39 / 62
4章 学園〜対策〜
38 イルの怪我
しおりを挟む今、僕は父様とグレンと3人でイルと約束した部屋にいる。
もうすぐ来ると思うんだけど……………
「あっ、、いい忘れていましたが、〈空間〉属性魔術の瞬間移動は離れた場所を魔力で繋いで移動するという魔術なので、イルが来る直前に紫色の魔力が集まると思います」
「分かった」
「離れた場所を魔力で繋げる………不思議な力ですなぁ」
「そうだね」
本当に凄い魔術だよね、、
イルが何事もなく、無事に来られるといいけど…………
「あっ!」
「ん………!?」
「ほぅ…………」
しばらくすると、何も無かった所に紫の魔力が集まってきた。
「うぅ…………………」
「イル!」
すぐに魔力が集まってた中心にイルが現れたけど、イルは痣だらけだった。
一体何があったんだ……!?
すぐに駆け寄って倒れそうになるイルを支え、側にあったソファーに座らせる。
「大丈夫!? …………何があったの!!?」
おそらく、レイラ様に殴られたんだろうけど…………今までこんなことなかったのに………!
「イリス嬢、大丈夫か?」
「ラス……レイ伯爵……少し痛いですが、大丈夫です」
───これは、、大丈夫じゃないね。
我慢強いイルが『少し痛い』って言うってことは相当酷いはずだ。
「イル、ここにアルバート殿下を呼んでもいい?」
アルの〈聖〉属性魔術は、傷付いた者を癒せるから怪我を治せるはずだ!
「うん……………お願い出来る?」
「父様…………」
「グレン、すぐにアルバート殿下をここにお連れしなさい」
父様に許可を取ろうと思ったけど、無言で頷くとすぐに指示を出してくれた。
「─────サン侯爵家を出る準備をしていたら、急にレイラ様が来て『ラストルはもう、貴方のことを何とも思っていませんわ! つまり、私が何をしてもいいってことですわ………ねぇ?』って言って………」
「…………ごめんね、、僕がもう少し気を付けて話していればよかったのに……」
レイラ様は僕に執着しているみたいだから、僕に距離を置かれないよう、イルに手を出してなかったのか……………。
僕がもう少し自我を残した風な演技をしていればっっ………!
──────バタンッ
「ラストル! 一体何が!?」
グレンが部屋を出てそれほど経たないうちにアルが来てくれた。
「アル! 彼女の怪我を治してくれないか!?」
「っっ! 任せてくれ!」
アルはイルを見て息を飲んだ。
イルは顔にまで痣があって、痛々しい…………
すぐにイルを黄金の光が包む。
「イル、大丈夫?」
「えぇ…………。これが〈聖〉属性の魔術、、凄いわね……!」
「アル、ありがとう!」
「ありがとうございます。アルバート様」
アルはレイラ様の魔術の解術はそれなりにしてきたけど、癒しの魔術は使ったことがないはずだったのに、イルの痣は跡形もなく消えた。
よかった…………!
「いや、魔術が成功したようでよかった………………。貴女はサン侯爵令嬢のイリス嬢だろうか?」
「はい、初めましてアルバート殿下………サン侯爵家の次女、イリスと申します」
「アルバート・シャインだ。よろしく頼む」
そういえば、アルはイルが魔術を使えることを知らないよね?
イルの属性は分かっちゃっただろうし…………どう話そうかな、、、
「…………急でごめんね、今日からイルをこの屋敷で匿うことになったんだ……あっ、、 なりました」
ヤバい………父様とグレンの前なのに、普通に話しちゃってた………!
「今さらだろう、、父上とレイ伯爵も仲が良ろしいのだから、気にするな!」
黙って、父様の方を見たら苦笑された………。
何故!?
「…………分かった」
「───アルバート殿下、今後のことで話がありますので、少々お時間をいただいても?」
「はい、大丈夫です」
「ラストルはイリス嬢を部屋に案内しなさい………出来るだけ、人に会わないようにな」
「分かりました」
――――――――――――――――
アルと、父様と、グレンが執務室に移動して、部屋には僕とイルだけが残った。
「────イル、本当に大丈夫?」
「ふふっ、ラスは心配性ね」
「そりゃあ、心配するよ」
君は過去に、数えきれない程に傷付いてきたんだから……………。心も体もね。
「それにしても、〈聖〉魔術は凄かったわね」
「本当だよ…………。アル、癒しの魔術はさっき初めて使ったんだよ?」
「……………嘘でしょ?」
「………本当」
「「………………」」
マジで驚きだよね?
初めて使ったのに、成功なんて、、
まぁ、成功すると思ったからこそ、アルを呼んだんだけど。
「………………そういえば、今からオパールちゃんとレイ伯爵夫人に会いに行ってもいいの?」
「う~ん………。大丈夫だけど、イルは疲れてない?」
「私は大丈夫よ」
「なら、いいけど…………体調が悪くなったらすぐに言ってね?」
「ふふっ、分かったわ、、さっそく行きましょう!」
────よかった。
さっきまであんなに酷い怪我をしていたのに元気だ、、
痣だらけのイルを見た時は本当に心臓が止まるかと思ったからね……………。
でも、イルがこの屋敷にいてくれれば確実に守れる……………!
─────もう、君に辛い思いはさせないから……………!
0
あなたにおすすめの小説
ご褒美人生~転生した私の溺愛な?日常~
紅子
恋愛
魂の修行を終えた私は、ご褒美に神様から丈夫な身体をもらい最後の転生しました。公爵令嬢に生まれ落ち、素敵な仮婚約者もできました。家族や仮婚約者から溺愛されて、幸せです。ですけど、神様。私、お願いしましたよね?寿命をベッドの上で迎えるような普通の目立たない人生を送りたいと。やりすぎですよ💢神様。
毎週火・金曜日00:00に更新します。→完結済みです。毎日更新に変更します。
R15は、念のため。
自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)
【完結】ひとつだけ、ご褒美いただけますか?――没落令嬢、氷の王子にお願いしたら溺愛されました。
猫屋敷むぎ
恋愛
没落伯爵家の娘の私、ノエル・カスティーユにとっては少し眩しすぎる学院の舞踏会で――
私の願いは一瞬にして踏みにじられました。
母が苦労して買ってくれた唯一の白いドレスは赤ワインに染められ、
婚約者ジルベールは私を見下ろしてこう言ったのです。
「君は、僕に恥をかかせたいのかい?」
まさか――あの優しい彼が?
そんなはずはない。そう信じていた私に、現実は冷たく突きつけられました。
子爵令嬢カトリーヌの冷笑と取り巻きの嘲笑。
でも、私には、味方など誰もいませんでした。
ただ一人、“氷の王子”カスパル殿下だけが。
白いハンカチを差し出し――その瞬間、止まっていた時間が静かに動き出したのです。
「……ひとつだけ、ご褒美いただけますか?」
やがて、勇気を振り絞って願った、小さな言葉。
それは、水底に沈んでいた私の人生をすくい上げ、
冷たい王子の心をそっと溶かしていく――最初の奇跡でした。
没落令嬢ノエルと、孤独な氷の王子カスパル。
これは、そんなじれじれなふたりが“本当の幸せを掴むまで”のお話です。
※全10話+番外編・約2.5万字の短編。一気読みもどうぞ
※わんこが繋ぐ恋物語です
※因果応報ざまぁ。最後は甘く、後味スッキリ
有能女官の赴任先は辺境伯領
たぬきち25番
恋愛
お気に入り1000ありがとうございます!!
お礼SS追加決定のため終了取下げいたします。
皆様、お気に入り登録ありがとうございました。
現在、お礼SSの準備中です。少々お待ちください。
辺境伯領の当主が他界。代わりに領主になったのは元騎士団の隊長ギルベルト(26)
ずっと騎士団に在籍して領のことなど右も左もわからない。
そのため新しい辺境伯様は帳簿も書類も不備ばかり。しかも辺境伯領は王国の端なので修正も大変。
そこで仕事を終わらせるために、腕っぷしに定評のあるギリギリ貴族の男爵出身の女官ライラ(18)が辺境伯領に出向くことになった。
だがそこでライラを待っていたのは、元騎士とは思えないほどつかみどころのない辺境伯様と、前辺境伯夫妻の忘れ形見の3人のこどもたち(14歳男子、9歳男子、6歳女子)だった。
仕事のわからない辺境伯を助けながら、こどもたちの生活を助けたり、魔物を倒したり!?
そしていつしか、ライラと辺境伯やこどもたちとの関係が変わっていく……
※お待たせしました。
※他サイト様にも掲載中
人見知りと悪役令嬢がフェードアウトしたら
渡里あずま
恋愛
転生先は、乙女ゲーの「悪役」ポジション!?
このまま、謀殺とか絶対に嫌なので、絶望中のルームメイト(魂)連れて、修道院へ遁走!!
前世(現代)の智慧で、快適生活目指します♡
「この娘は、私が幸せにしなくちゃ!!」
※※※
現代の知識を持つ主人公と、異世界の幼女がルームシェア状態で生きていく話です。ざまぁなし。
今年、ダウンロード販売を考えているのでタイトル変更しました!(旧題:人見知りな私が、悪役令嬢? しかも気づかずフェードアウトしたら、今度は聖女と呼ばれています!)そして、第三章開始しました!
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています
浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】
ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!?
激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。
目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。
もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。
セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。
戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。
けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。
「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの?
これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、
ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。
※小説家になろうにも掲載中です。
嫌われ公女に転生したけど、愛されたい願望を捨てたら全員がデレてきた
桃瀬さら
恋愛
嫌われ公女ナディアは、婚約破棄され学園で孤立し、家族からも見放されていた。
どれほど努力しようが周囲からは「嫌われ公女」と蔑まれ、誰も味方なんていない。
「もういい。愛されたいなんて、くだらない」
そう心に誓った瞬間から、状況が一変した。
第二王子が婚約破棄を撤回し跪き、寡黙な騎士団長が「君を守りたい」と熱く迫ってくる。
そして、冷ややかな兄まで「婚約など認めない。家を出ることは許さない」と……。
愛されることを諦めた途端、なぜか執着される。
妹の身代わりだった私に「本命は君だ」――王宮前で王子に抱き潰され、溺愛がバレました。~私が虐げられるきっかけになった少年が、私と王子を結び付
唯崎りいち
恋愛
妹の身代わりとして王子とデートすることになった私。でも王子の本命は最初から私で――。長年虐げられ、地味でみすぼらしい私が、王子の愛と溺愛に包まれ、ついに幸せを掴む甘々ラブファンタジー。妹や家族との誤解、影武者の存在も絡み、ハラハラと胸キュンが止まらない物語。
転生したら乙女ゲームの主人公の友達になったんですが、なぜか私がモテてるんですが?
山下小枝子
恋愛
田舎に住むごく普通のアラサー社畜の私は車で帰宅中に、
飛び出してきた猫かたぬきを避けようとしてトラックにぶつかりお陀仏したらしく、
気付くと、最近ハマっていた乙女ゲームの世界の『主人公の友達』に転生していたんだけど、
まぁ、友達でも二次元女子高生になれたし、
推しキャラやイケメンキャラやイケオジも見れるし!楽しく過ごそう!と、
思ってたらなぜか主人公を押し退け、
攻略対象キャラからモテまくる事態に・・・・
ちょ、え、これどうしたらいいの!!!嬉しいけど!!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる