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サリタの誕生日
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ゆっくりと目を開く。視界に広がるのは、白。全てがぼやけているが、やがてそれは人の形を成していった。
誰かが私の顔を覗き込んでいた。次第に視界はクリアになっていく。真っ白な彼は、私の顔を見て驚く。しかしそれは一瞬で、表情はパッと明るくなる。
そしてうっとりとした表情でこう私に言うのだった。
「ハッピーバースデー、サリタ」
この彼が誰なのか、私には分からなかった。ただ、過去に何処かで出会っている気がしてならなかった。私は記憶を引っ張り出そうとしたが、その思考にザッとノイズがかかる。
彼はじっとこちらを見つめながら、私の頬をしきりに撫でている。
状況がよく分からなかった。彼が何をしているのか、彼は何者なのか。
そして、身体が動かない。縛られているわけではないけど、鉛の様に重く感じ、動けなかった。
対照的に、五感はクリアだった。ひんやりとした指で彼が頬を撫でる感触、彼の香水の香りと、それでは隠しきれない何らかの薬品臭。それとは別に部屋に満ちる蠱惑的で、甘い果物のような、花のような香り。
声は……声の出し方もまた、忘れてしまったようだ。動けない事、喋れない事に恐怖を感じ始める。ただ視線は彼の目から外せずにいて。
私に視線を注ぎ続ける彼は、何事か思い出したように口を開いた。
「ああ、そうか。そうだよね……混乱してるよね」
どこか浮かれたように、彼はそう言った。そしてリモコンの様なものを取り出してボタンを押すと、天井に映像が映し出される。
「説明するより見てもらった方が早い」
私はその映像を目で追う。そこには、〈ヴィクター王子とサリタ姫〉というタイトルが映し出されている。
子供の様な声が、そのタイトルを読み上げた。それは童話かなにかのストリーミングのようだ。
――むかしむかし、あるところにヴィクター王子がいました。彼は、世界にとても退屈していました。毎日同じことのくりかえしで、おもしろいことが何ひとつないように感じていたのです。
城の中を思わせる背景の中、真っ白な人形がつまらなそうに俯いている。朗読する声にどこか聞き覚えがあった。まさに今、私の頬を撫でている人物のものと似ている。
――そんなある日、ヴィクター王子の前に、ひとりのお姫様があらわれました。お姫様の名前は、サリタ姫。サリタ姫は美しく、王子は一目で恋に落ちました。
『なんてきれいなひとだろう! ぼく、はなしかけてみるぞ』
王子と姫が、楽しそうに会話する場面が展開された。その声は調子を変えてはいるが、登場人物すべてを彼が演じているのではないか。自分の名前がそこに使われているということに気付き、見せられているこれはただの童話ではなさそうで、妙な胸騒ぎを覚える。
――サリタ姫は、その心までもがきれいな女の子でした。そして王子はサリタ姫を妻にしようと決めました。おはなしするうちに、王子はサリタ姫を愛していることにきづいたのです。しかし、王子はふと思いました。
『サリタひめも、いつかはしんでしまう』――そのことを考えると、たまらなく怖くなったのです。
映像は突然、色調を変えた。どこか不安を煽るような音楽と共に王子は頭を抱え、ぶるぶると震える。しかし、次の場面で背景がパッと明るくなる。
『そうだ! サリタひめをえいえんのそんざいにすればいい! でも、ひめだけじゃだめだ。ぼくもえいえんにならないと……ずっといっしょにいられない』
――王子は姫をさそい出します。
『サリタひめ。すてきなけしきをしっています。ぼく、きみといっしょにそれがみたいんだ』
――姫はうなずきました。ふたりは手をつなぎ、森のなかにある魔女の家へと向かいます。魔女はふたりのはなしを聞くと、こういいました。
『あなたたちに、魔法をかけてあげましょう』――魔女はふたりに魔法をかけ、ヴィクター王子とサリタ姫は永遠の存在になったのです。
永遠?
