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第5話 王道ルートの先は闇?
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「見てたなら、何で助けてくれなかったのよ!」
『こんなちっぽけな体で、どうしろって言うんだ?無茶振りもいいところだぞ』
「あんなに偉そうなこと言ってたのに、ルトの恩知らず!」
オーランドとの勝負に負けたメリルは、屋敷に戻り悔しがっていた。泣いてないところが、また彼女らしい。
リーベルトはエリーの鞄にこっそり隠れて、メリルに内緒でついてきていたのだ。よって、あの騎士団での一件は当然見聞きしていた。メリルは、見ていながら加勢しなかったリーベルトに理不尽な文句をぶつけている。そこにリーベルトの味方が参戦する。
「お嬢様、ルト様の仰っしゃるとおりですよ。あれはやる前から結果は見えておりました」
リーベルトとエリーは、出会った当初から仲が良かったが、日に日に距離が近くなっている。
そして『大体、ルーが向こうの口車に乗ったからだろ?』と、リーベルトが至極真っ当な意見を口にするも、メリルは「だって!あんなふうに勝負を挑まれたら、受けるしかないじゃない!」と負け惜しみで対抗した。
『あの王子からしたら、ルーなんてチョロいもんだぞ。ていうか、夜会でダンスなんて申し込まれてたのか!?初耳だぞ。ガッツリ言い寄られてんじゃないか』
「あんなの覚えてるのは、恋を夢みる女の子だけよ・・・ところで、参考までに聞いてあげる。あの王子ルートもあるの?」
メリルの質問にリーベルトは『あるぞ!王道だな。俺もゲームでは楽しませてもらったぞ』と言いながら、当時を思い出してる雰囲気を醸し出している。
「それなら何故、ルトはそのルートを勧めないのよ。矛盾てしるわ!」
『俺の幸せとルーの幸せは、必ずしも合致しないんだよな、これが・・』
「どういう意味よ?もっとハッキリ言いなさいよね!」
メリルの追求に『やめとけ。どうせ進む気のない道だろ?知らないほうがいいぞ』と言ったリーベルトは『それよりどうすんだ?』と話を逸らす。
リーベルトの指摘にメリルは、オーランドとの勝負が終わったあとの会話を思い出す。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
『私の勝ちだな。やはり勝者には、褒美がないとならんだろ?』
『どういう意味でしょうか?』
『私の願いを一つ叶えてもらおうか』
キュッと唇を噛み締め紡ぎ出すセリフは、メリルの今の感情を素直に表している。
『そんな後出しの条件なんて、ズルいわ』
『また逃げ出すのか?』
『まさか・・・私は二度も同じ人から逃げ出すほど、腰抜けではありません!』
『決まりだな。追って知らせるが、せいぜい悩むことだな』
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
今、思い出しても悔しさが込み上げてくる。オーランドの最後の笑みが、メリルの頭から離れない。そして“冷静に”と自分の心に言い聞かせながら、メリルは「どうもこうもしないわよ」と質問の答えを返す。そして、さらに言葉を続けた。
「負けは負け。こんなったら、願いでも何でも叶えてやろうじゃない!」
そんなメリルに、リーベルトは釘を刺す。
『いいか?どんな願いをしてきても、絶対に向こうのペースに乗せられるなよ!あの王子のルートに、ルーの幸せはないんだからな!』
そして、リーベルトの忠告を傍らで見ていたエリーが、うんうんと大きく頷き肯定していた。
『こんなちっぽけな体で、どうしろって言うんだ?無茶振りもいいところだぞ』
「あんなに偉そうなこと言ってたのに、ルトの恩知らず!」
オーランドとの勝負に負けたメリルは、屋敷に戻り悔しがっていた。泣いてないところが、また彼女らしい。
リーベルトはエリーの鞄にこっそり隠れて、メリルに内緒でついてきていたのだ。よって、あの騎士団での一件は当然見聞きしていた。メリルは、見ていながら加勢しなかったリーベルトに理不尽な文句をぶつけている。そこにリーベルトの味方が参戦する。
「お嬢様、ルト様の仰っしゃるとおりですよ。あれはやる前から結果は見えておりました」
リーベルトとエリーは、出会った当初から仲が良かったが、日に日に距離が近くなっている。
そして『大体、ルーが向こうの口車に乗ったからだろ?』と、リーベルトが至極真っ当な意見を口にするも、メリルは「だって!あんなふうに勝負を挑まれたら、受けるしかないじゃない!」と負け惜しみで対抗した。
『あの王子からしたら、ルーなんてチョロいもんだぞ。ていうか、夜会でダンスなんて申し込まれてたのか!?初耳だぞ。ガッツリ言い寄られてんじゃないか』
「あんなの覚えてるのは、恋を夢みる女の子だけよ・・・ところで、参考までに聞いてあげる。あの王子ルートもあるの?」
メリルの質問にリーベルトは『あるぞ!王道だな。俺もゲームでは楽しませてもらったぞ』と言いながら、当時を思い出してる雰囲気を醸し出している。
「それなら何故、ルトはそのルートを勧めないのよ。矛盾てしるわ!」
『俺の幸せとルーの幸せは、必ずしも合致しないんだよな、これが・・』
「どういう意味よ?もっとハッキリ言いなさいよね!」
メリルの追求に『やめとけ。どうせ進む気のない道だろ?知らないほうがいいぞ』と言ったリーベルトは『それよりどうすんだ?』と話を逸らす。
リーベルトの指摘にメリルは、オーランドとの勝負が終わったあとの会話を思い出す。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
『私の勝ちだな。やはり勝者には、褒美がないとならんだろ?』
『どういう意味でしょうか?』
『私の願いを一つ叶えてもらおうか』
キュッと唇を噛み締め紡ぎ出すセリフは、メリルの今の感情を素直に表している。
『そんな後出しの条件なんて、ズルいわ』
『また逃げ出すのか?』
『まさか・・・私は二度も同じ人から逃げ出すほど、腰抜けではありません!』
『決まりだな。追って知らせるが、せいぜい悩むことだな』
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今、思い出しても悔しさが込み上げてくる。オーランドの最後の笑みが、メリルの頭から離れない。そして“冷静に”と自分の心に言い聞かせながら、メリルは「どうもこうもしないわよ」と質問の答えを返す。そして、さらに言葉を続けた。
「負けは負け。こんなったら、願いでも何でも叶えてやろうじゃない!」
そんなメリルに、リーベルトは釘を刺す。
『いいか?どんな願いをしてきても、絶対に向こうのペースに乗せられるなよ!あの王子のルートに、ルーの幸せはないんだからな!』
そして、リーベルトの忠告を傍らで見ていたエリーが、うんうんと大きく頷き肯定していた。
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