160 / 252
百鬼夜行編
160話 効果範囲とゼロ距離魔法
しおりを挟む
アルラトはモンスターと言う区分に該当するので【索敵】に引っ掛かる。
ゲームと違い明確なパーティー編成を設定する必要が無い為、パーティーに「入った」「抜けた」等の表示やシステム音声は特に無い。
「名前を知り明確に仲間と意識した人物で効果範囲に存在する」程度の感覚でパーティー編成をした事になり、能力向上魔法が効果を発揮する。
アルラトは【索敵】範囲内を素早く移動し効果範囲外へと出て行ってしまった。
攻撃を仕掛けて来る空亡を放置する訳にもいかず、私達は追う事が出来ない。
「今は空亡に集中してください!アルラトは後で探しましょう!」
咲耶が叫ぶと同時に【神ノ雷】を発動し普段よりも大きい雷柱が空亡に直撃し、上空で動きが一瞬停止する。
弾く様な音がしたのでダメージは無い。
レイドボスなので九尾の狐と違い麻痺は効かない。
ダメージによりノックバック的な効果みたいな感じだ。
「DOS!合図したら、もう1度大きめの風穴を開けれるか?」
ホウシェン城の入口付近から暗黒神ハーデスが大声で叫ぶ。
「【イグナイトストライク】程の威力は無いが問題無い。課金貫通弾ならいける。」
「ミカエル!DOSと共に天守閣の有った場所まで空亡を誘導してくれ!」
暗黒神ハーデスはそう言い残すと城内へと走っていた。
現在の優先攻撃順位はミカさん>DOS>暗黒神ハーデスの順番だろうか?
空亡の目標がホウシェン城の破壊なら誘導も容易なはず。
「サクラ!私達も城の近くへ移動しておこう!」
「そうか!あの壊れた天守閣から飛んで直接攻撃したらどうでござるか?」
「いやいやいや、あの城は多分大阪城より高いから!落ちたら・・・死なないかも知れないけど痛いじゃ済まないから!」
ゲームキャラクターの能力値が反映していて身体能力が上がっているとは言え、50メートル以上は有る天守閣部分から飛び掛かりながら攻撃するとか怖過ぎる。
私はその時にハッと気が付く。
もしかして暗黒神ハーデスはあの壊れた天守閣から空亡に対して至近距離から攻撃魔法を放つつもりなんじゃ!?
私達が城の入口付近に到着する頃には、遥か上空の元天守閣部分の開けた場所に暗黒神ハーデスの姿が見えた。
それを確認した咲耶が能力向上魔法を掛け、ミカさんとDOSの攻撃力が倍増する。
「あいつが何をする気か分かりませんが私も天守閣に向かいます!」
咲耶も城内へと追って向かう。
咲耶も暗黒神ハーデスが何か攻撃を仕掛け様としている事に気付き、援護に向かった様だ。
暗黒神ハーデス自体魔法職なので状態異常耐性が高いが空亡の魔法はそれを凌駕する威力だ。
咲耶が近くで状態異常を解除しなければ攻撃を無防備に喰らう状況になってしまう。
「多分、暗黒神ハーデスは飛ぶ気だよ!」
「・・・あいつマジでござるか!?」
多分、破壊され解放された天守閣部分から近距離で攻撃を与えようとしているのか。
以前、至近距離から攻撃魔法を発動すると威力が上昇する魔法が有る事を発見して饒舌に語っていたのを思い出した。
しかし最初の時は両腕が消し飛んで大怪我をしていたはずだ。
その後各攻撃魔法のダメージ範囲を測っていたけど本当に大丈夫なのか?
ミカさんとDOSが空亡の側面に集中攻撃を加え、徐々徐々にホウシェン城の方向に空亡の巨体を誘導して行く。
ゲームでのレイドクエスト勝利条件は「ホウシェン城が完全破壊される前に全ての妖を討伐する」だった。
城の破壊状況でボスのレアドロップ率が変動するクエストだ。
これだけ強化された空亡では城の破壊状況は気にしていられない。
損壊率99パーセントでも空亡が倒せれば良いと皆思っていると思う。
「ミカエル!DOS!シールド解除を頼む!」
ホウシェン城から約5メートルの付近に空亡の巨体が近付いた時、天守閣部分から暗黒神ハーデスが攻撃の合図を叫んだ。
その瞬間、空亡が【マジクアングラスレイ】を放ち天守閣付近から黒い無数のレーザーが城を貫く。
無数の城の残骸が地面に降り注ぎ地面に落下する。
私達は黒いレーザーと瓦礫に当たりダメージを受ける。
至近距離から特殊技能を喰らった暗黒神ハーデスは無事なのか!?
