皇帝に追放された騎士団長の試される忠義

大田ネクロマンサー

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第21話 請求額

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「レジー、ちょっと……リディアードさん明日にクエストの件請けるか決めます」

 ミオは勝手にそう決めて、俺の手を掴んで歩き出す。屋敷の外までかなりの速さで歩き、門を出てもそれを緩めない。

「ミオ、なんだ急に!」

「あのままだったら、レジーが流されそうだったから」

「流されるって……ミオはさっきまで売る気でいたではないか!」

「ちゃんと全財産請求できたか?」

 ピシャリと言われ、なんだかよくわからない怒りが込み上げた。

「ミオはなぜそんなに財産に固執するんだ」

 俺の言葉がミオのなにかに触れたのか、辺りの空気が変わった。

「レジーと暮らしたいからだよ。でも竜神のウロコを手放さない。それを持っていても別に竜神に会えるわけじゃないのに! わからないのはレジーの方だよ! 帝国に帰りたいわけでも、俺と暮らしたいわけでもない! 本気で竜神を探したいなら、リディアードみたいに財産を投げ打ってでも探すだろ!」

 そのウロコを売って、俺だったらそうするよ。弱々しくミオはそう呟いて、お腹の下あたりをおさえて動かなくなった。しばらくミオと膠着状態が続いたが、様子がおかしい。ミオは肩で息をして、腹を抱えて蹲ってしまう。

「ミオ、具合が悪いのか?」

「そうやって! 話を逸らすなよ! いつものことだろ!」

 ミオは俺の優柔不断さを責めていた。この大陸に渡って半年が過ぎ、帝国のことを忘れるには十分な時間を与えてもらった。それは紛れもなくミオに与えられたのに。でも未だこうやって臆病に、誰かの胸に飛び込むことを躊躇っている。

「ミオ」

「俺は! 俺は……憐んで欲しいわけじゃないんだ……どうしたら……」

 ミオの背中に手を伸ばした時、それを払われた。乾いた音が響く。でも俺はミオの腕を掴んでこっちを向かせた。ミオの腕は冷たいのに、顔は汗だくで綺麗なブロンドが額に張りついてた。その時に思ったのだ。

 竜神のウロコが必要なのはミオなのではないか?

 俺に気づかれないようにコソコソと出かけているのは、どこかで治療しているのか? そう考えれば回復魔法にやけに詳しかったのも頷ける。自分で回復魔法を使えるのならば試さないわけがない。それにクエスト報酬の使い道にしても、治療をしているのならば納得できた。

「俺……今日も用事あるから、先に集会所に帰ってる。レジーは……明日リディアードさんに回答してから……」

 ミオは言いかけながら、俺の腕を解いてヨロヨロと歩き出す。

「ミオ、ひとつだけ教えて欲しいことが……」

「もう俺は全部レジーに言った! 自分で決めろ!」

 ミオは急に走り出し、森に消える。さっきまでの様子からどこにそんな力が残っていたのかと驚くほど、すぐにミオを見失ってしまった。
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