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第3章
第143話 リリス14歳 会遇2
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(温かい・・・この手はいつだって私に安心をくれる)
リリスは幸せを噛み締め、僅かに口元を綻ばせる。
(なんか炎を目の前に焚き火・・ううん、キャンプファイヤーでもしてるみたい・・キャンプファイヤーといえば、旅行よね。フフッ・・・去年の夏、アリーナたちが領地に遊びに来てくれた時は楽しかったな。今年も誘おうな)
そんなことをぼんやり考えていると、ヘンリーの声が耳まで届いた。その声にリリスの意識は、現実へと引き戻される。
「しかし本当に不思議だよなぁ」
見上げたリリスが「何が?」と聞く。するとヘンリーは「この木」とひとこと答えた。彼の言葉にリリスは改めて目の前の光景をまじまじと見ると、腕を前へと伸ばした。しかし、その手は炎に触れることはなかった。
「本当にね。まったく熱くないし、前にも言ったけど、これって・・・」
リリスは言葉を止めた。ふとした考えが頭の中に思い浮かんだからだ。
(まさか・・そんな事ある?というか出来る?でも、そのまさかだったりしない?)
「リリィ、どうかした?」
ヘンリーの言葉を手で制止し、リリスは考える。
(でも昨日の夢もあるし、それにディファナ・・もし彼女が関わってたら・・彼女ならできるんじゃないの?・・・もしそうならメイルがここを離れないのも、頷けるわ)
リリスは小さく息を吐くと、ヘンリーに視線を移した。彼は心配そうにリリスを見つめていた。リリスは彼の視線を受け止めると、ゆっくりと口を開いた。
「ねえ・・・ここに精霊がいるってことはないかな?」
「えっ?精霊?」
「うん。精霊」
リリスのセリフに戸惑うヘンリーは「えっと・・」と言いよどんだ。リリスは構わずに思い浮かんだ可能性を話し続ける。
「さっき話した夢にも精霊が出てきたでしょ?それにこの炎、本物じゃないなら、その精霊の影響でこの状態になってるとか思わない?極め付きはメイルよ。この子がここを離れないのは、精霊がいるからじゃないかな。この木に閉じ込められてるのか姿を変えてるのかそれは分からないけど」
最後までリリスの話を聞いたヘンリーは、しばらく難しい顔をして考えたあと口を開いた。
「・・・さすがにそれはないんじゃないかな・・精霊なんて、この国じゃ聞いたことないよ。まあ、精霊信仰してる国はあるけどさぁ」
「そうなんだけど・・・でも少し前までは信じられなかった聖獣に出会ったんだよ。精霊に出会ってもおかしくないよね?」
リリスは少し離れたところでこちらの様子をじっと見ているネージュとメイルに視線を移した。つられたヘンリーも視線を移す。
「うーん・・例えリリィの言うとおりだったとして、誰がそんな事出来るのさ。相手は精霊だよ」
「ディファナ」
リリスの言葉に驚き、視線を二匹の聖獣から横のリリスに移す。
「ディファナ?・・・そんな事して、
彼女になんの得があるのさ」
「アルミーダさんが言ってたじゃない。ディファナのやることに意味はないって。ただ面白ければいいって人だって」
何も言わずに顎に手を当てまた考えていたヘンリーは、一度小さく頷くと言った。
「・・・・・なんかリリィの言うことに一理あるような気がしてきたよ」
その言葉にリリスは目を輝かせ、何度も頷いた。
「でしょでしょ?」
「うん。やっぱり先生かアルミーダさんに話さないとな。今日は無理だから、明日だね」
「うん・・・ヘンリーはこの後、用があるんだよね。私だけこの後、アルミーダさんの所に行ってみる?今日はいるかもしれないよ。少しでも早いほうがいいんじゃない?」
「リリィ、ダメだよ。僕も一緒に行きたいから、明日だ。君一人では、僕が心配で落ち着いていられないよ」
「そっか・・うん、分かった。明日こそ話せるといいね」
リリスはそう言うと、微笑んだ。
リリスは幸せを噛み締め、僅かに口元を綻ばせる。
(なんか炎を目の前に焚き火・・ううん、キャンプファイヤーでもしてるみたい・・キャンプファイヤーといえば、旅行よね。フフッ・・・去年の夏、アリーナたちが領地に遊びに来てくれた時は楽しかったな。今年も誘おうな)
そんなことをぼんやり考えていると、ヘンリーの声が耳まで届いた。その声にリリスの意識は、現実へと引き戻される。
「しかし本当に不思議だよなぁ」
見上げたリリスが「何が?」と聞く。するとヘンリーは「この木」とひとこと答えた。彼の言葉にリリスは改めて目の前の光景をまじまじと見ると、腕を前へと伸ばした。しかし、その手は炎に触れることはなかった。
「本当にね。まったく熱くないし、前にも言ったけど、これって・・・」
リリスは言葉を止めた。ふとした考えが頭の中に思い浮かんだからだ。
(まさか・・そんな事ある?というか出来る?でも、そのまさかだったりしない?)