粉塵舞う天守閣部分で回復魔法の光が一瞬見えた、多分咲耶が回復魔法を使っているんだ。
目を細めて天守閣を見つめていたミカさんが剣を高らかと空に掲げ【エデンズレイ】を使う。
上空から光の柱が降り注ぎ空亡に直撃する。
当然ダメージは皆無、上空からの攻撃を受け多少上下角が下に移動した程度だ。
同時に城と対角線上に移動したDOSが、収束されたレーザー砲の様な特殊技能を放ち空亡の体を貫通する。
2人の攻撃により空亡を包むシールドが完全に消滅した。
「良いぞ!実に良い!」
「待て、まだ回復が!」
暗黒神ハーデスが4大属性の極大攻撃魔法を連続で放ち直撃させた。
近距離魔法による高出力魔法で高ダメージを与える。
しかし極大攻撃魔法の連続使用により暗黒神ハーデスは一瞬膝を付くのが見えた。
空亡は機能を停止しダメージ超過により落下を始める。
「皆!総攻撃の準備だ!」
「了解!」「おう!」
「了解です!」
空亡の落下し始めたのを確認した地面待機組は改めて武器を構える。
その時、上空の天守閣から咲耶の声が響いた。
「お、おい!だから回復魔法がまだ終わってない!!」
何を思ったか暗黒神ハーデスは天守閣から飛び降り、空亡の体に飛び移る。
下からだと見えにくいが、DOSが【イグナイトストライク】で開けた風穴が半分程度まで修復しており、その窪んだ部分に侵入した。
その時、落下中の空亡が内部から眩い光が溢れ出し体全体の半分が消滅する。
あれは極大攻撃魔法【コールヘイレス】だ、空亡内部からゼロ距離の最強魔法発動で超大ダメージを与えた様だ。
半分になった空亡の体はホウシェン城の側面を削る様に破壊しながら落下する。
当然だが空亡内部に居た暗黒神ハーデスごと地面に直撃する。
DOSが【不可視化】状態となり暗黒神ハーデスを回収する。
その際ミカさんが触手の攻撃を抑え、無事DOSを守り切る。
「シノブ殿!」「あいよ!」
残り半分の物体と化した空亡を私とサクラで強襲し斬り裂く。
連続で受けた至近距離の極大攻撃魔法と落下ダメージにより空亡の触手攻撃も少なく鈍い。
ミカさんとDOSも攻撃に加わり、夥しい紫の血液を流しながら空亡は機能を停止した。
空亡の体とその破片が赤く光り出し周囲を巻き込み爆発四散した。
どうやら勝った様だが物理攻撃組は最後の爆発で大ダメージを喰らってしまった。
暗黒神ハーデスは自分自身を巻き込んだ【コールヘイレス】と落下ダメージも相まって初めて死亡を経験したのだった。
こうして私達は全ての妖を討伐し、百鬼夜行は終わりを迎えた。
ゲームと違い明確なパーティー編成を設定する必要が無い為、パーティーに「入った」「抜けた」等の表示やシステム音声は特に無い。
「名前を知り明確に仲間と意識した人物で効果範囲に存在する」程度の感覚でパーティー編成をした事になり、能力向上魔法が効果を発揮する。
アルラトは【索敵】範囲内を素早く移動し効果範囲外へと出て行ってしまった。
攻撃を仕掛けて来る空亡を放置する訳にもいかず、私達は追う事が出来ない。
「今は空亡に集中してください!アルラトは後で探しましょう!」
咲耶が叫ぶと同時に【神ノ雷】を発動し普段よりも大きい雷柱が空亡に直撃し、上空で動きが一瞬停止する。
弾く様な音がしたのでダメージは無い。
レイドボスなので九尾の狐と違い麻痺は効かない。
ダメージによりノックバック的な効果みたいな感じだ。
「DOS!合図したら、もう1度大きめの風穴を開けれるか?」
ホウシェン城の入口付近から暗黒神ハーデスが大声で叫ぶ。
「【イグナイトストライク】程の威力は無いが問題無い。課金貫通弾ならいける。」
「ミカエル!DOSと共に天守閣の有った場所まで空亡を誘導してくれ!」
暗黒神ハーデスはそう言い残すと城内へと走っていた。
現在の優先攻撃順位はミカさん>DOS>暗黒神ハーデスの順番だろうか?
空亡の目標がホウシェン城の破壊なら誘導も容易なはず。
「サクラ!私達も城の近くへ移動しておこう!」
「そうか!あの壊れた天守閣から飛んで直接攻撃したらどうでござるか?」
「いやいやいや、あの城は多分大阪城より高いから!落ちたら・・・死なないかも知れないけど痛いじゃ済まないから!」
ゲームキャラクターの能力値が反映していて身体能力が上がっているとは言え、50メートル以上は有る天守閣部分から飛び掛かりながら攻撃するとか怖過ぎる。
私はその時にハッと気が付く。
もしかして暗黒神ハーデスはあの壊れた天守閣から空亡に対して至近距離から攻撃魔法を放つつもりなんじゃ!?
