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自分の気持ちと彼女の気持ち
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決心したのは言いものの、いざ言うとなると足がすくんで動けなくなる。でも、ここでまた同じことを繰り返してはいけない。僕は彼女にあの時伝えられなかったことをちゃんと言葉にして伝える必要がある。そう思うと少しずつ足が動くようになっていく気がした。
翌日、高鳴る鼓動を無視し、彼女に話しかけた。
「今日の放課後空いてる?」
「うん、なんにもないよ。どうして?」
彼女は不思議そうに僕を見ていた。
「話したいことがあってさ。できたら、二人だけで。」
「わかった。それじゃあ、掃除終わったら教室戻ってくるよ。」
全てを察したように笑顔で集合場所まで決めた。彼女は今、何を考えているのだろう。
今日はいつもより時間経過がものすごく早い。それに、授業の内容が全く入ってこなかった。
そして、いつの間にか放課後になり、一人放課後の教室で彼女を待っていた。
「じゃーねー。また明日ー!」
廊下から彼女と女子の声が聞こえた。彼女が近くにいると思うとまた、一気に鼓動が大きく鳴りだした。「落ち着け」と心の中で何度も呟いた。
「あれー、もう来てたの?早いねー。」
彼女は笑いながらそう言った。
「それで、私のことようやく思い出してくれた?」
もう一度ニヤリと笑った。
「うん。ごめん、ずっと忘れてた。心葉。」
久しぶりに彼女の本当の名前を読んだ。その呼び方はすごくしっくりくる。呼んでいたのはたった二年間だけだったはずなのに。
彼女は視線を落としながら少しずつ話し始めた。
「私ね、合格発表の時から悠真のこと見つけてたんだよ。でも、すぐ見つかってもつまらないと思って、マスクして、君の隣に立ったんだ。」
クスクスと笑う彼女は、話を続けた。
「入学式はずっと周りを見てキョロキョロしてたね。一年の時は女子を探してる男子がいるって噂で聞いたよ。もう、気づいてくれてたのかと思ってた…。」
「ごめん。でも、顔も身長も髪の長さだって変わってるんだ。気づかないのも無理はないよ。」
「そんなこと言ったら、背中見ただけで悠真だってわかった私は……?」
彼女は不意に涙を流した。
「ごめんね。あの時、何も言わずに行っちゃって。ごめん…ごめん…」
そう言いながら、拭っても拭っても流れてくる涙を止めようとしていた。
「悪いのは僕だよ。勝手に一緒にいれるって安心して。適当な言い訳して心葉から距離を置いてた。僕こそごめん。」
僕の目にも涙か溢れ、視界が少し歪んで見えた。
「久しぶり。心葉…。」
「久しぶりだね。悠真。」
彼女と僕は目を合わせて笑った。
「悠真泣きすぎ!鼻赤くなってるよ!」
「心葉だって目の周りが真っ赤だよ!」
あの時のようにお互いを名前で読みあってくだらない話を沢山した。懐かしい思い出話を交えながら。
僕は自転車を押しながら彼女の使っている駅まで二人で帰った。
「それにしても、悠真さ、背伸びたよねー。あの時はこんなだったのにー。」
彼女はそう言いながら腰のあたりに手をかざして撫でるような仕草をした。
「そりゃあ、三年も経てば変わるよ。」
「ほら、声変わりもしてる。もっと可愛い声だったのにな。」
「なにそれ、可愛いほうがいいみたいな感じ。そんなこと言ったら、心葉だってすげー変わってるじゃん。」
「えー、そう?例えばどこ?」
彼女は顔を覗かせながら楽しそうに聞いた。
「背はもちろんだけど…性格とか…?」
「あー、性格ね。確かに変えたかも。」
「変えた…?」
「そう!好きだったある子に「男みたい。」って言われて、それが嫌で出来るだけ女子らしくなれるように、いろんなこと頑張ったんだよ!まぁ、当人は気づいてくれなかったんだけど」
「そうだったんだ。っていうか、その男子デリカシーないな。」
なぜか少しだけ空気が重くなった気がした。
とうとう駅が見えてきてしまい、話も終盤になっていった。
「そういえば、もう一つ話したいことがあったんだ。」
僕は話を切り出した。この話をしないと帰れない。そう思った。またもや、鼓動が大きくなり始める。この感覚はいつまで経っても慣れない。
「なに?」
彼女は思い当たる節がない。という顔をしていた。
「あのさ、心葉は、好きな人とかいる…?」
「うん。いるよ。ずーっと好きな人。」
「そっか。僕、その、実は…心葉の事ずっと前から好き…なんだ…けど。」
どんどん声が小さくなっていく。彼女は大きくため息をした。
「ホントに悠真は昔から鈍感だよね!」
自分の告白の答えを言う訳でもなく、彼女は早めの口調で話し続ける。
「さっきの話の「男みたい」って言った男子、あれ悠真の事なんだけど!昔だって、私が悠真が好きってみんなが言ってたのに、「ただの噂だろ?」とか言って流しちゃうし。ほんと、なんで気づいてくれないのかな!?」
すべてを言い終えたかと思うと、彼女は大きく息を吸った。
「私だって、ずっと悠真の事ずっと好きだったんだけど!!」
息を荒くした彼女のその言葉に僕は目を丸くした。空耳だろうか…。ポカーンとしている僕に彼女は顔を近づけもう一度叫んだ。
「だ、か、ら、ずっと前から、好きだったんだってば!!」
