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第12話 ネズミの転生前は、モテたのか?!
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「ルゥトォ、ちょっとああいう設定があるなら、言っておきなさいよね」
『何だよ、ルー。帰ってき早々、どうしたんだよ』
急に言われて何のことかピンとこないリーベルトは、ネズミ独特の細かい動きをピタッと止める。メリルは自室に戻ってきた途端、リーベルトにさっきまでの事を話し出したのだ。すると、聞き終えたリーベルトから意外な答えが返ってくる。
『何だよ、それ。そんなのゲームにはなかったぞ。そもそも今日の王子の訪問もなかったからな』
「えっ!何でそれを早く言わないのよ。それは確かなの?転生してきて、忘れてるってことはないのよね?」
『忘れてないぞ。大体、今のところ目立つルートがあの王子だけってのが、変なんだよ。隣国王子はまだなのは想定内だが、他に男の影がないってのがな。ゲームでは、うるせぇぐらいにあったのによぉ』
リーベルトの言葉に「そんなにモテモテだったの?私・・」と頬を染めるメリル。どうやらモテていた聞いて、満更でもないようだ。
『そりゃ、まあな。そういうゲームだから・・・まあどう考えてもルーが、男どもに接触しないのが原因だな。公爵家令嬢ならお茶会とか楽しむもんじゃないのかよ』
「何よそれ、私が悪いみたいな言い方やめてよね。私は恋だの愛だのに夢を見ないだけ。自分の幸せぐらい自分で掴むもの。結婚しなくてもいいと、思ってるぐらいよ」
メリルとリーベルトの会話を傍らで聞いていたエリーが「違いますよ。面倒な社交から逃げてるだけなんですよ」と図星の横槍を入れる。それにリーベルトは、納得といった雰囲気を惜しげもなく放った。
『あー、だろうな。ルーは、上っ面の付き合いと足の引っ張り合いが常識の社交界には向かないよなぁ。でも、ルー、そんなセリフ言うなよな。モテないヤツのセリフだぞ』
リーベルトとエリーのツッコミに当然メリルは、不本意だとばかりに反論する。
「何言ってるのよ。モテないんじゃなくて、モテるつもりがないと言ってちょうだい。社交だって必要だと思ったら、ちゃんとやるわよ。ほら、この間だって夜会に参加したでしょ。大体、ネズミのルトに分かるの?そんなこと言うぐらいだから、前世ではモテモテだったのよね。さあ、どうなのよ。白状しちゃいなさいよ。今ならじっくり聞いてあげるわよ」
『おい、ルー。あの夜会は、途中で逃げてきたんだろ。それにお前、俺の前世をバカにしてないか?』
「なっ、何言ってるのよ。そんなことないわよ。今日は、特別にルトの前世を聞いてあげてもいいかなと思ったのよ。ほら、エリーが知りたいだろうから、私が一肌脱いであげてるのよ」
メリルから、だしに使われたエリーは手をブンブンと横に振り、否定する。するとリーベルトは一瞬思案すると、またも意外な答えを返す。
『話してやってもいいぞ』
「「えっ!!」」
まさかの返答に、メリルとエリーの驚きの声が揃う。それにリーベルトは『何だよ、その反応は!聞きたいって言ったのは、ルーだろ!』と不満そうに言った。
慌てたエリーが「ルト様、違いますよ!私はすっごく興味あります!」とフォローを入れる。そして言い出しっぺのメリルはというと、「ちょっと待ってなさい」と言葉を残して部屋から消えた。
そして、再び部屋に姿を見せたメリルのその手にはお皿が・・
「ほら、ルトの大好物よ。私が直々に持ってきてあげたんだから、全部食べなさいよ」
そう言ってリーベルトの前に置いた皿の上には、チーズの塊と水がある。
「いつもよりいい物を料理長に出してもらったわ。今日は、特別よ」
『ルー・・』
何かを言いかけたリーベルトは、言葉を止めた。
前世が人間だったリーベルトは、正直チーズに若干飽きていた。しかしネズミ=チーズ好きという図式を自分も持っていた為否定できない彼は、言わないことに決めた。そして、代わりに褒め言葉を贈る。
『いい心がけじゃないか、ルー。たっぷり聞かせてやる』
ドヤ顔でそう言ったリーベルトのハードルをメリルは最後に上げておいた。
「いいこと、ルト。私が耳を貸すんだから、面白可笑しく盛り上げなさいよ。分かったわね」
