勘違いって恐ろしい

りりん

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  夜会の終わりを告げると、項垂れながら騎士に連れられたアイザック達令息が騎士棟の地下牢に入れられた
  奇声を上げながら騎士に拘束されたアンナは城の地下牢に入れられる
  それぞれ北と南に護送されるまでの措置である
 
  それと時を同じくして公爵家に向かった騎士達に、執事と家令からアシュリー夫人が引き渡された
  アシュリー夫人自体は何もしていないが、娘のアンナの勘違いに便乗してあわよくば公爵夫人にと、娘の勘違いを正さずにいた罪である
  間接的であったとしても、公爵家を陥れようとした事は許されざる事である
  身支度をする暇も与えられず、身一つで王都から追い払われた
  軽すぎると思われるであろうが、下位とはいえ元は貴族の出である夫人はまともに労働したこともなく、王家と公爵家に睨まれてまで、わざわざ元男爵夫人の平民の女を世話するものも現れることはない
  夫人がどう生きていくのかなど、誰も預かりしらぬ事である

 さて、この事の顛末はこれで済まされるわけではない
  アンナ達学生の始末は、ユリアーナ達に委ねたが、ここからは、ファシュエル公爵閣下が直々に行う事になる
  キンバリー侯爵家、アンナ母娘を公爵家に世話した伯爵家、アンナに籠絡された子息達それぞれの家に対する処分である
  それぞれの家の者も当主も抵抗する意思はなく、子供たちの仕出かした所業に頭を抱えている

  各家降格の上、公爵家への賠償金とは別に、ユリアーナ個人に対する賠償金を支払う事とした
  こちらは若干の手心を加える事で、各家の当主は勿論の事、子息子女、孫に至るまで公爵家の意のままになる駒を手に入れただけの事である
  ファシュエル公爵家は探られて困るような事もなければ、簡単に探らせるような事もさせないが、貴族の世界は綺麗事だけでは生きていけない世界だ
  それぞれ深く探られては困る事が出てくる、ファシュエル公爵ルーカスはそれを手中にしているのだ、ゆくゆくはユリアーナとレイモンドに継承されるであろう
  勿論裏切れば重い処分が待っている事は言うまでもない
  公爵家を継ぐ者は頭の軽い者では務まらないのだ
  簡単に籠絡されて見えている情報の裏も取れないような者に用はない
  
  アイザックもかつては優秀で努力家でもあった
  足りない部分はルーカスが直々に叩き込むつもりであった、がアンナのような頭の軽い女に簡単に乗せられたという事は、器ではなかったのだろう

  ルーカスは仕事と政治に関しては冷酷であるが、娘であるユリアーナに関しては非常に愛情深い
  公爵となる器もあってユリアーナを大切に出来る男でなければユリアーナはやれない
  結果としては良かったのだと思った

  「それにしても、まぁよくあんなに勘違いが出来たものだな」
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