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暗黒神ザナファ討伐編
083話 肉体的属性と魔法的属性
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-アビスダンジョン 35階層-
15階層同様にモンスター進入禁止の魔法陣は起動していたが、宿屋や冒険者の姿は一切存在しなかった。
暗黒神ハーデスが氷系の魔法と火炎魔法を使用し、岩場の地面の窪みに温水を張る。
その上にテントを設営する。
見る見る内にこのフロアに2ヶ所の簡易的な温泉が完成した。
少し離れた壁際に造った女性用のテントの入口にはDOSに見張り役をお願いして、魔人アルラトと2人で温泉に入る。
モンスターの返り血で汚れた体を洗い流しゆっくりと浸かる。
ああ・・・幸せだ、まさに至福の時間。
何気なく魔人アルラトの裸を見ると小学校高学年位の体型だろうか、少しの膨らみは有るが基本平坦でつるっとしている。
凹凸の無い同性の体を見ると何故か安心感を覚えるのは、普段から馬鹿みたいに盛られたネカマの肉体にコンプレックスを感じているからに違いない。
温泉の中で無邪気に泳いでいる姿が微笑ましくて和む。
先程何故パパ達と別々に入るのかと聞かれたが、彼らは見た目は女性だけど中身は男性だからと答えたら簡単に納得していた。
彼女が言うには私達の体をスキャンした時に様々な情報も同時に入手したらしいのだが、私の体はエラー項目が多かったらしい。
もしかしてスリーサイズもエラーが出ていたのだろうか。
「ねぇシノ。さっきから僕の体をじろじろ見てるけど何か変かな?」
「う、うん?べ、別に変じゃないよ?可愛いよ。」
癒しを得る為に凝視し過ぎたせいか彼女と目が合い、理由が分からない彼女は質問して来た。
メンバーの中で胸の大きさで初めて勝った事が嬉しかったと本音を言えずにいると、彼女の自分の体を目の前で変形させていった。
サクラや咲耶を思わせる様なグラマーなスタイルに変形していく。
顔は幼い美少年のままだが、スタイル抜群の成人女性の様な姿になり違和感が半端無い。
一般的な言い方をすると幼さを残した犯罪的なロリ巨乳だ。
「どう?こっちの方が良い?」
「駄目、絶対に駄目!アルラトには似合わない!それにその属性は他の連中と被るから止めた方が良いよ。」
正直グラマー属性は間に合っているので、即行で却下した。
そうか、彼女は容姿を自由自在に変形できるんだった・・・
束の間の勝利の余韻を失った私は少し凹んでいた。
不意に彼女は私の腕に抱き着き頭を肩に預けて来た。
「皆とずっと一緒にいたいなぁ~って。」
「うん?どうしたの急に?」
「50階のボスを倒したらお別れなんでしょ?」
私は彼女にどう返事を返したら良いのか分からなかった。
私達から見れば、彼女はゲーム内プログラムのボスキャラで有り分類的に言えばモンスターやNPCの様な物だ。
こうして一緒に過ごしている事自体イレギュラーで有り、ゲーム設定自体を無視した事象その物なんだ。
暗黒神ザナファを倒したら元の世界に戻れるって言うのも、私達が抱いている「希望」で有り、唯一の「目標」だ。
何度も考えたけど、もし暗黒神を倒しても元の世界に戻れなかったら私達はこの世界で生きていかないといけないんだ。
今では結構心情的に受け入れられている部分も有る。
「元の世界に戻れるかは分からないよ、でも今は私はアルラトと一緒に居るよ。」
私が彼女の手を握ると彼女も強く腕にしがみ付いて来た。
もしかしたら彼女は自我に目覚めた瞬間から、このアビスダンジョンの下層フロアで居る事に寂しいと感じていたのだろうか?
