隻翼の月に吠える。

みん

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不和との邂逅

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 共立人真塔学院に在籍する学院生は大きく分けて三つに分かれていた。
 貴族に名を連ねる子女。
 商工業を生業とする富豪の子女。
 そして、その他平民である。

 魔物退治を生業とする親を持つ子女、一般家庭の子女が代表として数えられるその他であるが、実態としてそれよりも多いのは、魔物災害で家族を無くした孤児であった。

 魔物を含む災害で親を失った孤児は、王城の隣に建てられた孤児院でその身柄を国に預けている。
 災害の後、追うように母を亡くしたユイセルも戸籍上は孤児として扱われ、その過程で国から任務を与えられたようだった。
 一方、ミナリアは学院では一般家庭出身ということになっている。

 人国にも真族にも存在する貴族という制度は、有事の際に国のために働くことを定められた特権階級である。
 しかし、現在においての貴族の大半は、国という傘を着たものたちを示し、貴族と民の溝は深い。
 国に縛られることのない商工人は中立を保っているが、貴族の平民蔑視と多種族蔑視は学院内でもなりを潜めることはなかった。

 人真友好の任に就くミナリアは、ここに来て発覚した新たな問題に頭を抱えざるを得ない。
 さらに言えば、貴族の傍系に辛うじて引っかかるルーインや、両国で名高い魔物ハンターを親に持つガタム、貴族御用達の高級商店の跡取りであるイツァージュはまだしも、学院においてミナリアは貴族たちから目の敵にされていた。

 平民だから、ではない。
 平民のくせに目立つから、である。

「いや~でも、ミナリアダントツだったね~」
「真族、貴族振り抜いてあの数はエグいよな」
「上級生よりも、だもんね……」

 何が、と言うと、先日行われた魔物討伐実習における魔物討伐数である。

 討伐自体はチームで行われ、成績もチームの討伐数で順位付けがされた。
 これはチームの作戦によって、バランスよく全員で討伐数を稼ぐ場合と個人に偏って討伐数を稼ぐ場合で大きく別れる。

 ミナリアのチームの作戦は前者で、前衛のミナリアとガタムが主に魔物を討伐し、ルーインが撃ち漏らしを駆逐、イツァージュは回復に勤める役割だった。
 ミナリアを除くチームメンバーの成績は中の上。チーム戦における通常のミナリアの討伐数もさして変わらない。

 が。

 ミナリアの群を抜いて高い索敵能力を持ってすれば、学院生の討伐可能領域を軽く凌駕する。
 ミナリアはあっちに魔物がいる、こっちに魔物がいる、と個人戦闘を繰り広げた。

 結果、目立つつもりは毛頭なかったにも関わらず、今学期最初の討伐実習で悪目立ちする羽目になってしまったのだ。

「俺よりも討伐している人間がいると思ったんだ……」

 後悔しても後の祭りである。

 成績表が掲示された日の午後にはもう、ミナリアは貴族の洗礼を受けていた。
 平民が、と面と向かって言われるなら受け流せる。
 訓練中にいちゃもんを付けられるのもまだいい。
 だが、ミナリアにも看過できないこともある。

 要するに、しつこいのだ。

「ミナリア=リィーン!」

 この男が。
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