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第2章

第54話 リリス13歳 先生、気になります!

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次の登校日。今日は午前中にアルバスの授業があるので、リリスは授業終わりに話す予定だった。
中庭で授業の開始を待っていると「みんな、おはよう」と挨拶をしながら、アルバスはやって来た。相変わらずの黒髪に黒いローブというブラックコーデだ。
夏休み明け久しぶりの授業なので、以前のおさらいから始めるようだった。リリスも初級魔法をやってみる。

(久しぶりの実技、燃えるわぁ。さあて、ちゃちゃっとやっちゃうわよ)

「ファイヤーッ!」

ボワッ
的の石から一瞬で炎があがる。

(うんうん、いい感じね。さて次は)

「ファイヤーボールッ!」

ボッ
炎の玉が的を目掛けて飛んでいった。

(んふっ、やっぱり魔法って楽し~い。後はなんだったかなぁ・・あっ、あれだぁ)

「ファイヤーガードッ!」

ボーッ
リリスの目の前に炎の壁が出来上がった。

生徒たちは各々魔法を繰り出していた。みんな初級魔法習得は順調のようだった。
アルバスは、生徒たちの繰り出す魔法を確認しながら歩いている。
するとアルバスの視線がある一点で止まった。歩みは止まらないが、視線はその一点から動かない。そのまま歩みを進め、リリスの側にまでやって来た。どうやらその視線はリリスではなく、その後ろにあるようだった。
リリスは自分の側でアルバスの歩みが止まったことに気付き、彼を見た。しかしリリスとアルバスの視線は交わらなかった。

「先生?どうかされましたか?」思わず聞いたリリスにアルバスは「あっ、いやっ、何でもない」と口にすると、また歩き始めた。その様子にリリスは内心叫んだ。

(先生、誤魔化すの下手すぎぃ。その態度で何にも無いわけないじゃないですかぁ。すっごく気になるんですけどぉ)


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


授業の終わりを告げる鐘が鳴った。
早速、リリスはアルバスに話し掛けようと、視線を彼に移すと今度は彼の目線とバッチリ合った。そしてアルバスはそのままリリスの方へ歩いて来ると「リリス・アルバート、今日少し時間とれるか?」と聞いてきた。

(あら、奇遇だわ。まさか先生から誘われるなんて)

「はい、大丈夫です。実は私も先生に相談したいことがありまして、そちらもよろしいでしょうか」

「そうか。それなら時間が取れる放課後がいいな。授業が終わったら、魔法資料室を訪ねて来なさい」

そう言うとアルバスは荷物を手に建物へ入って行った。

(先生の用って何かな。授業中の先生の様子も気になるし・・・先生、何を見てたのかな。あっ、何かヤバいものを見つけちゃった・・とか?!あはっ)

リリスが想像を巡らせていると、スタイラスが声を掛けてきた。「どうだった?」彼の問にリリスは「放課後、時間を貰ったわ。魔法資料室に来てくれって」と答えた。「分かった。資料室だね」と彼が言う。
今日は、スタイラスも同席する予定だった。

「あっ、スタイラス様、いま少し時間ある?少しお話ししたいことがあって。その・・報告を」

「いいよ。まだ次の授業まで時間あるし」

リリスの言葉に何かを察したスタイラスはそう言うと、中庭の外れに移動した。

リリスはヘンリーに夢の話をした事。また彼と相談した結果、アリーナにも夢の話をする事を告げた。
そしてアルバスとの面会にヘンリーにも同席してもらう事も。
またスタイラスにはアルバスに会う前に夢の内容を聞いてほしいとお願いした。
リリスのお願いに彼は「分かった」と短く返した。
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