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到着
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盗賊を街の衛兵に引き渡し、賞金首の懸賞金を受け取った会頭は、私たちに頭割りでその懸賞金を分けてくれた。ひとり金貨10枚。さすが、太っ腹♪その後、一度、盗賊に遭遇したが、賞金首がいたわけでもなく、あっさりと片がついた。道中にある街の支店の視察をし、魔物を狩りつつ旅を続けること、1月。隣国の王都に到着した。
「ご苦労様でした。美味しい料理をありがとう」
会頭に依頼完了のサインをもらい、借りていたアイテムバッグを返却した。
「こちらこそ、お世話になりました」
「あなたの的確な情報のお蔭で、大きなけが人も出ずに旅が出来ました。こんな旅は初めてですよ。娘も快適な旅だったと喜んでいました。ありがとう。お礼にこれを」
会頭から手渡されたのは、刻印がされたメダル。この世界に来てから初めて見るものだ。お金、ではなさそう。
「あの、これは?」
「ああ。お若いから初めて見ますかな?これは、我が商会と懇意にしている証ですよ。これを見せていただければ、どの国であっても、私の後ろ盾があると証明できます」
「!!!そんな貴重なものいただけません!私は、仕事でこの依頼を受けたにすぎません。それを全うしたまでです」
「ふふ。そういうあなただからこそお渡しするんですよ。野営の時に眠りやすいようにと藁を出してくれたり、疲れが回復するようにと薬草をスープに入れてくれたり、木の陰では恥ずかしいだろうと魔法で簡易のご不浄を用意してくれたり。細やかな気遣いに感心いたしました」
でも、それは、自分のついでであって、気遣いとかじゃないんだけど。
「ミャーサ。受け取っておけ」
「ベンツ。・・有難うございます。大切にします」
会頭は、笑顔で頷いた。
「では、またご縁がありましたら、《疾風》のみなさんもお会いしましょう」
いい依頼主だった。異世界初めての旅は、とても楽しかった。
「さあ、依頼完了の手続きに行くぞ。ダムが首を長くして連絡を待ってるはずだ」
忘れてた。過保護なダムのことだ。ちょっとでも遅れたら、ここまで来ちゃいそうで怖い。急いで冒険者ギルドを訪れると、ダムからの伝言が届いていた。ホント、過保護だ。
「何なに。『よしよし。ちゃんと依頼の完了に来たな。ここでは迷惑をかけることなく、自重しろよ?次の街に行くときにはちゃんと連絡をいれるように!分かったな?』なんだこりゃ。過保護すぎるだろ?」
《疾風》のみんなが呆れ顔なのも当然の内容だ。私もここまで過保護だとは思ってなかった。
「依頼も完了したし、ミャーサはこの後どうするんだい?」
「少し滞在したらアグリール国に向かおうと思ってる。農業大国だからね。そこで、野菜や果物を育てて暮らすつもり」
「農家をやりたいんじゃぁ、この国は向かないね。陶器とガラスが主産業だから」
「俺たちはここで幾つか依頼をこなしてからラスティナに帰るから、それまでは同じ宿だ。何かあったら訪ねてこい」
「うまいこと護衛依頼があるといいんだがな」
ギルドへの報告も終わり、《疾風》とギルドの中にある酒場で軽くつまみながら今後の話をしていた。
「ミャーサってのはどいつだ?」
低くて渋い声が私を呼んだ。ここに私の知り合いはいない。《疾風》の陰からそっと声のした方を見ると、なんとまあ、モヒカン頭の強面が酒場の入り口に立っていた。
「あ。ダムのそっくりさんだ」
「ああ~ん?何だと、ちび」
私の呼び方まで同じとは。強面をさらに顰めてツカツカとこちらに歩み寄って来た。
「ギルマスのご登場かい。どこまで過保護なんだ」
リザの呟きが耳に届いた。
「ミャーサは私です」
「ほう?ダムが世話したってのはちびのことか?」
世話・・・・されてたなぁ。お願いした覚えもないけど、助かってたのは間違いない。
「多分?」
「いや、絶対にお前のことだ、ミャーサ」
「ミャーサ以外いないよ」
「自覚して感謝しとけよな!」
自覚はあるよ?感謝もしてる。過保護すぎるのはちょっと鬱陶しいけど。
「ダムは俺の弟だ。その弟から珍しく頼みごとをしてきてなぁ。ちびから目を離すな、だとよ」
ギルマスはクイッと器用に片眉だけあげた。
「「「「あ~」」」」
《疾風》は失礼にも揃って納得の声を上げた。本当に失礼だな。
「目を付けられるようなことをした覚えはありませんよ?小心者ですから」
目立たず埋没してこの世界でスローライフを楽しむ予定の私に何を言い出すのか。
「それはないな」
「ミャーサ。小心者の意味が間違ってるよ」
「旅の間にあれだけやらかしておいて、どの口が言うか!」
「だよねぇ」
ええ~。みんな、酷い。
「おい。詳しく話せ」
ギルマスは、空いた席に座ると自分の分を頼みだした。そして、《疾風》の聴き取りに頭を抱えた。
「ちび・・・・。自重という言葉を知ってるか?」
知ってますよ。ちゃんと自重してるでしょ?
