乙女ゲームで強悪役な俺が人外攻略達とハーレムになりました

鮎田

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朝の出来事

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「あんな事しちゃダメだって言ってるだろ」

「リーン様に清々しい朝を迎えてもらいたいので」

「…いろんな意味で疲れるよ」

ソウルドールになって、ゼスにいろいろと常識を教えているけどこれだけは止めない。
男同士でそんな事はしない、好き同士の相手にしかしないと何度も教えている。

しかしゼスは「リーン様の事好きです、リーン様は私が嫌いですか?」と捨てられた子犬のように聞かれて拒絶が出来るわけがない。
いつも俺が折れて「…好きだよ」と言うからダメなんだろうけど。

ゼスの言う「好き」は友愛だから、どう説明しようか悩ましい。
いつかルナのところに行くんだろうし、このままだといろいろとマズい。

考えていたら食堂に到着してきて、ゼスが扉を開けた。

数十人が同時に食事が出来そうな長いテーブルに距離を離して二人の姿があった。
マリーナとルナで、傍にはメイドの人形がいた。

俺が来て真っ先に気付いたのはマリーナで、睨みつけていた。

ゼスをゴミ置き場から拾って、俺の執事になってから当たりがきつくなった。
ソウルドールになった事は知らないから、自分だけに従わないと思っているんだろう。

そんな事を言われても、ゼスはもう操り糸がない自由になったんだ。
誰かに従うかはゼスが決める事だから、俺に怒られてもな。
操り糸を切ったのは他の誰でもない、マリーナなのに…

両親にソウルドールの事を知られたらゼスはマリーナの時以上にとんでもない事になる。
だから俺と二人っきりの時以外は操り糸でゼスを縛って偽装している。
両親からしたら、思い通りにならない人形なんていらないのだろう。

今まで通り、ルナと俺の世話をしてくれている。
あの時と変わった事といえば、俺を優先するようになった。
俺よりトラブルに巻き込まれる確率が高いルナを優先してと言ったが、そこは命令に従わない。

ゼスからしたら俺の方が危なっかしいのかな、今のところ何も起きていないが…

ルナの事も朝起こしているから、念の為に「ルナには朝みたいな事しちゃダメだよ」とゼスに言うと、不思議そうな顔をして「好き同士の相手にしかしません」と言った。
ちゃんと分かっているのか、俺は違うのかいまいち分からない。

ルナとマリーナは先に食堂を出て行き、俺も朝食を食べ終わった。
ゼスと一緒に部屋に戻り、学校に行く準備をする。

制服に着替えて、ゼスからカバンを受け取った。

「リーン様はいろいろと人にお優しいところがあるので心配です」

「大丈夫だって、変な物を売り付けられたりお金を貸したりしないよ」

「……」

ゼスは心配性だけど、俺は大丈夫だと笑って家を出た。

俺の家は操り人形屋敷だと周りに知られているんだ、俺と仲良くしたいなんて人はいない。

昔から「人形にされるぞ!」と近所に住む子供達から気味悪がられて石を投げられる事が多かった。
自分は悪い事をしていなくても、この家に生まれたから仕方ないのかなと受け入れていた。

中身は大学生だけど、心までは強くはならずにいつも森の奥深くで泣いていた。
家では人形の目があって、街には人の目がある。
唯一一人になれる場所がそこしかなくて、声を押し殺して涙を流していた。

そういえば、俺の隣にいてくれていた子がいたな。
何も話さず、ただ寄り添ってくれた子…あの子は誰だっけ。

あの時は確認する余裕はなかったから誰か分からない。
一人になりたくてあそこを選んだが心細い気持ちもあった。
あの子のおかげで救われた気持ちもあった…もしかしたら、いつか会えるかな。

魔術学園の前に到着して、学校というよりお城のような校舎を眺める。
魔力のコントロールや知識を学ぶ場所、誰もが通る場所である。
俺も操り師の力をコントロール出来るように努力して、最近やっとぬいぐるみぐらいは操れるようになった。

こんな修行をしているところを他の人に見られたら怯えさせてしまうから昼休みの空き教室でこっそりとやっている。
魔力の成績は優秀だけど、両親が求めているのは操り師の力。

定期的に行われるテストに合格しないと懲罰室に入れられる。
地下にある寒くて孤独を感じるあの部屋には二度と行きたくない。
誰も入る事を許されないそこは、精神的に可笑しくなりそうだ。

もっと操り師の力を強くしないとな、こんなんじゃ両親は満足しない。

校舎に入ろうとしたら、誰かと肩がぶつかった。
転げそうになったが、腕を掴まれて支えられた。

「すまない、大丈夫か?」

「あ、はい…大丈夫です」

考え事をしていたから、周りからキャーキャーと黄色い声がしている事に今更気付いた。
当然、俺への声ではない事ぐらい分かっている。

青い髪の美しい青年に支えられて、体勢を整えた。

あれ、なんでこの人がここにいるんだろう…しかもいつもの服じゃない。

俺が大丈夫だと分かると、青年はそのまま校舎の中に入っていった。

黄色い声も青年に付いて行くように校舎に向かった。

学校に用事かな、まさかルナに会いに来たとか?

ゲーム画面の右上に今日の日付が書いてあった。

今日はルナが17歳になってゲームが始まる丁度一ヶ月前になる。
彼とはまだ出会っていないはずなのに、なんでここにいるんだろうかと疑問に感じながら俺も校舎に向かって歩き出した。
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