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父親
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ルカは暫く黙り込んだ後、深い溜め息を吐いて話し始めた。
「リリスとの関係、君に話すのは少し躊躇いがあるんだが……あの時、僕は本当に迷っていた」
レイヤは無言でルカを見つめた。ルカの視線が遠くを見つめている。
リリスとの出会いは、思いがけない偶然だった。
当時の彼女は夫との関係に不満を持っていてね。君が生まれる頃にはもう、夫であるディランはリリスに対して何の感情も持ってはいなかったんだ。ディランには他に愛人が何人もいて……。
彼女は金銭的には何の不満も無かった。だが、満たされないまま日々を過ごしていた。
リリスは最初、ただ愚痴を聞いてくれる相手を求めていたんだろう。だけど、次第にそれだけじゃ済まなくなった。彼女が僕に抱いたのは、相談相手としての感情だけじゃなかった。
ある日、一線を超えてしまった。彼女の方から僕を求めてきた。僕は拒もうとしたが、出来なかった――彼女の孤独を知っていたから。いけない事だとは思っていた。だが同時に、ディランにも憤りを感じていた。
リリスは言ったんだ……僕に、『助けて』って。そう言われてしまえば、もう……。
僕は彼女を連れ、駆け落ちすることを決心した。
あの頃の僕は、せめてリリスだけは救いたかった。それが僕の限界だった。
君を置き去りにした事に対しては、本当に申し訳ないと思っている。君のことを思えばこそ、ディランの元に残すしかないと信じた。
彼は君を跡継ぎとして必要としていた。彼の庇護の下にいれば、君は何不自由なく生きていける筈だった。少なくとも、金銭的な苦労だけはさせずに済むと……そう思っていた。
でも、それが本当に正しい選択だったのか、今でも分からない。
いくら事情があったとはいえ、君にとってはただの裏切りにしかならなかっただろう。
……すまない。本当に、すまない。
ルカは苦しそうに顔を顰めた。
レイヤはその様子をじっと見つめていたが、心の中では言いようのない感情が渦を巻いていた。何かを言わなければと思うのに、言葉が見つからない。ただ、胸の奥に小さな棘が刺さるような痛みが残る。
その痛みが徐々に広がり、言葉を発することすら躊躇わせる。
しばらく沈黙が続いた。
「……で、君の質問に戻ろう」
レイヤはその言葉を無言で受け止め、ただ静かに続きを待った。
「許せない事は許せないし、忘れられないのも仕方ない事だ。現に、僕だってそうだ」
ようやく出てきたルカの言葉は、レイヤの望んだ答えとは程遠い言葉だった。
だってそんなものは、
「何の解決にもなってない」
多少の憤りと、呆れをレイヤは感じた。
「分からないんだよ、僕にも」
ルカは苦笑し、頬を掻いた。
「僕はリリスを寂しい女性と思っていた。だからその心を僕が埋める事で、彼女を救えるんじゃないかって。でも実際はそうじゃなかった」
どこか遠い目をするルカの表情から、レイヤは何となく察するものがあった。
「……僕はね、リリスと家庭を持ちたかったんだ」
自分を除いて家庭を築こうとしていたことに、怒りがなかった訳ではない。
だが、“経済的に優位な立場”をレイヤに捨てさせるのもまた、勝手な話だった。
だからこそ、彼を御曹司のままにしておくという選択に至ったのだと、レイヤにも理解出来た。
どうしようもない事もある――そう思える年齢になっていたのだ。
ルカは俯く。過去を手繰り寄せる中で、辛い記憶に触れ痛みを感じているのだろう。
「僕とリリスは結婚した。だがね、彼女は他に男を作った。結局、性格なのかも知れないね。彼女はどこまで行っても、女としてしか生きられない」
救いようのない女。レイヤはそう感じた。
リリスへの軽蔑は揺らがなかった。実の母親でも、擁護しようもない程の低俗な女でしかない。その認識を変えなくても良いのだと、ある意味レイヤは安堵した。