「どのあたりが自重してないと?許容範囲でしかしてないですよね?」
「そんな訳あるか!!!何処に魔法で便所作るやつがいるか?!しかも跡形もなく元に戻すとか!何もないところから藁は出てこんだろう?常識だぞ?それに、土魔法で索敵はできん!魔物の種類の特定なんぞ、どの魔法でも無理だ!!!」
「は?いやいや。師匠が教えてくれたんですけど?出来ないはずありませんよね?」
「あー。タナート様だからね。やれるなら、やってみれば的な?出来るはずのないことでも、挑戦させちゃうのがタナート様の凄いところだよねぇ」
ちょっと待って。ラックの言い分だと出来ないのが前提みたいなんだけど?!
「私、悪くない!師匠の教え通りやってみただけ!師匠もそんなこと言わなかった!!!」
タナートめ!常識的な魔法を教えてくれたんじゃなかったのぉぉぉぉ?騙された!
「ダムの心配が理解できた。常識ないやつに何を言っても無駄だ。ちび、今後、この国で何かするなら必ず俺に知らせろ。いいな?」
「ミャーサはすぐにアグリール国に行くんだろ?」
「そうなのか?」
「その予定です。農業しながらまったりスローライフ」
「・・・・出来るのか?まあ、目標は持つべきだがな。アグリール国かぁ。従兄弟がいたはずだ。知らせておくか。ちび、くれぐれも自重しろよ?」
ダムの親族はどこにでもいるんだな。
「ギルマスさんのお手を煩わすようなことはしませんよ」
顔を顰めて嫌そうに言う私に、ベンツは溜め息を吐きながら訂正してきた。
「ギルマスは、名前じゃないぞ」
「えっ?!」
「やっぱり」
「常識がないと会話が成立していそうで危ういのか。厄介なこった。俺はジムだ。必ず何かする前に俺に知らせろよ?」
常識ねぇ。こっちの世界に来て5月。まだまだ分からないことばかりだ。ていうか、常識を教えられたはずなのに。なんてこった。常識。手に入るかなぁ・・・・。
「ご苦労様でした。美味しい料理をありがとう」
会頭に依頼完了のサインをもらい、借りていたアイテムバッグを返却した。
「こちらこそ、お世話になりました」
「あなたの的確な情報のお蔭で、大きなけが人も出ずに旅が出来ました。こんな旅は初めてですよ。娘も快適な旅だったと喜んでいました。ありがとう。お礼にこれを」
会頭から手渡されたのは、刻印がされたメダル。この世界に来てから初めて見るものだ。お金、ではなさそう。
「あの、これは?」
「ああ。お若いから初めて見ますかな?これは、我が商会と懇意にしている証ですよ。これを見せていただければ、どの国であっても、私の後ろ盾があると証明できます」
「!!!そんな貴重なものいただけません!私は、仕事でこの依頼を受けたにすぎません。それを全うしたまでです」
「ふふ。そういうあなただからこそお渡しするんですよ。野営の時に眠りやすいようにと藁を出してくれたり、疲れが回復するようにと薬草をスープに入れてくれたり、木の陰では恥ずかしいだろうと魔法で簡易のご不浄を用意してくれたり。細やかな気遣いに感心いたしました」
でも、それは、自分のついでであって、気遣いとかじゃないんだけど。
「ミャーサ。受け取っておけ」
「ベンツ。・・有難うございます。大切にします」
会頭は、笑顔で頷いた。
「では、またご縁がありましたら、《疾風》のみなさんもお会いしましょう」
いい依頼主だった。異世界初めての旅は、とても楽しかった。
「さあ、依頼完了の手続きに行くぞ。ダムが首を長くして連絡を待ってるはずだ」
忘れてた。過保護なダムのことだ。ちょっとでも遅れたら、ここまで来ちゃいそうで怖い。急いで冒険者ギルドを訪れると、ダムからの伝言が届いていた。ホント、過保護だ。
「何なに。『よしよし。ちゃんと依頼の完了に来たな。ここでは迷惑をかけることなく、自重しろよ?次の街に行くときにはちゃんと連絡をいれるように!分かったな?』なんだこりゃ。過保護すぎるだろ?」
《疾風》のみんなが呆れ顔なのも当然の内容だ。私もここまで過保護だとは思ってなかった。
「依頼も完了したし、ミャーサはこの後どうするんだい?」
