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第二章 魔物討伐
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しおりを挟む「おーい! 新しい負傷者だ!
誰か手を貸してくれ!!」
「! はい!」
男女を背負いながら、叫ぶ男性の元へ走る。
「コイツらの回復を頼む!」
二人とも傷が深い! ギリギリのところで致命傷を避けているみたいだけど、深いから回復に時間がかかる。
時間をかけながら二人を回復したところで胸の辺りから激痛が走り、呻く。
「……ぃ、っう…」
「あ!? おい! 大丈夫か! し――り――……」
激痛で視界が歪み、呼び掛けを聞きながら意識が完全に闇に落ちた。
***
(レオナード視点)
ヒューリックと戦況について、一段落したところでリオがいないことに気づいた。
「どこに行ったんだ?」
ざわりと胸騒ぎがする。
怪我人が待機している広場が騒がしいことに嫌な予感を覚える。
広場に向かい、走り出した。
「おい! しっかりしろ!」
傷が塞がっている冒険者の前で顔面蒼白のリオがいた。
怪我人の治療をしていた男が呼び掛けている。
「っリオ!」
範囲を狭めた[サーチ]を使い、リオの魔力量を見る。
膨大な量を持っていたリオの魔力が比べられないくらい減少している。
リオに呼び掛けていた男が話しかけてきた。
「おいってレオナード様!?
二人組の冒険者を治した瞬間、胸辺りを押さえながら倒れたんだ…です」
「チッ。魔力回路を傷つけたか!」
魔力回路の負傷と聞いて、男が青褪める。それはそうだ。
体内で魔力を生み出す気管を負傷すると激痛が走る。悪化すると体が貧血状態と同じ状態になり、ものによっては完治までありえないぐらい時間がかかる。
痛みで気絶するのはだいたい残りの魔力を1割切ったところからだ。
「リオを休ませてくれ。それから門にいる高ランク冒険者を狼煙が上がったところに派遣。森での戦闘に支援魔法使い何名か頼む」
「り、了解しました!」
ヒューリックがもう指示を出しているかもしれないが、そこは調節してくれるだろう。
相性の良い相手から魔力を貰う(魔力譲渡をする)ことで魔力回路を治す手助けをすることが出来る。
オレとリオの相性は良い。今すぐにでも魔力譲渡をしたいが、オレがこの戦いから抜けることが出来ない。
リオが戦闘不能になったことで状況が悪化している。
リオを助けたいが、オレの気持ち一つで――
「…お! レオ!!」
大きな声で呼び掛けられ、思考を中断する。声をかけたのは、マリーだった。
いつもと違い、オレ胸ぐらを掴むとドスの効いた声で叫んだ。
「しっかりしろ、レオ! 指示者がそれでどうする! いつの間にそんなに弱くなったんだ? あ゙!? 俺の知ってるレオはな…自信家で強さを自分以外にも使う強い男だ!」
普段怒らないマリーが怒っている。
こいつはいつもそうだな。オレが迷っている時に支えてくれる。
「ふぅーー…。つまりねレオ。ウジウジしてるのはアンタらしくないのよ。男なら当たって砕け散りなさい!
それともリオちゃんに情けない姿見せたいの? まったくもう…。リオちゃんのことなら任せて。仮にもギルドマスターだもの。こういうことに関しては得意分野よ」
「そうだな。リオに情けない姿を見せられないな。マリー、リオのことは頼んだ」
「ふふ、任されたわ」
柄にもなく怒っちゃったわねと言っているマリーを見て、本当に良い友だと思った。
▫▪▫▪▫▪▫▪▫▪▫▪▫▪▫▪▫
マリーのキャラが変わりすぎて…(笑)
弱っているライバルにキレている人に見えなくもないと思いました。
戦いもそろそろ終盤戦です。
次回、チュアルに強敵(?)顕る!
応援ありがとうございます!
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