会社で仕事を大量に押し付けられて会社内で暮らす環境の暗黒神ハーデスの深層心理の様な物が投影された結果なのだろうか。
私は腕にしがみついている彼女のをそっと抱きよせる。
「・・・シノって胸無いね。」
「うっさい!」
お湯がぬるくなる程、約1時間位の長湯を終えテントを出ると綺麗になった皆が汚れた主力装備の洗濯を終えていた。
皆は身軽な衣服に着替え、寝る為のテントを立て終え食事の用意をしていた。
私達もすぐに手伝いに入り、焚き木を囲んで賑やかな夕食を食べる。
暗黒神ザナファの居る50階層まで残り15階層。
40階層のフロアボスは門番を冠する魔人四天王「魔人ヨグトス」。
魔人四天王の中でも1番厄介なボスで、その体は魔人トゥグ同様にマナの集合で出来たエネルギー生命体で弱点属性変化を使用してくる。
物理攻撃耐性・魔法攻撃耐性を持ち弱点属性変化時に逆属性吸収が付加される、ソーサラー系の魔法を全て所持している。
そして各属性の極大攻撃魔法を短時間で連続使用してくる強敵だ。
・
・
・
夕食を食べながら作戦会議を行うのが日課になりつつある私達は、魔人ヨグトス攻略方法が中々纏まらないでいた。
「DOSが戦闘指揮に専念して臨機応変に戦うしかないと思うよ。」
「ふむ、弱点属性変化の見極めは難しいからな。我の極大攻撃魔法で体力回復させてしまう。」
魔人ヨグトスの弱点属性変化は下位の魔法で現在の属性を調べ、反属性の極大攻撃魔法で最大ダメージを与える戦い方が定石だ。
「拙者の攻撃が、どの程度効くか不安でござる。」
「私は魔法障壁と回復魔法に専念します。私の攻撃は効きそうにないでしょう。電撃属性が弱点になった時だけ攻撃に転じます。」
「僕は普通に殴っていれば良いの?それともパパのマネっこ?」
「マネっこが良いかもね。」
結局、装備品で物理・魔法耐性の高い私が前衛に立ち盾役をしながら後方でサクラと咲耶が回復補助役をする。
中央でDOSが無属性弾丸で牽制役。
そして最後方で暗黒神ハーデスが下位の魔法で弱点属性を探る。
弱点属性が判明次第、極大攻撃魔法で攻撃をする。
暗黒神ハーデスの能力をコピーした魔人アルラトは彼と同時に同じ極大攻撃魔法を放つ守備特化型の陣形を組む事で話は纏まった。
そして私達は眠りに付く為にそれぞれのテントへと入った。
真夜中にテント内で物音がしたので眠たい目を擦りながら体を起こし、魔法具のカンテラに火を灯す。
そこには【粘着罠】に掛かって麻痺している魔人アルラトを発見した。
パーティーメンバーが増えてからサクラはDOSの監視を搔い潜る事が出来ずに私の仕掛けた罠まで到達出来なかった。
久々に罠に掛かっている人物を見て思わず笑ってしまう。
私は丁寧に罠を外し魔人アルラトに事情を聞くと、一緒に寝たいからテントに来たら罠に嵌ったとの事だった。
私は魔人アルラトを寝袋に招き入れた、独り用の寝袋に2人入るのは正直かなり狭い。
しかし魔人アルラトは満足そうな笑顔で私にしがみ付く。
カンテラを消して少しすると彼女の寝息が聞こえて来た。
なんて寝付きが良いんだ、ある意味羨ましい。
激しい戦闘の後は疲労ですぐ寝るか、体が高揚して寝れないかの何方かなのだが今日は前者に近い。
彼女の寝顔を眺めながら頭を撫でていると睡魔で瞼が重くなりそのまま意識は闇へと落ちて行った。
15階層同様にモンスター進入禁止の魔法陣は起動していたが、宿屋や冒険者の姿は一切存在しなかった。
暗黒神ハーデスが氷系の魔法と火炎魔法を使用し、岩場の地面の窪みに温水を張る。
その上にテントを設営する。
見る見る内にこのフロアに2ヶ所の簡易的な温泉が完成した。
少し離れた壁際に造った女性用のテントの入口にはDOSに見張り役をお願いして、魔人アルラトと2人で温泉に入る。
モンスターの返り血で汚れた体を洗い流しゆっくりと浸かる。
ああ・・・幸せだ、まさに至福の時間。
何気なく魔人アルラトの裸を見ると小学校高学年位の体型だろうか、少しの膨らみは有るが基本平坦でつるっとしている。
凹凸の無い同性の体を見ると何故か安心感を覚えるのは、普段から馬鹿みたいに盛られたネカマの肉体にコンプレックスを感じているからに違いない。
温泉の中で無邪気に泳いでいる姿が微笑ましくて和む。
先程何故パパ達と別々に入るのかと聞かれたが、彼らは見た目は女性だけど中身は男性だからと答えたら簡単に納得していた。
彼女が言うには私達の体をスキャンした時に様々な情報も同時に入手したらしいのだが、私の体はエラー項目が多かったらしい。
もしかしてスリーサイズもエラーが出ていたのだろうか。
「ねぇシノ。さっきから僕の体をじろじろ見てるけど何か変かな?」
「う、うん?べ、別に変じゃないよ?可愛いよ。」
癒しを得る為に凝視し過ぎたせいか彼女と目が合い、理由が分からない彼女は質問して来た。
メンバーの中で胸の大きさで初めて勝った事が嬉しかったと本音を言えずにいると、彼女の自分の体を目の前で変形させていった。
サクラや咲耶を思わせる様なグラマーなスタイルに変形していく。
顔は幼い美少年のままだが、スタイル抜群の成人女性の様な姿になり違和感が半端無い。
一般的な言い方をすると幼さを残した犯罪的なロリ巨乳だ。
「どう?こっちの方が良い?」
「駄目、絶対に駄目!アルラトには似合わない!それにその属性は他の連中と被るから止めた方が良いよ。」
正直グラマー属性は間に合っているので、即行で却下した。
そうか、彼女は容姿を自由自在に変形できるんだった・・・
束の間の勝利の余韻を失った私は少し凹んでいた。
不意に彼女は私の腕に抱き着き頭を肩に預けて来た。
「皆とずっと一緒にいたいなぁ~って。」
「うん?どうしたの急に?」
「50階のボスを倒したらお別れなんでしょ?」
私は彼女にどう返事を返したら良いのか分からなかった。
私達から見れば、彼女はゲーム内プログラムのボスキャラで有り分類的に言えばモンスターやNPCの様な物だ。
こうして一緒に過ごしている事自体イレギュラーで有り、ゲーム設定自体を無視した事象その物なんだ。
暗黒神ザナファを倒したら元の世界に戻れるって言うのも、私達が抱いている「希望」で有り、唯一の「目標」だ。
何度も考えたけど、もし暗黒神を倒しても元の世界に戻れなかったら私達はこの世界で生きていかないといけないんだ。
今では結構心情的に受け入れられている部分も有る。
「元の世界に戻れるかは分からないよ、でも今は私はアルラトと一緒に居るよ。」
私が彼女の手を握ると彼女も強く腕にしがみ付いて来た。
もしかしたら彼女は自我に目覚めた瞬間から、このアビスダンジョンの下層フロアで居る事に寂しいと感じていたのだろうか?