「でもね僕は彼女を放ってはおけない。今でもまだ彼女が心配で、酒場でああして過ごしているのを遠巻きから見ている」
「声はかけないの?」
「だってああだろう? 彼女の方から声をかけてくるに違いない……だから迂闊に近付けやしない。まあ、僕の顔すらもう忘れているかも知れないな。あの調子じゃ……」
ルカは苦笑いする。
一度は愛し合った仲だろう。駆け落ちまでした男の顔を忘れられるものだろうか? レイヤは疑問に思ったが、レイヤ自身もリリスに無差別的に声をかけられた事を思い出した。
彼女が男に媚を売り取り入る様子を何年も見守ってきたルカは、レイヤよりもリリスの事をよく理解していた。
「どうしようもないんだ……」
しみじみとルカは呟いた。言葉の奥に滲んだ諦めと疲れ。
短い沈黙が二人の間に落ちる。冷えた空気が、部屋の隅で小さく軋むようだった。
レイヤはちらりとルカの横顔を見た。俯いたままのその姿に、彼のくたびれた心がにじみ出ているように思えた。
何か声をかけるべきか――迷いかけた時。
「……なあ、レイヤ」
ぽつりと、ルカの方から沈黙を破った。
「レイヤの好きな女の子って、どんな子なんだい?」
唐突な質問だが、この空気を変える為の話題転換であるとレイヤも理解した。
「アンドロイド」
ルカは一瞬目を見開き、それから固まった。気軽な気持ちで聞いたそれだったが、レイヤの予想外な回答が彼を驚愕させることになった。
「え? あ、ああ……そうなのか」
理解が追いついていないような様子だった。それもそうだろう。しかしルカはレイヤへ理解を示そうと、彼の中でその言葉を懸命に処理しようとしていた。
「その。種族の違いが許せない事なのか?」
「違う。もっと複雑……話せば長くなる」
「そうか。構わないから、続けて」
レイヤに向き合うルカの目は真剣そのものだった。
レイヤも彼に全てを包み隠さず話すべきか迷いがあったが、ルカの真摯な対応に言葉は自然と湧き出てくる様だった。
サリタとの出会いから、彼女へ想いを寄せていく日々のこと、そして彼女と父親の関係の露呈――更には彼女からの謝罪を受け傷ついたこと、そして屋敷を飛び出して今に至るということ……。結局は全て、話してしまっていた。
――誰かにこうして話を聞いてもらうのはいつぶりだっただろうか。
ルカは腕を組み、俯く。簡単に答えが出る問題ではない事を理解したのだろう。
「それでここにいるのか」
それだけを言うと、考え込んだ。
「それで、レイヤ。君はどうしたい? 何もこんな生活を続けたい訳じゃないだろう」
レイヤは思いを巡らせる。一番初めに浮かんだのは、サリタが自分に笑いかける顔だった。
「……会いたい」
静かにそう言った。
「ただ、会いたい。会って、話がしたい」
その言葉には、純粋な願いのみが込められていた。
「じゃあ、会いに行けばいい」
まるでそれが、朝の散歩にでも行くような気軽さだった。簡単に言ってくれるな、とレイヤは思った。会いたいとは思うが、今更どんな顔をして行けば良いのか彼には分からなかった。
レイヤの沈黙を見て、何かを察したのかルカは続けた。
「覚悟が決まるまで、ここにいたらどうだ。ほら、一応君と僕とは義理の親子なんだ……親としては、そんな生活を続けさせる事は容認出来ないな」
腕を組み、ルカは頷きながら言う。
「まあ、初対面でいきなりこんな事を言う資格ないのかも知れないが。初対面っていう点は他の女性もそうだろう。だったら僕の方がアドバンテージがあるんじゃないか?」
照れくさそうに冗談めかし、つとめて軽い口調でルカは言った。
義理の父親ではあるが、自分が父親面をする資格がないのは彼なりに理解している。それでもかつて愛した女性の子供が、彼女と同じ様な荒んだ生活を送っている事実が許せなかった。
「――それも悪くないか……」
レイヤは素直にルカの厚意を受け取る事にした。ここまで包み隠さず、自身の抱える悩みを打ち明けた相手なのだ。それに寝食を確保するのに、対価を求められる事がない。今はただ、「父親」として真摯に接してくれるルカを信用し、ここに居ようとレイヤは思うのだった。
