貴方の隣で私は異世界を謳歌する

紅子

文字の大きさ
58 / 103
わたしの島

脳筋たちの暴走

しおりを挟む
保存庫の食料も夕食のバーベキューもとても喜ばれた。特に柔らかい食パンやロールパンを気に入ったようで、何処で買えるのか聞かれた。これは、女神様特許に登録済みだから、そのうち出回るだろう。りーぱぱの許可のもと、わたしが作ったことを告げたけど、信じてもらえなかった。ムッとしてその場で作って見せた。が、パンを作ったことよりも複合スキルの方に興味を持ってしまい、図らずも、複合スキルの講習のようになってしまった。全員あっさりと習得し、使いこなしている。一般市民にも広まってはいるが、実践レベルで使える人は少ない。さすがに優秀だ。



そして、いよいよダンジョンに出発の日。夜も明けやらぬ朝早からウキウキした様子の4人が浜辺で打ち合いをしている。遠足前の子供のようだ。

ざらぱぱも含めて脳筋たちは朝から元気だね。

「出発しますよ?目的地は森のダンジョン。3日で森を抜けます。野営地はここ。暗くなるまでに来てください。念のため地図を渡しておきます。シャナは先に行って野営の準備です。途中でお昼寝もしてくださいよ?出来ますか?」

「りょう・か」

「おい!その嬢ちゃんも行くのか!?独りで?!」

「ガルドと行くんでしょ?」

「こんなちっこいの、独りじゃ危ないだろう?!」

あっ。忘れてたけど、わたしまだ40歳の幼女だった。そりゃ、驚くよね。

「シャナ、どうする?」

「ん?大丈夫だよ。ガルも独りの方が集中できるでしょ?スノウと先に行ってるね」

「まあ、一度行ってるから大丈夫だろ」

「マジかよ。お前たち、スパルタだな」

「戦えるのか?」

「わたしは戦わないよ?魔獣は避けて進むから」

「そ、そうなんだ。じゃあ、大丈夫、なのか、な?」

「ごちゃごちゃ言ってないで出発するぞ」

「スノウ、シャナを頼みましたよ?」

(うん!任せといて!)

「シャナ、気を付けてな。俺もなるべく早めに野営地に行くからな?」

「うん♪!あっ!お兄さんたちには、これ渡しておくね?」

わたしは、自動回収機能付きの特大マジックバッグを手渡した。中には各種ポーションとお弁当を収納済みだ。

りーぱぱが頭を抱えてるけど、いちいち自分で回収してたんじゃ、間に合わない。それに、ここにいる間はこの森でしか収入を得られない。

受け取った3人は、どうしたもんかと困惑している。

「シャナァ・・・・。ちゃんとリールに言っとかなきゃダメだろ?」

「・・だって、さっき創り終わったんだもん・・」

「相談はできたでしょう?まあ、許可しませんでしたが。それも分かっていて言いませんでしたね?」

うっ・・・・。

その通りだから何も言えない。

「ごめんなさい。いちいち回収してられないかなって思ったの」

りーぱぱにしがみついて額をグリグリと押し付ける。「もう手に負えません」て言われたらどうしよう?急に不安になってきた。

「仕方ありませんね。シャナのフォローも今更ですかね」

りーぱぱは、「手のかかる子ほど可愛いと言いますから」とぽそっと呟くとわたしの頭にぽんぽんと手を置いたあと、3人に向き直った。

「それは、ここでは必需品でしょうから受け取ってあげてください。シャナの心遣いです」

「これは、マジックバッグだよね?そんな高価な物いいの?」

「ただのマジックバッグじゃねえよ。自動回収機能付きの超特大だ。魔獣を狩り放題だぜ!」

ざらぱぱは、親指をたてていい笑顔だ。

「はあ?!!!」

「!!!おいおい!マジかよ!」

「!!!出回ってないよね?」

「今のところシャナしか創れないな」

ガルは何故か自慢げだ。

「内緒にしてくださいね?」

「「「言えるか!」」」

「それ、魔力を通すと盗られても戻ってくるようになってるから、魔力流しておいてね?今日のお昼ご飯も入ってるよ。ガルたちには、はい。しまっておいて」

3人の分もそうだが、ガルたちのお弁当はもはやお重だ。わたしの知っているお弁当箱では全く足りない。

「さあ、準備は出来ましたね?では、野営地で!」

りーぱぱが森に入ると続くようにみんな森に消えていった。わたしもスノウと最短で野営地へと向かう。もちろん、採取は怠らない。あちこちから爆音が聴こえ、余波が木を揺らす。

派手にやってるなぁ。

この森は自動修復される。初日にざらぱぱの攻撃でクレーターができたために付け加えた。でないと、魔獣の強さもあって、森が壊滅してしまうのだ。魔獣も減った分だけ増える。

マップに点在する赤い印を避けながら、範囲を森全体に拡げた。6人が居るところは、たちまち赤い点が消えていくからすぐに分かる。中でも3箇所。今日の野営地までなら間に合うだろう。ざらぱぱは、この辺りは物足りないとわかっているから、殲滅せずにサクサクと進んでいる。ガルとりーぱぱも同様だ。ダンジョンに近づくほど強くなるようにしてある。

さて、わたしもさっさと進まなきゃ!