彼女の目はまた潤んでいた。
そして、彼女は逃げるように駅まで走っていった。一回振り返ったと思うと、大声で「バーーーカ!!!!」と叫んでから階段を駆け上がり、見えなくなってしまった。
翌日、高鳴る鼓動を無視し、彼女に話しかけた。
「今日の放課後空いてる?」
「うん、なんにもないよ。どうして?」
彼女は不思議そうに僕を見ていた。
「話したいことがあってさ。できたら、二人だけで。」
「わかった。それじゃあ、掃除終わったら教室戻ってくるよ。」
全てを察したように笑顔で集合場所まで決めた。彼女は今、何を考えているのだろう。
今日はいつもより時間経過がものすごく早い。それに、授業の内容が全く入ってこなかった。
そして、いつの間にか放課後になり、一人放課後の教室で彼女を待っていた。
「じゃーねー。また明日ー!」
廊下から彼女と女子の声が聞こえた。彼女が近くにいると思うとまた、一気に鼓動が大きく鳴りだした。「落ち着け」と心の中で何度も呟いた。
「あれー、もう来てたの?早いねー。」
彼女は笑いながらそう言った。
「それで、私のことようやく思い出してくれた?」
もう一度ニヤリと笑った。
「うん。ごめん、ずっと忘れてた。心葉。」
久しぶりに彼女の本当の名前を読んだ。その呼び方はすごくしっくりくる。呼んでいたのはたった二年間だけだったはずなのに。
彼女は視線を落としながら少しずつ話し始めた。
「私ね、合格発表の時から悠真のこと見つけてたんだよ。でも、すぐ見つかってもつまらないと思って、マスクして、君の隣に立ったんだ。」
クスクスと笑う彼女は、話を続けた。
「入学式はずっと周りを見てキョロキョロしてたね。一年の時は女子を探してる男子がいるって噂で聞いたよ。もう、気づいてくれてたのかと思ってた…。」
「ごめん。でも、顔も身長も髪の長さだって変わってるんだ。気づかないのも無理はないよ。」
「そんなこと言ったら、背中見ただけで悠真だってわかった私は……?」
彼女は不意に涙を流した。
「ごめんね。あの時、何も言わずに行っちゃって。ごめん…ごめん…」
そう言いながら、拭っても拭っても流れてくる涙を止めようとしていた。
「悪いのは僕だよ。勝手に一緒にいれるって安心して。適当な言い訳して心葉から距離を置いてた。僕こそごめん。」
僕の目にも涙か溢れ、視界が少し歪んで見えた。
「久しぶり。心葉…。」
「久しぶりだね。悠真。」
彼女と僕は目を合わせて笑った。
「悠真泣きすぎ!鼻赤くなってるよ!」
「心葉だって目の周りが真っ赤だよ!」
あの時のようにお互いを名前で読みあってくだらない話を沢山した。懐かしい思い出話を交えながら。
僕は自転車を押しながら彼女の使っている駅まで二人で帰った。
「それにしても、悠真さ、背伸びたよねー。あの時はこんなだったのにー。」
彼女はそう言いながら腰のあたりに手をかざして撫でるような仕草をした。
「そりゃあ、三年も経てば変わるよ。」
「ほら、声変わりもしてる。もっと可愛い声だったのにな。」
「なにそれ、可愛いほうがいいみたいな感じ。そんなこと言ったら、心葉だってすげー変わってるじゃん。」
「えー、そう?例えばどこ?」
彼女は顔を覗かせながら楽しそうに聞いた。
「背はもちろんだけど…性格とか…?」
「あー、性格ね。確かに変えたかも。」
「変えた…?」
「そう!好きだったある子に「男みたい。」って言われて、それが嫌で出来るだけ女子らしくなれるように、いろんなこと頑張ったんだよ!まぁ、当人は気づいてくれなかったんだけど」
「そうだったんだ。っていうか、その男子デリカシーないな。」
なぜか少しだけ空気が重くなった気がした。
とうとう駅が見えてきてしまい、話も終盤になっていった。
「そういえば、もう一つ話したいことがあったんだ。」
僕は話を切り出した。この話をしないと帰れない。そう思った。またもや、鼓動が大きくなり始める。この感覚はいつまで経っても慣れない。
「なに?」
彼女は思い当たる節がない。という顔をしていた。
「あのさ、心葉は、好きな人とかいる…?」
「うん。いるよ。ずーっと好きな人。」
「そっか。僕、その、実は…心葉の事ずっと前から好き…なんだ…けど。」
どんどん声が小さくなっていく。彼女は大きくため息をした。
「ホントに悠真は昔から鈍感だよね!」
自分の告白の答えを言う訳でもなく、彼女は早めの口調で話し続ける。
「さっきの話の「男みたい」って言った男子、あれ悠真の事なんだけど!昔だって、私が悠真が好きってみんなが言ってたのに、「ただの噂だろ?」とか言って流しちゃうし。ほんと、なんで気づいてくれないのかな!?」
すべてを言い終えたかと思うと、彼女は大きく息を吸った。
「私だって、ずっと悠真の事ずっと好きだったんだけど!!」
息を荒くした彼女のその言葉に僕は目を丸くした。空耳だろうか…。ポカーンとしている僕に彼女は顔を近づけもう一度叫んだ。
「だ、か、ら、ずっと前から、好きだったんだってば!!」
彼女の目はまた潤んでいた。
そして、彼女は逃げるように駅まで走っていった。一回振り返ったと思うと、大声で「バーーーカ!!!!」と叫んでから階段を駆け上がり、見えなくなってしまった。
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