【本編完結】嫌味な男と婚約させられた令嬢ですが、ある日その婚約者が猫になっていました

翠月 歩夢

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番外編

ライルへのプレゼント4

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「……私としては話を含めて、この“魔女の涙”好きですけれど……贈り物としては適さないですよね?」
「あはは、そうだねー」


 ふと我に返って言えばへらへら笑ってへクセは頷く。

 物自体は綺麗だし、話も興味深いが誕生日に贈るにはちょっと……。

 他になにかないものか。再び歩き出して探す。


「あっ、これ……」


 美しい彫刻の鈴蘭のブローチ。

 花の部分が真珠でできていて、葉の部分は艶やかな緑色だ。さりげなく小粒のエメラルドがあしらわれている。

 茎の部分は金でできているようだ。こちらにもさりげなく小粒のダイヤモンドが一粒使われていた。

 全体的に上品で、質が良い。主張が激しすぎず、かといって地味というわけでもない。


「この鈴蘭のブローチ……とても良いですわ」


 言えば、へクセがブローチに視線を向ける。少し驚いたように目を丸くした。


「あ、これ……僕が前に作ったやつだ」
「えっ? へクセが?」
「うん。結構上手くできたから売れるかなーって置いといたんだ」


 ……ブローチを作れたなんて初耳だ。しかも、かなり上手い。もはやこれだけで稼げそう。

 本当に多彩だな。逆に何ができないのか気になる。


「僕が言うのもなんだけど、贈り物には向いてると思うよ。花言葉も良いし」
「そうね……花言葉は確か幸福の再来、だったかしら」
「うん。あと、どっかの国では最愛の人や特別な人に贈る風習もあるらしいよ」
「聞いたことがあるわ。……うん、これにします」
「まいどありー」


 無事、良いものが見つかってよかった。鈴蘭は、ライルとの思い出もある。珍しいものではないが……素敵なものだし、これが良いだろう。


「いくら?」
「んー……お金はいいや」
「えっでも」
「僕から猫ちゃんへのお祝いの気持ちってことで、あげるよ」
「そういうことなら、分かりました」
「ラッピングするよ」


 へクセはブローチを贈り物用の小箱に入れた。そして、器用にブローチを入れた小箱をリボンや包装で包んでいく。あっという間に華やかになった。


「はい」
「ありがとう」


 へクセの手から私の手へプレゼントが渡る。


「あっ、カレン」
「何?」
「それさ、僕の……魔女の力が込められてて。持ち主を危険から守るようになってるんだ」


 へクセの力が込められているのか、これに。


「だから、御守りとして日頃から持っておくといいかもって猫ちゃんに伝えておいて」
「分かりましたわ。ありがとう」


 御守りか。確かに、魔女の力が込められたブローチなんてご利益がありそうだ。

 こんなもの滅多にないだろう。


「じゃあ気をつけてねー」
「ええ。へクセも体には気をつけてね」


 軽く別れの言葉を交わして、帰路に着いた。きっと、ライルも喜んでくれるだろう。
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