……えい、えん? どういう意味だろう。
物語の内容が全く入ってこなかった。話の、言葉の意味が分からない。ただ、目の前で人形達が大袈裟に動く様子から目を離せない。
この後どうなるのか……永遠の存在とは、何を指すのか。
――魔法をかけられたあと、目をさましたのはヴィクター王子だけ。となりに眠るサリタ姫は、目をさますようすがありません。王子は悲しみに暮れ、サリタ姫を目覚めさせるために、心から願いました。
『サリタひめ、どうかめをさまして』――ヴィクター王子はサリタ姫にキスをしました。
王子は深い眠りについた姫を見つめ、そっと口づけを落とす。
サリタ姫は目を開けた。
ゆっくりと。
ぎょろり、と。
まばたきもせず、笑っている。
『ありがとう、ヴィクター王子』……その言葉を最後に、映像は唐突に途切れる。
……。
パチパチパチ、と男性は隣で手を叩いた。視線は再び、この何の色素も持たない様な男性へと向く。
(ヴィクター、王子……?)
ザザッ。
またノイズを感じる。頭の中に砂嵐。記憶に触れようとするとそれを阻む様に……。どこか心の中に、黒い染みが落ちたような気分になる。じわりじわりと、広がって……しかしこれが何なのか、私には分からない。
「さあ、サリタ姫……」
甘く囁く声に、心臓が止まったような感覚に襲われる。
彼は、私の頬を撫でる。どっと冷や汗が流れ出るような不快感を私は感じる。
「王子は言いました。『さあサリタ姫、私の妻になって下さい』!」
彼は、まるで劇の続きを演じる様に、楽しげな声で言った。手を差し伸べ、どこか恍惚とした表情で私を見ていた。
(いやだ……怖い。逃げたい……)
心の中で動け、動けと命令する。しかし身体はまだ、動かない。身体の動かし方が、分からなかった。
やっと首だけが動く様になる。四肢は未だ動かないが、反射的に彼から顔を背けると、顎を掴まれ引き戻される。
「君は賢い子だ。分かるだろう? このお話はハッピーエンドなのだよ?」
先程までの芝居がかった調子でなく、どこか抑揚のない声で彼は言う。
恐怖で泣きそうになる。しかし、涙は出ない。
「さてサリタ君。ここでの姫の台詞は? ほら……言ってごらん」
またノイズ。断片的な映像……映像にノイズが掛かり乱れるが、その中で私は席に座っていて、壇上には白衣の彼がいて――。
……ああ、あああ。ヴィクターの顔が近付く。私、反応なし。
エラー? 私……。身体、エラー。ノイズが、ああ。動かない、のは、知らないから? エラー、ああ、ああ……。
彼の指先が私の唇に触れようとした、その瞬間――。
「動くな! 手を上げろ!」
鋭い怒声と共に、ドアが蹴破られる。ファンシーな部屋に、不釣り合いな黒い影がなだれ込んだ。
「なに、ああっ! やめろ、私の聖域を!」
目の前で展開される光景に、息を呑む。武装した集団が一斉に動き出し、あっという間にヴィクターを取り囲んだ。手際よく、素早く、まるで決められた通りに動いているかのように。
一人が背後から彼の腕を掴み、引き寄せる。その瞬間、別の男性が膝で彼の背中を押しつけ、力強く床に押さえ込んだ。彼の顔はカーペットの上に押しつけられ、その痛みに思わず呻き声が漏れる。ヴィクターは完全に制圧され、動けなくなった。
その一瞬の出来事を、私はただ圧倒されるように見守るしかなかった。
「やめろ! ここは私とサリタの……サリタ、あぁ……」
腕を捻り上げられ、押さえつけられたヴィクターが、懇願するように弱々しく呻く。
その声は、もはや空虚に響いていた。
突入してきたのは特殊部隊の警察官だった。話によると、私は行方不明とされていて。ヴィクターの家に踏み込んだのは匿名の通報があったからだという事だった。
ようやく身体を起こせる様になった私に、女性警官が付き添う。
それはまるでおとぎ話の世界の、お姫様の寝室の様な空間で。恐怖なんかとは無縁にも見える、ファンシーな部屋であったのにも関わらず――。