「リリィ、どうかした?」
ヘンリーの言葉を手で制止し、リリスは考える。
(でも昨日の夢もあるし、それにディファナ・・もし彼女が関わってたら・・彼女ならできるんじゃないの?・・・もしそうならメイルがここを離れないのも、頷けるわ)
リリスは小さく息を吐くと、ヘンリーに視線を移した。彼は心配そうにリリスを見つめていた。リリスは彼の視線を受け止めると、ゆっくりと口を開いた。
「ねえ・・・ここに精霊がいるってことはないかな?」
「えっ?精霊?」
「うん。精霊」
リリスのセリフに戸惑うヘンリーは「えっと・・」と言いよどんだ。リリスは構わずに思い浮かんだ可能性を話し続ける。
「さっき話した夢にも精霊が出てきたでしょ?それにこの炎、本物じゃないなら、その精霊の影響でこの状態になってるとか思わない?極め付きはメイルよ。この子がここを離れないのは、精霊がいるからじゃないかな。この木に閉じ込められてるのか姿を変えてるのかそれは分からないけど」
最後までリリスの話を聞いたヘンリーは、しばらく難しい顔をして考えたあと口を開いた。
「・・・さすがにそれはないんじゃないかな・・精霊なんて、この国じゃ聞いたことないよ。まあ、精霊信仰してる国はあるけどさぁ」
「そうなんだけど・・・でも少し前までは信じられなかった聖獣に出会ったんだよ。精霊に出会ってもおかしくないよね?」
リリスは少し離れたところでこちらの様子をじっと見ているネージュとメイルに視線を移した。つられたヘンリーも視線を移す。
「うーん・・例えリリィの言うとおりだったとして、誰がそんな事出来るのさ。相手は精霊だよ」
「ディファナ」
リリスの言葉に驚き、視線を二匹の聖獣から横のリリスに移す。
「ディファナ?・・・そんな事して、
彼女になんの得があるのさ」
「アルミーダさんが言ってたじゃない。ディファナのやることに意味はないって。ただ面白ければいいって人だって」
何も言わずに顎に手を当てまた考えていたヘンリーは、一度小さく頷くと言った。
「・・・・・なんかリリィの言うことに一理あるような気がしてきたよ」
その言葉にリリスは目を輝かせ、何度も頷いた。
「でしょでしょ?」
「うん。やっぱり先生かアルミーダさんに話さないとな。今日は無理だから、明日だね」
「うん・・・ヘンリーはこの後、用があるんだよね。私だけこの後、アルミーダさんの所に行ってみる?今日はいるかもしれないよ。少しでも早いほうがいいんじゃない?」
「リリィ、ダメだよ。僕も一緒に行きたいから、明日だ。君一人では、僕が心配で落ち着いていられないよ」
「そっか・・うん、分かった。明日こそ話せるといいね」
リリスはそう言うと、微笑んだ。
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