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わたしの島

脳筋たちの暴走

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保存庫の食料も夕食のバーベキューもとても喜ばれた。特に柔らかい食パンやロールパンを気に入ったようで、何処で買えるのか聞かれた。これは、女神様特許に登録済みだから、そのうち出回るだろう。りーぱぱの許可のもと、わたしが作ったことを告げたけど、信じてもらえなかった。ムッとしてその場で作って見せた。が、パンを作ったことよりも複合スキルの方に興味を持ってしまい、図らずも、複合スキルの講習のようになってしまった。全員あっさりと習得し、使いこなしている。一般市民にも広まってはいるが、実践レベルで使える人は少ない。さすがに優秀だ。



そして、いよいよダンジョンに出発の日。夜も明けやらぬ朝早からウキウキした様子の4人が浜辺で打ち合いをしている。遠足前の子供のようだ。

ざらぱぱも含めて脳筋たちは朝から元気だね。

「出発しますよ?目的地は森のダンジョン。3日で森を抜けます。野営地はここ。暗くなるまでに来てください。念のため地図を渡しておきます。シャナは先に行って野営の準備です。途中でお昼寝もしてくださいよ?出来ますか?」

「りょう・か」

「おい!その嬢ちゃんも行くのか!?独りで?!」

「ガルドと行くんでしょ?」

「こんなちっこいの、独りじゃ危ないだろう?!」

あっ。忘れてたけど、わたしまだ40歳の幼女だった。そりゃ、驚くよね。

「シャナ、どうする?」

「ん?大丈夫だよ。ガルも独りの方が集中できるでしょ?スノウと先に行ってるね」

「まあ、一度行ってるから大丈夫だろ」

「マジかよ。お前たち、スパルタだな」

「戦えるのか?」

「わたしは戦わないよ?魔獣は避けて進むから」

「そ、そうなんだ。じゃあ、大丈夫、なのか、な?」

「ごちゃごちゃ言ってないで出発するぞ」

「スノウ、シャナを頼みましたよ?」

(うん!任せといて!)

「シャナ、気を付けてな。俺もなるべく早めに野営地に行くからな?」

「うん♪!あっ!お兄さんたちには、これ渡しておくね?」

わたしは、自動回収機能付きの特大マジックバッグを手渡した。中には各種ポーションとお弁当を収納済みだ。

りーぱぱが頭を抱えてるけど、いちいち自分で回収してたんじゃ、間に合わない。それに、ここにいる間はこの森でしか収入を得られない。

受け取った3人は、どうしたもんかと困惑している。

「シャナァ・・・・。ちゃんとリールに言っとかなきゃダメだろ?」

「・・だって、さっき創り終わったんだもん・・」

「相談はできたでしょう?まあ、許可しませんでしたが。それも分かっていて言いませんでしたね?」

うっ・・・・。

その通りだから何も言えない。

「ごめんなさい。いちいち回収してられないかなって思ったの」

りーぱぱにしがみついて額をグリグリと押し付ける。「もう手に負えません」て言われたらどうしよう?急に不安になってきた。

「仕方ありませんね。シャナのフォローも今更ですかね」

りーぱぱは、「手のかかる子ほど可愛いと言いますから」とぽそっと呟くとわたしの頭にぽんぽんと手を置いたあと、3人に向き直った。

「それは、ここでは必需品でしょうから受け取ってあげてください。シャナの心遣いです」

「これは、マジックバッグだよね?そんな高価な物いいの?」

「ただのマジックバッグじゃねえよ。自動回収機能付きの超特大だ。魔獣を狩り放題だぜ!」

ざらぱぱは、親指をたてていい笑顔だ。

「はあ?!!!」

「!!!おいおい!マジかよ!」

「!!!出回ってないよね?」

「今のところシャナしか創れないな」

ガルは何故か自慢げだ。

「内緒にしてくださいね?」

「「「言えるか!」」」

「それ、魔力を通すと盗られても戻ってくるようになってるから、魔力流しておいてね?今日のお昼ご飯も入ってるよ。ガルたちには、はい。しまっておいて」

3人の分もそうだが、ガルたちのお弁当はもはやお重だ。わたしの知っているお弁当箱では全く足りない。

「さあ、準備は出来ましたね?では、野営地で!」

りーぱぱが森に入ると続くようにみんな森に消えていった。わたしもスノウと最短で野営地へと向かう。もちろん、採取は怠らない。あちこちから爆音が聴こえ、余波が木を揺らす。

派手にやってるなぁ。

この森は自動修復される。初日にざらぱぱの攻撃でクレーターができたために付け加えた。でないと、魔獣の強さもあって、森が壊滅してしまうのだ。魔獣も減った分だけ増える。

マップに点在する赤い印を避けながら、範囲を森全体に拡げた。6人が居るところは、たちまち赤い点が消えていくからすぐに分かる。中でも3箇所。今日の野営地までなら間に合うだろう。ざらぱぱは、この辺りは物足りないとわかっているから、殲滅せずにサクサクと進んでいる。ガルとりーぱぱも同様だ。ダンジョンに近づくほど強くなるようにしてある。

さて、わたしもさっさと進まなきゃ!



満足する程度には採取もして、途中で昼寝もしたけど、わたしが一番で野営地に辿り着いた。まずは、結界を張る。野営地だからと言って、魔獣が来ないわけじゃない。そして、火をおこす。テントはなし。スープ鍋を出して、冷めないように火にかけようとしたところで、その鍋をひょいッと取り上げら、わたしも持ち上げられた。

「早かったね?」

「この辺りはまだまだ物足りないからな。リールはもうすぐ来るだろう。ザラムとジャイ、クレー、シアンはまだまだだな。滅茶苦茶楽しんでる。ここを通りすぎて爆走するのを見た」

「・・・・。楽しそうでよかったね?ガルはいいの、行かなくて?」 

「行かない。シャナをいつまでも独りにするわけないだろ?あいつらに付き合ってたらいつまでたっても帰ってこれないしな」

ガルも苦笑いしている。

ガルの言った通り、4人は暗くなって周りが見えなくなっても戻ってこなかった。代わりにあちこちで爆音が鳴り響いている。呆れ返ったりーぱぱが、しばき倒して引き摺りながらひとりひとり連れて帰ってくれた。

恐るべし。脳筋の体力とりーぱぱの攻撃力。

それからは和やかに夕食を摂り、明日の予定を確認後、就寝となった。わたしたちはいつもそれぞれウォーターベッドを作ってそこに寝ている。わたしはガルと一緒だ。

「おい。何だそれは?」

「外用のベッドだ。ぐっすりスッキリしていいぜ。固さも好みにできる」

「どうやるの?」
 
「簡単だ。スライムのでかい版だと思って水を出せばいい。1度出したら魔力は殆ど喰わない」

「・・・・。おー!こりゃいいな」

「ちょっと柔らかすぎたな。水を足せばいいのか。・・・・。ああ、ちょうどいい」

「便利だね」

わたしは、ご飯の途中でこっくりこっくりと舟を漕ぎ始め、ガルにマントに入れられて先に眠ってしまったからそんなやり取りがあったことなど知らなかった。

全員がウォーターベッドに納まったところで、静に夜は更けていった。
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