私達が城の入口付近に到着する頃には、遥か上空の元天守閣部分の開けた場所に暗黒神ハーデスの姿が見えた。
それを確認した咲耶が能力向上魔法を掛け、ミカさんとDOSの攻撃力が倍増する。
「あいつが何をする気か分かりませんが私も天守閣に向かいます!」
咲耶も城内へと追って向かう。
咲耶も暗黒神ハーデスが何か攻撃を仕掛け様としている事に気付き、援護に向かった様だ。
暗黒神ハーデス自体魔法職なので状態異常耐性が高いが空亡の魔法はそれを凌駕する威力だ。
咲耶が近くで状態異常を解除しなければ攻撃を無防備に喰らう状況になってしまう。
「多分、暗黒神ハーデスは飛ぶ気だよ!」
「・・・あいつマジでござるか!?」
多分、破壊され解放された天守閣部分から近距離で攻撃を与えようとしているのか。
以前、至近距離から攻撃魔法を発動すると威力が上昇する魔法が有る事を発見して饒舌に語っていたのを思い出した。
しかし最初の時は両腕が消し飛んで大怪我をしていたはずだ。
その後各攻撃魔法のダメージ範囲を測っていたけど本当に大丈夫なのか?
ミカさんとDOSが空亡の側面に集中攻撃を加え、徐々徐々にホウシェン城の方向に空亡の巨体を誘導して行く。
ゲームでのレイドクエスト勝利条件は「ホウシェン城が完全破壊される前に全ての妖を討伐する」だった。
城の破壊状況でボスのレアドロップ率が変動するクエストだ。
これだけ強化された空亡では城の破壊状況は気にしていられない。
損壊率99パーセントでも空亡が倒せれば良いと皆思っていると思う。
「ミカエル!DOS!シールド解除を頼む!」
ホウシェン城から約5メートルの付近に空亡の巨体が近付いた時、天守閣部分から暗黒神ハーデスが攻撃の合図を叫んだ。
その瞬間、空亡が【マジクアングラスレイ】を放ち天守閣付近から黒い無数のレーザーが城を貫く。
無数の城の残骸が地面に降り注ぎ地面に落下する。
私達は黒いレーザーと瓦礫に当たりダメージを受ける。
至近距離から特殊技能を喰らった暗黒神ハーデスは無事なのか!?
粉塵舞う天守閣部分で回復魔法の光が一瞬見えた、多分咲耶が回復魔法を使っているんだ。
目を細めて天守閣を見つめていたミカさんが剣を高らかと空に掲げ【エデンズレイ】を使う。
上空から光の柱が降り注ぎ空亡に直撃する。
当然ダメージは皆無、上空からの攻撃を受け多少上下角が下に移動した程度だ。
同時に城と対角線上に移動したDOSが、収束されたレーザー砲の様な特殊技能を放ち空亡の体を貫通する。
2人の攻撃により空亡を包むシールドが完全に消滅した。
「良いぞ!実に良い!」
「待て、まだ回復が!」
暗黒神ハーデスが4大属性の極大攻撃魔法を連続で放ち直撃させた。
近距離魔法による高出力魔法で高ダメージを与える。
しかし極大攻撃魔法の連続使用により暗黒神ハーデスは一瞬膝を付くのが見えた。
空亡は機能を停止しダメージ超過により落下を始める。
「皆!総攻撃の準備だ!」
「了解!」「おう!」
「了解です!」
空亡の落下し始めたのを確認した地面待機組は改めて武器を構える。
その時、上空の天守閣から咲耶の声が響いた。
「お、おい!だから回復魔法がまだ終わってない!!」
何を思ったか暗黒神ハーデスは天守閣から飛び降り、空亡の体に飛び移る。
下からだと見えにくいが、DOSが【イグナイトストライク】で開けた風穴が半分程度まで修復しており、その窪んだ部分に侵入した。
その時、落下中の空亡が内部から眩い光が溢れ出し体全体の半分が消滅する。
あれは極大攻撃魔法【コールヘイレス】だ、空亡内部からゼロ距離の最強魔法発動で超大ダメージを与えた様だ。
半分になった空亡の体はホウシェン城の側面を削る様に破壊しながら落下する。
当然だが空亡内部に居た暗黒神ハーデスごと地面に直撃する。
DOSが【不可視化】状態となり暗黒神ハーデスを回収する。
その際ミカさんが触手の攻撃を抑え、無事DOSを守り切る。
「シノブ殿!」「あいよ!」
残り半分の物体と化した空亡を私とサクラで強襲し斬り裂く。
連続で受けた至近距離の極大攻撃魔法と落下ダメージにより空亡の触手攻撃も少なく鈍い。
ミカさんとDOSも攻撃に加わり、夥しい紫の血液を流しながら空亡は機能を停止した。
空亡の体とその破片が赤く光り出し周囲を巻き込み爆発四散した。
どうやら勝った様だが物理攻撃組は最後の爆発で大ダメージを喰らってしまった。
暗黒神ハーデスは自分自身を巻き込んだ【コールヘイレス】と落下ダメージも相まって初めて死亡を経験したのだった。
こうして私達は全ての妖を討伐し、百鬼夜行は終わりを迎えた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
77
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる