〘完〙なぜかモブの私がイケメン王子に強引に迫られてます 〜転生したら推しのヒロインが不在でした〜

hanakuro

文字の大きさ
25 / 50

第25話 結局、神様の思惑通りですか?

しおりを挟む
オルガの断罪が終わったリーナたちは、あの王族専用部屋に集まっていた。リーナとセドリックにビクトリアもいる。

何故オルガが魔法を発動する玉を持っていたのか・・公爵家の力を使って闇ルートで手に入れたのだろうと、結論付けられた。

そして本来のオルガが戻ってきてからリーナの元をセドリックが訪れなかったのは、彼女を守るためだった。セドリックは自分がオルガの側にいることで、彼女を何とかしようとしていたが、ダメだったそうだ。

「彼女の心に僅かでも良心が残っていれば、望みもあるかと思ったが、その希望は叶わなかったな」

そう寂しげに言ったセドリックにビクトリアは「致し方なかったのです」ときっぱりと告げる。

(そういえば三人は幼い頃から、お互いを知っていたわね。きっと私には分からない特別な感情があるのね)

するとそこに『いやあ、良かったです』と意外な声がした。声のする方を見ると、見覚えのある少年の姿が・・神だ。しかし、今日は今にも消えそうな姿ではなく、はっきりくっきり姿が見える。

ビクトリアは珍しく驚きを隠さずに神を見つめ、セドリックはウンザリした表情をあからさまに見せていた。そして声を上げたのは、リーナだ。

「神様!どうして!?今日は姿はっきり見えますよ!?」

『ああ、そうですよね。そのお礼も兼ねて、こうしてやって来ました。いやぁ、ありがとうございました。皆さんには感謝しかありません』

そうして神が話し始めたのは、神の裏事情だった。

姿が薄かったのは、冬馬の転移を失敗させた責任から神の立場を剥奪されようとしていたからだった。しかし冬馬の魂を無事に戻し、本来のオルガの悪事まで明るみに出した功績で、姿を元に戻されたのだ。 

『ああ、それは・・・いや、それは彼が無事に帰った後、ご自分の目で確かめてください』

これは以前、神がなぜオルガの魂がいるのに、そこに冬馬を転移させたのかリーナが尋ねたときの神のセリフだ。

どうやらオルガがあまりにも性格が悪く、ヒロインどころではない為、苦し紛れに入れ替えてみたそうだ。この世界が漫画ベタ恋と遠くかけ離れているのは、オルガの性格の悪さが元々の発端だったのだ。

結局、リーナたちが知らないところで、神の思い通りの結果になったことに若干複雑な心境だったが、“終わりよければ全てよし”だとリーナは思うことにする。

しかしセドリックは、チクリと嫌味を言うことを忘れない。

「では、また願いでも叶えてくれるのか?」

『申し訳ありませんが、それはできません。神である私の直々の礼でご勘弁を』

ここでリーナが苦笑して「殿下、神様って案外“出来ない出来ない”で、制約が多いんですよ」と横やりを入れる。それにセドリックは「ああ、そうだったな」と楽しげに言った。

『こうしてあなた方とお話するのもこれで最後です。本来、人間と直接話すなど、許されぬ存在ですから・・』

そう言葉を残して、少年は姿を消した。

後に残されたリーナたちは、顔を見合わせると、誰からともなく笑い声を上げた。そしていつしか笑いも収まると、リーナがおずおずと口を開いた。

「ビクトリア様?ビクトリア様は、殿下のお相手を望まれているのかと思っておりましたが、そうではないのですか?」

リーナの言葉にキョトンとするビクトリアは、一瞬向かいのセドリックに視線をやると、肩をすくめて言う。

「冗談じゃないわ。彼のこと幼い頃から知ってるからこそ、友人のままでいいと心から思えるのよ。殿下が、夫なんてまっぴら御免よ」

明け透けに語るビクトリアに、リーナの目は点になっていた。そんなリーナにビクトリアは、彼女を不安に陥れるアドバイスを送る。

「リーナ、頑張りなさいよ。彼の貴女への執着異常だから・・事あるごとに相談されるし、協力させられるし、全くこちらの身にもなってほしいわね・・・あー、あの時閉じ込めたことは謝るわ。まあ、相談ぐらいならいつでものってあげるから、いつでも遠慮なくいらっしゃいね」

そうして美しい笑顔を残して、ビクトリアは部屋を後した。残されたリーナは、いま彼女から送られたばかりの言葉を反芻はんすうしていた。

『殿下が、夫なんてまっぴら御免よ』

『彼の貴女への執着異常だから』

リーナが横を見ると、いまビクトリアが夫なんて御免だと言った王子が怖いくらいの満面の笑みを浮かべて、リーナを見つめていた。
しおりを挟む
感想 29

あなたにおすすめの小説

転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。

琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。 ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!! スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。 ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!? 氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。 このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。

ご褒美人生~転生した私の溺愛な?日常~

紅子
恋愛
魂の修行を終えた私は、ご褒美に神様から丈夫な身体をもらい最後の転生しました。公爵令嬢に生まれ落ち、素敵な仮婚約者もできました。家族や仮婚約者から溺愛されて、幸せです。ですけど、神様。私、お願いしましたよね?寿命をベッドの上で迎えるような普通の目立たない人生を送りたいと。やりすぎですよ💢神様。 毎週火・金曜日00:00に更新します。→完結済みです。毎日更新に変更します。 R15は、念のため。 自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)

【完結】モブ令嬢としてひっそり生きたいのに、腹黒公爵に気に入られました

22時完結
恋愛
貴族の家に生まれたものの、特別な才能もなく、家の中でも空気のような存在だったセシリア。 華やかな社交界には興味もないし、政略結婚の道具にされるのも嫌。だからこそ、目立たず、慎ましく生きるのが一番——。 そう思っていたのに、なぜか冷酷無比と名高いディートハルト公爵に目をつけられてしまった!? 「……なぜ私なんですか?」 「君は実に興味深い。そんなふうにおとなしくしていると、余計に手を伸ばしたくなる」 ーーそんなこと言われても困ります! 目立たずモブとして生きたいのに、公爵様はなぜか私を執拗に追いかけてくる。 しかも、いつの間にか甘やかされ、独占欲丸出しで迫られる日々……!? 「君は俺のものだ。他の誰にも渡すつもりはない」 逃げても逃げても追いかけてくる腹黒公爵様から、私は無事にモブ人生を送れるのでしょうか……!?

転生したら没落寸前だったので、お弁当屋さんになろうと思います。

皐月めい
恋愛
「婚約を破棄してほしい」 そう言われた瞬間、前世の記憶を思い出した私。 前世社畜だった私は伯爵令嬢に生まれ変わったラッキーガール……と思いきや。 父が亡くなり、母は倒れて、我が伯爵家にはとんでもない借金が残され、一年後には爵位も取り消し、七年婚約していた婚約者から婚約まで破棄された。最悪だよ。 使用人は解雇し、平民になる準備を始めようとしたのだけれど。 え、塊肉を切るところから料理が始まるとか正気ですか……? その上デリバリーとテイクアウトがない世界で生きていける自信がないんだけど……この国のズボラはどうしてるの……? あ、お弁当屋さんを作ればいいんだ! 能天気な転生令嬢が、自分の騎士とお弁当屋さんを立ち上げて幸せになるまでの話です。

幼馴染みが描いた悪役令嬢ものの世界に「メイド」として転生したので、6年後の断罪イベントをどうにか回避したい

ゆずまめ鯉
恋愛
通勤途中、猫好きではないのに轢かれそうな黒猫をうっかり助けてしまい、死んでしまった主人公──水縞あいり(26) 鳥の囀りで目を覚ますとそこは天国……ではなく知らない天井だった。 狭い個室にはメイド服がかかっている。 とりあえず着替えて備えつけの鏡を見ると、そこには十代前半くらいの子どもの姿があった。 「この顔……どこか見覚えが……」 幼馴染みで漫画家、ミツルギサイチ(御剣才知)が描く、人気漫画「悪役令嬢が断罪されるまで」の登場人物だということに気がつく。 名前はミレア・ホルダー(本名はミレア・ウィン・ティルベリー) 没落貴族の令嬢で、現在、仕えているフランドル侯爵によって領地と洋館を奪われ、復讐のために、フランドル侯爵の長女イザベラが悪役令嬢になるのを止めず、むしろ後押しして見事断罪されてしまうキャラだった。 原作は未完だが、相談を受けていたのでどういう結末を迎えるのか知っている。 「二期アニメもまだ見てないし、どうせ転生するなら村人Aとかヒロインの母親がよかった……!!」 幼馴染みの描く世界に転生してしまった水縞あいり=ミレアが、フランドル侯爵家で断罪回避するべく、イザベラをどうにかお淑やかな女性になるように導いている途中。 病弱で原作だと生死不明になる、イザベラの腹違いの兄エミールに、協力してもらっているうちに求愛されていることに気づいてしまい──。 エミール・ディ・フランドル(20)×ミレア・ウィン・ティルベリー(18) 全30話の予定で現在、執筆中です。2月下旬に完結予定です。 タイトルや内容が変更になる場合もあります。ご了承ください。

転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど⁉︎

水月華
恋愛
ヘンリエッタ・スタンホープは8歳の時に前世の記憶を思い出す。最初は混乱したが、じきに貴族生活に順応し始める。・・・が、ある時気づく。 もしかして‘’私‘’って悪役令嬢ポジションでは?整った容姿。申し分ない身分。・・・だけなら疑わなかったが、ある時ふと言われたのである。「昔のヘンリエッタは我儘だったのにこんなに立派になって」と。 振り返れば記憶が戻る前は嫌いな食べ物が出ると癇癪を起こし、着たいドレスがないと癇癪を起こし…。私めっちゃ性格悪かった!! え?記憶戻らなかったらそのままだった=悪役令嬢!?いやいや確かに前世では転生して悪役令嬢とか流行ってたけどまさか自分が!? でもヘンリエッタ・スタンホープなんて知らないし、私どうすればいいのー!? と、とにかく攻略対象者候補たちには必要以上に近づかない様にしよう! 前世の記憶のせいで恋愛なんて面倒くさいし、政略結婚じゃないなら出来れば避けたい! だからこっちに熱い眼差しを送らないで! 答えられないんです! これは悪役令嬢(?)の侯爵令嬢があるかもしれない破滅フラグを手探りで回避しようとするお話。 または前世の記憶から臆病になっている彼女が再び大切な人を見つけるお話。 小説家になろうでも投稿してます。 こちらは全話投稿してますので、先を読みたいと思ってくださればそちらからもよろしくお願いします。

モブ令嬢は脳筋が嫌い

斯波@ジゼルの錬金飴③発売中
恋愛
イーディスは海のように真っ青な瞳を持つ少年、リガロに一瞬で心を奪われた。彼の婚約者になれるのが嬉しくて「祖父のようになりたい」と夢を語る彼を支えたいと思った。リガロと婚約者になってからの日々は夢のようだった。けれど彼はいつからか全く笑わなくなった。剣を振るい続ける彼を見守ることこそが自分の役目だと思っていたイーディスだったが、彼女の考えは前世の記憶を取り戻したことで一変する。※執筆中のため感想返信までお時間を頂くことがあります。また今後の展開に関わる感想や攻撃的な感想に関しましては返信や掲載を控えさせていただくことがあります。あらかじめご了承ください。

社畜OLが学園系乙女ゲームの世界に転生したらモブでした。

星名柚花
恋愛
野々原悠理は高校進学に伴って一人暮らしを始めた。 引越し先のアパートで出会ったのは、見覚えのある男子高校生。 見覚えがあるといっても、それは液晶画面越しの話。 つまり彼は二次元の世界の住人であるはずだった。 ここが前世で遊んでいた学園系乙女ゲームの世界だと知り、愕然とする悠理。 しかし、ヒロインが転入してくるまであと一年ある。 その間、悠理はヒロインの代理を務めようと奮闘するけれど、乙女ゲームの世界はなかなかモブに厳しいようで…? 果たして悠理は無事攻略キャラたちと仲良くなれるのか!? ※たまにシリアスですが、基本は明るいラブコメです。

処理中です...