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トワ先生とクロノ先生
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いつものように指を怪我してクロノ先生のところに行ったらトワもいた。
学校でトワが怪我する事はなさそうだから、騎士団の仕事の怪我だろうか。
俺は後ろを向いて見せてもらえないけど、後ろで手当てしてもらっているのは分かる。
トワに背中を指でなぞられて変な声が出てしまった。
でも怪我の治療もまだしていたら見えちゃうから振り返るのは我慢する。
後ろから物音がして「なんでクロノ先生が怒ってるんだよ」というトワの声が聞こえた。
大きな音が聞こえて、ビクッと驚いたらクロノ先生が「リーンくんの治療始めようか」という声が聞こえた。
後ろを振り返っていいのか聞いてみると俺の背中から覆い被さるようにクロノ先生が立っていた。
今日は重力を使って操る練習をしたからいつもよりは傷は浅い。
でも軽いと自分で判断して、傷口から菌が入るかもしれない。
毎日クロノ先生に手当てしてもらうのは申し訳ない気持ちだけど頼れるのはクロノ先生だけだ。
「毎日怪我しててごめんなさい、もっと怪我しないように頑張りますね」
「謝る必要はないよ、毎日の治療が俺の楽しみだから」
指に包帯を巻かれて、ギュッと手を握られた。
冷えた手が触れて、クロノ先生の手の上から手を重ねた。
だんだんクロノ先生の手の体温が戻ってきて、息を吐いて温かくする。
ずっと仕事で大変だろうから、俺にはこのぐらいしか出来ない。
息を吐いていると、片手で抱きしめられて後ろを振り返った。
前髪の隙間から見えるクロノ先生の瞳は優しかった。
さらに後ろから不満そうな声が聞こえて、クロノ先生の後ろを見ると床に寝ているトワがいた。
どうしてそこにいるのかビックリしていたら「どっかの誰かが胸ぐら掴んで投げ飛ばしたからかな」と笑っていた。
トワも病人なのにいったい誰がそんな事をしたんだろう。
クロノ先生を見ると、トワが目に入っていないのか俺の方だけを見ていた。
今はトワを助け起こそうと近付きたかったがクロノ先生に抱きしめられて行けなかった。
「クロノ先生もリンちゃん目当てかぁ」
「…も?」
「ちょっと、そんな人を殺す怖い顔しないでよ!俺は違うから!」
トワからクロノ先生の顔が見えているが、俺からは全く見えない位置にある。
さっきまで優しい顔してたけど、今は違うのかな。
俺目当てってどういう意味か分からないけど、クロノ先生が怒る事ってよっぽどだな。
どっちかというと、俺がクロノ先生目当てにここに来ているんだけどそうじゃないのか?
トワは一人で起き上がり、服を伸ばして身だしなみを整えていた。
「ありがとうね先生」と言って先にトワが医務室を出て行った。
手当てが終わってもクロノ先生は俺を離してくれなかった。
もしかして寂しいのかな、でもクロノ先生ってゲームで…
「リーンくん、このまま俺の家に来る?」
「クロノ先生の?でも迷惑じゃ…」
「リーンくんならいいよ、そのまま一緒に住もう」
どんどんクロノ先生が変な方向に行ってるような気がする。
俺にも家があるから住むのはちょっと難しいと言うと、口を閉ざしてしまった。
俺って、クロノ先生にペットかなにかだと思われているのかな。
でも、一泊お泊まりならいいかなと思ってクロノ先生に言った。
暗かった顔が一気に明るくなり「いつ?今日?」と声が弾んでいた。
さすがにゼスに何も相談なく決めるわけにはいかないから、決まったらクロノ先生に教える事にした。
今日はそのまま解放されて、クロノ先生に手を振って医務室を出た。
医務室の隣の空き教室に視線を向けると、早めに医務室を出たはずのトワがいた。
こんなところでいったい何をしているんだろう。
医務室がある壁に寄りかかっていて、腕を組んでいる。
「トワ先生?」
「うわっ!!」
集中していたからいきなり俺が話しかけたからびっくりして声を上げた。
医務室の扉が開いて、クロノ先生が周りを見渡していて戻っていった。
俺はすぐにトワに腕を引っ張られて空き教室で身を潜めた。
口を手で覆われて固まっていて、クロノ先生が医務室に戻ると手を離された。
クロノ先生に気付かれたくない事だからこんなところにいるのか。
だとしたら、もしかして医務室を盗み聞きしてる?