「リリスとの関係、君に話すのは少し躊躇いがあるんだが……あの時、僕は本当に迷っていた」
レイヤは無言でルカを見つめた。ルカの視線が遠くを見つめている。
リリスとの出会いは、思いがけない偶然だった。
当時の彼女は夫との関係に不満を持っていてね。君が生まれる頃にはもう、夫であるディランはリリスに対して何の感情も持ってはいなかったんだ。ディランには他に愛人が何人もいて……。
彼女は金銭的には何の不満も無かった。だが、満たされないまま日々を過ごしていた。
リリスは最初、ただ愚痴を聞いてくれる相手を求めていたんだろう。だけど、次第にそれだけじゃ済まなくなった。彼女が僕に抱いたのは、相談相手としての感情だけじゃなかった。
ある日、一線を超えてしまった。彼女の方から僕を求めてきた。僕は拒もうとしたが、出来なかった――彼女の孤独を知っていたから。いけない事だとは思っていた。だが同時に、ディランにも憤りを感じていた。
リリスは言ったんだ……僕に、『助けて』って。そう言われてしまえば、もう……。
僕は彼女を連れ、駆け落ちすることを決心した。
あの頃の僕は、せめてリリスだけは救いたかった。それが僕の限界だった。
君を置き去りにした事に対しては、本当に申し訳ないと思っている。君のことを思えばこそ、ディランの元に残すしかないと信じた。
彼は君を跡継ぎとして必要としていた。彼の庇護の下にいれば、君は何不自由なく生きていける筈だった。少なくとも、金銭的な苦労だけはさせずに済むと……そう思っていた。
でも、それが本当に正しい選択だったのか、今でも分からない。
いくら事情があったとはいえ、君にとってはただの裏切りにしかならなかっただろう。
……すまない。本当に、すまない。
ルカは苦しそうに顔を顰めた。
レイヤはその様子をじっと見つめていたが、心の中では言いようのない感情が渦を巻いていた。何かを言わなければと思うのに、言葉が見つからない。ただ、胸の奥に小さな棘が刺さるような痛みが残る。
その痛みが徐々に広がり、言葉を発することすら躊躇わせる。
しばらく沈黙が続いた。
「……で、君の質問に戻ろう」
レイヤはその言葉を無言で受け止め、ただ静かに続きを待った。
「許せない事は許せないし、忘れられないのも仕方ない事だ。現に、僕だってそうだ」
ようやく出てきたルカの言葉は、レイヤの望んだ答えとは程遠い言葉だった。
だってそんなものは、
「何の解決にもなってない」
多少の憤りと、呆れをレイヤは感じた。
「分からないんだよ、僕にも」
ルカは苦笑し、頬を掻いた。
「僕はリリスを寂しい女性と思っていた。だからその心を僕が埋める事で、彼女を救えるんじゃないかって。でも実際はそうじゃなかった」
どこか遠い目をするルカの表情から、レイヤは何となく察するものがあった。
「……僕はね、リリスと家庭を持ちたかったんだ」
自分を除いて家庭を築こうとしていたことに、怒りがなかった訳ではない。
だが、“経済的に優位な立場”をレイヤに捨てさせるのもまた、勝手な話だった。
だからこそ、彼を御曹司のままにしておくという選択に至ったのだと、レイヤにも理解出来た。
どうしようもない事もある――そう思える年齢になっていたのだ。
ルカは俯く。過去を手繰り寄せる中で、辛い記憶に触れ痛みを感じているのだろう。
「僕とリリスは結婚した。だがね、彼女は他に男を作った。結局、性格なのかも知れないね。彼女はどこまで行っても、女としてしか生きられない」
救いようのない女。レイヤはそう感じた。
リリスへの軽蔑は揺らがなかった。実の母親でも、擁護しようもない程の低俗な女でしかない。その認識を変えなくても良いのだと、ある意味レイヤは安堵した。
「でもね僕は彼女を放ってはおけない。今でもまだ彼女が心配で、酒場でああして過ごしているのを遠巻きから見ている」
「声はかけないの?」