『それは無茶振りだろ』と愚痴から始まったリーベルトの昔話は、延々と夕食直前まで続いたのだった。
『何だよ、ルー。帰ってき早々、どうしたんだよ』
急に言われて何のことかピンとこないリーベルトは、ネズミ独特の細かい動きをピタッと止める。メリルは自室に戻ってきた途端、リーベルトにさっきまでの事を話し出したのだ。すると、聞き終えたリーベルトから意外な答えが返ってくる。
『何だよ、それ。そんなのゲームにはなかったぞ。そもそも今日の王子の訪問もなかったからな』
「えっ!何でそれを早く言わないのよ。それは確かなの?転生してきて、忘れてるってことはないのよね?」
『忘れてないぞ。大体、今のところ目立つルートがあの王子だけってのが、変なんだよ。隣国王子はまだなのは想定内だが、他に男の影がないってのがな。ゲームでは、うるせぇぐらいにあったのによぉ』
リーベルトの言葉に「そんなにモテモテだったの?私・・」と頬を染めるメリル。どうやらモテていた聞いて、満更でもないようだ。
『そりゃ、まあな。そういうゲームだから・・・まあどう考えてもルーが、男どもに接触しないのが原因だな。公爵家令嬢ならお茶会とか楽しむもんじゃないのかよ』
「何よそれ、私が悪いみたいな言い方やめてよね。私は恋だの愛だのに夢を見ないだけ。自分の幸せぐらい自分で掴むもの。結婚しなくてもいいと、思ってるぐらいよ」
メリルとリーベルトの会話を傍らで聞いていたエリーが「違いますよ。面倒な社交から逃げてるだけなんですよ」と図星の横槍を入れる。それにリーベルトは、納得といった雰囲気を惜しげもなく放った。
『あー、だろうな。ルーは、上っ面の付き合いと足の引っ張り合いが常識の社交界には向かないよなぁ。でも、ルー、そんなセリフ言うなよな。モテないヤツのセリフだぞ』
リーベルトとエリーのツッコミに当然メリルは、不本意だとばかりに反論する。
「何言ってるのよ。モテないんじゃなくて、モテるつもりがないと言ってちょうだい。社交だって必要だと思ったら、ちゃんとやるわよ。ほら、この間だって夜会に参加したでしょ。大体、ネズミのルトに分かるの?そんなこと言うぐらいだから、前世ではモテモテだったのよね。さあ、どうなのよ。白状しちゃいなさいよ。今ならじっくり聞いてあげるわよ」
『おい、ルー。あの夜会は、途中で逃げてきたんだろ。それにお前、俺の前世をバカにしてないか?』
「なっ、何言ってるのよ。そんなことないわよ。今日は、特別にルトの前世を聞いてあげてもいいかなと思ったのよ。ほら、エリーが知りたいだろうから、私が一肌脱いであげてるのよ」
メリルから、だしに使われたエリーは手をブンブンと横に振り、否定する。するとリーベルトは一瞬思案すると、またも意外な答えを返す。
『話してやってもいいぞ』
「「えっ!!」」
まさかの返答に、メリルとエリーの驚きの声が揃う。それにリーベルトは『何だよ、その反応は!聞きたいって言ったのは、ルーだろ!』と不満そうに言った。
慌てたエリーが「ルト様、違いますよ!私はすっごく興味あります!」とフォローを入れる。そして言い出しっぺのメリルはというと、「ちょっと待ってなさい」と言葉を残して部屋から消えた。
そして、再び部屋に姿を見せたメリルのその手にはお皿が・・
「ほら、ルトの大好物よ。私が直々に持ってきてあげたんだから、全部食べなさいよ」
そう言ってリーベルトの前に置いた皿の上には、チーズの塊と水がある。
「いつもよりいい物を料理長に出してもらったわ。今日は、特別よ」
『ルー・・』
何かを言いかけたリーベルトは、言葉を止めた。
前世が人間だったリーベルトは、正直チーズに若干飽きていた。しかしネズミ=チーズ好きという図式を自分も持っていた為否定できない彼は、言わないことに決めた。そして、代わりに褒め言葉を贈る。
『いい心がけじゃないか、ルー。たっぷり聞かせてやる』
ドヤ顔でそう言ったリーベルトのハードルをメリルは最後に上げておいた。
「いいこと、ルト。私が耳を貸すんだから、面白可笑しく盛り上げなさいよ。分かったわね」
『それは無茶振りだろ』と愚痴から始まったリーベルトの昔話は、延々と夕食直前まで続いたのだった。
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