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第2章
第15話 リリス13歳 初ランチ2
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ふたりが食事をとりながら会話の花を咲かせていると
「リリス、学園の食事は美味しい?」
昨日に続いて、今日もヘンリーに声をかけられた。リリスはヘンリーに会うと、心臓が飛び出しそうにドキドキするし、彼のペースに巻き込まれて翻弄されるので無意識に避けようとしていた。今日の出会いもリリスからしたら、"会ってしまった"というところだろうか。
「出た」
思わずリリスは小さく呟いた。
「そんなお化けが出たみたいに言うなんてひどいなぁ」
ヘンリーは今日もキラッキラの笑顔でリリスの側に立った。
「ヘンリー様、ごきげんよう。お食事ですか?」
「うん。食べ終わったから、教室に戻ろうかと思ってたんだ。そうしたら君がいたから・・・今日もツイてるな」
「そうでしたの。でしたら、もうお戻りになって」
「そんな冷たいこと言うなって」
「私、意地悪で言ってるんじゃありませんよ」
そんな天邪鬼なリリスを終始ヘンリーはニコニコしながら見ている。
「意地悪だなんて思ってないよ。リリスは素直じゃないからね。思春期かな?」
「しっ、思春期って。1歳しか違わないじゃないですかっ!もう、ヘンリー様こそあんまり意地悪言わないでください」
リリスが頬を染めながらワタワタしてる様子に、ヘンリーは愛おしそうな眼差しを向けている。
リリスは何か気付いたようにアリーナに視線を向けると、二人のやりとりを見ていた生温かい瞳がそこにあった。
(そういえば紹介するんだった)
「コホン。そんなことより、こちらは私のお友達のアリーナですわ」
ヘンリーがリリスの向かいに視線を向けると、その視線に気付いた少女が頬を染めた。そして立ち上がると、ペコリとお辞儀をした。
「はじめまして。アリーナ・サマリーと申します。セルジュ様のお話はリリスから伺っております」
「はじめまして。僕もサマリー嬢の話はリリスから聞いてるよ。ふたりは親友なんだってね?これからよろしくね。それと僕のことは名前で呼んでくれて構わないよ。リリスから話を聞いていたから、初対面とは思えなくてね」
「ありがとうございます。私もヘンリー様と同じで初対面とは思えませんわ。私のことも名前でぜひお呼びください」
そこへ、ヘンリーを呼ぶ声がした。彼が声のする方へ振り返ると、友達らしき生徒が待っていた。
「もう戻らないと。それじゃあリリス、アリーナ嬢また」
そう言うとヘンリーは去って行・・・かなかった。彼は思い出したように言う。
「リリス、授業が終わったら君の屋敷に寄ってもいいかな?今日は時間があるから、君と話ができたら嬉しいんだけど」
「分かりました。お待ちしてますね」
リリスの返事を聞くと、ヘンリーはキラッキラの笑顔になった。
「ありがとう、リリス。これから君たちは属性判定だろう?その話もあとで聞かせてね。それじゃあ!」
そう言って、今度こそヘンリーは足どりも軽やかに去って行った。彼が去ったあとには、顔を赤らめたふたりの少女が残った。
(今日も最後までキラッキラだったわ。そういえばヘンリー様って、外だと少しイジワル?ふたりの時とはちょっと雰囲気が違うような。私がアタフタしてるのを、面白がってるのかな?)
リリスがヘンリーについて考えていると
「昨日も思ったけど、ヘンリー様ってリリスにあまーい感じなのね。この間のプレゼントでも思ったけど、リリスにベタ惚れじゃない。
でもヘンリー様って、学園で人気ありそうね。あの容姿にあの性格だもの。リリスは不安じゃない?」
とアリーナが質問してきた。
「へっ?不安?そんな事を考えたことなかったわ。確かに砂糖吐きそうな言葉を言ってくるわね。でも昔は可愛かったのよ。初めて会ったときの挨拶なんて、恥ずかしそうにしてて」
そう言いながらリリスは遠い目をする。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
『はじめまして。リリスと申します』
『はっ、はじめまして。ヘンリーです。よろしくお願いします』
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
(そういえば、あの時は可愛かったわね)
お互いに恥ずかしそうに交わした挨拶を思い出して、リリスは思わずニンマリしてしまった。
「でたっ。余裕な感じ。まあ、なんとなく分かってたけど。彼、リリスに甘々だもんね。女の子としては、羨ましいわ」
(そんなものかしら?)