会社で仕事を大量に押し付けられて会社内で暮らす環境の暗黒神ハーデスの深層心理の様な物が投影された結果なのだろうか。
私は腕にしがみついている彼女のをそっと抱きよせる。
「・・・シノって胸無いね。」
「うっさい!」
お湯がぬるくなる程、約1時間位の長湯を終えテントを出ると綺麗になった皆が汚れた主力装備の洗濯を終えていた。
皆は身軽な衣服に着替え、寝る為のテントを立て終え食事の用意をしていた。
私達もすぐに手伝いに入り、焚き木を囲んで賑やかな夕食を食べる。
暗黒神ザナファの居る50階層まで残り15階層。
40階層のフロアボスは門番を冠する魔人四天王「魔人ヨグトス」。
魔人四天王の中でも1番厄介なボスで、その体は魔人トゥグ同様にマナの集合で出来たエネルギー生命体で弱点属性変化を使用してくる。
物理攻撃耐性・魔法攻撃耐性を持ち弱点属性変化時に逆属性吸収が付加される、ソーサラー系の魔法を全て所持している。
そして各属性の極大攻撃魔法を短時間で連続使用してくる強敵だ。
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夕食を食べながら作戦会議を行うのが日課になりつつある私達は、魔人ヨグトス攻略方法が中々纏まらないでいた。
「DOSが戦闘指揮に専念して臨機応変に戦うしかないと思うよ。」
「ふむ、弱点属性変化の見極めは難しいからな。我の極大攻撃魔法で体力回復させてしまう。」
魔人ヨグトスの弱点属性変化は下位の魔法で現在の属性を調べ、反属性の極大攻撃魔法で最大ダメージを与える戦い方が定石だ。
「拙者の攻撃が、どの程度効くか不安でござる。」
「私は魔法障壁と回復魔法に専念します。私の攻撃は効きそうにないでしょう。電撃属性が弱点になった時だけ攻撃に転じます。」
「僕は普通に殴っていれば良いの?それともパパのマネっこ?」
「マネっこが良いかもね。」
結局、装備品で物理・魔法耐性の高い私が前衛に立ち盾役をしながら後方でサクラと咲耶が回復補助役をする。
中央でDOSが無属性弾丸で牽制役。
そして最後方で暗黒神ハーデスが下位の魔法で弱点属性を探る。
弱点属性が判明次第、極大攻撃魔法で攻撃をする。
暗黒神ハーデスの能力をコピーした魔人アルラトは彼と同時に同じ極大攻撃魔法を放つ守備特化型の陣形を組む事で話は纏まった。
そして私達は眠りに付く為にそれぞれのテントへと入った。
真夜中にテント内で物音がしたので眠たい目を擦りながら体を起こし、魔法具のカンテラに火を灯す。
そこには【粘着罠】に掛かって麻痺している魔人アルラトを発見した。
パーティーメンバーが増えてからサクラはDOSの監視を搔い潜る事が出来ずに私の仕掛けた罠まで到達出来なかった。
久々に罠に掛かっている人物を見て思わず笑ってしまう。
私は丁寧に罠を外し魔人アルラトに事情を聞くと、一緒に寝たいからテントに来たら罠に嵌ったとの事だった。
私は魔人アルラトを寝袋に招き入れた、独り用の寝袋に2人入るのは正直かなり狭い。
しかし魔人アルラトは満足そうな笑顔で私にしがみ付く。
カンテラを消して少しすると彼女の寝息が聞こえて来た。
なんて寝付きが良いんだ、ある意味羨ましい。
激しい戦闘の後は疲労ですぐ寝るか、体が高揚して寝れないかの何方かなのだが今日は前者に近い。
彼女の寝顔を眺めながら頭を撫でていると睡魔で瞼が重くなりそのまま意識は闇へと落ちて行った。
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