【本編完結】嫌味な男と婚約させられた令嬢ですが、ある日その婚約者が猫になっていました

翠月 歩夢

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6.猫になった婚約者と買い物

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 キャットハウスやキャットベッドにキャットタワー。爪切り爪研ぎ、おもちゃに知育玩具。そして、キャットフードに液状おやつ。様々なものが置いてあった。


「まずはベッド……キャットハウスといったか? あれが欲しいな」
「そうですね。この辺りにありますよ」
「ふむ……」


 ライルは真剣に吟味し始めた。じっと見て、見比べている。尻尾がゆらゆらと緩やかに揺れる。


「触るのは良くないよな。毛がついてしまう」
「ええ。ですが、ここにサンプルがありますよ」
「サンプル? これは触っても良いのか?」
「はい。サンプルなので」


 肉球を生地の上にぽふっと置いた。そのまま数秒動きを止める。また動き出したと思ったら、今度は生地を揉み始めた。


「これは悪くないが……うーん」
「なにか気に入りませんか?」
「もう少し柔らかい方が好きだ」
「それなら、こちらはどうですか?」
「む、これか? 試してみよう」


 さっきと同じように肉球を置いた。耳がピンッと立った。しばらく間を置いてライルは生地を揉み始めた。


「これは良い! 気に入った!」
「これにしますか?」
「ああ、そうする」
「分かりました」


 私はそれを購入することを店員に告げた。店員は商品をレジの後ろに持っていった。後で他のものと一緒にまとめて会計するためだ。


「他のものもこの調子で決めていきましょうか」
「分かった。俺はあれが気になる」
「これですか?」
「うむ。これはなんだ」
「おもちゃです。子猫用の」
「……子猫用」
「いります?」
「いらない!」


 かなり恥ずかしそうにしていた。子猫用のおもちゃに興味を示してしまったのが恥ずかしかったようだ。ライルは猫になると可愛さが増すのか? 人間の時よりよっぽど接しやすいし話しやすい。


「欲しいもの、必要なものはどんどん買っていきましょう」
「わ、分かった」


 ライルは大人しく選んでいた。二時間が経つ頃には、欲しいものを選び終えて、ようやく会計になっていた。


「荷物が多くなってしまったな……」
「持ちきれない量ではないので大丈夫ですよ」
「俺は抱えてもらうわけにはいかないから降りて歩こう」
「見失うと困るのでやめてください。蹴ってしまっても困るので」
「……でもカレン、お前は俺を持てないだろう」
「肩に乗ってください」
「肩に!?」


 ライルは躊躇っていたが、荷物を持とうとしている私を見て、恐る恐る肩に乗った。

 毛が首筋にあたってくすぐったい。


「それでは、帰りましょうか」


 私はライルに声をかけて、帰路についた。
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