満足する程度には採取もして、途中で昼寝もしたけど、わたしが一番で野営地に辿り着いた。まずは、結界を張る。野営地だからと言って、魔獣が来ないわけじゃない。そして、火をおこす。テントはなし。スープ鍋を出して、冷めないように火にかけようとしたところで、その鍋をひょいッと取り上げら、わたしも持ち上げられた。

「早かったね?」

「この辺りはまだまだ物足りないからな。リールはもうすぐ来るだろう。ザラムとジャイ、クレー、シアンはまだまだだな。滅茶苦茶楽しんでる。ここを通りすぎて爆走するのを見た」

「・・・・。楽しそうでよかったね?ガルはいいの、行かなくて?」 

「行かない。シャナをいつまでも独りにするわけないだろ?あいつらに付き合ってたらいつまでたっても帰ってこれないしな」

ガルも苦笑いしている。

ガルの言った通り、4人は暗くなって周りが見えなくなっても戻ってこなかった。代わりにあちこちで爆音が鳴り響いている。呆れ返ったりーぱぱが、しばき倒して引き摺りながらひとりひとり連れて帰ってくれた。

恐るべし。脳筋の体力とりーぱぱの攻撃力。

それからは和やかに夕食を摂り、明日の予定を確認後、就寝となった。わたしたちはいつもそれぞれウォーターベッドを作ってそこに寝ている。わたしはガルと一緒だ。

「おい。何だそれは?」

「外用のベッドだ。ぐっすりスッキリしていいぜ。固さも好みにできる」

「どうやるの?」
 
「簡単だ。スライムのでかい版だと思って水を出せばいい。1度出したら魔力は殆ど喰わない」

「・・・・。おー!こりゃいいな」

「ちょっと柔らかすぎたな。水を足せばいいのか。・・・・。ああ、ちょうどいい」

「便利だね」

わたしは、ご飯の途中でこっくりこっくりと舟を漕ぎ始め、ガルにマントに入れられて先に眠ってしまったからそんなやり取りがあったことなど知らなかった。

全員がウォーターベッドに納まったところで、静に夜は更けていった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

義弟の婚約者が私の婚約者の番でした

五珠 izumi
ファンタジー
「ー…姉さん…ごめん…」 金の髪に碧瞳の美しい私の義弟が、一筋の涙を流しながら言った。 自分も辛いだろうに、この優しい義弟は、こんな時にも私を気遣ってくれているのだ。 視界の先には 私の婚約者と義弟の婚約者が見つめ合っている姿があった。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

龍王の番〜双子の運命の分かれ道・人生が狂った者たちの結末〜

クラゲ散歩
ファンタジー
ある小さな村に、双子の女の子が生まれた。 生まれて間もない時に、いきなり家に誰かが入ってきた。高貴なオーラを身にまとった、龍国の王ザナが側近二人を連れ現れた。 母親の横で、お湯に入りスヤスヤと眠っている子に「この娘は、私の○○の番だ。名をアリサと名付けよ。 そして18歳になったら、私の妻として迎えよう。それまでは、不自由のないようにこちらで準備をする。」と言い残し去って行った。 それから〜18年後 約束通り。贈られてきた豪華な花嫁衣装に身を包み。 アリサと両親は、龍の背中に乗りこみ。 いざ〜龍国へ出発した。 あれれ?アリサと両親だけだと数が合わないよね?? 確か双子だったよね? もう一人の女の子は〜どうしたのよ〜! 物語に登場する人物達の視点です。

ヒロインですが、舞台にも上がれなかったので田舎暮らしをします

未羊
ファンタジー
レイチェル・ウィルソンは公爵令嬢 十二歳の時に王都にある魔法学園の入学試験を受けたものの、なんと不合格になってしまう 好きなヒロインとの交流を進める恋愛ゲームのヒロインの一人なのに、なんとその舞台に上がれることもできずに退場となってしまったのだ 傷つきはしたものの、公爵の治める領地へと移り住むことになったことをきっかけに、レイチェルは前世の夢を叶えることを計画する 今日もレイチェルは、公爵領の片隅で畑を耕したり、お店をしたりと気ままに暮らすのだった

王宮侍女は穴に落ちる

斑猫
恋愛
婚約破棄されたうえ養家を追い出された アニエスは王宮で運良く職を得る。 呪われた王女と呼ばれるエリザベ―ト付き の侍女として。 忙しく働く毎日にやりがいを感じていた。 ところが、ある日ちょっとした諍いから 突き飛ばされて怪しい穴に落ちてしまう。 ちょっと、とぼけた主人公が足フェチな 俺様系騎士団長にいじめ……いや、溺愛され るお話です。

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

処理中です...