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砂漠の国編
125話 ディワームハンター
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-コダの大砂漠-
蜃気楼の街は跡形も無く消え去り、湿った砂の大砂漠に私1人取り残されてしまった。
後続の冒険者も来たので状況を説明し小1時間程、皆で周囲を捜索するが影も形も無く完全に消失してしまった。
困った。
完全に出遅れた。
次に入口が出現するのが何時になるやら・・・
せめて皆が無事なら良いけど。
後続の冒険者も捜索を諦め諦め次々とコダの街に帰還して行く。
しばらく夜空を眺めていたが蜃気楼の街が再度出現する事も無く、私も諦めて街への帰路へ着く事にした。
「消えちまった・・・。」
「くそっ!また間に合わなかったぜ。」
「出直しだ!」
後続の冒険者達は口々に愚痴を言いながら帰路へ付く。
私は歩きながら蜃気楼の街の事を考える。
蜃気楼の街の出現条件は、大雨なのだろうか?
出現位置が固定なら日中大雨が降った日の夜に、この場所に再度出現するはずだ。
ペル●ナ4の真夜中●レビみたいだな。
まぁ分かり易くて良いけど。
次の出現までに皆がレイドボスを倒したら戻って来れるのかな。
今回は留守番するしかないか・・・・
「ミカさん達なら大丈夫だよね・・・。」
案外、今日にでも攻略して戻って来るかも知れない。
宿屋に戻った私は硬いベッドにダイヴし天井の照明を眺めながら、そのまま眠りに付く。
・
・
・
朝になり自然に目が覚める。
【索敵】を使用し周囲を見渡すが当然と言えば当然だが皆の反応は無い。
宿屋の窓から外を見ると今日は快晴の様だ。
昨日降った雨跡は完全に乾き気温も普段通りの高さへと上がって行った。
暇を持て余した私は労働組合へと足を運ぶ。
当然と言えば当然だが労働組合内の冒険者は昨日出現した蜃気楼の街の話題で持ちきりだった。
未だ蜃気楼の街に入って帰還した冒険者は居ない。
今回もまた全員犠牲になったに違いないと不穏な噂が流れていた。
「おいおい、まただぜ。」
「ああ、誰一人として戻る事の無い幻の都か・・・」
「そもそも、宝なんて無いんじゃないか?」
冒険者達は顔見知りの仲間パーティーが行方不明になり、以前にも増して不穏な噂が流れていた。
依頼の張り出された掲示板を見てみると国からの高額報酬で「蜃気楼の街の調査依頼」と冒険者仲間や、その家族から「行方不明者の捜索依頼」が多数有り掲示板が埋め尽くされていた。
行方不明者の捜索依頼を見ると、古い物で1年以上前の依頼書も存在し色褪せて劣化していた。
期間限定イベントじゃないのかよ・・・
どんだけ長続いているんだ。
その日はディワーム討伐の依頼を受諾し、その日の夜に蜃気楼の街の出現位置で捜索しながら討伐依頼のクエストを達成する。
蜃気楼の街が出現しないせいかディワームの出現数も少なく討伐クエスト終了までに多少時間が掛かってしまった。
翌日も、翌々日も雨は降ること無く・・・
当然蜃気楼の街も出現する事も無かった。
・
・
・
雨が降らない!
皆が帰還しないまま約2週間が過ぎた。
そして皆も街に帰還する事が無い。
もしかして閉じ込められたとか?
それとも・・・全滅?
いやいやいや・・・。
私の生活は毎日毎日、来る日も来る日も・・・
夜間に蜃気楼の街を探しながらディワームを狩る作業のルーティンワークと化していた。
「おう!ディワームハンターの姉ちゃん!今日も元気そうだな!」
「お前、姉さんに対して馴れ馴れしいぞ!」
「あの人が有名なディワームハンターだってさ。」
「何でも300匹以上のディワームを討伐しているらしいぞ。」
「その内彼女が狩り尽くしてしまうんじゃないかともっぱらの噂だ。」
累計討伐数のべ300匹以上のディワームハンターとして有名になっていた。
噂話には尾鰭が付くものだ。
そのうちディワームが保護生物扱いになるんじゃないかと言う噂が流れる位に労働組合で有名になって居た。
あんなもんすぐ再発生するわ!
