18 / 58
不和との邂逅
3
しおりを挟む
敬語を外したミナリアが、ゆっくりと円形に固められた競技スペースへと足を乗せる。
グトルフはミナリアの覇気に気圧されながらも、そのステージへと登った。
訓練官が審判代わりに配置に着く。
グトルフは腰の剣を抜き、正眼に構えた。
「俺様の誘いを断ったこと、後悔させてやる……っ」
グトルフは審判の開始も待たずに、武器も持たないミナリアに向かって駆け出した。
大振りの剣筋は酷く遅い。
魔物相手では通用するかもしれない剣技は、ミナリアには不足すぎた。
「後悔するのは貴様ではないのか?」
「な……っ」
ミナリアはグトルフの剣を見切ると、一足で間合いの外へと踏み出した。
瞬間、手の中に剣を生み出し、一呼吸のうちに肉薄。
グトルフの背後に回ると、その首を剣の柄で打ち付けた。
「がっ?!」
グトルフがそのままの体勢で地面へとうつ伏せで倒れる。
受け身も取れないのか、顔面を強打したグトルフは痛みに転げ回った。
その剣をミナリアは場外へと蹴り飛ばす。
「勝負有り!」
審判の声が響いて、ミナリアは剣を空気へ溶かした。
呆然とするグトルフへと足を向け、ミナリアは周囲にも聞こえる声量で疑念を述べた。
「貴族とて、平民とて、同じ人の子ではないか。魔物に喰われて死ぬときは死ぬ。骸は皆同じだ。人族も真族も然り。何故無駄に争う? 気に食わぬなら対話すれば良いではないか。その口は飾りか?」
ミナリアの言葉にはっとしたのは、グトルフだけではなかった。
何人もの学院生が項垂れ、ミナリアの言葉の真意を考えている。
しかし、グトルフはその目を狂気に染め、ミナリアを恨みの視線で睨め付けた。
「ふざけるな……ふざけるなふざけるな俺は、選ばれるべき男だ……っ」
グトルフは半身を持ち上げ、そしてまた頽れた。
体が思うようにならない苛立ちからか、グトルフは握った拳を地面へと叩きつける。
かすかに砂塵が舞って、グトルフの表情を隠した。
「俺が、元の正しい世界に戻すんだ……っ」
不敬とも取れる発言にミナリアは眉を顰めた。
カラザールの敵となるならば、ここで屠ってしまおうか。
ふつりと沸いた激情を、ミナリアは理性で押し込めた。
「俺は、……っに、なる……っ男だ、ぞ……」
グトルフはそのまま気絶した。
チームメイトが彼に駆け寄って、医務室へと連行する。
最後の言葉は聞き取れなかった。
碌でもないことを言ったには違いないだろう。
ミナリアはその後ろ姿を憐れみを込めて見つめていた。
グトルフはミナリアの覇気に気圧されながらも、そのステージへと登った。
訓練官が審判代わりに配置に着く。
グトルフは腰の剣を抜き、正眼に構えた。
「俺様の誘いを断ったこと、後悔させてやる……っ」
グトルフは審判の開始も待たずに、武器も持たないミナリアに向かって駆け出した。
大振りの剣筋は酷く遅い。
魔物相手では通用するかもしれない剣技は、ミナリアには不足すぎた。
「後悔するのは貴様ではないのか?」
「な……っ」
ミナリアはグトルフの剣を見切ると、一足で間合いの外へと踏み出した。
瞬間、手の中に剣を生み出し、一呼吸のうちに肉薄。
グトルフの背後に回ると、その首を剣の柄で打ち付けた。
「がっ?!」
グトルフがそのままの体勢で地面へとうつ伏せで倒れる。
受け身も取れないのか、顔面を強打したグトルフは痛みに転げ回った。
その剣をミナリアは場外へと蹴り飛ばす。
「勝負有り!」
審判の声が響いて、ミナリアは剣を空気へ溶かした。
呆然とするグトルフへと足を向け、ミナリアは周囲にも聞こえる声量で疑念を述べた。
「貴族とて、平民とて、同じ人の子ではないか。魔物に喰われて死ぬときは死ぬ。骸は皆同じだ。人族も真族も然り。何故無駄に争う? 気に食わぬなら対話すれば良いではないか。その口は飾りか?」
ミナリアの言葉にはっとしたのは、グトルフだけではなかった。
何人もの学院生が項垂れ、ミナリアの言葉の真意を考えている。
しかし、グトルフはその目を狂気に染め、ミナリアを恨みの視線で睨め付けた。
「ふざけるな……ふざけるなふざけるな俺は、選ばれるべき男だ……っ」
グトルフは半身を持ち上げ、そしてまた頽れた。
体が思うようにならない苛立ちからか、グトルフは握った拳を地面へと叩きつける。
かすかに砂塵が舞って、グトルフの表情を隠した。
「俺が、元の正しい世界に戻すんだ……っ」
不敬とも取れる発言にミナリアは眉を顰めた。
カラザールの敵となるならば、ここで屠ってしまおうか。
ふつりと沸いた激情を、ミナリアは理性で押し込めた。
「俺は、……っに、なる……っ男だ、ぞ……」
グトルフはそのまま気絶した。
チームメイトが彼に駆け寄って、医務室へと連行する。
最後の言葉は聞き取れなかった。
碌でもないことを言ったには違いないだろう。
ミナリアはその後ろ姿を憐れみを込めて見つめていた。
0
あなたにおすすめの小説
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
鍛えられた肉体、高潔な魂――
それは選ばれし“供物”の条件。
山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。
見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。
誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。
心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。
運命の番ってそんなに溺愛するもんなのぉーーー
白井由紀
BL
【BL作品】(20時30分毎日投稿)
金持ち社長・溺愛&執着 α × 貧乏・平凡&不細工だと思い込んでいる、美形Ω
幼い頃から運命の番に憧れてきたΩのゆき。自覚はしていないが小柄で美形。
ある日、ゆきは夜の街を歩いていたら、ヤンキーに絡まれてしまう。だが、偶然通りかかった運命の番、怜央が助ける。
発情期中の怜央の優しさと溺愛で恋に落ちてしまうが、自己肯定感の低いゆきには、例え、運命の番でも身分差が大きすぎると離れてしまう
離れたあと、ゆきも怜央もお互いを思う気持ちは止められない……。
すれ違っていく2人は結ばれることができるのか……
思い込みが激しいΩとΩを自分に依存させたいαの溺愛、身分差ストーリー
★ハッピーエンド作品です
※この作品は、BL作品です。苦手な方はそっと回れ右してください🙏
※これは創作物です、都合がいいように解釈させていただくことがありますのでご了承くださいm(_ _)m
※フィクション作品です
※誤字脱字は見つけ次第訂正しますが、脳内変換、受け流してくれると幸いです
従僕に溺愛されて逃げられない
大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL!
俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。
その傍らには、当然のようにリンがいる。
荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。
高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。
けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。
当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。
居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。
さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。
主従なのか、恋人なのか。
境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。
従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる