君の悲劇を終わらせる〜廻る世界で再び出会う〜

夜野ヒカリ

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6章 全ての始まりと終わり

58 全ての終わり①

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「ラスっ、ラスッ!?」 

 うぅ、、ここは………。

「イル? 」

「あぁ、よかったっ」

 現実世界に戻ってきてすぐにイルの声が聞こえた。
 僕の返事に安堵したのか、まだ横になっている僕の手を自分の額に付けて握りしめる。
 ………よっぽど心配させちゃったみたいだね。


「ラストル、大丈夫か?」

 声がした方に顔を向けると、父様と母様、国王陛下、アル、そして、グレンとトーマスがいた。
 ここは、、以前父様と来た、陛下の執務室みたいだ。

「はい、心配をお掛けしてしまいすみません」

「謝るな、無事でよかった」

「本当によかったわ、、ラストル」

 父様と母様が僕を抱き締めてくれる。
 この人達のぬくもりは本当に温かい。


「ラストル、ライナステフィアーネ様とお話は出来た~?」

「トルマトス、、来てくれてありがとう。おかげで助かったよ。ライナステフィアーネ様とは色々話せたよ」

 自分の腹部を見ると、傷はきれいに消え、服だけが破けて赤く染まった状態だった。
 成功したみたいだね。

「そういえば、トーマスは人間に化けてるだけなんだよね? ライト伯爵家の次男だったと思うんだけど、、とういうこと?」

「それはね~グレイトスと一緒に、ライナステフィアーネ様に人間界に行ってファースラントスを手伝う許可をもらった時にいろいろ~」

 ………『いろいろ』か。
 ライナステフィアーネ様がライト伯爵家の人の記憶を改竄したのかな? そうするとグレンも………やめよう、考えるの。

「ラストル様、誠によろしゅうございましたな」

「………グレン、、グレイトスだと思うと口調に違和感があるんだけど、、」

 父のような存在だったグレイトスは当然ながら僕に対して敬語なんて使っていなかったし。
 あぁ、僕が眠っている間に僕達の存在についてをグレンが話してくれていたみたいだね。

「ハッハッ、癖だよ。それに、、今のファースラントスは私が敬語を使わなければならない存在になったのではないか?」

 やっぱり神である2人は気付くか……。



「やっぱり分かるんだね、、僕が  
                    “  最高神  ”     になったこと」

 
「えっ?」

「さ、最高神様……?」


 部屋にいる全員から戸惑いの声が上がる。
 イルも相当驚いてみたいだね。

「ラス、、どういうことなの? ライナステフィアーネ様は?」

「最高神の位は指名による襲名制らしいんだ。ただ、その位には責任が伴うから簡単に代替わりをすることは出来ない………。ライナステフィアーネ様は最高神になって以来、15000年程もの間、その位でこの世界を見守ってきたから、もういつでも最高神の位を下りることが出来たんだって」

「そうだったの……」

「私とトルマトスも今日まで知りませんでした。自分の存在を思い出してすぐにライナステフィア様に呼び出されて知らされました」

 あぁ、グレンがパーティーの前にいなかったのはそういうことだったのか……。

「ちなみにイルは ───」


 ────バタッ


「陛下、申し訳ございません!」

「なんだ、今私は大切な話をしているのだ!」

 ノックもなしに部屋に飛び込んできた兵は憔悴しきっている。



「さ、先程牢に入れたレイラ元侯爵令嬢が消えましたっ!」



 陛下の執務室にいる僕達も突然の事態に驚愕する。
 
「急に消えたのですか?」

 精神的に不安定であろう彼女をこのまま放っておいてはどうなるかわからない。まずい状況だ、、

「い、いえ、城内に侵入者がいるという嘘の伝達を受けて牢の見張りが少なくなったを狙われたのか、、自分も見張りをしていたのですが、記憶がなく……」

「嘘の伝達というのは?」

 陛下の周りの空気が重いな………。
 兵は額に大きな汗を浮かべながら答える。

「み、ミスト男爵令嬢が……」

 サリー嬢が!?
 なぜだ? あの二人につながりはなかったはずなのに………。
 
 確実に、レイラ嬢いや、レイラを逃がし、今も一緒にいるのだろうけど、危険を犯してまでそんな事をする理由がわからない。

「そうか……お前は城内を捜索しろ。他の兵にもそのように」

「はっ!」




「………陛下、この件を僕に一任してくださいますか?」

「ラストルに? それは………そうだな、お願いするとしよう」

「ありがとうございます。アル、僕が戻ってきたらもう一度カイル兄様の解術を試してみてほしいんだけど、魔力は大丈夫? もちろん、魔力が回復してなかったら後で構わないから」

「あ、あぁ、魔力はあと30分程経てば大丈夫だと思うが、、私の解術は彼に効かなかったぞ?」

「大丈夫。今はまだ効かないだろうけどね」


 さて、初めてで上手くいくかどうか………。


「 ───我、が命じる。彼の者を我が眼に映し出せ」

 僕の傷は、最高神として体が再構築されたことによって消えた。
 つまりは治ったというより、新しい体になったということだ。
 あと、最高神になるのに伴って新たな名前を得た。
 神は名前が力を表しているからね。
  
〝ファーラストレイトス〟それが僕の新しい名前だ。

 最高神としての力として他の神と大きく違うのは自然が力の一部になることだ。
 最高神はこの世界を見守るから、たくさんの“眼”が必要となる。そのために、人間や動物、木々、花々、……ありとあらゆる生き物達の意識を借りて世界をことが出来る。

 ちなみに、この世界の神に司るものとかはなくて、最高神でない神が出来ることは多くない。……魔術の上位的な力は全員がもっているけどね。
 トルマトスは〈闇〉属性の上位、空間を切り取る力と、その空間を支配する力をもっている。これは人間では使えない。
 僕の時間を止められたのはこの力のお陰だ。

 あぁ、見つけた。
 レイラが何かしているのか、よく視えなかったんだけど、急に眼に映った。

「─── あの陛下、2人は南東の城壁にいます。これから行ってくるので、カイル兄様がいる部屋で待っていていただいても?」

「もうわかったのか!? あぁ、移動して待機していよう。私が行っても何もできないだろうからな。ラストルが戻って来てからの案内は兵に伝えておく。……それで、どうやって ………」

「それについても後で。 それでは───」

「ラス、気を付けてね?」
 
 今回は守りきることができそうな唯一の存在からの言葉に笑みがこぼれる。

「もちろんだよ」
  









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