私はただ震えていた。その震えを制御出来なかった。
既に、人間の私は死んでいた。そして、今ここにあるのは――機械の身体になった私だった。
誰かが私の顔を覗き込んでいた。次第に視界はクリアになっていく。真っ白な彼は、私の顔を見て驚く。しかしそれは一瞬で、表情はパッと明るくなる。
そしてうっとりとした表情でこう私に言うのだった。
「ハッピーバースデー、サリタ」
この彼が誰なのか、私には分からなかった。ただ、過去に何処かで出会っている気がしてならなかった。私は記憶を引っ張り出そうとしたが、その思考にザッとノイズがかかる。
彼はじっとこちらを見つめながら、私の頬をしきりに撫でている。
状況がよく分からなかった。彼が何をしているのか、彼は何者なのか。
そして、身体が動かない。縛られているわけではないけど、鉛の様に重く感じ、動けなかった。
対照的に、五感はクリアだった。ひんやりとした指で彼が頬を撫でる感触、彼の香水の香りと、それでは隠しきれない何らかの薬品臭。それとは別に部屋に満ちる蠱惑的で、甘い果物のような、花のような香り。
声は……声の出し方もまた、忘れてしまったようだ。動けない事、喋れない事に恐怖を感じ始める。ただ視線は彼の目から外せずにいて。
私に視線を注ぎ続ける彼は、何事か思い出したように口を開いた。
「ああ、そうか。そうだよね……混乱してるよね」
どこか浮かれたように、彼はそう言った。そしてリモコンの様なものを取り出してボタンを押すと、天井に映像が映し出される。
「説明するより見てもらった方が早い」
私はその映像を目で追う。そこには、〈ヴィクター王子とサリタ姫〉というタイトルが映し出されている。
子供の様な声が、そのタイトルを読み上げた。それは童話かなにかのストリーミングのようだ。
――むかしむかし、あるところにヴィクター王子がいました。彼は、世界にとても退屈していました。毎日同じことのくりかえしで、おもしろいことが何ひとつないように感じていたのです。
城の中を思わせる背景の中、真っ白な人形がつまらなそうに俯いている。朗読する声にどこか聞き覚えがあった。まさに今、私の頬を撫でている人物のものと似ている。
――そんなある日、ヴィクター王子の前に、ひとりのお姫様があらわれました。お姫様の名前は、サリタ姫。サリタ姫は美しく、王子は一目で恋に落ちました。
『なんてきれいなひとだろう! ぼく、はなしかけてみるぞ』
王子と姫が、楽しそうに会話する場面が展開された。その声は調子を変えてはいるが、登場人物すべてを彼が演じているのではないか。自分の名前がそこに使われているということに気付き、見せられているこれはただの童話ではなさそうで、妙な胸騒ぎを覚える。
――サリタ姫は、その心までもがきれいな女の子でした。そして王子はサリタ姫を妻にしようと決めました。おはなしするうちに、王子はサリタ姫を愛していることにきづいたのです。しかし、王子はふと思いました。
『サリタひめも、いつかはしんでしまう』――そのことを考えると、たまらなく怖くなったのです。
映像は突然、色調を変えた。どこか不安を煽るような音楽と共に王子は頭を抱え、ぶるぶると震える。しかし、次の場面で背景がパッと明るくなる。
『そうだ! サリタひめをえいえんのそんざいにすればいい! でも、ひめだけじゃだめだ。ぼくもえいえんにならないと……ずっといっしょにいられない』
――王子は姫をさそい出します。
『サリタひめ。すてきなけしきをしっています。ぼく、きみといっしょにそれがみたいんだ』
――姫はうなずきました。ふたりは手をつなぎ、森のなかにある魔女の家へと向かいます。魔女はふたりのはなしを聞くと、こういいました。
『あなたたちに、魔法をかけてあげましょう』――魔女はふたりに魔法をかけ、ヴィクター王子とサリタ姫は永遠の存在になったのです。
永遠?
……えい、えん? どういう意味だろう。
物語の内容が全く入ってこなかった。話の、言葉の意味が分からない。ただ、目の前で人形達が大袈裟に動く様子から目を離せない。
この後どうなるのか……永遠の存在とは、何を指すのか。
――魔法をかけられたあと、目をさましたのはヴィクター王子だけ。となりに眠るサリタ姫は、目をさますようすがありません。王子は悲しみに暮れ、サリタ姫を目覚めさせるために、心から願いました。
『サリタひめ、どうかめをさまして』――ヴィクター王子はサリタ姫にキスをしました。
王子は深い眠りについた姫を見つめ、そっと口づけを落とす。
サリタ姫は目を開けた。
ゆっくりと。
ぎょろり、と。
まばたきもせず、笑っている。
『ありがとう、ヴィクター王子』……その言葉を最後に、映像は唐突に途切れる。
……。
パチパチパチ、と男性は隣で手を叩いた。視線は再び、この何の色素も持たない様な男性へと向く。
(ヴィクター、王子……?)
ザザッ。
またノイズを感じる。頭の中に砂嵐。記憶に触れようとするとそれを阻む様に……。どこか心の中に、黒い染みが落ちたような気分になる。じわりじわりと、広がって……しかしこれが何なのか、私には分からない。
「さあ、サリタ姫……」
甘く囁く声に、心臓が止まったような感覚に襲われる。
彼は、私の頬を撫でる。どっと冷や汗が流れ出るような不快感を私は感じる。
「王子は言いました。『さあサリタ姫、私の妻になって下さい』!」
彼は、まるで劇の続きを演じる様に、楽しげな声で言った。手を差し伸べ、どこか恍惚とした表情で私を見ていた。
(いやだ……怖い。逃げたい……)
心の中で動け、動けと命令する。しかし身体はまだ、動かない。身体の動かし方が、分からなかった。
やっと首だけが動く様になる。四肢は未だ動かないが、反射的に彼から顔を背けると、顎を掴まれ引き戻される。
「君は賢い子だ。分かるだろう? このお話はハッピーエンドなのだよ?」
先程までの芝居がかった調子でなく、どこか抑揚のない声で彼は言う。
恐怖で泣きそうになる。しかし、涙は出ない。
「さてサリタ君。ここでの姫の台詞は? ほら……言ってごらん」
またノイズ。断片的な映像……映像にノイズが掛かり乱れるが、その中で私は席に座っていて、壇上には白衣の彼がいて――。
……ああ、あああ。ヴィクターの顔が近付く。私、反応なし。
エラー? 私……。身体、エラー。ノイズが、ああ。動かない、のは、知らないから? エラー、ああ、ああ……。
彼の指先が私の唇に触れようとした、その瞬間――。
「動くな! 手を上げろ!」
鋭い怒声と共に、ドアが蹴破られる。ファンシーな部屋に、不釣り合いな黒い影がなだれ込んだ。
「なに、ああっ! やめろ、私の聖域を!」
目の前で展開される光景に、息を呑む。武装した集団が一斉に動き出し、あっという間にヴィクターを取り囲んだ。手際よく、素早く、まるで決められた通りに動いているかのように。
一人が背後から彼の腕を掴み、引き寄せる。その瞬間、別の男性が膝で彼の背中を押しつけ、力強く床に押さえ込んだ。彼の顔はカーペットの上に押しつけられ、その痛みに思わず呻き声が漏れる。ヴィクターは完全に制圧され、動けなくなった。
その一瞬の出来事を、私はただ圧倒されるように見守るしかなかった。
「やめろ! ここは私とサリタの……サリタ、あぁ……」
腕を捻り上げられ、押さえつけられたヴィクターが、懇願するように弱々しく呻く。
その声は、もはや空虚に響いていた。
突入してきたのは特殊部隊の警察官だった。話によると、私は行方不明とされていて。ヴィクターの家に踏み込んだのは匿名の通報があったからだという事だった。
ようやく身体を起こせる様になった私に、女性警官が付き添う。
それはまるでおとぎ話の世界の、お姫様の寝室の様な空間で。恐怖なんかとは無縁にも見える、ファンシーな部屋であったのにも関わらず――。
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