むしろ絶滅させても生態系に影響があるとはとても思えない。
噂は本当だったのだろうか?
「蜃気楼の街に足を踏み入れた物は戻ってくることは無い」と。
皆の安否が気になる。
この世界の生活は決して嫌いでは無かったがそれは転移してからサクラや皆が居たからだ。
約2週間1人で過ごしてきて改めて思う。
それなりの強さは有る自覚は有る。
でもそれは肉体的な強さで有って精神的強さでは無い。
他愛も無い会話や皆の笑顔が脳裏を過る。
もしかして私はこの世界に1人取り残されてしまったのではないのか?
このまま永遠に箱庭に閉じ込められてしまうのではないか・・・
「もしかしたら、皆もう・・・」
全滅・・・
最悪の状況を想像してしまう。
そんな事を考えながら眠る日々が続き、21日目の朝に以前同様スコールの様な大雨が降る。
やっと来た、長かった・・・
今夜蜃気楼の街が出現するはずだ。
皆が無事なら良いけど不安で仕方が無い。
その日の夕方頃に雨は止み、【索敵】にはディワームの反応が多数出現する。
条件が全て以前と一致する。
蜃気楼の街出現位置で多数のディワームを狩りながら待機する。
太陽が完全に沈む時間帯になると濡れた砂漠の砂から湯気が染み出る様な現象が発生し、やがて濃い霧へ変化し周囲を包みだす。
揺らぐ様に立ち上る霧状の気体の中に街の風景が映し出されていく。
「来た、皆は必ず生きているはずだ。絶対に助けて見せる!」
目の前で蜃気楼の街が出現した。
私は躊躇う事無く街の内部に入って行った。
蜃気楼の街は跡形も無く消え去り、湿った砂の大砂漠に私1人取り残されてしまった。
後続の冒険者も来たので状況を説明し小1時間程、皆で周囲を捜索するが影も形も無く完全に消失してしまった。
困った。
完全に出遅れた。
次に入口が出現するのが何時になるやら・・・
せめて皆が無事なら良いけど。
後続の冒険者も捜索を諦め諦め次々とコダの街に帰還して行く。
しばらく夜空を眺めていたが蜃気楼の街が再度出現する事も無く、私も諦めて街への帰路へ着く事にした。
「消えちまった・・・。」
「くそっ!また間に合わなかったぜ。」
「出直しだ!」
後続の冒険者達は口々に愚痴を言いながら帰路へ付く。
私は歩きながら蜃気楼の街の事を考える。
蜃気楼の街の出現条件は、大雨なのだろうか?
