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第弐章:ムロトー/ナイトフィーバー/レリGO
#071:窮地な(あるいは、ボディ&ブレインスペシャルⅡ)
しおりを挟むついに告げられたスタート。と同時に、両チーム6名が一斉にペダルを漕ぎ始める。
「飛ばすぞ少年、相棒っ!! 長期戦に持ち込まれたらまず勝ち目はねえ!!」
アオナギが左隣からそう告げるが、まさに僕もそれは考えていた。もらった「12km以上」というアドバンテージを活かすためにも短期決戦で決めるしかない。しかし、
「……」
相手チームはほぼほぼ息を乱さず、いきなりトップスピードに近いところまで加速してきた。恐るべき脚力。やっぱり、ことこの漕ぎに関しては、長期だろうと短期だろうと勝負になりそうもない。
「チーム29、時速15km突破ぁっ!! 言い忘れましたけど、『着手』する際には左ハンドルにある『着手ボタン』を押してくださいね!! ただし5秒押し続けるごとに必要とされる時速が『1km』ずつ加算されますから、なるべく手短かの方がいいですよっ」
実況のリアちゃんがそう説明してくれるが、そういうの先に言わないとよ!!
「実況っ!! 先手が、撃って、きたら、後手は何秒以内に、それを、相殺しね、えといけ、ねえ、んだっ!?」
早くも息が上がってきているアオナギが、絶えだえにそう問いかける。相殺……そうか、一方が一手指したら、相手も一手指すのが通常ルールだ。そしてその評価差がイコール電気ショックの強さへと換算される。でも今回、規定の時速に満ちてないと、着手すらままならないわけで。もし後手がへばって着手出来なかったとしたら……?
「一手30秒未満でお願いしますっ。着手が無い場合、先手の評価ポイントがそのままボルティックへと換算されてチームの皆様に分配されますので、お気をつけを!!」
ええー、そりゃあかんでしょうよ。僕の少ない経験上でも、「10,000ボルティック」以上受けた人は皆散っていってる……そして「30,000」以上の評点が結構出やすいってことも、僕は身をもって体験しているわけで。そんなの素で食らったら、チーム3人即飛びだ。
ということは……ということは? 後手を引いてしまったら、何が何でも12kmに持って行って、相殺するネタを撃ち返す必要があるってことだ。しかし……これも問題のひとつだけど、相手はよほどの事がない限り規定の「15km以上」を軽く維持してくるということ。すなわち先手で様子見のDEPを撃ってみるも、後手で相手の出方を見つつ臨機応変なDEPを選んで撃ち返すも可能ってことだ。
何たる不利。時速3km分のアドバンテージ、実は何も意味を為していなかったりして……どうする!?
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