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暗黒神ザナファ討伐編
079話 黒の女神アルラト
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5体の偽DOSの死骸が影の様に変容し部屋の中央に集まり始める。
その集合体は徐々に人の形を形容し見た目の幼い男の子が現れる。
見た目は男の子だが設定上女性らしいので女の子か。
女の子が男装しているのは男の娘とは違うのか?逆か?男装女子?
小柄な体型で涼しげなストレートの黒髪に切れ長な睫毛、黒いパンツスーツを綺麗に着こなし背中から腰に掛けて大きな鎌の様な形状の武器を六本下げている美少年・・・・
いや、美少女がその姿を現す。
「はじめまして、僕はアルラトって言います!よろしくね!」
彼女はフォーマルな格好には似使わない程フランクな態度で笑顔を振りまく。
キャピっと擬音がなりそうな大袈裟ポーズで会釈をする。
違和感を感じる。
こんな感じのキャラだったかな?
彼女は本来喋る事は無く戦闘に突入するはずだ。
魔人トゥグ同様、多少のイベントムービーを挟んで戦闘が始まるはずだが彼女は私達に対話をして来たので少し驚いた。
「皆って超強いね!驚いたよ!はいっきり言って尊敬しちゃうね!」
彼女は笑顔で手を広げたり飛び跳ねたりと感情を態度で表すかの様に燥いでいた。
何だか本当に可愛い子供にしか見えない。
本性は変幻自在な6本腕のモンスターだ。
ゲームでも6本腕のケンタウロスの様な形状で戦った覚えが有る。
「何やら・・・様子が変でござるぞ。」
「ああ、街にいるNPCの様な感じだ。」
「油断させる為に演技してるんじゃないですか?」
「でも、可愛いかも。なでなでしたい!」
「おい、シノブが早々に洗脳されているぞ。魅了系の常時発動型特殊技能持ちか!?」
彼女は唐突に棒切れに白い布を結び付け、振り始める。
あれって自身が敗北を認めて投降する時のサインじゃないだろうか?
俗に言う白旗ってヤツだ。一体どう言うつもりなんだろうか。
「僕はもう戦闘の意思は無いので、襲わないでください!」
余りにも潔く降伏をして来て逆に身構える。
これは完全に油断させる為の罠でしょ。
皆の表情を見ると明らかに怪訝な顔をしている、たぶん罠だと疑っているのだろう。
疑われているのに気が付いたのか背中に下げていた6本の大鎌【六道輪廻】と白旗を私達の方へ頬り投げ、両手を頭上に上げる。
「どう言うつもりだ?貴様はこのフロアを守護するのが役目であろうが!」
「う~ん、だって勝てそうにないし。こんな場所、命を懸けて守る価値なんてもう無いし。」
暗黒神ハーデスが戦闘の意思を確かめるが、彼女は特にフロアを守護する事に義務感を感じていない様子だ。
両手を上げながら笑顔であっけらかんと答える。
何故か親近感の湧く喋り方だなぁ高校の同級生に似たタイプの子が居たからかな。
「では、下のフロアに降りる扉を解放して貰えないですか?」
「うん、いいよ!」
咲耶がフロア解放を願うと、彼女はあっさりと承諾し指をパチンと鳴らすと大扉のロックが解除された音が周囲に鳴り響いた。
ある意味ボス戦闘回避出来た事に皆で驚く。
何かフラグとか有ったのだろうか?
「・・・話が旨過ぎるでござる。」
「せやね。」
「シノブ、何故エセ関西弁なんですか?」
まぁボス戦をスルー出来たのは今回が初めてじゃない。
少し驚いたけど何処かで何かのフラグスイッチが入ったんだろうと言う結論に達した。
私達は一応警戒しながら下の階に繋がる階段へと足を運ぶ。
その時、魔人アルラトが両手を上げたまま私達に話しかけて来た。
「ねねねね、僕も仲間に入れてよ!ねっ!役に立つからさっ!」
両手を上げたまま突然仲間にして欲しいと言われ私達は困惑する。
彼女は屈託の無い笑顔で「ニシシ」と笑う。
「お前の役目はこの場所の守護だろうが。プログラムが自由行動をするな。」
いつに無く暗黒神ハーデスが苛付いている様子だ。
何に対しての怒りかは分からないが珍しい事には違いない。
「この洞窟に入った瞬間に皆さんの情報をコピーしたの。」
彼女の保有する特殊技能【擬態】の事だろう。
レベルや能力をコピーして戦闘で使用出来る彼女固有の能力だ。
彼女は興味深そうな表情で続け様に妙な事を口にした。
「ねねね、パパなんでしょ?」
彼女は手を後ろで組み前かがみになり、小悪魔の様な表情で暗黒神ハーデスを覗き込む様に上目遣いで見つめる。
パパ?どう言う事だ?
皆が一斉に暗黒神ハーデスの方を見る。
暗黒神ハーデスは複雑な表情で彼女から目を背けている。
「ハーデス、ヤツは何の事を言ってるんです?」
「・・・・・・だ。」
暗黒神ハーデスが何か言ったけど、呟く様な小声だったので聞き逃す。
サクラが聞き返すと予想だにしなかった意外な答えが返って来た。
「・・・コイツをプログラムしたのは我だ。」
「はぁ?お主、何を言ってるでござるか?」
「だから~、パパなんだって!」
「パパ・・・生みの親?」
「生みの親・・・開発者!お、おまっ!お前開発者なのか!?」
咲耶が普段の喋り方を忘れる位驚いていた。
暗黒神ハーデスは観念したかの様に話し始めた。
親がコンピューター機器の開発メーカーに勤務していたらしく、小学生の頃から趣味でプログラミングをしていたらしい。
彼は大学の情報学部を卒業し、システムエンジニアとしてSMO運営会社に就職。
タイピングスピードや無駄の無いプログラミングコードを高く評価され、入社間もなくSMO制作チームへ参加させられたらしい。
様々な企画に平行参加しながらアルファテスト、クローズドベータテスト、オープンベータテストまで全て参加。
プレイヤーと開発作業と同時に行っていたと言う。
ただ彼のキャラクター自体はゲームマスターでは無い為、ゲームマスターとしての様々な権限は一切使えないとの事らしい。
会社用の専用IDでログインすればゲームマスターと同様の事が出来るらしい。
開発者と言う事で会社のコンプライアンスに反する為、口外出来なかったらしい。
この事実は流石に皆驚いた様で唖然としながらも、暗黒神ハーデスに対して様々な質問を寄せていた。
製作者メンバーとは・・・
このゲーム世界に来た時と同じ位の衝撃だ。
驚くべき新事実を前に魔人アルラトの事も忘れてSMO内部事情討論会へと発展する勢いだった。
その集合体は徐々に人の形を形容し見た目の幼い男の子が現れる。
見た目は男の子だが設定上女性らしいので女の子か。
女の子が男装しているのは男の娘とは違うのか?逆か?男装女子?
小柄な体型で涼しげなストレートの黒髪に切れ長な睫毛、黒いパンツスーツを綺麗に着こなし背中から腰に掛けて大きな鎌の様な形状の武器を六本下げている美少年・・・・
いや、美少女がその姿を現す。
「はじめまして、僕はアルラトって言います!よろしくね!」
彼女はフォーマルな格好には似使わない程フランクな態度で笑顔を振りまく。
キャピっと擬音がなりそうな大袈裟ポーズで会釈をする。
違和感を感じる。
こんな感じのキャラだったかな?
彼女は本来喋る事は無く戦闘に突入するはずだ。
魔人トゥグ同様、多少のイベントムービーを挟んで戦闘が始まるはずだが彼女は私達に対話をして来たので少し驚いた。
「皆って超強いね!驚いたよ!はいっきり言って尊敬しちゃうね!」
彼女は笑顔で手を広げたり飛び跳ねたりと感情を態度で表すかの様に燥いでいた。
何だか本当に可愛い子供にしか見えない。
本性は変幻自在な6本腕のモンスターだ。
ゲームでも6本腕のケンタウロスの様な形状で戦った覚えが有る。
「何やら・・・様子が変でござるぞ。」
「ああ、街にいるNPCの様な感じだ。」
「油断させる為に演技してるんじゃないですか?」
「でも、可愛いかも。なでなでしたい!」
「おい、シノブが早々に洗脳されているぞ。魅了系の常時発動型特殊技能持ちか!?」
彼女は唐突に棒切れに白い布を結び付け、振り始める。
あれって自身が敗北を認めて投降する時のサインじゃないだろうか?
俗に言う白旗ってヤツだ。一体どう言うつもりなんだろうか。
「僕はもう戦闘の意思は無いので、襲わないでください!」
余りにも潔く降伏をして来て逆に身構える。
これは完全に油断させる為の罠でしょ。
皆の表情を見ると明らかに怪訝な顔をしている、たぶん罠だと疑っているのだろう。
疑われているのに気が付いたのか背中に下げていた6本の大鎌【六道輪廻】と白旗を私達の方へ頬り投げ、両手を頭上に上げる。
「どう言うつもりだ?貴様はこのフロアを守護するのが役目であろうが!」
「う~ん、だって勝てそうにないし。こんな場所、命を懸けて守る価値なんてもう無いし。」
暗黒神ハーデスが戦闘の意思を確かめるが、彼女は特にフロアを守護する事に義務感を感じていない様子だ。
両手を上げながら笑顔であっけらかんと答える。
何故か親近感の湧く喋り方だなぁ高校の同級生に似たタイプの子が居たからかな。
「では、下のフロアに降りる扉を解放して貰えないですか?」
「うん、いいよ!」
咲耶がフロア解放を願うと、彼女はあっさりと承諾し指をパチンと鳴らすと大扉のロックが解除された音が周囲に鳴り響いた。
ある意味ボス戦闘回避出来た事に皆で驚く。
何かフラグとか有ったのだろうか?
「・・・話が旨過ぎるでござる。」
「せやね。」
「シノブ、何故エセ関西弁なんですか?」
まぁボス戦をスルー出来たのは今回が初めてじゃない。
少し驚いたけど何処かで何かのフラグスイッチが入ったんだろうと言う結論に達した。
私達は一応警戒しながら下の階に繋がる階段へと足を運ぶ。
その時、魔人アルラトが両手を上げたまま私達に話しかけて来た。
「ねねねね、僕も仲間に入れてよ!ねっ!役に立つからさっ!」
両手を上げたまま突然仲間にして欲しいと言われ私達は困惑する。
彼女は屈託の無い笑顔で「ニシシ」と笑う。
「お前の役目はこの場所の守護だろうが。プログラムが自由行動をするな。」
いつに無く暗黒神ハーデスが苛付いている様子だ。
何に対しての怒りかは分からないが珍しい事には違いない。
「この洞窟に入った瞬間に皆さんの情報をコピーしたの。」
彼女の保有する特殊技能【擬態】の事だろう。
レベルや能力をコピーして戦闘で使用出来る彼女固有の能力だ。
彼女は興味深そうな表情で続け様に妙な事を口にした。
「ねねね、パパなんでしょ?」
彼女は手を後ろで組み前かがみになり、小悪魔の様な表情で暗黒神ハーデスを覗き込む様に上目遣いで見つめる。
パパ?どう言う事だ?
皆が一斉に暗黒神ハーデスの方を見る。
暗黒神ハーデスは複雑な表情で彼女から目を背けている。
「ハーデス、ヤツは何の事を言ってるんです?」
「・・・・・・だ。」
暗黒神ハーデスが何か言ったけど、呟く様な小声だったので聞き逃す。
サクラが聞き返すと予想だにしなかった意外な答えが返って来た。
「・・・コイツをプログラムしたのは我だ。」
「はぁ?お主、何を言ってるでござるか?」
「だから~、パパなんだって!」
「パパ・・・生みの親?」
「生みの親・・・開発者!お、おまっ!お前開発者なのか!?」
咲耶が普段の喋り方を忘れる位驚いていた。
暗黒神ハーデスは観念したかの様に話し始めた。
親がコンピューター機器の開発メーカーに勤務していたらしく、小学生の頃から趣味でプログラミングをしていたらしい。
彼は大学の情報学部を卒業し、システムエンジニアとしてSMO運営会社に就職。
タイピングスピードや無駄の無いプログラミングコードを高く評価され、入社間もなくSMO制作チームへ参加させられたらしい。
様々な企画に平行参加しながらアルファテスト、クローズドベータテスト、オープンベータテストまで全て参加。
プレイヤーと開発作業と同時に行っていたと言う。
ただ彼のキャラクター自体はゲームマスターでは無い為、ゲームマスターとしての様々な権限は一切使えないとの事らしい。
会社用の専用IDでログインすればゲームマスターと同様の事が出来るらしい。
開発者と言う事で会社のコンプライアンスに反する為、口外出来なかったらしい。
この事実は流石に皆驚いた様で唖然としながらも、暗黒神ハーデスに対して様々な質問を寄せていた。
製作者メンバーとは・・・
このゲーム世界に来た時と同じ位の衝撃だ。
驚くべき新事実を前に魔人アルラトの事も忘れてSMO内部事情討論会へと発展する勢いだった。
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