リリスはヘンリーとのやり取りが当たり前だったため、世の婚約者同士はみんな同じようなものだと思っていた。
そしてこれからの学園生活でその考えが崩され、アリーナの言葉の意味を理解するのに多くの時間はかからなった。
「リリス、学園の食事は美味しい?」
昨日に続いて、今日もヘンリーに声をかけられた。リリスはヘンリーに会うと、心臓が飛び出しそうにドキドキするし、彼のペースに巻き込まれて翻弄されるので無意識に避けようとしていた。今日の出会いもリリスからしたら、"会ってしまった"というところだろうか。
「出た」
思わずリリスは小さく呟いた。
「そんなお化けが出たみたいに言うなんてひどいなぁ」
ヘンリーは今日もキラッキラの笑顔でリリスの側に立った。
「ヘンリー様、ごきげんよう。お食事ですか?」
「うん。食べ終わったから、教室に戻ろうかと思ってたんだ。そうしたら君がいたから・・・今日もツイてるな」
「そうでしたの。でしたら、もうお戻りになって」
「そんな冷たいこと言うなって」
「私、意地悪で言ってるんじゃありませんよ」
そんな天邪鬼なリリスを終始ヘンリーはニコニコしながら見ている。
「意地悪だなんて思ってないよ。リリスは素直じゃないからね。思春期かな?」
「しっ、思春期って。1歳しか違わないじゃないですかっ!もう、ヘンリー様こそあんまり意地悪言わないでください」
リリスが頬を染めながらワタワタしてる様子に、ヘンリーは愛おしそうな眼差しを向けている。
リリスは何か気付いたようにアリーナに視線を向けると、二人のやりとりを見ていた生温かい瞳がそこにあった。
(そういえば紹介するんだった)
「コホン。そんなことより、こちらは私のお友達のアリーナですわ」
ヘンリーがリリスの向かいに視線を向けると、その視線に気付いた少女が頬を染めた。そして立ち上がると、ペコリとお辞儀をした。
「はじめまして。アリーナ・サマリーと申します。セルジュ様のお話はリリスから伺っております」
「はじめまして。僕もサマリー嬢の話はリリスから聞いてるよ。ふたりは親友なんだってね?これからよろしくね。それと僕のことは名前で呼んでくれて構わないよ。リリスから話を聞いていたから、初対面とは思えなくてね」
「ありがとうございます。私もヘンリー様と同じで初対面とは思えませんわ。私のことも名前でぜひお呼びください」
そこへ、ヘンリーを呼ぶ声がした。彼が声のする方へ振り返ると、友達らしき生徒が待っていた。
「もう戻らないと。それじゃあリリス、アリーナ嬢また」
そう言うとヘンリーは去って行・・・かなかった。彼は思い出したように言う。
「リリス、授業が終わったら君の屋敷に寄ってもいいかな?今日は時間があるから、君と話ができたら嬉しいんだけど」
「分かりました。お待ちしてますね」
リリスの返事を聞くと、ヘンリーはキラッキラの笑顔になった。
「ありがとう、リリス。これから君たちは属性判定だろう?その話もあとで聞かせてね。それじゃあ!」
そう言って、今度こそヘンリーは足どりも軽やかに去って行った。彼が去ったあとには、顔を赤らめたふたりの少女が残った。
(今日も最後までキラッキラだったわ。そういえばヘンリー様って、外だと少しイジワル?ふたりの時とはちょっと雰囲気が違うような。私がアタフタしてるのを、面白がってるのかな?)
リリスがヘンリーについて考えていると
「昨日も思ったけど、ヘンリー様ってリリスにあまーい感じなのね。この間のプレゼントでも思ったけど、リリスにベタ惚れじゃない。
でもヘンリー様って、学園で人気ありそうね。あの容姿にあの性格だもの。リリスは不安じゃない?」
とアリーナが質問してきた。
「へっ?不安?そんな事を考えたことなかったわ。確かに砂糖吐きそうな言葉を言ってくるわね。でも昔は可愛かったのよ。初めて会ったときの挨拶なんて、恥ずかしそうにしてて」
そう言いながらリリスは遠い目をする。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
『はじめまして。リリスと申します』
『はっ、はじめまして。ヘンリーです。よろしくお願いします』
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
(そういえば、あの時は可愛かったわね)
お互いに恥ずかしそうに交わした挨拶を思い出して、リリスは思わずニンマリしてしまった。
「でたっ。余裕な感じ。まあ、なんとなく分かってたけど。彼、リリスに甘々だもんね。女の子としては、羨ましいわ」
(そんなものかしら?)
リリスはヘンリーとのやり取りが当たり前だったため、世の婚約者同士はみんな同じようなものだと思っていた。
そしてこれからの学園生活でその考えが崩され、アリーナの言葉の意味を理解するのに多くの時間はかからなった。
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