トワは騎士副団長だから悪い事をしようとはしてないはずだ。
だとしたら、クロノ先生…?でもクロノ先生が悪い人だとは思えない。
ゲームではどうだったのか思い出せない、大切な事だったはずなのに…
「遅くなる前に君は帰りな」
「トワ先生、クロノ先生がどうかしたんですか?」
「大人の事情に首突っ込んじゃダメだよ」
そう言ってトワは俺の頭を撫でて、空き教室から出た。
俺には関係ない事だけどクロノ先生の事が好きだから悪い人だと思ったら理由を知りたい。
でも俺からクロノ先生に聞いたらトワの邪魔をしてしまう。
調べ物をしてるなら、トワの言う通り首を突っ込まない方がいいのかもしれない。
俺が大人だったら、トワも相談したり協力したりしてくれたのかな。
魔法が強くても俺はゲームのように誰かの役に立ちたくても立てないのか。
その役目はゲームの主人公であるルナの役目だ。
俺がどんなにゲームに反した行動をしても、攻略キャラクター達と仲良くなってもゲームに関わる事に首を突っ込んではいけない。
既にゼスが俺を好きになってしまったけど、これ以上なにかしたらダメだったんだ。
前世から誰かに騙されて生きてきた俺が、今度は自分から人の役に立ちたいなんて思ってはいけなかった。
自分の事だけを考えて、家から逃げるために操り師の力を磨いていればよかった。
俺がいなくても、世界は何でもないように進んでいく。
悪役なんて、世界には必要とされていないキャラクターなんだ。
俺の目の前は赤く染まっていて、抱きしめられていた。
息も絶え絶えで立っているのが奇跡と言えるほどの怪我をしている。
「…トワせん…」
俺が言い終わる前にもたれ掛かるように倒れた。
トワの後ろから「もう終わり?拍子抜けさせんなよ」という声が聞こえた。
俺が守らないと…俺のせいでトワがこうなったんだ。
トワを壁に寄りかからせて、トワの前に立ち操り糸を出す。
目の前の男は鋭い瞳で俺を見ていて、指先でナイフを弄っていた。
何故俺がこうなったかというと、学校の帰りの事だった。
トワとクロノ先生が気になっていながらも、まっすぐ家に帰っていた。
いつもと何も変わらない路地裏を通っていた時だった。
誰かが飛び出してきて、俺に助けを求めて縋ってきた。
助けなきゃ…とこの時の俺はそれしか頭になかった。
学校でトワが怪我する事はなさそうだから、騎士団の仕事の怪我だろうか。
俺は後ろを向いて見せてもらえないけど、後ろで手当てしてもらっているのは分かる。
トワに背中を指でなぞられて変な声が出てしまった。
でも怪我の治療もまだしていたら見えちゃうから振り返るのは我慢する。
後ろから物音がして「なんでクロノ先生が怒ってるんだよ」というトワの声が聞こえた。
大きな音が聞こえて、ビクッと驚いたらクロノ先生が「リーンくんの治療始めようか」という声が聞こえた。
後ろを振り返っていいのか聞いてみると俺の背中から覆い被さるようにクロノ先生が立っていた。
今日は重力を使って操る練習をしたからいつもよりは傷は浅い。
でも軽いと自分で判断して、傷口から菌が入るかもしれない。
毎日クロノ先生に手当てしてもらうのは申し訳ない気持ちだけど頼れるのはクロノ先生だけだ。
「毎日怪我しててごめんなさい、もっと怪我しないように頑張りますね」
「謝る必要はないよ、毎日の治療が俺の楽しみだから」
指に包帯を巻かれて、ギュッと手を握られた。
冷えた手が触れて、クロノ先生の手の上から手を重ねた。
だんだんクロノ先生の手の体温が戻ってきて、息を吐いて温かくする。
ずっと仕事で大変だろうから、俺にはこのぐらいしか出来ない。
息を吐いていると、片手で抱きしめられて後ろを振り返った。
前髪の隙間から見えるクロノ先生の瞳は優しかった。
さらに後ろから不満そうな声が聞こえて、クロノ先生の後ろを見ると床に寝ているトワがいた。
どうしてそこにいるのかビックリしていたら「どっかの誰かが胸ぐら掴んで投げ飛ばしたからかな」と笑っていた。
トワも病人なのにいったい誰がそんな事をしたんだろう。
クロノ先生を見ると、トワが目に入っていないのか俺の方だけを見ていた。
今はトワを助け起こそうと近付きたかったがクロノ先生に抱きしめられて行けなかった。
「クロノ先生もリンちゃん目当てかぁ」
「…も?」
「ちょっと、そんな人を殺す怖い顔しないでよ!俺は違うから!」
トワからクロノ先生の顔が見えているが、俺からは全く見えない位置にある。
さっきまで優しい顔してたけど、今は違うのかな。
俺目当てってどういう意味か分からないけど、クロノ先生が怒る事ってよっぽどだな。
どっちかというと、俺がクロノ先生目当てにここに来ているんだけどそうじゃないのか?