「少し滞在したらアグリール国に向かおうと思ってる。農業大国だからね。そこで、野菜や果物を育てて暮らすつもり」
「農家をやりたいんじゃぁ、この国は向かないね。陶器とガラスが主産業だから」
「俺たちはここで幾つか依頼をこなしてからラスティナに帰るから、それまでは同じ宿だ。何かあったら訪ねてこい」
「うまいこと護衛依頼があるといいんだがな」
ギルドへの報告も終わり、《疾風》とギルドの中にある酒場で軽くつまみながら今後の話をしていた。
「ミャーサってのはどいつだ?」
低くて渋い声が私を呼んだ。ここに私の知り合いはいない。《疾風》の陰からそっと声のした方を見ると、なんとまあ、モヒカン頭の強面が酒場の入り口に立っていた。
「あ。ダムのそっくりさんだ」
「ああ~ん?何だと、ちび」
私の呼び方まで同じとは。強面をさらに顰めてツカツカとこちらに歩み寄って来た。
「ギルマスのご登場かい。どこまで過保護なんだ」
リザの呟きが耳に届いた。
「ミャーサは私です」
「ほう?ダムが世話したってのはちびのことか?」
世話・・・・されてたなぁ。お願いした覚えもないけど、助かってたのは間違いない。
「多分?」
「いや、絶対にお前のことだ、ミャーサ」
「ミャーサ以外いないよ」
「自覚して感謝しとけよな!」
自覚はあるよ?感謝もしてる。過保護すぎるのはちょっと鬱陶しいけど。
「ダムは俺の弟だ。その弟から珍しく頼みごとをしてきてなぁ。ちびから目を離すな、だとよ」
ギルマスはクイッと器用に片眉だけあげた。
「「「「あ~」」」」
《疾風》は失礼にも揃って納得の声を上げた。本当に失礼だな。
「目を付けられるようなことをした覚えはありませんよ?小心者ですから」
目立たず埋没してこの世界でスローライフを楽しむ予定の私に何を言い出すのか。
「それはないな」
「ミャーサ。小心者の意味が間違ってるよ」
「旅の間にあれだけやらかしておいて、どの口が言うか!」
「だよねぇ」
ええ~。みんな、酷い。
「おい。詳しく話せ」
ギルマスは、空いた席に座ると自分の分を頼みだした。そして、《疾風》の聴き取りに頭を抱えた。
「ちび・・・・。自重という言葉を知ってるか?」
知ってますよ。ちゃんと自重してるでしょ?
「どのあたりが自重してないと?許容範囲でしかしてないですよね?」
「そんな訳あるか!!!何処に魔法で便所作るやつがいるか?!しかも跡形もなく元に戻すとか!何もないところから藁は出てこんだろう?常識だぞ?それに、土魔法で索敵はできん!魔物の種類の特定なんぞ、どの魔法でも無理だ!!!」
「は?いやいや。師匠が教えてくれたんですけど?出来ないはずありませんよね?」
「あー。タナート様だからね。やれるなら、やってみれば的な?出来るはずのないことでも、挑戦させちゃうのがタナート様の凄いところだよねぇ」
ちょっと待って。ラックの言い分だと出来ないのが前提みたいなんだけど?!
「私、悪くない!師匠の教え通りやってみただけ!師匠もそんなこと言わなかった!!!」
タナートめ!常識的な魔法を教えてくれたんじゃなかったのぉぉぉぉ?騙された!
「ダムの心配が理解できた。常識ないやつに何を言っても無駄だ。ちび、今後、この国で何かするなら必ず俺に知らせろ。いいな?」
「ミャーサはすぐにアグリール国に行くんだろ?」
「そうなのか?」
「その予定です。農業しながらまったりスローライフ」
「・・・・出来るのか?まあ、目標は持つべきだがな。アグリール国かぁ。従兄弟がいたはずだ。知らせておくか。ちび、くれぐれも自重しろよ?」
ダムの親族はどこにでもいるんだな。
「ギルマスさんのお手を煩わすようなことはしませんよ」
顔を顰めて嫌そうに言う私に、ベンツは溜め息を吐きながら訂正してきた。
「ギルマスは、名前じゃないぞ」
「えっ?!」
「やっぱり」
「常識がないと会話が成立していそうで危ういのか。厄介なこった。俺はジムだ。必ず何かする前に俺に知らせろよ?」
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