「だってああだろう? 彼女の方から声をかけてくるに違いない……だから迂闊に近付けやしない。まあ、僕の顔すらもう忘れているかも知れないな。あの調子じゃ……」
ルカは苦笑いする。
一度は愛し合った仲だろう。駆け落ちまでした男の顔を忘れられるものだろうか? レイヤは疑問に思ったが、レイヤ自身もリリスに無差別的に声をかけられた事を思い出した。
彼女が男に媚を売り取り入る様子を何年も見守ってきたルカは、レイヤよりもリリスの事をよく理解していた。
「どうしようもないんだ……」
しみじみとルカは呟いた。言葉の奥に滲んだ諦めと疲れ。
短い沈黙が二人の間に落ちる。冷えた空気が、部屋の隅で小さく軋むようだった。
レイヤはちらりとルカの横顔を見た。俯いたままのその姿に、彼のくたびれた心がにじみ出ているように思えた。
何か声をかけるべきか――迷いかけた時。
「……なあ、レイヤ」
ぽつりと、ルカの方から沈黙を破った。
「レイヤの好きな女の子って、どんな子なんだい?」
唐突な質問だが、この空気を変える為の話題転換であるとレイヤも理解した。
「アンドロイド」
ルカは一瞬目を見開き、それから固まった。気軽な気持ちで聞いたそれだったが、レイヤの予想外な回答が彼を驚愕させることになった。
「え? あ、ああ……そうなのか」
理解が追いついていないような様子だった。それもそうだろう。しかしルカはレイヤへ理解を示そうと、彼の中でその言葉を懸命に処理しようとしていた。
「その。種族の違いが許せない事なのか?」
「違う。もっと複雑……話せば長くなる」
「そうか。構わないから、続けて」
レイヤに向き合うルカの目は真剣そのものだった。
レイヤも彼に全てを包み隠さず話すべきか迷いがあったが、ルカの真摯な対応に言葉は自然と湧き出てくる様だった。
サリタとの出会いから、彼女へ想いを寄せていく日々のこと、そして彼女と父親の関係の露呈――更には彼女からの謝罪を受け傷ついたこと、そして屋敷を飛び出して今に至るということ……。結局は全て、話してしまっていた。
――誰かにこうして話を聞いてもらうのはいつぶりだっただろうか。
ルカは腕を組み、俯く。簡単に答えが出る問題ではない事を理解したのだろう。
「それでここにいるのか」
それだけを言うと、考え込んだ。
「それで、レイヤ。君はどうしたい? 何もこんな生活を続けたい訳じゃないだろう」
レイヤは思いを巡らせる。一番初めに浮かんだのは、サリタが自分に笑いかける顔だった。
「……会いたい」
静かにそう言った。
「ただ、会いたい。会って、話がしたい」
その言葉には、純粋な願いのみが込められていた。
「じゃあ、会いに行けばいい」
まるでそれが、朝の散歩にでも行くような気軽さだった。簡単に言ってくれるな、とレイヤは思った。会いたいとは思うが、今更どんな顔をして行けば良いのか彼には分からなかった。
レイヤの沈黙を見て、何かを察したのかルカは続けた。
「覚悟が決まるまで、ここにいたらどうだ。ほら、一応君と僕とは義理の親子なんだ……親としては、そんな生活を続けさせる事は容認出来ないな」
腕を組み、ルカは頷きながら言う。
「まあ、初対面でいきなりこんな事を言う資格ないのかも知れないが。初対面っていう点は他の女性もそうだろう。だったら僕の方がアドバンテージがあるんじゃないか?」
照れくさそうに冗談めかし、つとめて軽い口調でルカは言った。
義理の父親ではあるが、自分が父親面をする資格がないのは彼なりに理解している。それでもかつて愛した女性の子供が、彼女と同じ様な荒んだ生活を送っている事実が許せなかった。
「――それも悪くないか……」
レイヤは素直にルカの厚意を受け取る事にした。ここまで包み隠さず、自身の抱える悩みを打ち明けた相手なのだ。それに寝食を確保するのに、対価を求められる事がない。今はただ、「父親」として真摯に接してくれるルカを信用し、ここに居ようとレイヤは思うのだった。
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