話し合いが行われた。
ある程度作戦内容が決まった所で各々のキャンプで就寝する。
しかし私達はまだ知らなかった。
このゲームが最高難易度よりも更に更に、高い難易度へと変更されている事を・・・・
地下11階層からは茶色の岩盤からやや黒い岩石の通路に変わり、出現モンスターも変化する。
アビスダンジョンには15階層と35階層にプレイヤー救済所の様にモンスター侵入不可のエリアが存在する。
高値でアイテムを販売している行商冒険者のバザーや簡易宿屋等も存在している。
ゲームではこのエリアでのみ難易度変化の時間制限から外れるが、特殊技能の再充填時間も止まる。
この世界でも同じだと良いのだけど・・・
DOSが言うには再充填時間は感覚的に停止している様だ。
機械種は数値化で分かると言っていた。
現在は私達は15階層の結界エリアにて休憩を行っていた。
しかし、このエリアには冒険者は一人も存在せず、本来居るはずの行商人も簡易宿屋すら存在しなかった。
幸い結界の効果は持続中で良かった。
「20階層のフロアボスはどんなのだったっけ?」
「幾億の姿を持つアルラトだ。場合によっては最強の魔人だな。」
「第一形態がプレイヤーのヤツでござるな。」
20階層フロアボス「魔人アルラト」の第1形態はプレイヤーと同等の能力をコピーした偽者パーティーとの戦闘となる。
パーティー人数が何人でも同じ数の偽者が出て来る。
全ての偽者を撃破すると死骸が融合し黒のパンツスーツを着た短髪の美少年の形態となる。
別名「黒の女神」、腰の部分に6本の巨大な鎌を所持し最大六連撃攻撃をしてくる。
実態は有るので打撃・斬撃・刺突等効くが自由自在に形状が変化する為、弱点にクリーンヒットさせるのが難しく回避能力に長けている。
「あーあれですか。サービス最終日ギルドで挑んだ時に【あみだくじ】で対戦相手を決めたら、私はギルマスの偽物と対戦する事になって最悪だった。」
「貴様は大天使にスタイリッシュに殺されていたからな。ワハハハハ!」
「ああ、思い出した!小さい男の子のね。」
「シノブ殿、あれ女の子でござるよ。」
「ええっ!?知らんかった!」
見た目は執事風の衣装を着た短いストレートヘアの男の子だ。
サクラにツッコミを受けるまで、真面目に男の子だと思っていた。
一人称が「僕」だし、アップの姿はイベントムービーにしか出てこないからずっと男の子だと思ってた。
ああそうかそれで黒の女神なのか・・・
男だったら女神は無いよね。
「オープンベータテストの時100人単位でアルラトに挑むのが流行っていたな。脆弱サーバーのせいでラグが酷くて四方から遠隔攻撃や広範囲魔法が飛び交い数秒停止する。そして動けないと思ったら次の瞬間、時間が動き出して死体になっていたりと混沌だったぞ。結局正式サービス開始時に総戦闘参戦人数が40名までに修正されたがな。」
アルファテストからプレイしている暗黒神ハーデスが嬉しそうに語る。
アルファテストは募集に当選した人々がプレイ出来る一番最初の公開テストプレイだ。
選ばれたプレイヤーで行われる小規模なテストなだけあってバグや不具合が満載だったらしい。
総参加人数は1000人位だと言っていた。
「どうせ、広範囲魔法はあなたが笑いながら放ってSNSで晒されたりしてたんでしょう。」
「おお、貴様もそこに居たのか?」
「いや、居なかったですけど・・・・図星の様ですね。」
咲耶が呆れた表情で腰に手を当て溜息を付く。
暗黒神ハーデスらしいと言えばらしいけど、最初期から厨二病迷惑系キャラを演出していたと。
でも、そういうのって少し楽しそう。
私はサービス2年目から始めたから、このフィールドは過疎っていたなぁ。
本来有るはずの宿屋が存在しないので今日はこの階層で野宿をする為に簡易テントを各々で立てる。
この世界に来てから野宿にも慣れ、現実世界に戻った時ソロキャンプも余裕で出来そうだ。
キャンプと言えば飯盒炊爨にカレーと相場が決まっていると自分では勝手に思っているのだが、この世界にカレーが存在しない為、鍋の様な煮込み料理が主流となる。
「カレー食べたいな。」
「このゲームクリアしたらレトルトでも良いから食べたいですね。カレー。」
「ココ壱のカツカレーダブル2辛の600グラムだな。」
「・・・それは食い過ぎでござる。まぁ今なら、分からんでもないでござるが。あの味が恋しいでござるな。」
「出来ましたよ、シノブどうぞ。」
豚汁の様な煮込み料理作り終えDOSが手渡してくれる。
DOSは機械種なので自分では食べないが料理が上手でリアルでも家事は奥さんと分担でしていたと言っていた。
結婚するなら家庭的な男性って魅力的だ。
奥さんもきっと幸せだったろうな。
「うん?どうしたシノブ。」
「DOSは家庭的で優しくて良いなと思って。」
「そ、そうか?ありがとう。ほら、皆も出来てるぞ。」
無表情なメタルボディのDOSが照れている様に見える、なんか少し可愛い。
そしてサクラと咲耶が詰め寄って何かを話しているが何なんだろうか。
肉をもっと入れろとか、そんな感じの小学生の様な駄々を捏ねてるに違いない。
まったく困ったヤツらだ。
「フロアボスの作戦とか考えているでござるか?」
「個別対処と各個撃破・・・か。ふむ」
「我は、偽咲耶→偽DOS→偽ハーデス→偽サクラ→偽シノブを推奨する。」
「ハーデス、その順番の根拠は何ですか?」
暗黒神ハーデスの説明では、まず回復魔法・補助魔法が使える偽咲耶を倒さなければ持久戦になってしまうので真っ先に倒す。
偽DOSは高火力だが本人よりもプレイヤースキルがシステム上落ちるはず。
援護射撃をさせない為に2番目に撃破する。
3番目と4番目は逆でも問題無い広範囲魔法が面倒なので先に選んだと。
最後の私の偽者は回避能力に長けトリッキーな攻撃をする為に2~3チームに分けて陽動作戦を使い倒す。
話を聞いた皆もその作戦に異議は無いらしく、戦闘順序は決定し個別の対処を模索した話し合いが行われた。
ある程度作戦内容が決まった所で各々のキャンプで就寝する。
しかし私達はまだ知らなかった。
このゲームが最高難易度よりも更に更に、高い難易度へと変更されている事を・・・・
応援ありがとうございます!
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