出現位置が固定なら日中大雨が降った日の夜に、この場所に再度出現するはずだ。
ペル●ナ4の真夜中●レビみたいだな。
まぁ分かり易くて良いけど。
次の出現までに皆がレイドボスを倒したら戻って来れるのかな。
今回は留守番するしかないか・・・・
「ミカさん達なら大丈夫だよね・・・。」
案外、今日にでも攻略して戻って来るかも知れない。
宿屋に戻った私は硬いベッドにダイヴし天井の照明を眺めながら、そのまま眠りに付く。
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朝になり自然に目が覚める。
【索敵】を使用し周囲を見渡すが当然と言えば当然だが皆の反応は無い。
宿屋の窓から外を見ると今日は快晴の様だ。
昨日降った雨跡は完全に乾き気温も普段通りの高さへと上がって行った。
暇を持て余した私は労働組合へと足を運ぶ。
当然と言えば当然だが労働組合内の冒険者は昨日出現した蜃気楼の街の話題で持ちきりだった。
未だ蜃気楼の街に入って帰還した冒険者は居ない。
今回もまた全員犠牲になったに違いないと不穏な噂が流れていた。
「おいおい、まただぜ。」
「ああ、誰一人として戻る事の無い幻の都か・・・」
「そもそも、宝なんて無いんじゃないか?」
冒険者達は顔見知りの仲間パーティーが行方不明になり、以前にも増して不穏な噂が流れていた。
依頼の張り出された掲示板を見てみると国からの高額報酬で「蜃気楼の街の調査依頼」と冒険者仲間や、その家族から「行方不明者の捜索依頼」が多数有り掲示板が埋め尽くされていた。
行方不明者の捜索依頼を見ると、古い物で1年以上前の依頼書も存在し色褪せて劣化していた。
期間限定イベントじゃないのかよ・・・
どんだけ長続いているんだ。
その日はディワーム討伐の依頼を受諾し、その日の夜に蜃気楼の街の出現位置で捜索しながら討伐依頼のクエストを達成する。
蜃気楼の街が出現しないせいかディワームの出現数も少なく討伐クエスト終了までに多少時間が掛かってしまった。
翌日も、翌々日も雨は降ること無く・・・
当然蜃気楼の街も出現する事も無かった。
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雨が降らない!
皆が帰還しないまま約2週間が過ぎた。
そして皆も街に帰還する事が無い。
もしかして閉じ込められたとか?
それとも・・・全滅?
いやいやいや・・・。
私の生活は毎日毎日、来る日も来る日も・・・
夜間に蜃気楼の街を探しながらディワームを狩る作業のルーティンワークと化していた。
「おう!ディワームハンターの姉ちゃん!今日も元気そうだな!」
「お前、姉さんに対して馴れ馴れしいぞ!」
「あの人が有名なディワームハンターだってさ。」
「何でも300匹以上のディワームを討伐しているらしいぞ。」
「その内彼女が狩り尽くしてしまうんじゃないかともっぱらの噂だ。」
累計討伐数のべ300匹以上のディワームハンターとして有名になっていた。
噂話には尾鰭が付くものだ。
そのうちディワームが保護生物扱いになるんじゃないかと言う噂が流れる位に労働組合で有名になって居た。
あんなもんすぐ再発生するわ!
むしろ絶滅させても生態系に影響があるとはとても思えない。
噂は本当だったのだろうか?
「蜃気楼の街に足を踏み入れた物は戻ってくることは無い」と。
皆の安否が気になる。
この世界の生活は決して嫌いでは無かったがそれは転移してからサクラや皆が居たからだ。
約2週間1人で過ごしてきて改めて思う。
それなりの強さは有る自覚は有る。
でもそれは肉体的な強さで有って精神的強さでは無い。
他愛も無い会話や皆の笑顔が脳裏を過る。
もしかして私はこの世界に1人取り残されてしまったのではないのか?
このまま永遠に箱庭に閉じ込められてしまうのではないか・・・
「もしかしたら、皆もう・・・」
全滅・・・
最悪の状況を想像してしまう。
そんな事を考えながら眠る日々が続き、21日目の朝に以前同様スコールの様な大雨が降る。
やっと来た、長かった・・・
今夜蜃気楼の街が出現するはずだ。
皆が無事なら良いけど不安で仕方が無い。
その日の夕方頃に雨は止み、【索敵】にはディワームの反応が多数出現する。
条件が全て以前と一致する。
蜃気楼の街出現位置で多数のディワームを狩りながら待機する。
太陽が完全に沈む時間帯になると濡れた砂漠の砂から湯気が染み出る様な現象が発生し、やがて濃い霧へ変化し周囲を包みだす。
揺らぐ様に立ち上る霧状の気体の中に街の風景が映し出されていく。
「来た、皆は必ず生きているはずだ。絶対に助けて見せる!」
目の前で蜃気楼の街が出現した。
私は躊躇う事無く街の内部に入って行った。
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