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32.猫になった婚約者と幼なじみ
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「へクセ! いるんでしょう!?」
店内を見回しても、見当たらない幼なじみへ聞こえるように声を張る。
店が開いているのだから、いないはずがない。どうせまたアンティークやら本やらに埋もれて姿が見えないだけだ。
いつ会いに来ても、へクセは物に埋もれている。呼びかけないと姿を現さないのだから
一瞬の間ののち、色々なものに埋もれていたへクセが青髪を揺らしてひょっこり現れた。
「やあ、カレン! 久しぶりだね」
「うわぁっ!? こいつどっから出てきた!」
驚いて声を上げたライルに、へクセはつかつかと歩み寄ってくる。
「えー、喋る猫ちゃんだー!」
「おいこら、わしゃわしゃするんじゃない!」
「可愛いし珍しい! 売れそうだね!」
「何を言っているんだこいつは!?」
興奮気味に言いながらライルをわしゃわしゃし続けている。へクセも猫好きだから、ライルを可愛がるのだろう。
変なことを言うのはいつものことだが。ライルはへクセの発言にシャーッと声を荒らげて威嚇している。
久々に声を荒らげているところを見たな。ライルも丸くなって、あまり怒ることがなくなったから今見ると新鮮だ。
「あー、そんなに毛を逆立てて……ごめんね。売ったりしないから安心してね」
「気安く撫でるな! そもそも勝手に売らせたりなどさせん!」
「うんうん、よしよし」
「だから撫でるなと言っている!」
完全にへクセのペースに持ってかれている。この独特な空気感と、こちらの言うことを聞かない強引さ。
今でこそ慣れたが、私も最初は振り回されたなぁ……。
「へクセ。そろそろいいかしら?」
呆れ気味に言えば、へクセも手を止めた。ライルはザリザリと腕の中で毛繕いを始めている。
「少し……貴方に話したいことがあって」
「なあに、改まって」
「大事なことなのよ」
「ふうん。分かった」
へクセもさっきまでのふざけた雰囲気から一変し、真面目な顔になる。
奥の方を指さして言った。
「なら、あっちで話を聞くよ。来て」
踵を返して歩き始めたへクセについていく。奥の方は店先よりも匂いが強い。ライルは顔を顰めた。
慣れてない人にこれはキツイかもしれない。
店内からは様子が伺えないであろう奥まったところまで来た。少し開けたスペースがあり、座ったり横になったりできるようになっている。
「座って」
へクセは私たちを先に通し、その後自分が入った。いつの間に用意したのか、飲み物が目の前に置かれた。
私にはお茶。ライルには猫用のミルクだった。
店内を見回しても、見当たらない幼なじみへ聞こえるように声を張る。
店が開いているのだから、いないはずがない。どうせまたアンティークやら本やらに埋もれて姿が見えないだけだ。
いつ会いに来ても、へクセは物に埋もれている。呼びかけないと姿を現さないのだから
一瞬の間ののち、色々なものに埋もれていたへクセが青髪を揺らしてひょっこり現れた。
「やあ、カレン! 久しぶりだね」
「うわぁっ!? こいつどっから出てきた!」
驚いて声を上げたライルに、へクセはつかつかと歩み寄ってくる。
「えー、喋る猫ちゃんだー!」
「おいこら、わしゃわしゃするんじゃない!」
「可愛いし珍しい! 売れそうだね!」
「何を言っているんだこいつは!?」
興奮気味に言いながらライルをわしゃわしゃし続けている。へクセも猫好きだから、ライルを可愛がるのだろう。
変なことを言うのはいつものことだが。ライルはへクセの発言にシャーッと声を荒らげて威嚇している。
久々に声を荒らげているところを見たな。ライルも丸くなって、あまり怒ることがなくなったから今見ると新鮮だ。
「あー、そんなに毛を逆立てて……ごめんね。売ったりしないから安心してね」
「気安く撫でるな! そもそも勝手に売らせたりなどさせん!」
「うんうん、よしよし」
「だから撫でるなと言っている!」
完全にへクセのペースに持ってかれている。この独特な空気感と、こちらの言うことを聞かない強引さ。
今でこそ慣れたが、私も最初は振り回されたなぁ……。
「へクセ。そろそろいいかしら?」
呆れ気味に言えば、へクセも手を止めた。ライルはザリザリと腕の中で毛繕いを始めている。
「少し……貴方に話したいことがあって」
「なあに、改まって」
「大事なことなのよ」
「ふうん。分かった」
へクセもさっきまでのふざけた雰囲気から一変し、真面目な顔になる。
奥の方を指さして言った。
「なら、あっちで話を聞くよ。来て」
踵を返して歩き始めたへクセについていく。奥の方は店先よりも匂いが強い。ライルは顔を顰めた。
慣れてない人にこれはキツイかもしれない。
店内からは様子が伺えないであろう奥まったところまで来た。少し開けたスペースがあり、座ったり横になったりできるようになっている。
「座って」
へクセは私たちを先に通し、その後自分が入った。いつの間に用意したのか、飲み物が目の前に置かれた。
私にはお茶。ライルには猫用のミルクだった。
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