トワは一人で起き上がり、服を伸ばして身だしなみを整えていた。
「ありがとうね先生」と言って先にトワが医務室を出て行った。
手当てが終わってもクロノ先生は俺を離してくれなかった。
もしかして寂しいのかな、でもクロノ先生ってゲームで…
「リーンくん、このまま俺の家に来る?」
「クロノ先生の?でも迷惑じゃ…」
「リーンくんならいいよ、そのまま一緒に住もう」
どんどんクロノ先生が変な方向に行ってるような気がする。
俺にも家があるから住むのはちょっと難しいと言うと、口を閉ざしてしまった。
俺って、クロノ先生にペットかなにかだと思われているのかな。
でも、一泊お泊まりならいいかなと思ってクロノ先生に言った。
暗かった顔が一気に明るくなり「いつ?今日?」と声が弾んでいた。
さすがにゼスに何も相談なく決めるわけにはいかないから、決まったらクロノ先生に教える事にした。
今日はそのまま解放されて、クロノ先生に手を振って医務室を出た。
医務室の隣の空き教室に視線を向けると、早めに医務室を出たはずのトワがいた。
こんなところでいったい何をしているんだろう。
医務室がある壁に寄りかかっていて、腕を組んでいる。
「トワ先生?」
「うわっ!!」
集中していたからいきなり俺が話しかけたからびっくりして声を上げた。
医務室の扉が開いて、クロノ先生が周りを見渡していて戻っていった。
俺はすぐにトワに腕を引っ張られて空き教室で身を潜めた。
口を手で覆われて固まっていて、クロノ先生が医務室に戻ると手を離された。
クロノ先生に気付かれたくない事だからこんなところにいるのか。
だとしたら、もしかして医務室を盗み聞きしてる?
トワは騎士副団長だから悪い事をしようとはしてないはずだ。
だとしたら、クロノ先生…?でもクロノ先生が悪い人だとは思えない。
ゲームではどうだったのか思い出せない、大切な事だったはずなのに…
「遅くなる前に君は帰りな」
「トワ先生、クロノ先生がどうかしたんですか?」
「大人の事情に首突っ込んじゃダメだよ」
そう言ってトワは俺の頭を撫でて、空き教室から出た。
俺には関係ない事だけどクロノ先生の事が好きだから悪い人だと思ったら理由を知りたい。
でも俺からクロノ先生に聞いたらトワの邪魔をしてしまう。
調べ物をしてるなら、トワの言う通り首を突っ込まない方がいいのかもしれない。
俺が大人だったら、トワも相談したり協力したりしてくれたのかな。
魔法が強くても俺はゲームのように誰かの役に立ちたくても立てないのか。
その役目はゲームの主人公であるルナの役目だ。
俺がどんなにゲームに反した行動をしても、攻略キャラクター達と仲良くなってもゲームに関わる事に首を突っ込んではいけない。
既にゼスが俺を好きになってしまったけど、これ以上なにかしたらダメだったんだ。
前世から誰かに騙されて生きてきた俺が、今度は自分から人の役に立ちたいなんて思ってはいけなかった。
自分の事だけを考えて、家から逃げるために操り師の力を磨いていればよかった。
俺がいなくても、世界は何でもないように進んでいく。
悪役なんて、世界には必要とされていないキャラクターなんだ。
俺の目の前は赤く染まっていて、抱きしめられていた。
息も絶え絶えで立っているのが奇跡と言えるほどの怪我をしている。
「…トワせん…」
俺が言い終わる前にもたれ掛かるように倒れた。
トワの後ろから「もう終わり?拍子抜けさせんなよ」という声が聞こえた。
俺が守らないと…俺のせいでトワがこうなったんだ。
トワを壁に寄りかからせて、トワの前に立ち操り糸を出す。
目の前の男は鋭い瞳で俺を見ていて、指先でナイフを弄っていた。
何故俺がこうなったかというと、学校の帰りの事だった。
トワとクロノ先生が気になっていながらも、まっすぐ家に帰っていた。
いつもと何も変わらない路地裏を通っていた時だった。
誰かが飛び出してきて、俺に助けを求めて縋ってきた。
助けなきゃ…とこの時の俺はそれしか頭になかった。
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